放射性物質の半減期」を 中学3 年関数で扱ってみる

「放射性物質の半減期」を
中学3年関数で扱ってみる
伊万里市立滝野中学校
西山寿延
はじめに
• 福島の原発事故の事態収束の見通しが立た
ず、「放射線を正しく恐れる」ことの必要性が
言われている
• 日頃の(中学校) 数学の授業の中でできるこ
とはないか
• 「(半減期の)2 倍の時間がたつと放射性物質
は完全になくなる」との誤解も生じやすい
Newton(2011 年7 月号)
今日の発表の中で
• 半減期について中学3年で扱うことは可能か
• どんな授業が考えられるか
• 半減期を扱うことは意味があるのか
数学教育の中で求められていること
• 数学を学ぶ意欲を高め、その意義や有用性
を実感できるように、日常生活との関わりの
中から題材を取り上げること
• 数学が科学技術を支え相互に関わりながら
発展してきていることを伝えるために、他教科
やより進んだ数学との繋がりを重視すること
確かめたかったこと
• 放射性物質の半減期について、ICT 機器を
利用して数量関係を調べる数学的活動を行
えば、中学3 年でもその関数関係について理
解することができるのではないか
• 数学的活動・・・半減期について実際に計算し
たり、表やグラフに表したり、式で表したり、表
された式の意味を考える活動
半減期って
数学の単元の中で
• 既に移行措置として先行実施されている新学
習指導要領で「いろいろな事象と関数」が復
活
• いろいろな事象の中に、関数関係があること
を理解すること
• これまでの学習の上に立って、比例、反比例、
一次関数、関数y = ax^2とは異なる関数関係
について指導する
「いろいろな事象と関数」
• 二つの数量の関係を式で表すことが困難な
場合であっても、これまで学習してきた表や
グラフを用いて変化の対応の様子を調べ、そ
の特徴を明らかにする
• それを通して関数についての理解をより一層
深め、事象の考察に生かそうとする態度を育
て、より高度な学習の素地となることを期待
授業のねらい
• 「半減期の2 倍の時間がたつと完全になくな
る」という誤解を解く
• 既習のものとは異なる関数であることを理解
させる
授業設計
• 「半減期の時間が経つにつれ、どんどん半分
になっていく」ことが理解できれば、変化のよ
うすを捉えやすくするために半減期を一日と
して、1000 の半分で500、その半分で250、
その半分で125 ・ ・ ・ と計算で求めることが
できる
• 計算は次第に煩雑になり、能力差も出やすく
なるのでICT 機器を用いる
半減期が1日なら
X
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
y
1000
500
250
125
62.5
31.25
15.63
7.81
3.91
1.95
0.98
わかりなおす
• y軸と交わる
• x=0のときに値がある
• 反比例との違いを考える中で、反比例につい
て分かりなおす
• Spiral、螺旋的
関係式をどうやって導くか
関係式は
半減期が2日だと
X
0
2
4
6
8
y
1000
500
250
125
62.5
10 12 14 16 18 20
31.25
15.63
7.81
3.91
1.95
0.98
半減期の関係式
試みた授業では
• 漢字の意味から「放射性物質が半分になるま
での時間」と捉える
• 「半減期が8 日ということは、1000 個ある物
質が8 日たてば500 個になる」と確認した後
に「16 日後には、どのくらいになるか」
• 「どんどん半分になっていく」という正しい認識
を持つこともそれほど難しいことではない
• 関係式は教師主導の説明で
中学3年生で理解できるか
• 約1週間後の定期テスト