200万都市が有機野菜で 自給できるわけ ‐サブタイトル‐ 都市農業大国キューバ・リポート 06A2137C 長谷川泰史 1 はじめに キューバへのプロローグ 「都市農業」とは? 都市農業は脆弱な都市を守る切り札 ・・・食糧・雇用・環境問題を一挙に解決? キューバの有機農業・都市農業 ・・・ソ連圏の崩壊と経済封鎖の強化を契機 ラテンアメリカ最古の都市ハバナの挑戦 コラム1:ハバナ誕生物語 2 Ⅰ.食糧危機を救ったキューバの 都市農業 1.未曾有の経済崩壊が都市を襲う ラテンアメリカのユートピア ソ連依存の疑似ユートピア ソ連崩壊と経済封鎖のダブルパンチ 輸入食料不足と国内農業の瓦解 食糧危機下のキューバの悲劇 3 ラテンアメリカのユートピア 1959年のキューバ革命以降 ・・・「国民誰しもが平等で福祉の充実した 国家を建設する」(カストロの理想) 医療・教育の無料化、日用品の配給制 →ラテンアメリカ最高水準の暮らしを実現 国民間での社会的格差が小さく、セーフ ティネットが整った平等社会の構築(表1) 4 表1.キューバの社会指標 ラテンアメリカ 内のランク 1,300kcal 2,898kcal 2位 1959年 カロリー摂取 量/日・人 平均寿命 55歳 乳幼児死亡率 70人 〔千人当たり〕 医師数 6,000人 非識字率 43%以上 1989年 73歳 13.6人 2位 1位 38,700人 1位 2% 3位 5 ソ連依存の疑似ユートピア キューバの平等な高度福祉国家 ←共産圏との有利な貿易関係を背景 輸出:農作物(主に砂糖)とニッケル鉱石 輸入:工業製品と食料、石油(ソ連の提供) →食料における極端な海外依存(表2) 社会主義圏の徹底した国際分業体制の恩 恵、ソ連の援助→年平均7.3%の経済成長 6 表2.輸入食料への依存度合い 右図は各品目ごとの 輸入率(農業省1989 年及びDeer〔1992〕) キューバは基本的に 農業国であるが、総カ ロリーベースでも57% を海外に依存 経済成長や海外協力 も、ソ連という親玉か らの援助に依拠 小麦 豆類 穀類 コメ 食用油・ラード バター 牛乳及び乳製品 魚類 100% 99 % 79 % 50 % 94 % 64 % 38 % 44 % 7 ソ連崩壊と経済封鎖のダブルパンチ ソ連圏の崩壊(国際分業体制の崩壊) →主要な輸出元と輸入元を一挙に失う ・・・GDP縮小、貿易額と生産量の落ち込み アメリカによる経済封鎖の強化 →「キューバ民主化法」(1992) →「キューバ自由民主連帯法」(1996) ・・・食料や医薬品も封鎖対象→食糧危機 8 輸入食料不足と国内農業の瓦解 キューバ経済危機→主に、「食料」に打撃 キューバ食糧危機→特に、「都市」に打撃 輸入食料と国内生産の減少 ・・・生産資材と石油の輸入減少の影響 →燃料不足、機械の稼動率低下、石油依 存の流通システム(輸送手段)への打撃 →農業生産の減少、食料の生産量減少 9 食糧危機下のキューバの悲劇 カストロによる「平和時のスペシャル・ピリ オド(国家非常事態宣言)」(1991) ・・・国を戦時の統制経済下に置く キューバ国内の状況 →栄養不足、生活水準の低下、都市環境 の悪化、輸入減少、医療機器の欠乏 食糧危機への政府の具体的な対策 →配給制の拡大、健康医療費の増額 10 まとめ キューバのイメージ ・・・社会主義国としての側面 ・・・農業国としての側面 危機的状況から生まれた都市農業の発想 ・・・有機農業、都市農業への転換 →地球環境政策の前進、持続可能な発展 豊かな国・・・高いGDP?高い自給率? 11
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