2001.07.27環境心理尺度ファイルWG資料 環境心理評価尺度の品質とは? 小島隆矢(建築研究所) • 環境心理分野の特色の1つ →評価構造・測定法・提示法に 対するこだわり • 社会心理学との芸風(?)の違い 評価構造へのこだわりの歴史 • SD法→因子分析→因子構造 (標準化と単純化のため) • 久野:不満のガットマン尺度 (系列ごとに進行していく不満) • 讃井:階層構造モデル • 小島:個別尺度法のモデル (自分の語彙に使う次元を選択) 社会心理学では… • 信頼性・妥当性に関するこだわり • 妥当性:基準関連妥当性 「他の信頼できる方法で測定した結果 (基準)と似ているか?」 →よく似た尺度があちこちで作られる • 「クロンバッハのα係数」信仰 →似たような項目が並ぶことになる クロンバッハのαとは? • k個の項目を「平行テスト」とみなす • 平行テスト:同じ概念を繰り返し測定。 k個の項目の測定値 =測定したい概念(真値) +互いに独立な誤差 • α=(k/(k-1)) *(1-分散の合計/合計の分散) • 合計点の信頼性の最尤推定値 近年の社会心理尺度 • SEM(共分散構造分析)の台頭 • 潜在変数を使えば 相関係数の希薄化を修正できる • 概念1個につき3項目くらいでOK • 尺度を作らなくても 因果構造を検討して論文が書ける • α係数信仰からGFI信仰へ 環境心理評価項目では… • 下位項目、上位項目、総合評価と 3段階程度の設問構成が多い #要求品質展開に基づくCS調査に類似 ただしCS調査では上位項目は調べず、 下位項目の合計点を使うことが多い • 個々の項目も尊重される • 信頼性や妥当性にはうるさくない (各自、好きな方法で主張?) 論点1:階層構造を活かす • 「美味しい」と「太りそう」が同一因子。 共通因子を解釈すると糖分。 「潜んでないじゃん!物理量じゃん!」 (アイスの官能評価にて。by真柳さん) • 実は、モノの評価は 潜在因子モデルになじまない部分がある • 物理量(原因)→評価(結果) ↑ 要求 グラフィカルモデリングの活用 x1 x2 x3 ・・・ e i i x e j j 説明できない 残差間の 相関係数 = x ≒ 他の変数を 説明変数とした 重回帰分析で rij/123・・・ 偏相関を 可能な限り 0とおいた モデルを設定 偏相関係数 他の変数によ らない 直接的な因果 を表すモデル 標本相関係数行列 x1 x2 x3 x1 1 x2 0.7 1 x3 0.4 0.6 1 標本偏相関係数行列 x1 x2 x3 逆行列 x1 x2 0.63 +α x3 0.04 0.49 - 0.7×0.6に近い 母相関係数行列 x1 x2 x3 x1 1 x2 0.7 1 x3 0.42 0.6 1 逆行列 +α 相関が他の変数で説明可能 0に近い 母偏相関係数行列 x1 x2 x3 x1 x2 0.62 x3 0.00 0.47 偏相関が0 独立グラフ x1 ー x2 ー x3 ・条件付き独立関係を表す ・線のない変数は どの変数で層別しても 独立(相関=0) 因果グラフ x1 → x2 → x3 x1 ← x2 ← x3 x1 ← x2 → x3 間接的な因果関係 ・・・ 疑似相関 問題点:独立グラフ≠因果グラフ • 結果が原因に影響する? 理科系科目 合計 入試の得点 文化系科目 合計点が同じくらいの人だけ集め てくれば 理科系科目の成績と 文化系科目の成績は負の相関 「グラフィカル連鎖モデリング」が有効 連鎖独立グラフ: グループ内は独立グラフ、グループ間は因果グラフ z1 x1 x2 x3 1)原因系のみで モデリング y1 z2 y2 z3 3) x〜z群でモデリング ただしx〜y群内の 偏相関は0としない 2)x〜y群でモデリング ただしx群内の偏相関は0としない 連鎖独立グラフのモデリング 原因系 のみで ここは 切らない 中間特性 を入れて 結果系を 入れて *自由度、逸脱度ごと貼り合わせる 階層構造モデルの理想型(?) 様 々 な 相 関 が あ る 周りの様子や人目が気にならない 声、電話、OA等の音が気にならない 個人スペースが広くて使いやすい OA機器が充実・使いやすい 収納が充分・資料が整理しやすい 照明が適切 室内をスムーズに動きまわれる 作業・打合せスペースが充実 自席で周りの人と会話しやすい 人の様子がすぐわかる 他人の目・耳を気にせず会話できる サボっていても人目が気にならない 休憩コーナーでくつろげる 気持ちのよい窓がある 植栽や絵画などが気に入っている 個人スペースで 自分の仕事に 集中できる 効率よく 仕事を進められ 便利である 総 合 評 コミュニケーション がスムーズにできる ・上位項目(要求)間に線はない 適当な 気分転換ができる ・下位項目から総合評価へ 直接の矢印がない 価 階層構造モデルの理想型(?) • 上位項目間の線 →下位項目で上位項目(要求)間 の関連が説明されているか →下位項目の見落としはないか • 下位→総合への直接パス →因果関係が上位項目を介した関 係として説明されているか →上位項目の見落としはないか 実施時、上位項目も聞くか? 下位項目総合点でよいか? 下位項目総合点の割には 上位項目の評価が高い(低い) ↓ そのときに固有の下位項目が 作用しているのではないか? (発見できる、影響力評価できる) *上位項目を聞いておくメリットあり 論点2:SD法(印象面)と満足度(機能面) 個別の満足 (下位項目) 観点別総合評価 (上位項目) 住み良い 愛着 地域特性 印象面の評価 (形容語尺度) 好ましい • 概略、こんな感じになるようです。 (なかば検証されつつある仮説) 論点3:満足度、重要度、… • 聞き方の問題(評価の観点) • 重要だとする人の方が 満足度の分散が大きい例(POEM-H) • 重要度と満足度の分散に 一定の関係がない例(地域不満 度) • 満たされないと困る場合に重要度 大としている(執務環境) グラフィカル対数線形モデリングにより POEM-Hデータを検討中 事実(ある)、 意識(重要度)、 評価(不満度)を おさえれば、 項目によらず 要改善、我慢などを 一般化して語れる どれか1つなら 不満度か? まとめ 我々なりの考え方により 尺度の品質を論じたいものです。
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