3.3噴火のしくみと その規模

3.3噴火のしくみとその規模
3.4火山噴火に伴う諸現象
3年 小野田雄二
目次
3.3 噴火のしくみとその規模
噴火の原因と種類
マグマの粘性と気泡のでき方
噴火の規模
3.4 火山噴火に伴う諸現象
地震活動
地殻変動
地磁気変化と電気抵抗変化
重力変化
火山ガスおよび地下水の変化
3.3噴火のしくみとその規模
噴火の原因と種類
マグマは地下10kmから数kmにあるマグマ
溜まりでいったん蓄えられ、地上に移動する。
火山噴火(噴火)
・マグマ溜まりに新たにマグマが侵入してくる
・溜まり内部のマグマみずからが何らかの原
因で泡立って膨張しマグマ溜まりにおさまりき
らなくなる
マグマ噴火(マグマ爆発)
マグマが直接地上に放出される噴火のこと
1ハワイ(キラウエア火山)、イタリア(エトナ山)の例
真っ赤なマグマが噴水や上を向いたシャワーのよう
に火口から勢いよく飛び出し、その周囲では着地し
たマグマが集まって真っ赤な川となって流れ下る
2桜島、諏訪之瀬島の例
大音響の爆発に引き続いて、火山灰を含んだ真っ黒
な煙がキノコ雲となって上空に向かって成長する
3雲仙普賢岳の例
火口のそばに盛り上がるようにできた溶岩の一部が
くずれ、それに引き続いて火山灰の雲が山の斜面
をはうように流れくだる
マグマの粘性
マグマ噴火のスタイルは粘性の違いや粘性に
より地下のマグマで生じる気泡によって異な
る。粘性の小さいマグマは緩斜面でもさらさら
と流れるが、粘性の大きいマグマはどろどろ
しており急斜面でもゆっくり移動し、斜面が更
に急になると、ちぎれてしまう。
気泡のでき方
1.水がマグマに溶け込む
水は高温のマグマに数%から10%ほど溶け込める
2.浅い場所にマグマが移動する
マグマに溶け込む水量は圧力が高い(深い場所)ほ
ど多い
3.低い圧力状態になる
水がマグマに溶け込めなくなる
4.ガス(水蒸気)として分離する
水蒸気は水の数百倍から千倍体積が大きいため、
泡立ったマグマは水蒸気の分だけ膨張する
噴火の規模
噴火(爆発)の規模は一度の爆発に費やされる
熱エネルギー
エネルギーで表すことができる。
比例
・爆発で放出されるマグマの量
・爆発によってできる火山灰を含むきのこ雲の高さ
地震のマグニチュードと同じように、噴火の規模を9段
階に分けて表現する方法が提案されている。
火山爆発指数
1回の噴火の噴出量と噴煙の高度を基準にしたもの
で0~8の9段階で表現
3.4火山噴火に伴う諸現象
地震活動
火山体の内部やその周辺で発生する地震
火山性地震
A型地震…P波とS波が明瞭で深部で発生
B型地震…P波が不明瞭で浅い
微動…数十秒以上継続するもの
孤立型微動…単発的に起こる
連続微動…継続時間が長い
噴火微動…火山灰などの放出に伴う
低周波地震と高周波地震
波形の周波数に基づいて低周波地震(長周期地震)
と高周波地震(短周期地震)に分けられ、5Hz前後
で区別することが提案されている.
一般に噴火活動に先行して火山構造性地震が群発
し、いったん、発生頻度がピークを超え減少し始め
る一方で低周波地震数が増加し始め、ついには噴
火に至る
しかし、低周波地震が浅部地震活動に先行して発
生することもある.
例:フィリピンのピナツボ火山(1991)
地殻変動
火山活動の進行に伴って生じる地形変化
地殻変動の観測により
地下のどこにマグマが分け入ったのか、移動
していったのかを知ることができる。
すなわち
地表面での観測値が多いほど、岩盤のどこが
割れ目状、あるいは球状に膨張あるいは収
縮したのかを精度よく算出できる。
検出方法
水準測法
変動の少ないと思われる遠方の基準点から高さ変化
を目的のルートに沿って測量
 光波測法
遠方に設置された反射鏡へのレーザー光の往復時間
から距離を求め、異なる期間の距離変化を観測
 傾斜計
地中に埋設して用いられ、地殻変動によっ
て受ける傾斜の方位・角度、および応力状
 ひずみ計
態の変化を観測
 GPS
複数の衛星を用いて観測点の相対的位置関係を観測
 SAR
マイクロ波が噴煙や雲を透過するため天候や噴火状
態に左右されないで、3次元的に観測

地磁気変化と電気抵抗変化
火山岩に多く含まれる磁鉄鉱という鉱物
加熱……約600℃で磁気を失う
冷却……再び磁力を持ち直す
高温のマグマが接近すると地下の岩石が暖められ、地
上で観測される磁力の値が変化する。
→地下の流体の状態を推定することができる。
また、マグマ自身も周囲の岩石に比べてよい電気伝導
体であるため、マグマの地表への接近によって、火口近
傍の岩盤での電気状態に変化が起こる。
このような変化をとらえることを電磁気観測という
重力変化
重力
物質間の引力 + 地球の遠心力
地下が異なる密度の物質で置き換えられる
地形の隆起や沈降が起きる
重力変化
一般にマグマは火山体を構成する堆積物より密
度が大きい。またマグマの上昇によって生じる地
下水の移動によっても堆積物の密度が変化する
ため重力が変化する。
重力計でマグマの動きをとらえられる
火山ガスおよび地下水の変化
火山ガス
水+二酸化炭素+二酸化硫黄ガス+硫化水素ガス
・マグマの上昇につれ圧力が減少し、溶け込めなく
なって気体としてマグマから分離
・マグマから脱出した火山ガスが地下水に溶解したり
地下水自身がマグマの熱で気化し、地上に火山ガ
スとしてもたらされる
火山活動が活発化すると、放出される火山ガスの組
成が次第にマグマから直接放出されるガスの成分
(二酸化炭素、二酸化硫黄)に富むようになる