3 9月収穫で小花黄化発生の少ないブロッコリー新品種SK3-081

9月収穫で小花黄化発生の少ないブロッコリー新品種‘SK3-081’
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新しい品種の内容
(1)背景・目的
早い秋冬穫り作型において小花黄化(死花)発生が大きな問題となっている。そこ
で、この問題を解決するために、小花黄化発生の少ない有望品種を検索した結果、‘S
K3-081’は小花黄化発生が少なく、花蕾品質の良い有望品種であったので紹介する。
(2)品種‘SK3-081’の要約
1)6月下旬は種で、9月中旬∼下旬収穫となり、‘ピクセル’より3∼8日程度早
く収穫できる。
2)9月収穫においても小花黄化発生が非常に少ない。
3)花蕾品質は、同時期の‘ピクセル’より緑色が濃く、凹凸も少ない。
2
試験成果の概要
(1)9月穫りブロッコリー品種選定試験
1)耕種概要
2007年は、は種6月27日、定植7月23日、2008年は、は種6月23日、定植7月17
日で品種比較を行った。
2)小花黄化発生
‘SK3-081’の小花黄化発生は、2007年が24.5%、2008年が7.2%と対照品種の‘
ピクセル’より非常に少なかった。
(表1、2)。
3)花蕾品質
花蕾の凹凸は、2007年では、品種による差がほとんどなかった。2008年では、‘S
K3-081’が他品種よりも少なく、品質が良かった。
(表1、2)。
表1 各品種の小花黄化発生状況と花蕾品質(2007年)
収穫日
品種名
平均
期 間
花蕾重 花蕾径 小花黄化発生
(g)
(㎝) 割合(%) 指数 締まり 形状 リーフィー 凹凸 空洞
ピクセル
10/1 9/28 ∼ 10/12 229.8 13.0
88.2 51.0
2.0
2.1
0.2
1.5
0.0
SK3-081
9/24 9/20 ∼ 10/2 294.1 13.6
24.5 10.2
1.8
2.6
0.7
1.6
0.3
SK3-084
9/27 9/20 ∼ 10/9 269.9 13.2
98.0 51.5
1.9
2.4
0.4
1.7
0.0
KB-052
9/25 9/20 ∼ 10/9 210.3 14.0
93.1 80.8
1.6
1.4
0.6
1.9
0.0
KB-073
9/23 9/20 ∼ 10/12 224.5 13.5
100.0 77.1
1.2
2.0
0.4
1.9
0.0
ファイター 10/2 9/24 ∼ 10/26 284.9 13.2
37.0 13.0
2.0
2.4
0.3
1.7
0.0
BL-411
63.0 31.8
2.0
2.4
0.2
1.7
0.0
10/7 9/28 ∼ 10/26 269.4 13.0
※小花黄化発生程度は、0:無∼4:多とし、次式により指数化した
指数=Σ(程度×個数)/(4×総数)×100
※締まり、リーフィー、凹凸は、0:無∼2:有、形状は、1:扁平∼4:ハイドームとした
表2 各品種の小花黄化発生状況と花蕾品質(2008年)
収穫日
品種名
平均
期 間
花蕾重 花蕾径 小花黄化発生
(g)
(㎝) 割合(%) 指数 締まり 形状 リーフィー 凹凸 空洞 花蕾色
ピクセル
9/16 9/11 ∼ 9/26 213.0 12.1
81.0
33.6 2.0
2.1
0.0
1.6
0.0 2.8
SK3-081
9/13
9/8 ∼ 9/24 252.0 12.3
7.2
1.8 1.9
3.0
0.1
0.9
0.7 3.0
ファイター 9/19 9/14 ∼ 9/26 294.4 12.4
12.5
6.8 2.0
3.2
0.5
1.6
0.1 3.0
FB-203
9/10
9/3 ∼ 9/16 169.6 12.9
81.4
30.6 1.3
1.4
0.1
1.7
0.7 2.5
FB-225
9/18 9/11 ∼ 10/3 182.2 12.3
96.0
63.0 1.8
2.0
0.0
1.2
0.0 2.6
中生グリーンポート
9/24 9/19 ∼ 10/3 203.1 12.0
85.1
55.1 1.9
2.3
0.1
1.1
0.1 2.8
中早生グリーンポート 9/19 9/11 ∼ 10/3 175.3 12.0
96.6
65.8 1.9
2.1
0.0
1.1
0.0 2.7
KB-073
9/9
9/3 ∼ 9/22 242.5 12.6
63.7
26.8 1.8
1.8
1.1
1.5
0.0 1.9
KB-076
9/12
9/8 ∼ 9/22 207.4 12.1
80.8
34.5 1.6
2.1
0.1
1.5
0.0 2.1
※小花黄化発生程度は、0:無∼4:多とし、次式により指数化した
指数=Σ(程度×個数)/(4×総数)×100
※締まり、リーフィー、凹凸は、0:無∼2:有、形状は、1:扁平∼4:ハイドーム、花蕾色
は、1:薄い∼3:濃いとした
図1
3
‘SK3-081’の花蕾
普及の対象及び注意事項
(1)普及の対象
県内平坦地
(2)注意事項
1)園芸試験場ほ場平坦地黒ボク畑での試験結果であり、水田畑での適性は試験して
いない。
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試験担当者
野菜研究室 研究員 森田香利
室 長 小林弘昌※
※
現 鳥取農業改良普及所 副主幹