ディジタル信号処理 Digital Signal Processing 第2講 ディジタル信号処理系 p.5 ディジタル信号処理システムの例 差分方程式 y(nT)=b・y(nT-1T)+x(nT) (1.4) 1T時刻遅延する回路 入力x(nT)が決まると,出力が決まる 1.4 ディジタル信号処理の歴史的背景 • 信号処理系にはアナログ方式とディジタル方 式がある • 今まではアナログ方式で処理するのが普通 だった • 最近(20世紀の終わり頃から)は、ディジタル 処理がだんだん主流になってきた 1.5 ディジタル信号処理の特徴 • • • • • • 精度 再現性 安定性 柔軟性 経済性 機能性 アナログ処理とディジタル処理 • アナログ処理とディジタル処理を比較すると、どちら にも一長一短があるが,最近では記録や保存,圧 縮,伝送等に適していることから、アナログ信号を ディジタル的に処理する機器や応用例が増えてきて いる。 • 例えば,テレビは最終的に光(映像)と音を出力する 装置であり、かつてはすべての処理がアナログで行 われていた。しかし新しく始まったBS放送では、画 像や音の品質を向上し、伝送に必要な電波の帯域 を有効に活用するため,ほとんどすべてのプロセス でディジタル処理が使われている。地上波デジタル への完全移行も間近に迫っている。 アナログが高速 ディジタルが低速 ディジタル処理の優位性 • アナログ信号処理を行う電子回路素子を99.9%の精 度で作ることは困難な上,温度変化や経年変化で精度 が低下することもある。 • ディジタル信号処理を行う電子回路では,処理が数値 の演算であるため劣化は考えられず,製造時の精度を 維持しつづける。 • 長所:情報の保存性,再現性,通信 • アナログ信号をディジタルに変換してでもディジタル処 理する価値がある。 • 入力と出力がアナログ量であると、従来当然のように アナログ処理されていた多くの装置が次々にディジタ ル処理装置へと移行している。 ディジタル信号処理 • データ(信号)をもとに計算(処理)をする • 音楽の例 ① 低音を効かす ② ライブハウスで聴く音のようにする ③ 聴きたい音楽順序よくをまとめる • 画像の例 ① 全体に青色を強調する ② 輪郭線を強調する ③ 画像の一部を貼り付け違った画像をつくる 高速計算が必要な理由 • 音楽ではアナログ電気信号(音を変換したも の)を44.1kHzでサンプリングしWAVファイル (ディジタル信号)をつくる • 動画では静止画像を30枚/s取り替えることで つくられる(映画は24枚/s)1枚の画像は縦も 横も数百~数千に分割されたピクセル(画 素)の集合である • 高速処理できなければ処理した音楽や動画 がリアルタイムで得られない。 関連知識 聴覚・視覚 聴覚 オージオメーター(Audiometer) • • • • 聴力を検査する 人間の左右の耳の聴力を調べる 20~20kHz・・・・年齢とともに高域が低下 犬やコウモリは超音波(人間の知覚を超える 高い音、コウモリは20kHz~100kHz)を知 覚できる(犬笛で犬をしつける) 視覚 知覚できる光 • 可視光線:電磁波のうち、人間の目で見える波長の もの。いわゆる光のこと。 • JIS Z8120の定義によれば、可視光線に相当する 電磁波の波長は、およそ短波長側が360 nm~400 nm、長波長側が760 nm~830 nmである。 • ( 380 nm ~750 nm ) • 可視光線より波長が短くなっても長くなっても、人間 の目には見ることができなくなる。可視光線より波長 の短いものを紫外線、長いものを赤外線と呼ぶ。赤 外線と紫外線を指して、不可視光線と呼ぶ場合もあ る。 可視光 可視光線 • 蝶は近紫外領域が知覚できる • 可視光線という区分は、あくまで人間の視覚 を主体とした分類である。紫外線領域の視覚 を持つ動物は多数ある (昆虫、鳥類) ピクセル(画素) • IT用語辞典 デジタル画像を構成する単位である、色のついた 「点」。デジタル画像は正方形(まれに長方形)のピク セルを規則正しく縦横に並べることで一枚の画像を 表現する。ソフトウェアによっては、色だけでなく奥 行きや透明度などの様々な情報が与える場合もあ る。ピクセルの概念を3次元に拡張したものはボクセ ル、テクスチャ画像でのピクセルはテクセルと呼ば れる。 有効画素数 • デジタルカメラなどに内蔵された受光素子のうち、 実際に撮影に使用される素子の数。総画素数より 若干少ない値となる。 • デジカメは数十万~数百万の受光素子が光を電 気信号に変換して画像を記録するが、周辺部の素 子にノイズが乗りやすいなどの事情から、すべての 素子を使い切るわけではない。 • このため、実際に機能して記録に使用される素子 の数を、有効画素数という。 • 一般的には有効画素数は出力画像の画素数(撮 影画素数)にほぼ一致するが、富士写真フイルムの スーパーCCDハニカムのように、一つの素子が一 つの画素出力に対応しないような製品もあるため、 単純に適用することはできない。 三原色 • 光の三原色(RGB) • コンピュータで色を表現する際に用いられる 表記法の一つ。色を赤(R)・緑(G)・青(B)の3 つの色の組み合わせとして表現する。この3 色は光の三原色と呼ばれ、この組み合わせ ですべての色を表現できる。 加色混合 (加法混色 ) • R(赤)、G(緑)、B(青)の光の3原色を加えて 色を表現する方法。R、G、Bそれぞれ100% の3色を加えた色は白になり、R、G、Bそれぞ れ0%の3色では黒色になる。白色光にR、G、 Bのフィルタを通すとそれぞれR、G、Bの光が 通り、この光の組み合わせで色をコントロー ルすることで、加色混合を考えることができる。 R、G、Bそれぞれの信号の組み合わせで色 をコントロールしているディスプレイの色表現 方法は典型的な加色混合である。 フルカラー • 赤、青、緑の光の三原色を、それぞれ8ビット(256階 調)で表現する。32ビットの場合は残りの8ビットは透 明度の表現など、ソフトウェアによって様々な用途に 使われる。人間の目が識別できる限度を越える色 数を扱うことができるため、コンピュータが扱う色数 としては最も多い(まれに10億色以上を扱う業務用 の機器もある)。 • コンピュータ上での色の表現方法の一つ。1つの 画素(ピクセル)について24ビットまたは32ビットの色 情報を持たせる方式で、いずれの場合も最大で 16,777,216色を同時に表示することができる。 32ビットフルカラー • コンピュータ上での色の表現方法の一つ。1つの画素(ピクセ ル)について24ビットの色情報を持たせる方式で、最大で 16,777,216色を同時に表示することができる。 • 赤、青、緑の光の三原色を、それぞれ8ビット(256階調)で表現 する。残りの8ビットの使い方はソフトウェアによって様々である。 不透明度(アルファ値)に割り当てて半透明処理に利用している 場合や、マイクロプロセッサが32ビット単位でデータを処理する のに合わせて32ビットずつにしているだけで、残り8ビットは利用 しない(ダミーデータ)場合などがある。 • 人間の目が識別できる限度を越える色数を扱うことができるた め、コンピュータが扱う色数としては最も多い(まれに10億色以 上を扱う業務用の機器もある)。連続した色の変化もスムーズに 表現することができる。24ビットカラーと合わせて「トゥルーカ ラー」あるいは「フルカラー」と呼ばれる。 トゥルーカラー • 「トゥルーカラー」という用語も同じ意味だが、 文脈によっては「24ビットカラーをフルカラー、 32ビットカラーをトゥルーカラー」とする例や、 「24ビットカラーと32ビットカラーをフルカラー、 各色10ビットずつの約10億色をトゥルーカ ラー」として区別する例などがあり、混乱して いる 三原色(光の三原色と色の三原色) 色光の三原色 • • • • 色は3つの光を合成する事によって表現出来る(加法混色) ■ 赤(波長: 625-740 nm) ■ 緑(波長: 500-565 nm) ■ 青(青紫)(波長: 450-485 nm) 色料の三原色 • 一方、物体の表面を特定の色にする為にインク等を塗る場 合、元の光を遮る形で色を作る(減法混色)。その合成の元 になる基本色は一般に「色料の三原色」や「絵の具(インク) の三原色」と言われ、下記の三色を用いる。 • ■シアン(藍) • ■マゼンタ(紅) • ■イエロー(黄) 色の三原色 カラー印刷(CMYK ) • 色の表現方式の一つ。藍色(Cyan)、深紅色 (Magenta)、黄色(Yellow)、黒(blacK)の配合 比率を変化させて、すべての色を表現する。 本来はカラー印刷で利用されていた方式であ る。理論的にはCMYの3原色ですべての色を 表現できるが、黒を美しく印刷するために黒 も原色に加えられている。コンピュータの世界 では、カラー印刷での利用が想定されるアプ リケーションソフトがこの形式をサポートして いることがある。 減色混合(減法混色) • 光の3原色の補色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、 Y(イエロー)を加えて色を表現する方法。C、M、Y すべてが100%で黒になり、すべてが0%だと白にな る。印刷の色表現方法はC、M、Yのそれぞれのイン クを組み合わせて色をコントロールしている典型的 な減色混合である。ただし、実際の印刷では黒を美 しく再現するためにK(ブラック)インクを加えて CMYKの4色が使われる。光の加色混合ではC=B +G、M=B+R、Y=G+Rであるから、C、M、Yの 光を通すフィルタは、それぞれ、白色光からR、G、B の光を吸収(減色)していることになる。 画像の作成と処理 • 画像の作成 (1)ディジタル写真を写す(スキャナでも) (2)いい絵や写真をもらう(著作権) (3)自分で絵を描く • 画像の処理 (1)切り取り,切り抜き,貼り付け,合成 (2)修正,変更 ディジタル画像 • 色や濃さのデータを持った点が縦横にならん だもの(点:画素,ピクセル) • 画像作成はピクセルおよびその平面をつくる こと • 画像処理はピクセルのデータを目的に合わ せて変更すること コンピュータは,ディジタルデータを扱う機械である アナログ:連続して変化する 例:気圧,温度,色,電流 ディジタル:とびとびの値しかとらない 1 2 3 4 5 ... 例:数 画像のディジタル化1(ピクセル化) x座標 y座標 (0,0) (31,31) 画像のデジタル化2(色空間) 色空間:色を数値化する方法 RGB:PCで標準的に用いられる色空間. 色を,光の三原色 赤(R),緑(G),青(B) に分解し,各原色の明るさを数値化. RGB各 8階調 (0~7) の場合 R:7,G:0,B:0 R 原色RBの 中間の色 R:7,G:7,B:7 RGB全てが強く光ると白 R:0,G:0,B:0 R:7,G:7,B:0 R:7,G:0,B:7 B G R:0,G:7,B:0 RGB全てが強く光ると白 R:0,G:7,B:7 R:0,G:0,B:7 RGBの比率が同じで 数値が小さいと暗い色 R:3,G:0,B:3 RGBでは,各原色の階調数を掛け合わせると,表現 可能な色数が求められる. たとえば,RGBそれぞれ8階調だと,8×8×8=512色. 液晶ディスプレイ(LCD)は,1600万色表示が標準的. R, G, B の各成分が,256階調だと, 256×256×256≒1600万色 (true color, 24ビットカラー, full color 等と呼ぶ) RGB以外の代表的な「色空間」 CMYK : シアン マゼンタ イエロー ブラック 印刷物等光の反射を利用する場合の基本. HSV : 色相(H),明度(S),彩度(V) 人間にはなじみやすい. 色相 画像フォーマット ホ ー ム ペ ー ジ の 標 準 JPEG:自然画像・写真に向く.非可逆圧縮. GIF:イラスト・文字に向く.可逆圧縮.256色まで しか扱えない. PNG:イラスト・文字に向く.可逆圧縮.256色を 超えても大丈夫. BMP:Windowsの標準形式. 原則は非圧縮で,ファイルサイズが大きい. 可逆圧縮がかかっている場合もまれにある. 可逆圧縮:データが完全に再現される. 非可逆圧縮:データは完全には再現されない. 離散コサイン変換(DCT) JPEG等で用いられるデータ変換. 波を周波数成分に分解する"フーリエ変換"の一種. JPEGでは画像を8×8ピクセルの ブロックに分割し,各々を右の パターンの"重ね合わせ"として表現 いくつかのパターンを間引き, データ圧縮を行う. JPEGでは,圧縮しすぎると "ブロックノイズ" が発生する. 信州大井澤教授のページより JPEGで強度に圧縮した図 写真をGIFで保存(ディザ減色) 線画をJPEGで保存 関連知識 終わり 音楽や画像の保存 • ファイルは当然莫大なメモリを必要とする。 • メモリをセーブする(圧縮する)技術も開発さ れている。 圧縮技術について調査しておこう どんな計算(処理)がされるか • 時間領域(音楽の場合は時とともに音が変化 する。画像の場合は平面領域を時間領域と 見る)で,時々刻々のデータを計算して別の データに変える。 • (時間領域データを周波数領域データに直 して)周波数領域でデータを計算して別の データに変える。 ディジタル信号処理系の基本構成 • 逐次動作構成と並行動作構成がある • 構成要素には、ディジタル処理系の前後に AF、ADC、DACがおかれる AD変換 • アナログ電圧を入力すると対応する2進ディ ジタル出力が得られる。 サンプル&ホールド回路 • 制御パルスに応じてアナログ信号を入力し, 変換中は信号を保持する回路 このスイッチを回路に すると MOS FETス イッチ 理論上は 現実は ADコンバータの種類 • • • • カウンタランプ形 二重積分形 逐次比較形 並列比較形 DA変換 • (ディジタル信号)2進電圧信号を連続時間信 号に変換する回路 DAコンバータ • R-2Rはしご形回路 AD変換やDA変換は既に学んでいる アンチ・エイリアシング・フィルタ (高域遮断フィルタ) (低域通過フィルタ) • 標本化定理(Sampling Theorem)が成り立 つように,(エイリアシングを防ぐために)用い る aliasing について調査しよう 青い信号をサンプリングして赤い低周波が現れた (青い信号に対してサンプリング間隔が大きすぎた) 空間折り返し歪み(モアレ)が生じた (画像においてもエイリアスは起きる) 逐次動作構成と並行動作構成 サンプリング周期と動作の関係 質問はありませんか? • 今日はここまで
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