第1章

第10章
日本産業の競争力
国の競争力

国際競争力 → あいまいな概念

日本の国際競争力
⇒ 産業競争力に限定
これまであまり経済学の分野で
取り上げられなった技術力に分析を集中
日本の技術力は復活したのか?



IT → 日本は遅れをとった
景気回復の原動力 → 民間需要
(主力の設備投資の多くは
日本の得意分野のデジタル製品がらみ)
改革が今後も続けば日本の再逆転も可能
↓
「失われた10年」経済敗戦に慣れっこの
日本の産業界も2003年から
自信を取り戻しつつある
日本の技術力は回復したのか?

主因
1980年代・・・日本経済の勝ち
1990年代・・・米国が逆転
21世紀初頭・・・日本産業が再逆転
 バブル崩壊後
企業部門・金融部門の大胆なリストラ策
景気循環の回復過程
⇒
10年周期の日
米拮抗図が今
後も続く?
⇒
数字上は産
業界が息を
吹き返した?

しかし・・・
技術力を中心とした日本の産業界の
競争力は真の回復を遂げていない
日常化した技術の飛び級

歴史的な世界の技術革新の伝播メカニズム
技術の成果が現れたのは
英国を中心とした18世紀の産業革命以降

主要な技術 → 最終段階で次の技術ランク国に
受け継がれる(技術転移)
受入国 → 同様の技術発展プロセスを経て
技術革新の更なるグレードアップを目ざす
日常化した技術の飛び級


日本と後発国の先発国への
キャッチアップに要する期間
→ 一気に縮んだ
韓国や中国のデジタル製品の普及ぶり
→ 経済産業の成熟を待つことなく
一気に世界最先端の技術を搭載した
製品が国内市場に出回る
技術の変質 ・ グローバリゼーションの進展
⇒ 「技術の飛び級」の日常茶飯事化
自己の弱点の徹底分析で日本追い落とし果たした米国

戦後の日本産業を支えてきた革新技術の多く
↓
オリジナル部分の多くを米国のものに負ってきた
工業化・実用化の過程で・・・
 生産現場での品質改善運動
 トヨタ生産方式
↓
永続的な経営全般にわたる経費の洗い直しが
早い段階から日本産業全般に刷り込まれた

自己の弱点の徹底分析で日本追い落とし果たした米国
日本型経営システム論に登場する様々な要素
⇒ 技術開発・生産システムを
効率的に機能させる
 80年代 「マイクロエレクトロニクス革命」


エレクトロニクス分野で製品の小型化と高機能化を実現

世界市場で日本製品が各分野のナンバーワンの地位を
確保する上での推進力

80年代後半
米国が日米逆転をかけて矢継ぎ早の対応策を
講じ始めるのはレーガン政権後半から

ハイテクは製品寿命を縮め、投資効率を悪化させる
 最新製品ほど普及率半ばで値崩れに
新三種の神器
薄型テレビ・DVDプレーヤー・デジタルカメラ
 最近の耐久財における大ヒット商品
商品の登場が社会生活の有様そのものを
根底から変えるほどのインパクトを伴う
商品を受け入れる側の価値観の
多様化(需要サイドの変化)
波紋の広がる大きさ・衝撃度とも格段に小さく
ハイテクは製品寿命を縮め、投資効率を悪化させる

製造業は確実に研究開発シフト進める
シュンペーター
創造的破壊 Creative Destruction
↓
エネルギー危機・為替変動などの
外的ショックを乗り越えた
ハイテクは製品寿命を縮め、投資効率を悪化させる
研究志向の強い医薬品業界
⇒売上高研究費比率が平均で2桁に迫る
鉄鋼業・電気機械業
⇒90年代初頭にピークをつけてから比率落とす
自動車産業
⇒90年代以降急速に研究開発費率を高め、
グローバル展開
ハイテクは製品寿命を縮め、投資効率を悪化させる

研究開発の収益力低下に歯止めかからず
メリット
研究開発投資
デメリット
①研究に成功し、商品化にメドをつ
成功すれば投資主 けるまでのリードタイムがきわどい
体に莫大な利益 ②仮に商品が出来ても市場が商品
を受け入れるか、という不確実性
ハイテクは製品寿命を縮め、投資効率を悪化させる
研究開発投資
= リスクが大きい投資性の強い事
業
研究開発の短期化
= 研究開発の収益性はそろそろ限
界
日中韓は経済連携で運命共同体
に
企業が国を選ぶ時代―“空洞化”論の変化
世界的な技術革新の新潮

技術の変質

グローバリゼーションの進展
↓

最適立地の対象を国内に限定せず、幅広い選択肢
↓
海外直接投資を通じて最先端の技術・経営ノウハウ
日中韓は経済連携で運命共同体
に
 投資・貿易両面から日本、中国、韓国(東アジ
ア地域)の関係は連携関係を強めている
要因
 域内諸国の生活水準の向上
 投資と消費の好循環構造の構築
(最近は・・・)
 先進国を中心に産業・貿易構造の均一化が
進み、従来型の比較優位に基づく特定産業へ
の特化が意味をなさない
 日中韓を中心に投資・貿易に続き、「技術連携
構造」の構築
日中韓は経済連携で運命共同体
に
 世界的に進む貿易・産業構造の均一化




輸出商品ナンバーワン → 自動車(輸送用機械)
米国では電気機械に続き自動車
韓国・中国も過去30年間、ベスト3に変動は無く、
日米欧より少し遅れて機械系産業
中国は脅威ではなく技術連携構造を形成する
“戦略パートナー”
中国が研究・生産・販売の最大の拠点であり、
東アジア地域への日本企業の展開が
日本の競争力再生の切り札
真の日本産業再生の条件

既存技術の組み合わせに長けた日本
デジタル家電関連分野・・・マクロ景気の牽引役
⇒①デジタル化電分野の中核部材を日本企業が
つかんでいる
②最終製品メーカーが半導体、IT分野の部材を
アジアメーカーが支えている
↓
それらを支える技術の主流が既存技術から生まれている
= 日本メーカーに有利
真の日本産業再生の条件

欧米の共同体とは異なるネットワーク構造生か
せる東アジア連携
「いいモノを大量に」→台湾や韓国
規模の経済性 から 範囲の経済性 へ
すり合わせ型 ⇔ モジュラー型
モノ作りに対する考え方を生かした域内分業こそ、
東アジア連携の最大の武器