情報システムゼミA(論文講読) 2005/6/23 岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 教育情報システム学講座 4年 0312004309;継田 優子 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 1 選択論文 異なる知識の組み合わせによる「情報モラ ル」指導法の検討 玉田和恵(東京経営短期大学)・松田稔樹 (東京工業大学) 出典:日本教育工学誌/日本教育工学雑 誌(第24巻 増刊号 2000) 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 2 選択理由 卒業研究で情報モラルの中の1つである著 作権を取り上げているので、著作権教育 の参考になるのではと思い、選択をした。 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 3 論文の内容 情報モラルと情報技術の知識の関係から、情報技術の知 識が高い学生は情報モラルも高くなる傾向が見られる 情報モラルを指導するには、必要な知識を分解して考え、 学習者の実態に応じた指導が必要になると考えられる 1回目の授業で異なる知識を組み合わせた指導を受けると、 2回目の授業で情報技術の知識中心の指導をしても、知識 を組み合わせて合理的な判断をする傾向が見られ、指導の 効果が持続する傾向が見られる この指導法は、元々情報モラルが低い学生に有効的である 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 4 はじめに 情報モラルの指導の目的 …生徒・学生に情報社会で適切な判断を 下すための知識 …態度を身に付けさせること 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 5 はじめに ① ② ③ 村井 実(1987)「道徳的判断に必要な3種の知 識」 原則の知識(「公平」・「約束厳守」などの規範に 関するもの) 状況の知識(「自分がある種の行為をすると、 他人に不公平感をもたらす可能性がある」) 合理的判断の知識(上の2つの知識を関連付け て、判断を下すための知識) 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 6 はじめに ① ② ③ 松田 稔樹(1999)の提案 原則の知識(生徒・学生が幼少期より様々な場面で教 育され、培われてきているべき知識) 状況の知識(「情報技術に関する知識や技術」に当た る) 合理的判断の知識(上の2つの知識を組み合わせ、 様々な価値基準と照合して、適切な判断をするための 知識) …異なる知識を組み合わせることにより、覚えるべき知 識を必要最小限に抑えて、様々な状況の変化に対応出 来る情報モラルの判断力を養うことが可能である 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 7 事前調査 調査対象…短大生146人 (経営情報学科…74人、経営税務学科…72 人) 調査内容…レジュメ参照 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 8 調査結果 道徳的規範知識に関する20項目の評価得点 から主因子解を求め、バリマックス回転を行い、 以下の6因子を抽出した。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 2015/9/30 善悪の判断 思いやり 決まりを守る 正義を重んじる 健康に気を付ける 言葉遣い 情報システムゼミA(論文講読) 9 情報技術の知識と情報モラルの クラスター分析 2つのクラスターに分類された 評価得点の平均値に1%の有意差があった項目 …合計点、データ量の大小比較、情報量の単位、 ネットワークの特性、データ転送に関する問題 →実際の場面で適用出来る知識の持ち方をして いるかを問う問題 情報技術の知識が高いグループ(知高群49人) と低いグループに(知低群70人)に分類可能と解 釈 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 10 情報技術の知識と情報モラルの クラスター分析 2つのクラスターに分類された 評価得点の平均値に1%の有意差があっ た項目数…41項目中29項目 情報モラルの高いグループ(モ高群68人) と低いグループに(モ低群51人)に分類可 能と解釈 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 11 分類結果 情報技術の知識の高得点群には、情報モ ラルの高低に有意な差が見られた →このことから、情報技術の知識が高い学 生は情報モラルも高くなる傾向 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 12 情報技術の知識、情報モラルと 道徳因子得点の関係 情報技術の知識が高く情報モラルも高いグループ…「正 義を重んじる」、「言葉遣い」以外は低い値 情報技術の知識が高く情報モラルが低いグループ…全 ての値が低く、特に「正義を重んじる」、「言葉遣い」など は著しく低い →「正義を重んじる」因子の得点が低く、正義についての 考え方に問題があるために情報モラルが低くなった 情報技術の知識が低く情報モラルが高いグループ…「善 悪の判断」、「思いやり」、「決まりを守る」、「言葉遣い」が 高い値 →情報技術の知識の不足を道徳的規範知識が補ったと 推測される 情報技術の知識が低く情報モラルも低いグループ…著し く低い項目は無いものの、全てが低い値 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 13 実験計画 被験者は事前調査に協力した経営情報学科の74人の学 生 被験者を2つのクラスに分ける 2種類の指導案で、「著作権」・「セキュリティ」という2つの テーマについて、実験群、統制群を入れ替えて指導した →2要因4水準の被験者内計画 「著作権」→Aクラス:実験群、Bクラス:統制群として実施 ↓1週間後 「セキュリティ」→Aクラス:統制群、Bクラス:実験群として 実施 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 14 理解度テスト 2種類の指導法により、基本的な情報技術 の知識の理解、情報モラルの変化、異なる 3種の知識の適用などに違いがあるかを 検討するため、理解度テストを実施した 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 15 結果と考察 (基礎知識項目・情報モラル項目) 「著作権」・「セキュリティ」の基礎的な問題と事前 調査と同じ情報モラル項目…平均値を比較→実 験群と統制群の間に優位な差は見られなかった 情報モラル項目…実験群、統制群とも事後調査 の方が平均評定得点が優位に高くなっていた →このことから、いずれの指導によっても、情報 モラルの判断は望ましい方向に変化 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 16 結果と考察 (実験群・統制群による知識の運用の 違い) 坂本 昴(1980)の次元分けの手法を参考に行 動目標を検討し、以下に分類 ① 3種の知識を適用している ② 2種の知識を適用している ③ 1種の知識しか適用していないもの ④ 知識を適用していないもの …上記の分類に従って、情報モラルに関する具体 的事例について、各学生の回答を分類した 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 17 要因の違いによる3種の知識を 適用した回答数の有無 著作権…Aクラス(実験群)が多い セキュリティ…Bクラス(実験群)が多い 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 18 学生のタイプによる知識の適用 の違い 「著作権」の指導の際に、実験群になったAクラス の学生で、3種の知識を適用して、回答すること が出来た学生の人数を知識と情報モラルの高低 による4分類について、分析を行った 知識が低く情報モラルも低い学生…全ての学生 が3種の知識を適用して、回答した 知識が高く情報モラルの低い学生…5人中4人が 3種の知識を適用して、回答した →情報モラルの低い学生には、道徳的規範知識、 情報技術の知識、合理的判断の知識を組み合 わせた指導方法が有効である 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 19 今後の課題 今後、より広い対象で同様の調査を行う 3種の知識の関係を分析、指導法の効果 について検証する 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 20 感想 知識を組み合わせて、情報モラルの指導 を行うという考えは興味深いと思った この実験の被験者が短大生なので、中学 生に行った場合は効果的なのかと感じた 統計学用語を理解するのに苦しんだ 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 21 参考URL 因子分析 …http://www.ir.rikkyo.ac.jp/~murase/04facter.pdf バリマックス回転 …http://case.f7.ems.okayamau.ac.jp/statedu/term/fact2012.html アイスクリーム統計学にようこそ!(向後 千春) …http://kogolab.jp/elearn/icecream/index.html マーケティング・サイエンスの手法 …http://www.e-agri.jp/marketing/marketing2.htm 2015/9/30 情報システムゼミA(論文講読) 22
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