2007S13 電 子 シ ス テ ム 工 学 専 攻 富 一 田 年 貴 文 水 力 発 電 エ ネ ル ギ 変 換 工 学 第 7 回 監 修 木 下 祥 次 ~水力発電の流れ~ 時代の流れ 水力開発の幕開け 大規模水力開発の時代 環境に配慮した 水力開発の時代 明治24年 昭和38年 平成3年 京都府京都市: 蹴上発電所 富山県下新川郡: 黒部川第四発電所 岡山県真庭郡: 寄水発電所 日本初電気事業用 水力発電所 日本一の高さの アーチダム 日本初のゴム堰を 利用した発電所 ~水力発電のメリット①~ 短時間で発電開始が可能・出力調整が可能 流れ込み式水力:ベース供給力 調整池式水力・貯水池式水力・揚水式水力:ピーク供給力 ~水力発電のメリット②~ CO2排出量が非常に少ないクリーンエネルギー 886.8 石炭火力発電 704.3 石油火力発電 407.5 LNG火力発電(複合) 129.7 111.3 53.4 風力発電 29.5 原子力発電 24.7 地熱発電 15 水力発電 11.3 0 37.8 477.9 LNG火力発電(汽力) 太陽光発電 88.4 発電燃料の燃焼(直接) 設備の建設等(間接) 200 400 600 800 1000 g-CO2/kWh 発電別二酸化炭素排出量 出典:考えよう、日本のエネルギー(2004.12)「資源エネルギー庁」 ~水力発電のメリット③~ 資源の少ない日本にとって 貴重な純国産自然エネルギー ~水力発電のメリット④~ 永遠になくなることのない再生可能なエネルギー ~発電方法の種類①~ • 発電方式による分類 – 流れ込み式(自流式) • 河川の水を貯めず,そのまま発電に使用する。この方式 のほとんどが出力の小さい発電所。 – 調整池式 • 規模の小さいダムに,電力消費の少ない時に発電を控 えて水を貯め込み,消費量の増加に合わせて水量を調 整しながら発電する。この方式は数日間という短期間で の水量を調整する。 – 貯水池式 • 調整池式より規模の大きいダムに,水量が豊富で電力 の消費量が少ない春・秋などに水を貯め込み,電力が多 く消費される夏・冬に発電する。この方式では年間を通じ ての水量を調節する。 – 揚水式 ~発電方法の種類②~ 揚水式発電 ~発電方法の種類③~ • 構造物による分類 – 水路式 • 川の上流から,必要な落差が得られる場所まで水路に よって水を引いてきて行う発電。 場所の選定が比較的自由。 天候(川の水量)によって発電量が左右される。 ~発電方法の種類④~ – ダム式 • 川の途中にダムを設けて水を溜め,その溜まった水の落 差を用いて行う発電。 水を貯えるため天候の変化に強い。 大型のダムを除き落差を稼ぎにくいのが欠点。 海外の巨大ダムに設けられている超大規模な水力発電 所はこの方式が多い。 ~発電方法の種類⑤~ – ダム水路式 • ダムから水路で更に落差の得られる場所へ水を引いて 行う発電。 水路式とダム式の利点を生かした方法。 貯水池の中間水位より取水を行うため、通常は圧力導 水路及びサージタンクが用いられる。 日本国内においては大出力の水力発電所はこの形式が 多い。 ~将来の水力発電事業~ エネルギー資源枯渇問題 & 地球規模での環境問題 今後、開発可能な一般水力発電 所: 約2,700地点,1,200万kW 新技術開発へ 経済省・農水省・環境省・・・ などから補助金UP ~将来の水力発電事業~ 建設コスト高・環境への影響大→新発電所建設が困難 中小規模水力発電 地下調整池による水路式発電 既存設備を利用するため, 環境負荷が少ない 財団法人 新エネルギー財団HPより 平均出力:4500kW (4人家族で約5,000世帯 ) 写真: 狩宿発電所 ~将来の水力発電事業~ – マイクロ水力発電(出力:10kW以下) ・一般河川,農業用水路,浄水場(水道・工業用水),下水処 理場,工業排水,トイレの洗浄水,空調用冷却水管・・・ などで発電可能。 基本的には水量と落差があるところでは発電可能。 実際に全国各地で実用されている。 ~将来の水力発電事業~ –マイクロ水力発電(出力:10kW以下) 出力が小さい⇒太陽光発電などの分散型電源と比較されるが・・・ ・数kW発電は経済的に成り立たない・・・ ⇒太陽光発電は,kW当たり70万円かかる。元を取るのに30年以上。 設備費用が同額の場合,kW当たりの経費は太陽光発電の1/5~1/10程度 ・立地点が限られているから太陽光のように普及しない・・・ ⇒賦存量は原発の発電量を上回るとの見方もある。限られた場所も利用するに こしたことはない。 ・発電量が小さすぎて,たくさん作っても意味がない・・・ ⇒住宅用太陽光発電は平均3.5kW。それが総出力80万kW。 3kWの水力発電は,年間稼動時間が太陽光の5~10倍。 つまり,15~30kWの太陽光と同じ働きをする。 「太陽光発電は普及すべき」となるように, 「マイクロ水力発電は普及すべき」となるのでは・・・。 ~将来の水力発電事業~ 原子力発電 ー 揚水式発電 の関係 需要 < 供給 となっている 原子力発電の出力を一定時間抑えたい・・・ 原子力発電は All or Nothing でしか制御できない 余剰電力を揚水式発電へ HP:よくわかる原子力 より ・原子力発電と揚水式発電は対になって建設される ・揚水式発電所の建設費=原子力発電所の建設費の一部 ~水力発電の必要性~ 2007年8月21日 東京電力プレリリースより要約 2007年5月16日 塩原水力発電所(栃木県)は,東電がダムの水位調節 を巡る不正を隠ぺいするためデータ改ざんしたため,国 土交通省より水利権許可の取り消しを受ける 7月16日 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止 東電の電力供給力が700万kW低下 8月20日 猛暑による電力需要増加の恐れから,塩原水力発電所の 発電準備に取り掛かる。 7月30日~9月7日まで,国土交通省は緊急時 の水利使用を許可 ~水力発電の必要性~ 予想電力需要:6110万kW(最大6400万kW) 当初の供給可能電力は,6527万kW ⇒417万kW余力有り 柏崎刈羽原発停止:供給可能電力711.2万kW低下 福島第一原発3号機停止: 供給可能電力78.4万kW低下 他電力会社から電力融通 ⇒供給可能電力444万kW増加 停止処分だった塩原水力発電所稼動 ⇒供給可能電力90万kW増加 ~水力発電の問題~ 1秒間にQ[m3]の流量がH[m]の高さから落下すると き、単位時間に作用する仕事量Pは、水の比重量をγ =1000kgf/m3とすると、 P QH 1000QH (kgf m / s) ところで、1kgf・m/s=9.8Jであり、1J=1Wsである から、上式は 1000 9.8 P 1000 QH QH 9.8QH 1000 となる。 参考文献 (1)?を!にするエネルギー講座 http://www.iae.or.jp/energyinfo/ (2)電力のつくり過ぎと原発 http://www.nuketext.org/mondaiten_tsukurisugi.html (3)電力を捨てる「発電所」 揚水式発電 http://www.nuketext.org/mondaiten_yousui.html (4) GO!GO!デンキーズのエネルギー探検! http://www.yonden.co.jp/kids/index.htm (5)取水から見た水力発電の方式 - 水力ドットコム http://www.suiryoku.com/style/style.html (6)水力のページ http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/ (7)マイクロ水力発電倶楽部 http://www2.tba.t-com.ne.jp/hmc/
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