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Constraints on Fragmentation in the Primourdial SnuperNova Remnant
町田正博、藤本正行 (北大) 、中村文隆 (新潟大)
ABSTRACT
最近の研究で第一世代の星は大質量であるという事が分かってきている、これら大質
量星は短時間で消滅してしまうため現在観測する事は出来ない。しかし 、宇宙初期に低質
量星が誕生していれば現在まで生き残っている可能性が高いため観測が可能である。こ
の研究では、宇宙で最も初期に崩壊した cloud 内部で第一世代の星が超新星爆発 (SN) を
起こし 、それによって形成された shell が cloud 内部で分裂するかど うか、さらに分裂が
起こった場合、分裂片内部で超金属欠乏ー低質量星が出来るかど うかを求めた。最初に、
爆発エネルギー、周りの密度を変えて 20 通りの超新星残骸 (SNR) の進化の計算を行い、
爆発によって形成された shell が分裂する条件を求めた。その後、分裂片内部の温度、密
度を計算し形成し うる最低質量の星を Jeans 質量を用いて求めた。ここで、shell 、また分
裂片の温度変化を調べるために冷却剤として He,H,H2 に加え低温で有効な HD を加えた。
結果、shell が cloud 内部分裂する条件 (エネルギー、密度) が求まった。また SN の shock
heating によりガス中の H2 、HD が初期のガスに比べて 103∼4 倍程度増加し冷却がよく効
き温度が低温に留まる事が分かった。このときの Jeans 質量を見積った所、1M よりも
小さくなり、低質量星が出来る事が求められた。最終的に掃き集められた shell の質量と
SN によって放出された金属の量から形成される星の金属量を求めたところ [Fe/H] −3
となり、この過程によって超金属欠乏ー低質量星が形成されることが分かった。
1.
Introduction
近年、我々の銀河の halo 内で金属が極端に少ない星 (超金属欠乏星:[Fe/H] −3 ) が数多く観
測されている (Beers et al. 1992)。これらの星はその金属量の少なさからまだ汚染が少なかった宇宙
初期に形成したものだと考えられる。また、現在まで生き残っている事から低質量星として誕生した
事が分かる。これら遥か過去に作られ現在まで生き残っている星を詳細に調べる事によって、直接観
測する事が出来ない初期の宇宙の状態、または銀河形成時の宇宙の状態を理解する事が出来るであ
ろう。しかしながら、数多くなされている研究から第一世代の星 (種族 III 天体) は大質量であるとい
う事が分かっている。これは、当時の宇宙の状態を考えて、星を形成するであろうガス雲の状態を調
べて見積られてたのものである。ガス雲が収縮して星形成まで至るには冷却によってガスの温度が低
温になる必要がある、しかし primordial gas では低温で有効な冷却剤である金属がないので温度が
十分低下しないため低質量の星は形成されない (Nakamura & Umemura 1999)。これらの星は大質量
ゆえにに短時間で SN を起こして消滅してしまう。では、観測されているような低質量星は一体どの
ような過程で出来たのであろうか? Tsujimoto et al(1999) では金属の abundance pattern から金属
−2] の起源は単一の SN であると主張している。また金属の存在しない primordial
欠乏星 [Fe/H
gas では低温で有効な冷却剤がほとんど 存在しないので温度が低下しないが 、再びガ スが加熱され
イオン化すれば低温で有効な冷却剤である H2 ,HD が激しく増加し 、温度が下がる事が分かっている
–2–
(Uehara & Inutsuka 2000)。Ferarra(1998) では複数の SN によって H2 が増加し星形成が促進される
事が示されている。また Nishi & Susa(1999) では SN によって星形成が起こる条件を求めている。
そこで、この研究では CDM 理論によって予想される初期に崩壊した cloud 内部で種族 III 天体に
よる SN が起きたとして、それによって形成される shell 内部での星形成を考えた。実際にはガス雲
内部での単一の SN による SNR の進化の計算、またそれによって形成された shell の温度、密度の進
化の計算を行い、shell が分裂する条件、また分裂が起こった場合、分裂片内部でどのようなスケール
の星が形成されるかを見積った。特に shell 内部、また分裂片の温度進化を考える上で低温で有効な
H2 、HD の進化の計算とその冷却を取り入れた。
2.
Numerical Model
超金属欠乏ー低質量星の形成過程を調べるために、我々の研究では CDM 理論で予想されるよ
106 M ) 内部で種族 III 天体が SN を起こすと考えた。この cloud
うな初期に崩壊した cloud(M
の密度は背景の critical density の 200 倍とした (EdS Universe,h = 0.7,Ωb = 0.05)。また、12 種
類のガ ス要素 (H, H+ , H− , He, He+ , He++ , H2 , D, D+ , HD, HD+ , and e) を導入し 化学反応
方程式とエネルギー方程式を同時解いて 、shell またはそれ以後の shell の分裂片の温度進化を求め
た (Abel et al. 1997; Nakamura & Umemura 1999)。このときガ スの初期条件としては primordial
composition を用いた、またエネルギー方程式には 4 要素の radiative cooling(He,H,H2 ,HD) を取り入
れた (Cen 1992; Galli & Palla 1998; Flower 2000)。以後便宜上計算を二つの段階に分けて考える。
2.shell が分裂後の段階 1.SNR による shell が分裂前の段階 分裂が起きるかど うかは 2 つの timescale(tf f :free fall timescale、 tdyn :dynamical timescale) を比
較し tf f < tdyn が満たされたときに分裂したと考えた。
分裂前の段階で、SNR の進化の計算として、4 つの stage(1.free expanstion 2.Sedov-Taylor 3.pressuredriven snowplo 4.momentum-driven snowplow) に分けて解析解を用いて計算し 、同時に shell 内部
のガス比率、温度の変化を求めた (Mckee and Ostriker 1977)。また分裂する条件を見積るために SN
のエネルギー ε と周りのガ スの密度に相当する赤方偏移 z を変化させて 20 通りの計算を実行した
(ε = 1, 3, 5, 10 × 1051 ; z = 10, 20, 30, 40, 50)。
分裂後の段階で shell が球対称または円柱対称に分裂したときの2パターン考え、それぞれの計算
を行った。断熱加熱を考慮し密度進化の計算は近似的に dn/dt = n/tf f を用いて行った最終的に分
1011 ) になったときに Jeans 質量を導出した
裂片の密度が増加して optically thick になる条件 (n
(Uehara & Inutsuka 2000)。
3.
Results
fig 1 は、爆発が起こってから SNR shell が分裂するまでの半径の時間進化を表したものである。
この図から分かるように周りのガス雲の密度が低いほど 、また爆発のエネルギーが大きいほど SNR
の半径は拡がる。どの場合もおおよそ分裂まで t 107 yr かかり、このときのはき集めた質量を計算
104 M となる。shell は温度が冷え、十分質量をかき集めて重力不安定にならなければ
すると M
分裂しない。つまり分裂する前に cloud の外に出てし まうと重力不安定になる事が出来ず分裂でき
–3–
100
8*105 M o
40
80
1.5
ε30 =1051
106 M o
30
60
ρ(z) / ρ(10)
ε30 =10
z=10
z=30
z=50
50
52
z
log (RSNR [pc])
120
ε=1051
2
40
1
20
6
2*10 M o
20
10
0.5
2
3
4
5
log (t [yr])
6
1e+51
7
5e+51
ε [erg]
1e+52
Fig. 1.— SNR の半径の時間進化 (z = 10, 30, 50 (ε = 1051 );ε = 1051 , 1052 (z = 30))、 x 軸は SN が
起きてから経過した時間、106∼7 yr で SNR の半径は 30∼150pc 程度拡張した
Fig. 2.— 分裂可能なパラメーター領域、x 軸は SN 時のエネルギー、y 軸は赤方偏移 (y2 軸は z=10
を基準に 取った場合の密度の倍率) 、図中の曲線は、8 × 105 , 106 , 2 × 107 M の cloud 内部で分裂が
起きる境界線、曲線の上のパラメーターを持つとき分裂可能、灰色の部分は 106 M の場合、分裂が
起きる領域
optically thick
3
T
MJ
sphere
He
-2
-2
H2
-4
-4
D+
D
HD
-6
-6
-8
-8
4
3
log(T [K])
2
3
2
cylinder
sphere 1
1
0.5
cylinder
0
H+
5
2
5
7
9
log(N [cm-3])
11
log (M [Mo])
0
H
log (T [K])
fractional abundance
0
0
-0.5
-0.5
3
5
7
9
11
log (n [cm-3])
Fig. 3.— H,H2 ,D,HD の温度進化 (左側) 、数密度進化 (右側) 、左側の図は shell が分裂前、数密度が
ほぼ変わらないため温度の関数として、右側の図は shell が分裂後数密度が急激に増加するので数密
度の関数として表している、右の図で数密度 108 からの H2 の増加は3体反応のため
Fig. 4.— 分裂片内部の温度進化と Jeans 質量、それぞれについて球対称または円柱対称に分裂した
場合を示している、n = 1011 の直線以上の数密度では optically thick になり cooling が効かない
–4–
ない。fig 2 では M = 106 M の時に分裂が起こるパラメーター領域を示している。この図から低密
度、また高エネルギーでは分裂が起こらないことが分かる。分裂前の shell 内部でのガス比率を分裂
後の分裂片内部でのガス比率は fig 3 に示している。低温で有効な冷却剤である H2 ,HD は SN による
shock heating により再イオン化されることによって primordial gas に比べて十分増えている (H2 /H:
10−6 → 3.8 × 10−3 → 0.9 、HD/H:10−11 → 2.3 × 10−5 → 4.55 × 10−5 )。この増加により冷却がよ
く効き温度が低温に留まっている。fig 4 はこの温度進化と Jeans 質量を表している。球対称の場合も
円柱対称の場合も optically thick になった所で 1M 以下の値になっている (球対称 0.57M :円柱対
称 0.06M )
4.
Summary
今回の研究で、我々は以下の 2 点についての研究を行った。1 SNR よって作られた shell は cloud
内部で分裂を起こすかど うか? 2.1で分裂を起こした場合、分裂片内部で低質量星の形成は可能
か? その結果、周りのガス雲が高密度であるか、SN 時のエネルギーが高すぎなければ 、分裂が可
能である事が分かった。また、分裂後 optically thick になる密度まで計算を進めたところ Jeans 質量
が 1M 以下になり低質量星が出来る事が分かった。最後に shell が掃き集めた質量と爆発によって放
出された金属から形成した星が持つ金属量を計算した所、[Fe/H] −3 となった。よって以上の結果
よりこの過程において、超金属欠乏ー低質量星が形成されることが分かった。
REFERENCES
Abel,T.,Anninos,P.,Norman,M.L.,et al.1997 New Astronomy,2,181
Beers,T.,Preston,G.,&Shectman,S.1992,AJ,103,1987
Cen,R.1992 ApJ,78,341
Ferrara,A. 1998,ApJ,499,L17
Flower,D.R., et al.,2000,MNRAS,314,753
Galli,D. & Palla,F.1998, A&A,335,403
Nakamura,F., & Umemura,M.1999,ApJ,515,239
Nishi,R., & Susa,H. 1999 ApJ,523,L103
Mckee,C.F.,and Ostriker,J.P.1977, ApJ,204,290
Shigeyama,T., & Tsujimoto,T. 1998 ApJ, 507, L135
Uehara,H.,Inutsuka.,S.2000 ApJ,531,L91