システム同定を用いた インターネットのパケット伝送遅延時間の モデル化に関する検討 大阪大学大学院基礎工学研究科 情報数理系専攻 村田研究室 森田 光茂 [email protected] 2001年11月 TM研究会 1 研究の背景 • パケット伝送遅延時間の特性がわかれば – QoS を向上できる – 効率的な輻輳制御の実現が可能 • パケット伝送遅延時間の特性とは – 送信レートの変化により、伝送遅延時間がどのように 変化するのか パケット伝送遅延時間の特性の モデル化が必要 2001年11月 TM研究会 2 研究の目的 • パケット伝送遅延時間の特性をモデル化 – – – – ネットワークをブラックボックスとして扱う モデルに対する入出力データを測定 システム同定を用いてパラメータを決定 2種類の検証方法でモデルの妥当性を検証 2001年11月 TM研究会 3 ネットワークのモデル化 入力 ブラックボックス sender 出力 receiver • 本研究での入出力の定義 入力 出力 2001年11月 パケット送信レート ラウンドトリップ時間 TM研究会 4 ARX(Auto-Regressive eXogenous)モデル e(k) 雑音 (他のトラヒックの影響) u(k) 入力 (送信レート) y(k) ARX モデル 出力 (ラウンドトリップ時間) y (k ) = -a1 y (k - 1) - ..... - ana y (k - na ) + b1u (k - 1) + ..... + bnb u (k - nb ) + e(k ) システム同定によりパラメータを決定 2001年11月 TM研究会 5 モデル化の流れ 入力データ 出力データ ARXモデル パラメータ システム同定 1.入出力データを測定する 2.測定した入出力データをARXモデルにあてはめ、 システム同定を用いてパラメータを決定する 3.モデルの妥当性を評価する 2001年11月 TM研究会 6 入出力の定義 5 6 7 8 9 10 時刻 • システム同定ではサンプリング周期が一定 であることが前提 パケット毎では、一定にならない パケット数 × パケットサイズ 入力(送信レート)= サンプリング周期 出力(ラウンドトリップ時間)= サンプリング期間中の ラウンドトリップ時間の平均値 2001年11月 TM研究会 7 入出力データの測定方法 • データ測定には ICMP パケットを使用 • パケット送信間隔は指数分布に従わせる • 送信側ホストで ▼パケット送信時刻 ▼パケット長 ▼パケット受信時刻 ▼シーケンス番号 を記録 Echo Request 7 6 5 5 6 7 Echo Reply 2001年11月 5 5 TM研究会 8 測定環境 • 測定環境により同定精度は大きく変化 – 雑音の影響 – ボトルネックリンクの特性 N1:LAN ネットワーク構成が単純な場合 N2: WAN ネットワーク構成が複雑、かつ アクセス回線がボトルネックの場合 N3: WAN ネットワーク構成が複雑、かつ アクセス回線以外がボトルネックの場合 2001年11月 TM研究会 9 ネットワークN1 sender SW 100Mbps FTP server 120 Mbps 入 力 ( パ ケ 80 ッ ト 送 信 40 レ ー ト 0 ) 2000 SW ms slot 2150 出 0.44 力 ( ラ ウ 0.43 ン ド ト 0.42 リ ッ プ 時 間 0.412000 ) receiver FTP client slot 2150 サンプリング周期 = 0.9ms 2001年11月 TM研究会 10 ネットワークN2 ISP sender Access link Internet receiver bottleneck 0.08 Mbps 入 力 ( パ 0.06 ケ ッ 0.04 ト 送 信 レ 0.02 ー ト 0 ) 2000 slot 2150 出 力 ( ラ ウ ン ド ト リ ッ プ 時 間 ) 500 ms 150 2000 slot 2150 サンプリング周期 = 125ms 2001年11月 TM研究会 11 ネットワークN3 sender Internet receiver (www.so-net.ne.jp) bottleneck 20 Mbps 入 力 15 ( パ ケ ッ 10 ト 送 信 レ 5 ー ト 0 ) 2000 slot 2150 出 力 ( ラ ウ ン ド ト リ ッ プ 時 間 ) 80 ms 60 40 20 2000 slot 2150 サンプリング周期 = 6ms 2001年11月 TM研究会 12 シミュレーションによる妥当性の評価 入力データ1 出力データ1 モデル化した ARXモデル 入力データ2 モデルの出力 モデルの出力と測定した出力データを比較 出力データ2 2001年11月 TM研究会 13 ボード線図による妥当性の評価 sin(w t ) unknown A sin(wt + j ) A ゲイン特性 モデル化した ARXモデル 入力データ 出力データ ARXモデルの j 位相特性 周波数特性 スペクトル解析による 周波数特性 周波数特性が一致すれば モデルの妥当性がいえる 2001年11月 TM研究会 14 N1 シミュレーション measured data model output ラ 0.42 ウ ン ド ト リ ッ プ 時 0.415 間 0.41 2250 2260 2270 2280 2290 2300 slot 2001年11月 TM研究会 15 N1 ボード線図 Amplitude 10 -2 ARX モデル スペクトル解析 10 -4 -6 Phase(degrees) 1010 -2 10 -1 10 0 10 1 0 100 200 10 -2 10 -1 10 0 10 1 Frequency (rad/s) 2001年11月 TM研究会 16 N2 シミュレーション 450 measured data model output 400 ラ ウ ン ド ト リ ッ プ 時 間 350 300 250 200 150 2250 2260 2270 2280 2290 2300 slot 2001年11月 TM研究会 17 N2 ボード線図 Amplitude 10 10 4 3 ARX モデル スペクトル解析 2 Phase(degrees) 1010 -2 10 -1 10 0 10 1 0 200 400 10 -2 10 -1 10 0 10 1 Frequency (rad/s) 2001年11月 TM研究会 18 N3 シミュレーション 40 ラ ウ ン ド ト リ ッ プ 時 間 35 30 25 measured data model output 20 2250 2260 2270 2280 2290 2300 slot 2001年11月 TM研究会 19 N3 ボード線図 Amplitude 10 2 ARX モデル スペクトル解析 10 0 2 Phase(degrees) 1010 -2 10 -1 10 0 10 1 0 500 1000 10 -2 10 -1 10 0 10 1 Frequency (rad/s) 2001年11月 TM研究会 20 まとめと今後の課題 • まとめ – 送信レートがラウンドトリップ時間に大きな影響を与え る場合はモデル化が可能 • 今後の課題 – モデルの精度の向上 • ARMAX モデルによるモデル化 – 輻輳制御機構の設計 2001年11月 TM研究会 21
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