血液ガス分析の復習

血液ガス分析の復習
血液ガス所見の解釈法
① pH の値から acidemia か alkalemia なのかを判断
② Acidemia や alkalemia は呼吸性か?それとも代謝性か?
③ Anion gap (AG)を計算
AG≧12の時 ⇒ 補正HCO3を求める。
AG-12=⊿AG
実測HCO3+⊿AG=補正HCO3
AG≦12の時は、そのまま
④ 観察される代償性変化が 1次性の酸塩基平衡異常 に対して
予測される範囲内にあるかどうかを判定する。
外れている時は、他の平衡異常も合併していると考える。
⑤ どのような病態があるのか、現病歴、身体所見よりアセスメントする。
急性期呼吸不全での、血液ガス解析の注意点
PCO2 1Torr上昇
⊿PH=(0.007~0.008)×PaCO2
PH低下
⊿HCO3 =(0.35~0.4)× ⊿PaCO2 HCO3上昇
HCO3<30mEq/l
慢性呼吸不全(COPDなど)の急性増悪での、血液ガス解釈の注意点
PCO2 1Torr上昇
⊿PH=(0.003~0.004)×PaCO2
PH低下
⊿HCO3 =(0.35~0.4)× ⊿PaCO2 HCO3上昇
HCO3>30mEq/l
代謝性アシド-シスが生じた時の生理的代償反応
⇒ 腎での酸塩基平衡
⇒ 過呼吸による酸塩基平衡
⊿PaCO2=(1~1.3)×⊿HCO3 の範囲で代償
限界としては、PaCO2 15mmHgまで補正できる
代謝性アルカローシスが生じた時の生理的代償反応
⇒ 腎での酸塩基平衡
⇒ 呼吸抑制による酸塩基平衡
⊿PaCO2=(0.5~1.0)×⊿HCO3 の範囲で代償
限界としては、PaCO2 60mmHgまで補正できる
-
Confidence bands for plasma CO2 and HCO3
Acute
Chronic
45
45
40
40
HCO3- 35
(mEq/L)
35
30
30
25
25
40
50
60
70
80
PCO2 (mmHg)
90
40
50
60
70
80
90
PCO2 (mmHg)
1 mEq/L increases in [ HCO3- ]
3.5 mEq/L increases in [ HCO3- ]
for every 10 mmHg rise in Pco2
for every 10 mmHg rise in Pco2
PH
7.22
PaCO2
20 mmHg
HCO3
8 meq/l
Na
138 mEq/l
K
2.2 meEq/l
Cl
118 mEq/l
③AG=12mEq/l
AGの増加しない代謝性アシドーシス
④CO2の低下は、代償反応として生理的か?
⊿HCO3=24-8 =16mEq/l
⊿PaCO2=(1~1.3)×16
=16~21mmHg
想定内PaCO2=40-(16~21)
=19~24mmHg
よって、生理的な代償反応
①PH 7.22 ⇒ acidemia
⑤以上より、
②HCO3低下認めており、
代謝性アシドーシス
AG正常の代謝性アシドーシス
PH
7.18
PaCO2
60 mmHg
HCO3
28 mEq/l
Na
141 mEq/l
K
4.0 mEq/l
Cl
110 mEq/l
③AGはここでは、関係ない
④現状では呼吸性アシドーシスはあるが、
急性か慢性か?
⊿PH =(0.007~0.008)×20
=0.014~0.016 PH=7.2ぐらい
⊿HCO3 =(0.35~0.4)× 20
=7~8 HCO3=27 ぐらい
⇒ 生理的な代償反応あり
⑤以上より、単純な急性呼吸性アシドーシス
①PH 7.18 ⇒ acidemia
②PaCO2上昇低下しており、
呼吸性アシドーシス
PH
7.32
PaCO2
28 mmHg
HCO3
14 meq/l
Na
133 mEq/l
K
5.8 meEq/l
Cl
97 mEq/l
①PH 7.32 ⇒ acidemia
②HCO3低下認めており、
代謝性アシドーシス
③AG=22mEq/l
AG増加の代謝性アシドーシス
⊿AG=22-12=10mEq/l
補正HCO3=HCO3+⊿AG
=14+10 =24mEq/l(正常)
④CO2の低下は、代償反応として生理的か?
⊿HCO3=24-14 =10mEq/l
⊿PaCO2=(1~1.3)×10
=10~13mmHg]
想定内PaCO2=40-(10~13)
=27~30mmHg
よって、生理的な代償反応
⑤以上より、
AG増加の代謝性アシドーシス
PH
7.42
PaCO2
24 mmHg
HCO3
15 mEq/l
Na
152 mEq/l
K
3.6 mEq/l
Cl
104 mEq/l
①PH 7.42 ⇒ 正常範囲内
②PH正常にもかかわらず、
呼吸性アルカローシス・
代謝性アシドーシス
③AG=33mEq/l
AG増加の代謝性アシドーシス
⊿AG=33-15=18mEq/l
補正HCO3=15+18 =33mEq/l
⇒もともと代謝性アルカローシスあり?
④現状では代謝性アシドーシスはあるので、CO2の
低下が、仮に代償反応とするとそれは正しいか?
⊿HCO3=24-15 =9mEq/l
⊿PaCO2=(1~1.3)×9
=9~12mmHg]
想定内PaCO2=40-(9~12)
=28~31mmHg
よって、生理的な代償反応を越えている
⇒呼吸性アルカローシスの病態もあり
⑤以上より、AG増加の代謝性アシドーシス
もともと代謝性アルカローシス+
呼吸性アルカローシス