黒色付き糊の作製に関する研究

黒色付き糊の作製に関する研究
Research
and development of new glue with a black color
茨城県立水戸第一高等学校
化学部
2年
遠田
雄大
はじめに -Introduction■身近にある市販糊の種
類
■色付き糊
スティック糊
でんぷん糊
主に紙の接着に
用いられる固形
の接着剤。
紙同士の接着に
用いられる一般的
な水溶性接着剤。
液体糊
ゴム糊
主成分はPVAで
接着力に優れ,
速乾性がある
液状糊。
生ゴムをベンゼン・
トルエンなどに溶か
したもの。
ゴム製品に用いる。
■研究目的
糊の中でも,最も単純な
でんぷん糊に着目し,黒
色から無色に変化する糊
の作製方法を確立する。
糊のケースはとてもカラフル。
糊の色もとてもカラフル。
つまり
現在,様々な糊が販売されている。
しかし,男らしい色である黒色の糊は,存在しない。
メカニズム -Mechanism■糊の色の変化と接着
■でんぷんの糊化
でんぷんのα化とβ化
CO₂
糊 + 塩基性の薬品 + pH指示薬
CO₂
色付き糊
被着材
生でんぷん(βでんぷん)の時に
分子間水素結合により形成されて
いるミセルが加水・加熱により
崩壊し糊化でんぷん(αでんぷん)
が生成する。
生でんぷん(β でんぷん)
着材
空気中の二酸化炭素との
中和反応が起こる。
H2O + CO2+ 塩基 → 生成物
糊の色が消え,接着する。
被着材
着材
糊化でんぷん(α でんぷん)
でんぷんが加水・加熱されることによって糊化が起こる。
■色料の三原色
被着材
着材
被着材
着材
中和反応と同時に
乾燥し水分が失われる。
糊の色変化には,pHが大きく関係している。
実験方法 -Experimental六種類のでんぷん
黒色の糊を作製するためには,
碧(シアン)・黄(イエロー)
・紅(マゼンタ)の三色を
混合することが必要。
黄(イエロー)
碧(シアン)
青緑に近い
鮮やかな水色。
寒色の一つ。
結果①
暖色の一つ,
山吹色,黄金
色
紅(マゼンタ)
ピンクに近い紫,
紅紫色と呼ばれる。
-Decision of the glue like commercially products-
加水
馬鈴薯
コーンスターチ
白玉粉
上新粉
葛粉
タピオカ
でんぷん糊
加熱
+
攪拌
黒色
色付き糊
エタノール
1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶
液
市販のチューブ糊に近いものを決定し,黒色でんぷん糊の色の変化を評価した。
指示薬 -Indicator-
■市販のチューブ糊に近いものの決定
色相環
フェノールフタレイン
無色~赤色
pH7.8~10.0
補色
1,3,5-トリニトロベンゼン
無色~橙色
pH12.0~14.0
糊の色,硬さ,接着時間からコーンスターチに決定した。
チモールフタレイ
ン
無色~青色
pH8.4 ~ 10.6
色相環の対称の位置に
あるもの同士を補色と言い,
混合すると黒色ができる。
今回は,橙色と青色の指示薬で黒色を作製する。
結果② -Production of the glue with black color■指示薬の量を変えたときの色付きでんぷん糊の色の変化
1mL:3mL
2mL:6mL
3mL:9mL
■NaOH水溶液の量を変化させたときの色付きでんぷん糊の色の変化
4mL:12mL
チモールフタレイン溶液量:1,3,5-トリニトロベンゼン溶液量
チモールフタレイン溶液4mL1,3,5-トリニトロベンゼン溶液12mLで黒色ができる。 NaOH水溶液の量が3.5mL以上の消色時間であれば糊を使用するのに十分。
結論 -Conclusion-
■黒色でんぷん糊の組
物質名 成
必要量
コーンスターチ
水
1.0mol/L NaOH水溶液
エタノール
チモールフタレイン溶液
1,3,5-トリニトロベンゼン溶液
9.0g
34mL
3.5mL
3.0mL
4.0mL
12.0mL
今後の予定 -Future黒色付きでんぷん糊
としての適切な組成
を決定し,作製方法
を確立することがで
今後は,黒色付き固体糊についての作
製方法を評価し,確立したい。