熊谷市の農業の現状・問題

東京都市大学 環境情報学部 環境情報学科
中原秀樹研究室 4年 長島 佑介
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持続型農業とは
研究概要
調査結果
検証
アンケート概要
結論・考察
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◆経済的に実行可能であること
持続型農業の必要条件は、熊澤喜久雄氏によると
『経済的に実行可能であること』(1)
◆環境保全的であること
『環境保全的であること』(2)
◆社会的に受け入れられること
『社会的に受け入れられること』(3)
これらの条件を充足し、その土地の土壌や
気象条件などに留意した農業のことを持続型
農業という。
持続可能な農業への道 佐藤了、ジョン・S・コールドウェル、佐藤敦 編
P204 より引用
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農林水産省
•環境に重きを置いた定義
→利益などの経済面への考慮はなし
90年農業法(アメリカ)
•アメリカの農業に対しての定義
→熊谷市でも当てはまるのか
4
20
18
16
14
kg/ha
12
日本
韓国
10
中国
イギリス
8
米国
6
4
2
0
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
出典:社会実情データ図鑑
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http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html
300
250
200
150
その他
米国
100
中国
50
0
出典 独立行政法人農畜産業振興機構「野菜輸入の動向」より作成
6
事件発生日
内容
2007年12月下旬から 中国の天洋食品が製造、ジェイティフーズが輸入、日本生活協同組合連
2008年1月
合会が販売した冷凍餃子を食べた千葉県千葉市、市川市、兵庫県高砂市
の3家族計10人が下痢や嘔吐などの中毒症状を訴え、このうち、市川市の
女児が一時意識不明の重体に。餃子を鑑定したところ、メタミドホスな
ど有機リン系殺虫剤が検出
2008年2月28日
ニッキートレーディング社(大阪市)が輸入し、ユーコープ事業連合
(横浜市)が販売していた中国製「冷凍かつ」のアスパラから有機リン
系殺虫剤ホレートが残留農薬として検出され、中国製「肉まん」からは
メタミドホスが検出
2008年10月14日
ニチレイフーズの中国製冷凍食品「いんげん」(製造元は中国山東省の
煙台北海食品)から化学物質「ジクロルボス」が検出
2009年10月16日
2010年3月17日
2011年2月11日
三井物産が中国から輸入し、キユーピータマゴ(東京都調布市)に納入
した乾燥卵からメラミンが検出。ニワトリの飼料にメラミンが混入した
ことが原因。さらに同日、ジャパン・フード・サービス(兵庫県)が中
国から輸入したフライドチキンからも、1.6ppmのメラミンが市場への流
通前に検出
下水道の汚水を精製することにより食用油に再生、販売する行為が商業
ベースで行われていることが、国営ラジオ放送サイト・中国広播網の放
送により明らかにされた
中国の一部地域で基準値を超えるカドミウムを含んだ米が流通している
とする、南京農業大学の調査結果が発表された
出典 朝日新聞 中国産に関するニュースより作成
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18年間熊谷市の農家で育ち、大学では環
境を専門に学んできた。さらに、世の中を騒
がせた、中国の残留農薬の問題や日本の
TPP問題に興味を持ち、大学の授業では環
境に負荷の少ない農業などについて学び、
改めて日本の農業の重要性を知り、実際に
生まれ育った熊谷市を例に、持続型農業を
定着させたいと考えた。
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持続型農業の必要条件は、熊沢喜久雄によると
『経済的に実行可能であること』(1)
『環境保全的であること』(2)
『社会的に受け入れられること』(3)
持続可能な農業への道 佐藤了、ジョン・S・コールドウェル、佐藤敦 編
P204 より引用
本研究ではこの項目をもとに、各機関(埼玉県、熊谷
市、JAくまがや)の推奨している農業を調査するともに、
その農業がこの3つの定義を充足しているかどうかを
検証する。さらにそれを満たした農業をどのように定着
させるかを考察する。
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HP調査・訪問調査
各機関(埼玉県、熊谷市、JAくまがや)
の推奨している農業を調査し、それが
①経済的に実行可能であるか
②環境保全的であるか
を検証する。
アンケート調査
③社会的に受け入れられるか
を調査する。
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HP・訪問調査から
エコファーマー認定による農業
埼玉県、熊谷市
埼玉県特別栽培農産物認定
による農業
有機農業
埼玉県、熊谷市
JAくまがや
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エコファーマー制度(埼玉県、熊谷市)
①経済的に実行可能か
こちらの制度の一番の魅力は農産物にマークを直接
表示できることであり、消費者へ一目でアピールでき、
導入直後は収穫量や利益は多少落ちるが、経済的に
実行可能といえる。
②環境保全的であるか
こちらは、認証まで審査が行われ、一見環境保全的と
言える。しかし、認証後、導入計画に沿って作物の生産
が行われているかの審査は行われず、不正が行われて
いてもマークを表示できてしまう。
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埼玉県特別栽培農産物(埼玉県、熊谷市)
①経済的に実行可能か
導入直後は収穫量が多少減ってしまうが、こちらのマー
クも農産物にマークを直接表示できるため、消費者へ一
目でアピールでき、経済的に実行可能と言える。
②環境保全的であるか
こちらも、生産計画書の届出に始まり、現地確認、書類
の審査等を経て認証が行われる。さらにエコファーマーと
は違い、追跡調査が行われ、しっかり導入計画を守って
いるかが調査される。また、マークの裏側にも生産者の連
絡先、農薬使用量、回数などを明記する義務があるので
消費者にとっても生産者の現場が見えやすいものとなる
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有機農業(JAくまがや)
①経済的に実行可能であるか
有機農業は安定して利益を得るには数年かか
ると言われてるため、専業農家にとっては難しい
と考える。
②環境保全的であるか
農薬を一切使わないのでこの中では一番環境
に配慮した農業と言える。
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
検証から、①②に当てはまるのは埼玉県特
別栽培農産物のマークを取得し、農業を営む
ことだと考え、他の2つはどちらかに問題があ
り、欠けていたので持続型農業ではないと判
断した。
次にアンケート調査により埼玉県特別栽培農
産物は③社会的に受け入れられるかを調査
していく。
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◆期間
◆場所
◆対象
2011年10月26日から11月30日
めぬま物産センター
熊谷市のマーク非取得者で専業農家
男性74名 女性26名
◆項目
・農業を営む上で重視すること(複数回答可)
・農薬が環境に悪影響を与えることを知っているか
・なぜ農薬を使用するのか
・埼玉県特別栽培農産物のマークを知っているか
・取得してみたいか(メリットを説明後)
・取得したくない理由
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調査結果【1】
埼玉県特別栽培農産物の
マークを知っているか
80
70
60
50
40
30
20
10
0
71
23
6
意
知
味
っ
も
て
名
い
前
る
も
が意
見味
たは
るこ知
とら
はな
あい
全
く
知
ら
な
い
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調査結果【2】
・マークを取得してみたいか(意味やメリットを
説明後)
・取得したくない理由
◆はい・・・・・88人
◆いいえ・・・・・12人
【理由】
・もうすぐ農業をやめるから
・歳をとってしまい新しいことをはじめるのは大変
18

埼玉県特別栽培農産物のマークについては、知
名度はほとんどなかったが、マークの意味やメ
リットを説明すると、100人中88人が「取得してみ
たい」と答え、12人の人が年齢が理由で「取得し
たくない」と答えた。そのため、これからも農業を
やっていく生産者にマークが広まれば、取得に
動いてくれる可能性があることがわかる。そのこと
から、持続型農業の3つ目の定義、社会的に認
められると判断し、埼玉県特別栽培農産物は持
続型農業の3つの定義を充足していると言える。
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埼玉県特別栽培農産物のマークを取得
持続型農業
しかし、現在の支援の仕方では持続型農業定着と
いうのは難しい。
まずは普及に向けて、生産者への支援の改善が必要
と考えた。具体的には、
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◆マークのPR方法の改善
◆HPや市報、パンフレットだけでの推奨で
はなく、直接的な生産者への指導が必要
◆県、市、JAの関係が薄いことから三者一
体となって農業を支援
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[1]持続可能な農業への道 佐藤了、ジョン・S・コールドウェル、
佐藤敦 編 P204 より引用
[2]埼玉県HP http://www.pref.saitama.lg.jp/
[3]熊谷市HP http://www.city.kumagaya.lg.jp/
[4]JAくまがやHP http://www.ja-kumagaya.com/
[5]日本植物防疫協会HP
http://www.agri.zennoh.or.jp/pest/safety/siyouigi.asp
[6]社会実情データ図鑑
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html
[7]独立行政法人農畜産業振興機構HP
http://www.alic.go.jp/
22

ご清聴ありがとうございました
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