(資料2) 12 窒素・りん削減対策技術マニュアルの概要

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窒素・りん削減対策技術マニュアルの概要
工場・事業場からの産業系排水、生活系排水による窒素、りんの排出負荷量の削減を推進する
ため、削減のための基本的な考え方や生産プロセス、排水処理における改善などの事例を紹介し
たマニュアルを平成 15 年2月に作成した。
(1) 窒素・りん排出負荷量削減の基本的考え方
窒素、りんの排出負荷量を削減する方法として 3 つの方法があります。
ア 生産プロセス対策
排水中に窒素、りんが排出されないように製造方法、プロセス管理を改善する方法
イ 排水処理対策
排水中の窒素、りんを除去してから排出する方法
ウ 生産プロセスネットワークの構築
プロセスから使用されずに排出された窒素、りんを含む未利用物質を別の工場・事業場
の生産プロセスの原料として利用する方法
排出負荷量削減フロー
1
2
3
4
生産プロセス・排水のマスバランス検討
汚濁物質
排水及び廃棄物の発生プロセスの特定、
排出量の把握
排水・廃棄物の排出抑制操作の導入
管理強化・設備改良
こぼれ、漏れ、付着等の防止
原材料の選択
排水、廃棄物を削減できる原材料の利用
操作の改良
回分操作より連続操作へ、洗浄方法の改
良(水量、頻度、洗浄剤の見直し)
排水・廃棄物の処理方式の改善
汚濁物質の特性解明
生物分解性、凝集性、窒素・りん含有量
など
原水水質、放流水基準等
最適処理方式の選択、適切な維持管理
生産プロセスへの排水・廃棄物処理の内包化
-162-
冷却水、シール水
循環利用
洗浄水
カスケード利用
排水・廃棄物
最適処理、回収、循環利用(クローズド
化)の促進、他の生産プロセスでの利用
(2) 生産プロセス対策
生産プロセス対策には 3 つの方法があり、インプットアウトプットモデルを活用し、オン
サイト処理を考慮した処理水リサイクルの導入など窒素、りんの負荷量の削減対策について
検討します。
ア インプット対策
窒素、りんを含まない原料、使用薬品への転換、使用量の適正化
イ 生産プロセス内対策
前処理、加工、仕上げ後処理、作業場・製造施設の洗浄プロセスにおける洗浄方法、製
品の歩留等の改善による排水系への負荷の削減
ウ リサイクル対策
水の合理化、有効成分の回収、再利用による排水系への負荷削減
インプットアウトプットモデル
インプット
Iw:用水
Io:その他(副原料、各種薬品)
Im:原材料
R:リサイクル
プロセス
Op:製品
Ow:排水
アウトプット
-163-
Oo:その他
(廃棄物、大気、薬品回収等)
(3) 排水処理対策
排水処理プロセスには、物理化学的処理法と生物学的処理法があり、排水処理システムの
検討フローに従って排水の性状に応じた有機系処理、無機系処理、有害物質処理対策を考慮
の上、処理の高度化について検討します。
また、既設の処理施設は、維持管理の改善や窒素、りんの除去率の向上について検討します。
主な窒素・りんの排水処理方法
窒素・りん排水処理プロセス
物
理
化
学
的
処
理
法
BOD
窒素
◎
大規模:産業系排水
不連続点塩素処理法
◎
小規模:産業系排水
触媒湿式酸化法
○
イオン交換法
凝集沈殿法
◎
◎
○
晶析法
吸着法
○
MAP法
(りん酸マグネシウムアンモニウム法)
○
中~小規模:産業系排水
○
小規模:産業系排水
◎
大~小規模:産業系排水
◎
中~小規模:産業系排水
◎
中~小規模:産業系排水
◎
大~小規模:生活系排水
◎
大~小規模:生活系・産業系排水
循環式硝化脱窒法
◎
◎
間欠ばっ気式活性汚泥法
◎
○
○
中~小規模:生活系・産業系排水
包括固定化活性汚泥法
◎
◎
○
中~小規模:生活系・産業系排水
回分式活性汚泥法
◎
○
○
中~小規模:生活系・産業系排水
オキシデーションディッチ法
◎
○
○
中~小規模:生活系排水
嫌気好気活性汚泥法(AO法)
◎
○
◎
大~小規模:生活系・産業系排水
嫌気無酸素好気活性汚泥法
(A2O法)
◎
◎
◎
大~小規模:生活系・産業系排水
◎
◎
◎
大~小規模:生活系排水
凝集剤併用生物学的脱窒法
注
規 模 : 用 途
アンモニアストリッピング法
フォストリップ法
生
物
学
的
処
理
法
りん
大~小規模:生活系・産業系排水
◎(除去効果が大)及び○(除去可能)は、汚濁物質の除去程度を一応の目安として示したもの
である。
-164-
×
汚
水
油
水
分
離
ス
ク
リ
ー
ン
水
質
調
査
貯
留
槽
○
×
有
機
系
pH
調
整
槽
有
害
物
質
pH
調
整
槽
窒
素
・
り
ん
処
理
生
物
処
理
高
度
な
処
理
水
質
調
査
○
殺
放
菌
流
無害化処理
凝集剤
無
機
系
放
流
ジ
ャ
ー
テ
ス
ト
pH
調
整
槽
物理化学処理
・凝集沈澱
・加圧浮上処理
一般的な排水処理システムの検討フロー
既設排水処理施設の検討
窒
素
り
ん
既設排水処理施設における窒素・りん除去率向上の検討
既設の活性汚泥処理施設がある場合
↓
・循環式生物学的脱窒素法の検討
・間欠ばっ気式生物学的脱窒素法導入の検討
既設の凝集処理がある場合
既設の活性汚泥処理施設がある場合
(沈殿又はろ過施設)
↓
↓
・りん除去率向上の検討
・りん除去率向上の検討
↓
・嫌気好気法導入の検討
排水処理施設の改造・増設の検討
-165-
(4) 生産プロセスネットワークの構築
廃水、廃棄物という概念を改め、生産プロセスで排出された未利用物質を利用価値がある
資源として認識し、生産プロセス内での利用(Intra-process)から他部門生産プロセスでの
利用(Trans-process)へ、そして他の産業での利用(Trans-industry)へと窒素・りん含有
排水、廃棄物の有効利用を目指し、業種内・業種間のネットワークの構築を検討します。
原料2
原料3
原料1
プロセス2
プ
ロ
セ
ス
1
プロセス3
プロセス4
製品1
製品2
W2
W1
W3
W4
処理
排水・廃棄物
製品の流れに基づく生産プロセス
原料2
原料1
プロセス2
プ
ロ
セ
ス
1
W2
プロセス3
Converter
W3
Converter
原料3
Trans-process
他産業の原料化
プロセス6
プロセス5
Intra-process
製品2
プロセス4
W1
製品1
製品3
Trans-industry
汚濁物質のばらまきを抑える
W4
製品4
製品にならなかった物質の流れに基づく生産プロセス
※
環境省水環境部閉鎖性海域対策室監修:第5次水質総量規制対応版、小規模事業場
排水処理対策全科(2002)より抜粋
(5) 自主管理の推進
窒素、りんの環境への排出負荷量の現状や改善効果を把握するためには、放流水の水質測
定や生産プロセスのマスバランスの点検等について自主管理が必要です。
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