化学概論

化学概論 第5回
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先週のまとめ
水素原子の電子の波動関数は、3つの量子数(主量子数n、方位量
子数l 、磁気量子数m )の組み合わせで形状が決まる。
エネルギーは主量子数 n のみで決まり、ボーアの理論と一致する。
波動関数(電子の軌道)の形状は
s軌道 n=1, 2, 3, ...
p軌道 n= 2, 3, ...
d軌道 n= 3, ...
水素原子の原子軌道について
正しい記述は?
1. 電子のエネルギーは量
子数の組合せで決まる
2. 電子のエネルギーは主
量子数で決まる
3. 電子の軌道は主量子数
で決まる
4. 電子の軌道は磁気量子
数で決まる
43%
30%
23%
気
磁
量
は
主
道
は
電
子
の
軌
道
の
軌
子
電
...
...
子
...
ギ
ー
は
ル
エ
ネ
子
の
電
電
子
の
エ
ネ
ル
ギ
ー
は
...
3%
水素原子の電子軌道について
正しい記述は?
1. s軌道はx、y、z軸に
沿った亜鈴状
2. p軌道は球状
3. s軌道は球状
4. d軌道は球状
5. どれも正しくない
50%
21%
16%
12%
ど
れ
も
正
し
くな
い
状
球
は
道
d軌
道
は
球
状
球
は
道
p軌
s軌
...
た
っ
に
沿
、z
軸
は
x、
y
道
s軌
状
2%
多電子原子の電子配置
複数の電子が存在する系(原子、分子)ではシュレディンガーの波
動方程式を厳密には解くことができない。
電子は原子核からのほかに、別の電子からも力を受けるが、電子
の位置は不確定性原理から特定できないため、電子間のポテン
シャルエネルギーを厳密に表すことができない
⇒ 工夫して1電子系に近似して考える
遮蔽効果と有効核電荷
ー近似方法ー
最初の電子を水素型原子軌道の1s軌道におく
↓
原子核によるポテンシャルが変化する
次の電子が受ける「見かけの」核電荷を「有効核電荷Zeff」という
Zeff=Z-s
s:遮蔽定数
その電子が原子核の近くにある確率が高い→sが小さい
その電子が原子核から遠い→sが大きい
電子の受ける力
+Ze
-e
1電子では核の電荷は直
接電子に作用する
電子の受ける力は減少
+Ze
-e
核に近い他の電子によって核の
電荷が一部遮蔽され、有効核電
荷の分だけが電子に作用する
主量子数 n が同じでも原子核に近い軌道はsが小さい
↓
ポテンシャルエネルギーは低い(負に大きい)
s軌道<p軌道<d軌道<f軌道、、、
↓
主量子数 n の軌道での n2 重の縮退が解ける
9 3s,3p,3d ---------
4 2s,2p
エネルギー準位の逆転
-----
-
---
-
---
縮退している
軌道の数
5
1
3
1
3
高
エ
ネ
ル
ギ
ー
----
-
1 1s
3d
4s
3p
3s
2p
-
-
水素原子型
一般の原子
原子軌道のエネルギー準位の変化
2s 1
1s 1
縮退している
軌道の数
3dより4s、4p軌道の
エネルギーが低い
10
30
テキスト p.66
軌道のエネルギーはおおよそ
1s < 2s < 2p < 3s < 3p < 4s≒3d < 4p < 5s≒4d < 5p < 6s < 4f≒5d < 6p...
原子の電子配置
・基底状態(電子のエネルギーが最小)が基本
・構築原理に従って電子が各軌道(電子状態)にはいる
①エネルギーの小さい軌道から占有される
②特定の量子数の組み合わせはただ1個(Pauliの排他律)
③縮退している軌道(lが同じ)に複数の電子が入る場合、異なる
磁気量子数の軌道に入り、電子間の反発を小さくする。その時、
スピン量子数は等しい状態となる(Huntの法則)
①、②より各軌道には最大2個の電子が入る
→ 主量子数 n の軌道には最大 2n2 個の電子が入り得る
中性原子の電子配置 その1
Z
1
1s
H ↑
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1
H ↑
1s1
K1
2
He ↑↓
1s2
K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
K1
1
H ↑
1s1
2
He ↑↓
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
K1
1
H ↑
1s1
2
He ↑↓
1s2 閉殻構造 K2
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
K2L1
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
2s
2p
不対電子
↑
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1s2 閉殻構造 K2
1s22s1
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
K2L1
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
不対電子
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
1s22s22p1
K2L3
不対電子
↑
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑
1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
1s22s22p2
K2L4
不対電子
↑
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑ Huntの法則 1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
K2L4
不対電子
↑
1s2 閉殻構造 K2
1s22s22p2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑ Huntの法則 1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p2
K2L4
7
N ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p3
K2L5
不対電子
↑
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑ Huntの法則 1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p2
K2L4
7
N ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p3
K2L5
不対電子
↑
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑ Huntの法則 1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p2
K2L4
7
N ↑↓
↑↓
↑
↑
↑
1s22s22p3
K2L5
8
O ↑↓
↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p4
K2L6
不対電子
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑ Huntの法則 1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p2
K2L4
7
N ↑↓
↑↓
↑
↑
↑
1s22s22p3
K2L5
8
O ↑↓
↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p4
K2L6
9
F ↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑
1s22s22p5
K2L7
不対電子
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す
中性原子の電子配置 その1
Z
1s
2s
2p
主量子数n=1-2
電子配置
高校では
1s1
K1
1
H ↑
2
He ↑↓
3
Li ↑↓
↑
1s22s1
K2L1
4
Be ↑↓
↑↓
1s22s2
K2L2
5
B ↑↓
↑↓
↑ Huntの法則 1s22s22p1
K2L3
6
C ↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p2
K2L4
7
N ↑↓
↑↓
↑
↑
↑
1s22s22p3
K2L5
8
O ↑↓
↑↓
↑↓
↑
↑
1s22s22p4
K2L6
9
F ↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑
1s22s22p5
K2L7
10 Ne ↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
1s22s22p6
K2L8
不対電子
1s2 閉殻構造 K2
1個の電子を電子スピンの向きを示す矢印で表す 閉殻構造
中性原子の電子配置 その2
主量子数n=3-4
準閉殻構造
Ne 1s22s22p6 ⇒ [Ne]と表すと
(3dは空)
1、 Mg : [Ne]3s2、 Al : [Ne]3s23p1、
Na
:
[Ne]3s
11
12
13
・・・、18Ar : [Ne]3s23p6
Ar [Ne]3s23p6 ⇒ [Ar]と表すと
1
2
1
2 ここから3d
19K : [Ar]4s 、20Ca : [Ar]4s 、21Sc: [Ar]3d 4s 、
軌道に入る
1s
< 2s < 2p < 3s < 3p) < 4s≒3d
< 4p < 5s≒4d < 5p < 6s < 4f≒5d < 6p...
第1遷移元素(金属
(3dには10個までの電子が入る)
21Sc、22Ti、23V、24Cr、25Mn、26Fe、27Co、28Ni、29Cu
特に 24Cr : [Ar]3d54s1 ( [Ar]3d44s2ではない)
また 29Cu : [Ar]3d104s1 ( [Ar]3d94s2ではない)
104s2 ~
Zn
:
[Ar]3d
30
104s24p6
Kr
:
[Ar]3d
36
準閉殻構造
(4d,4fは空)
中性原子の電子配置 その3
主量子数n=5
Kr [Ar]3d104s24p6 ⇒ [Kr]と表すと
1、 Sr : [Kr]5s2、 Y: [Kr]4d15s2、 ここから4d
Rb
:
[Kr]5s
37
38
39
軌道に入る
1s < 2s < 2p < 3s < 3p < 4s≒3d < 4p < 5s≒4d < 5p < 6s < 4f≒5d < 6p...
第2遷移元素(金属) (4dに10個までの電子が入る)
39Y ~ 47Ag
特に 42Mo : [Kr]4d55s1 ( [Kr]4d45s2ではない)
また 47Ag : [Kr]4d105s1 ( [Kr]4d95s2ではない)
50Cd
: [Kr]4d105s2 ~
54Xe
: [Kr]4d105s25p6
準閉殻構造
(4f,5d,5f,5gは空)
中性原子の電子配置 その4
主量子数n=6
ここから4f
軌道に入る
55Cs
: [Xe]6s1、56Ba : [Xe]6s2、57La: [Xe]5d16s2、58Ce: [Xe]4f26s2
1s < 2s < 2p < 3s < 3p < 4s≒3d < 4p < 5s≒4d < 5p < 6s < 4f≒5d < 6p...
ランタノイド元素
72Hf
57La
~
71Lu
(4fと一部は5dに入る)
: [Xe]4f145d26s2、
第3遷移元素(金属)
80Hg
57La
~
: [Xe]4f145d106s2 ~
79Au
86Rn
(主に5dに入る)
(57La ~ 71Luは4fと5d)
: [Kr]4f145d106s26p6
準閉殻構造
中性原子の電子配置 その5
主量子数n=7
1、 Ra : [Rn]7s2、 Ac: [Rn]6d17s2、
Fr
:
[Rn]7s
87
88
89
アクチノイド元素
89Ac
~
103Lr
(5fと一部は6dに入る)
92U(ウラン、アクチノイド元素)以降の元素(超ウラン元素)は、
すべて人工的に作られた。2010年現在で、原子番号118までの
元素は発見の報告がある(らしい)。
イオンの電子配置
中性原子の電子配置から、最外殻(エネルギーが最大)軌道の
電子を
取り去る → 陽イオン
付け加える → 陰イオン
2
2
6
2 →
2+ : 1s22s22p6
例
12Mg : 1s 2s 2p 3s
12Mg
22s22p63s23p4 →
2- : 1s22s22p63s23p6
S
:
1s
S
16
16
周期表
その1
元素を原子番号で並べる ⇒ 性質の似た元素が周期的に並ぶ
↓
↑
Z ⇒ 電子配置が周期的に変化する
周期表の横の並び:周期 1~7周期
(最外殻電子軌道の主量子数に一致)
縦の並び:族 1~18族(ランタノイド、アクチノイド
は別表)
同族元素 : 性質が似ている ⇔ 最外殻の電子配置が似ている
1族 : アルカリ金属(水素以外) 最外殻の電子配置がs1
Li、Na、K、Rb、Cs、Fr
s電子を一個失って、安定な閉殻構造の陽イオンとなる
周期が下になるほどs軌道のエネルギーが高く、わずかの
エネルギーで電子が失われるので、陽イオンになりやすい
周期表
その2
2族 : アルカリ土類金属(Be、Mgはこの名称では呼ばれない)
最外殻の電子配置がs2
Ca、Sr、Ba、Ra
s電子を2個失って、閉殻構造の2価の陽イオンとなる
16族 : カルコゲン
最外殻の電子配置がs2
O、S、Se、Te、Po
17族 : ハロゲン 最外殻の電子配置がs2p5
F、Cl、Br、I、At
空のp軌道に電子を1個取り込み、閉殻構造の1価の
陰イオンになりやすい
周期の上に行くほど、p軌道のエネルギーは下がるので、
電子1個を加えて、放出するエネルギーは大きく、より安定
になるため、より陰イオンになりやすい(反応性が高い)
周期表
その3
18族 : 希ガス 最外殻の電子配置がs2p6 (Heはs2)
He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn
閉殻構造(希ガス配置)で、元素同士、他元素とは極めて
反応しにくい
キセノンではいくつかの化合物が知られている
XeF2、XeF4、XeF6 (フッ化キセノン)
XeO3 etc (酸化物)
周期表
その4
遷移元素 : 原子番号の増加とともに主にd軌道へ電子が入り、
最外殻の電子配置がs2またはs1である。同族元素(縦の
並び)だけでなく、隣り合った元素同士が良く似た性質を
示す。
ランタノイド
アクチノイド : 原子番号の増加とともに主にf軌道へ電子が入り、
最外殻の電子配置がs2またはs1である。遷移元素のなか
でもさらに隣り合った(ランタノイド、アクチノイドの中で)
性質が良く似ている。通常は周期表の外に別に並べられ
ている。
f軌道は最外殻電子より内側なので、原子番号の増加に
伴う原子核電荷の増加により、電子がより原子核に引き
付けられて、原子の大きさが小さくなっていく(ランタノイド
収縮)
4.化学結合
• 原子の性質の指標:イオン化エネルギー、電
子親和力
• イオン結合
• 共有結合、分子軌道法
• 混成軌道、分子構造
• 電気陰性度と分子の分極
もう一度出席確認
レスポンスカードを用意
GO⇒41⇒GO
今日の講義はどうでしたか
1. 興味がわかなかった
2. 少し興味が持てた
3. 興味を持って聞けた
56%
を
味
興
少
し
興
味
持
っ
が
持
て
聞
て
た
っ
な
か
か
が
わ
味
興
け
た
22%
た
22%