2.論理表現の基礎知識 命題論理(Propositional Calculus) と 述語論理(Predicate Calculus) 2.1 命題論理 (Propositional Calculus) 基本単位:意味のある言明→命題 ↓ (通常、自然言語の1文に相当) 命題が真か偽かのみ に言及する 命題自身を更に分析 することはしない。 真理値 真 : True T 1 偽 : False F 0 命題に関する演算 反対命題 ~P : Pではない (例) P : 徳川綱吉は戌年生ま れである。 ~P : 徳川綱吉は戌年生ま れでない。 真理値表 P ~P 0 1 1 0 複合命題 連結詞によって複数の命題をつなぐ P∩Q P かつ Q P∪Q P または Q P→Q P ならば Q P≡Q P と Q は等価 P P if P and Q or Q P then Q equal Q (P→Q かつ Q→P) P/Q P さもなくば Q P exclusive Or Q 表記法のバラエティ • • • • ∩,∧,& ∪,∨,| ⊃,→ ≡,= • /,∨ 連言,論理積, And,かつ 選言,論理和, Or,または 含意,Implies,ならば 等価,同値, Equivalence,のときだけ 排他的論理和, Exclusive Or, さもなくば 自然言語の連結詞の不確かさ そして、および、または、ならびに、もしくは… そして ∩ → および ∩ ∪ (ならびに) または ∪ / (もしくは) 不確かさの例 {この家は、駅に近く、そして日当りが良い} ∩の意味 {太郎は悪戯をした。そして母親に叱られた} ∩ではなく、→ {法律および政令には全て主任の国務大臣が署名する} 法律 ∪ 政令には、全て主任の国務大臣が署名する {明日、雨天または強風ならば、花見中止} 雨天であり、強風のとき、花見は中止 {優勝者には、車1台または賞金200万円が贈られる} 車1台かつ賞金200万円が贈られることはない 複合命題の真理値表 P 1 1 0 0 Q 1 0 1 0 P∩Q 1 0 0 0 P∪Q 1 1 1 0 P→Q 1 0 1 1 P 1 1 0 0 Q 1 0 1 0 ~P 0 0 1 1 ~P∪Q 1 0 1 1 P→Q 1 0 1 1 P≡Q 1 0 0 1 P/Q 0 1 1 0 比較 P→Q≡~P∪Q 演習 任意の演算のうち適当な2種類で他を定義でき ることを真理値表で確かめよ。 (ヒント:以下は~と∩で他演算を定義している式の展開である) A∪B : ~(~A∩~B) A≡B : (A→B)∩(B→A) シェファー(Sheffer)の棒(↑) P↑Q≡~(P∩Q) ~P P∩Q P∪Q P→Q P≡Q P/Q : : : : : : P↑P (P↑Q)↑(P↑Q) (P↑P)↑(Q↑Q) P↑(Q↑Q) (P↑Q)↑{ (P↑P)↑(Q↑Q)} {P↑(Q↑Q)}↑{Q↑(P↑P)} シェファー(Sheffer)の棒(↓) P↓Q≡~(P∩Q) ~P P∩Q P∪Q P→Q P≡Q P/Q : : : : : : P↓P (P↓P)↓(Q↓Q) (P↓Q)↓(P↓Q) {(P↓P)↓Q}↓{(P↓P)↓Q)} {P↓(Q↓Q)}↓{Q↓(P↓P)} (P↓Q)↓{ (P↓P)↓(Q↓Q)} 演習 ① シェファーの2つの棒(↓,↑)での∩と∪、 および≡と/の演算を比較せよ。 ② 適当なひとつの演算を選び、真理値表で確 認せよ。 命題論理とブール代数との対比 U :全体集合 A,B,CがUの部分集合であるとき 許される U 許されない U A A 命題論理とブール代数との考え方の違い 命題論理 ブール代数 基本単位 命題 演算 集合 T 全体集合U F 空集合Φ (なし) 部分集合 ∩(連言) ∩(共通部分集合) ∪(選言) ∪(合併集合) ~(否定) ~(補集合) →(含意) ⊂(部分集合) A∪B A ~A A A∩B B A B A⊂B A (A → B と A ⊂ B の関係について注 意) B 論理型知識での推論規則 (式の変形で行われる) 変形方法:書き換え規則 (基本) (交換律) (分配律:連結詞が異なる) 0 ∩ P ≡ 0 P ∩ Q ≡ Q ∩ P 0 ∪ P ≡ P P ∪ Q ≡ Q ∪ P 1 ∩ P ≡ P (結合律:連結詞が同じ) 1 ∪ P ≡ 1 P ∩ (Q ∩ R) P ∩ ~P ≡ 0 P ∪ ~P ≡ 1 ~(~P) ≡ P (巾等律) P ∩ P ≡ P P ∪ P ≡ P ≡ (P ∩ Q) ∩ R P ∩ (Q ∩ R) ≡ (P ∩ Q) ∩ R P ∩ (Q ∪ R) ≡ (P ∩ Q) ∪ (P ∩ R) P ∪ (Q ∩ R) ≡ (P ∪ Q) ∩ (P ∪ R) (ド・モルガンの補助定理) P ∩ (~P ∩ Q) ≡ 0 P ∪ (~P ∩ Q) ≡ 1 (吸収律) (ド・モルガンの定理) P ∩ (P ∪ Q) ~(P ∪ Q) ≡ (~P) ∩ (~Q) ~(P ∩ Q) ≡ (~P) ∪ (~Q) ≡ P ∪ (P ∩ Q) ド・モルガンの定理を真理値表で確認 P 1 1 0 0 Q ~P ~Q 1 0 0 0 0 1 1 1 0 0 1 1 P∩Q 1 0 0 0 ~(P∩Q) 0 1 1 1 (~P)∪(~Q) 0 1 1 1 [演習] 真理値表により、~(P∪Q)と(~P)∩(~Q)が等価であることを 確認せよ。 式の書き換え例 (例1) ~(P∪Q)→(~P)∩(~Q) ~(~(P∪Q))∪((~P)∩(~Q)) (P∪Q)∪((~P)∩(~Q)) 分配律から ((P∪Q)∪(~P))∩((P∪Q)∪(~Q)) ((~P∪P)∪Q)∩(P∪(Q∪~Q)) ↓ ↓ 1 1 (1∪Q) ∩ (P∪1) 1 ∩ 1 ≡ 1 (例2) ~(P∩Q)→(~P)∪(~Q) ~(~(P∩Q))∪((~P)∪(~Q)) (P∩Q)∪((~P)∪(~Q)) 結合律から ((P∩Q)∪(~P))∪(~Q) ((~P∪P)∩Q)∩(~Q)) ↓ 1 (1∩Q) ∩ (~Q) Q ∩ ~Q ≡ 1 2.2 論理型知識の内容と利用の概要 • 知識の格納 知識の妥当性、矛盾のなさ • 推論 既に格納されている知識を利用して他の 結論を導く。 結論の評価 = 根拠となる主張の適切さ + 導出の適切さ 根拠となる主張の適切さ = 命題そのもの 知識ベースの内容 導出の適切さ = 推論の実行 推論エンジンの機能 根拠となる主張の適切さ (1)意味規定 ①辞書的規定 : 一般に認められている意味規定 ②一時的規定 : 与えられた状況に限定した一時的な意味規定 ③提案的規定 : 辞書的規定に替わる一般的意味規定の提案 (2)事実認識 ①個別的主張 : 個々の事実を示す主張 ②一般的主張 : 一般的な事柄に対する主張 A:一般化に関する主張 B:法則の主張 C:存在の主張 (3)価値評価 : 価値・規範を共有している相手との間での価値・規範の評価 ①良悪・善悪評価 ②選択的評価 根拠の例 (1)意味規定 ①辞書的規定 : 海藻は海の植物である。 ②一時的規定 : ここでは、ソフトウェア科学は自然科学に含めないこととする。 ③提案的規定 : 「善悪」とは、結局社会に受け入れられる行為であるかどうかで ある。 (2)事実認識 ①個別的主張 : 「Prologの技芸」の著作者はShapiroである。 ②一般的主張 A:一般化の主張 : 関西の人は、納豆嫌いである。 B:法則の主張 : 酒を呑んで山に入ると、やぶ蚊に刺される。 C:存在の主張 : この山のどこかに、大鷲が棲んでいるはずだ。 (3)価値評価 ①良悪・善悪評価 : このワインはとても美味しい。 ②行動の選択的評価 : 夏休みには、ぜひ海に行くべきだ。 根拠の確認 (1)意味規定 ①辞書的規定 : 一般的に認められている意味かどうかを確認 ②一時的規定 : その状況の中で、規定に従った結果、矛盾が生じないかを検証 ③提案的規定 : 提案を受け入れるか拒否するか意思決定することが必要 (2)事実認識 ①個別的主張 : 事実であるかどうかを確認 ②一般的主張 A:一般化の主張 : 厳密には全てを調査する。統計的に傾向を調べて一般化が妥 当かどうかを調べる。 B:法則の主張 : 反復現象に対する調査や因果関係の調査が必要 C:存在の主張 : 事実の調査や、目撃か単なる伝聞か等の情報源の妥当性を確 認。 (3)価値評価 : 価値・規範の基準が共有されていることが必要。相手が異なる 価値・規範を持っていたとしても否定はできない。評価が独断的 であることを示したり、他の評価が客観的であることを示すこと 等の手続きが必要。 導出の適切さ ① 意味に関わるもの→演繹 言語規則に正しく従っているかどうかによる。誤解や規 則違反を犯したとき誤謬が生じる。 ② 事実に関わるもの→推測 ある事実に基づいて、事実から含意されないような他 の事実の成立を結論する。 A:背景法則に基づく推測 B:仮説形成による推測 C:帰納法による推測 導出の例 演繹 ●蛙は哺乳類ではない。何故なら卵を産むからね。 ●彼は、今日は自宅かアルバイト先にいると言ってたけど、自宅にいな いから、きっとアルバイト先だと思う。 ●近頃の学生はまじめだ。従って今度の新入生もまじめである。 推測 ●彼は昨夜徹夜で勉強していた。だから、きっと疲れているに違いない。 ●彼は二日酔いだそうだ。彼は、いつも近くのスナックに通っているから、 昨夜はいつものスナックで飲んだのだろう。 ●今まで3回も見合いをして全て断られた。だから今度の見合いもどう せ駄目だろう。 導出=推論 よく使われる三段論法(ModusPonens) 風が吹く 砂ほこりが立つ 盲人が多くなる 三味線が売れる 猫が殺される ねずみが増える 桶をかじる → → → → → → → 砂ほこりがたつ 盲人が多くなる 三味線が売れる 猫が殺される ねずみが増える 桶をかじる 桶屋が儲かる ∴風が吹く → 桶屋が儲かる 三段論法とは P∩(P→Q)→Q 真理値表 P Q P→Q P∩(P→Q) 1 1 0 0 1 0 1 0 1 0 1 1 1 0 0 0 P∩(P→Q)→Q 1 1 1 1 論理における推論(その1) ①連言 ゆえに ②簡約 ゆえに ③簡約 ゆえに ④付加 ゆえに ⑤付加 ゆえに ⑥後件の簡約 ゆえに ⑦前件の簡約 ゆえに 今日は雨が降る 今日は寒い 今日は雨が降り、寒い 東京は日本の首都で人口1千万以上である 東京は日本の首都である A君は技術者を志望してK大学を受験するか または歯医者志望してS大学を受験する A君はK大学を受験するかS大学を受験する A君は胃がんである A君は胃がんか胃潰瘍である A君は数学が得意でない A君は数学と物理学両方ともに得意ということはない 僕はA大学に入学すれば 油絵を続けると共に数学を勉強する 僕はA大学に入学すれば、数学を勉強する 明日雨が降るか、大雨が吹くなら登山は中止する 明日雨が降れば、登山は中止する P Q ∴P∩Q P∩Q ∴P (P∩Q)∪ (R∩S) ∴Q∪S P ∴P∪Q ~P ∴~(P∩Q) P→Q∩R ∴P→Q (P∪Q)→R ∴P→R 論理における推論(その2) ⑧肯定式 (単純三段論法) ゆえに ⑨否定式 三角形ABCでAB=ACならば、角B=角Cである 三角形ABCでAB=ACである 三角形ABCで角B=角Cである Sさんがおじさんなら、Sさんは男である。 Sさんは男ではない ゆえに Sさんは、おじさんではない。 ⑩選言三段論法 A君は大学院に進むか、就職する A君は大学院に進まない ゆえに A君は就職する ⑪条件三段論法 風が吹けば盲人が増える 盲人が増えれば三味線が売れる ゆえに 風が吹けば三味線が売れる ⑫選言・三段論法 A君は大学院に進むか、就職する A君は大学院に進むなら、S大学大学院に進む ゆえに A君はS大学大学院に進むか、就職する ⑬ジレンマ 重盛は父の命令に従うなら不忠である 重盛は父の命令に従わないなら親不孝である ゆえに 重盛は不忠であるか、親不孝である P→Q P ∴Q P→Q ~Q ∴~P P∪Q ~P ∴Q P→Q Q→R ∴P→R P∪Q P→R ∴R∪Q P→Q ~P→R ∴Q∪R 演習:以下の導出を演繹と推測に区別せよ ①ツルは天然記念物である。だから、むやみに捕獲したら罰せられる。 ②今まで馬券を買って当たったことがない。だから買ってもどうせはず れるさ。 ③ジョーカを君が持ってるはずないさ。だって、僕の手元にあるもの。 ④彼女、マスクをかけていたけど、スギ花粉症かな。 ⑤ペンギンは哺乳類ではない。なぜならペンギンは鳥類だからさ。 ⑥昨夜、彼は得意先の接待だったから、今朝は疲れているに違いない。 ⑦コンピュータ室の鍵は鈴木君か木村君が持ってるけど、鈴木君は今 日いないから、木村君に借りてくれ。 ⑧今までに付き合った男は、みんなずるかった。だから男はみんなずる いものよ。 ⑨どんな男だってずるいものよ。だから君もずるいに決まってるわ。 推測ということ ①背景法則に基づく推測(背景法則が確からしいものでなければならない) (例)彼は昨日遅くまで呑んでいた。だから、きっと二日酔いだろう。 (背景法則)遅くまで呑んでいれば、二日酔いになるはずだ。 ②仮説形成(証拠となる事実が説明できるか、他の有力な仮説がないか) (例)彼をよくパチンコ屋で見かけるけど、パチンコが好きなのかな。 仮説:彼はパチンコが好きだ → 説明項 仮説形成 ↑ ↓ 説明 証拠:彼をよくパチンコ屋で見かける ← 被説明項 ③帰納法(サンプルの適切さが必要 (例)今まで付き合った男は、みんなずるかった。だから今度の彼もずるい だろう。 (個別の事例を証拠として、一般的主張を結論) ⇔ 演繹 仮説形成での補助前提と消去条件 ①補助前提 証拠 補助前提 仮説 ②消去条件 :Aのシャツに血痕があった。 :被害者は刺されていた。 :Aは犯人である。 仮説 仮説形成↑ 証拠+補助前提 仮説+補助前提 ↓説明 証拠 証拠 補助前提 消去条件 仮説 :Aのシャツに血痕があった。 :被害者は刺されていた。 :血痕は被害者の血液型と異なる。 :Aは犯人ではない。 仮説 仮説形成 ↑ 証拠+補助前提+消去条件 2.3 述語論理による推論 第1階述語論理(First-order Predicate calculus) 命題論理 述語論理 P1:つばめは鳥である。 鳥(つばめ) P2:すずめは鳥である。 鳥(すずめ) P3:こまどりは鳥である。 鳥(こまどり) 述語記号 :鳥 定数記号 :つばめ、すずめ、こまどり 素命題 :鳥(つばめ)、鳥(すずめ)、鳥(こまどり) 集合の定義域 :{つばめ,すずめ,こまどり} 全称記号 :∀x { 鳥(x) → 死ぬ(x) } : xは変数 存在記号 :∃x { 鳥(x) → 飛ぶ(x) } 関数記号 :Friendly(Child(x), Neighbor(y)) Child, Neighbor を関数記号と呼ぶ (例1) • • • • 全てのリンゴは赤い リンゴはサクランボより大きい 花崗岩は白っぽい 厠橋変電所の地盤は沖積シルトである : : : : • • • 全ての人間は動物である 全ての女性は人間である 本みかげは花崗岩である : ∀x 人間(x)→動物(x) : ∀x 女性(x)→動物(x) : ∀x 本みかげ(x)→花崗岩(x) • • • 美しい女性もいる 冬眠する哺乳動物もいる 地盤凍結して凍結土層を形成することがある : ∃x 女性(x)→美しい(x) : ∃x 哺乳動物(x)→冬眠(x) : ∃x 地盤凍結→凍結土層形成(x) 赤い(リンゴ) 大きい(リンゴ,サクランボ) 白っぽい(花崗岩) 地盤(厠橋変電所,沖積シルト) (例2) 全ての ………………………………………………………………… である 個体(x)に対して xが本みかげ ならば xは花崗岩 ∀ x 本みかげ(x) → 花崗岩(x) ある …………………………………………………………………… ことがある 個体(x)に対して xが地盤凍結する ならば xは凍結土層を形成 ∃ x 地盤凍結(x) → 凍結土層形成(x) 節形式の必要性 推論規則 ∀x Φ(x)のとき 任意の個体Aに対して Φ(A)とすることができる (例) ∀x 人間(x)→動物(x) 個体“淳子”に対して 人間(淳子)→動物(淳子) とすることができる 節(Clause)形式 • リテラル(Literal) :素命題または素命題の否定 • 節(Clause) :リテラルまたはリテラルの選言 (例) P(x)∪~Q(x,f(x))∪R(x,y) • 節形式の命題 : (例) (∀x1)(∀x2)……( ∀xn )[ C1∩C2∩……Cn ] • 否定形式 : (例) ~{(∀x)P(x)}≡ (∃x)~P(x) ~{(∃x)P(x)}≡ (∀x)~P(x) {全ての鳥(x)が飛べる}わけではない≡飛べない鳥(x)が存在する {冬眠する犬(x)が存在する}わけがない≡全ての犬(x)は冬眠しない 任意の式の節形式への変換 ①P→Qを~P∪Qに、A≡Bを(~A∪B)∩(~B∪A)に変換。 ②変数の標準化 (例)(∀x)[~P(x)∪(∃x)Q(x)]における∀x と x の x は別の変数を表している ので、例えば(∀x)[~P(x)∪(∃y)Q(y)]とする。 ③否定の範囲を縮小 (例)~(∀x)[P∩~(Q∩R)]を(∃x)[~P∪(Q∩R)]とする。 ④存在記号を除去 (例)(∀x)(∃y)P(x,y)は、いかなるxに対しても、xが決まればP(x,y)を満足す る y が存在するという意味であるため、 yはxの関数とみなすことができる。 従って(∀x)P(x,f(x))と書き直す。 ⑤全称記号を前に出す (例)(∀x)[P(x)∪(∀y)~Q(y)]を、 (∀x) (∀y) [P(x)∪~Q(y)]とする。 ⑥連言標準形に変換 (例)(A∩B)∪(B∩C)は、(A∪B)∩(B∪C)∩ B ∩(A∪C)、 すなわち(A∪B)∩(B∪C)∩(A∪C)とする 演習 • 次の命題を節形式に直せ (∀x)(∃y)P(x,y)∩(∀y)(∀z)[P(a,y)→~Q(y,z)] →(∀u)(∃w)Q(u,w) ①~((∀x)(∃y)P(x,y)∩(∀y)(∀z)[~P(a,y)∪~Q(y,z)])∪(∀u)(∃w)Q(u,w) ②~(∀x)(∃y)P(x,y)∪~(∀y)(∀z)[~P(a,y)∪~Q(y,z)]∪(∀u)(∃w)Q(u,w) ③(∃x)(∀y)~P(x,y)∪(∃y)(∃z){~[~P(a,y)∪~Q(y,z)]}∪(∀u)(∃w)Q(u,w) ④(∃x)(∀y)~P(x,y)∪(∃y)(∃z)[P(a,y)∩Q(y,z)]}∪(∀u)(∃w)Q(u,w) ⑤~P(b,y)∪[P(a,c)∩Q(c,f(c))]}∪Q(u,g(u)) ⑥[~P(b,y)∪P(a,c)∪Q(u,g(u))]∩[ ~P(b,y)∪Q(c,f(c))]}∪Q(u,g(u))] 一階述語論理 (Lower Predicate Calculus) • 変数の出現を述語の引数にしか認めない 述語変数を認める(例∀p p(A))ものを2階述語論理、n階の述 語論理を許す論理をn+1階述語論理と呼ぶ。 • 関数の考え方 引数に対して「関数」を適用させ、結果を返す。 人間(父(淳子)) → 動物(父(淳子)) 関数 父(淳子) の結果が貞夫である場合 人間(貞夫) → 動物(貞夫) • 等価の述語(個体間の関係での等価) 全ての述語に対して P(X) ≡ P(Y) f(X) ≡ f(Y) のときに限り X=Y とみなす。 色々な論理 • • • • • • • 命題論理と述語論理 古典論理と直感主義理論(P∪~Pは必ずしもそうではない) 様相論理(Modal Logic : 可能性や必然性を示す論理記号を導入) 非単調論理(Non-monotonic Logic : 不完全な情報に対応) 時相論理(Temporal Logic : 時間の経過の表現) 多ソート論理(Many Sorted Logic : 述語論理に概念間の階層構造) 多層論理(Many Layered Logic : 多ソート論理に巾集合の概念を導入) 巾集合 : ある集合の全ての部分集合の集合 (例)全ての点の集合の巾集合は線分の集合 • 多値論理(真偽の2値に未知を加えて3値にしたもの、0から1の間 の任意の値をとるファジー論理)
© Copyright 2024 ExpyDoc