AMIDA-KUJI

あみだくじ
AMIDA-KUJI
井上 康博
Statistical analysis on Amida-kuji,
Physica A 369(2006)867-876.
あみだくじの歴史
室町時代から行われていたらしいが
放射線状の阿弥陀仏の後光のような形
 明治には今の縦横の形になっていたらしい

昔のあみだくじ
現在のあみだくじ
背景

あみだくじは、日常生活で良く利用される。

人数が多くて、ジャンケンが面倒なときに行われる傾
向にある。

わりと重要な事柄についても、利用されるとか、されな
いとか。(研究室配属、係りを決める、仕事の割り振り)
目的
あみだくじに勝つための戦略を構築するために
あみだくじの持つ性質について知見を得ること。
バブルソートとあみだくじ
あみだくじは、隣り合う要素の交換
(これは、ゴールが同じにならない理由)
 バブルソートは、交換作業なので、
3
あみだくじに実装可能

1
5
2
4
2
3
4
5
あみだくじと置換群は関連があるらしい。
1
でも、まったく知らないので、僕は
あみだくじの統計的な特徴を紹介します。
あみだくじの統計力学
前提
 あみだくじは、結果を意図して作られていない。
(例:ソートのアルゴリズムになっていない)
 どの線に行き着くかということを確率を使って表
せるとする。
(あみだくじの統計的な特徴を見るということ)
 マルコフ過程。
(次の行き先は、今の状態だけで決まる)
変数の定義
x
赤線があみだくじ
t
確率の流れを見る
F ( x, t )
t番目の分岐時に、x番目の縦線にいる確率を考えよう。
x
x  x
t  t
x
x  x
t
t
F ( x, t )  和
左から来る確率
右から来る確率
上から来る確率
p (  ) x  x, t  t F ( x  x, t  t )
p (  ) x  x, t  t F ( x  x, t  t )
p ( 0 ) x, t  t F ( x, t  t )
確率の時間発展式
左から来る確率
右から来る確率
上から来る確率
p (  ) x  x, t  t F ( x  x, t  t )
p (  ) x  x, t  t F ( x  x, t  t )
p ( 0 ) x, t  t F ( x, t  t )
確率の規格化条件:出て行く確率は、右、左、そのままの3つだけ
p
()
x, t  t   p x, t  t   p x, t  t   1
( )
( 0)
「ある線、ある時刻だけが特別」ということがないから
()
()
( )
p
x  x, t  t   p
左から来る
, p
右から来る
x  x, t  t   p
( )
上から来る(そのまま)
おもむろにTaylor展開
右に行く確率と左に行く確率が等しいとする。
(隣接する縦線を繋ぐ横棒は、右にも左にも移らせる)
p( )  p()  0
あみだくじ方程式(Fokker-Planck)
時間と空間のそれぞれの最初の項だけを残すと
F
2F
p(  )  p(  ) x 2
D 2 , D
t
x
2
t
• あみだくじの線のどこにいるかを表す確率分布の時間発展を記述する方程式を得た。
• ブラウン運動する微粒子の存在確率を記述するFokker-Planck方程式と同じ形。
• Fを密度と思えば、拡散方程式と同じ形。
あみだくじ方程式の理論解
上式は、下記の条件をもとに、あみだくじ方程式を解くと得られる。
初期条件と境界条件
• 最初にx0番目の線を選ぶ
• 境界でノイマン条件
(確率の漏れがない。あみだくじから、はみ出さない)
あみだくじを統計処理して確かめよう
あみだくじの生成法
STEP 1
縦線を等分割
STEP2
右か左にランダムに
半分の長さの横棒を
つける
STEP3
お互いに繋がった
横棒だけ残す
100万個のあみだくじをランダムに生成して、統計処理
10人用あみだくじ:
一番端を選んだ場合
縦軸:確率密度
横軸:あみだくじの縦線の位置
t: t/4で平均の横棒数
10人用あみだくじ:
真ん中を選んだ場合
縦軸:確率密度
横軸:あみだくじの縦線の位置
t: t/4で平均の横棒数
あみだくじの性質とOne point

最終的な場所は、選んだ場所になりやすい。
最終的な場所の平均値
どの程度ずれるか
X t   X 0
X t   X 02
 t
こういう場合は有利

プレゼント交換で、プレゼントに番号を
1,2,3,4,と振って、あみだくじにも順番に
1,2,3,4,と振っちゃってる場合
2
1
4
3
5
1 2
3
4
5
こういう場合は有利

当たりのしるしを書く人の癖を知っている場合
いつも真ん中の1つ左に当たりを書くとか。
ないか。。
あみだくじと物理

あみだくじとは、1次元酔歩の問題
1次元酔歩の問題とは…
「離散的な目盛の上を粒子が、ランダムに
右か左かにジャンプするか、そのままに留まるとき、
時刻tで粒子は、どこにいるのか」という問題。
x
時間発展を下に伸ばして書くと、あみだくじ。