変貌する通商システム Ⅰ 寡占的産業の企業行動と貿易問題 ⅰ)寡占的産業とは …少数の企業の戦略的行動による競争がなされている産業 Ex.)価格設定、設備投資、研究開発投資、輸出入 ⇒きわめて厳しい競争 or カルテル的状況 ⅱ)独占的(寡占的)レントの国際移転とは …国の保護政策などによって独占的(寡占的)企業の利潤が国を越えて移ること Ex.)コダックのカラーフィルム、ボーイング社とエアバス社 アメリカ 100 円 西ドイツ (コダック) 400 円 1000 円 競争相手なし オーストラリア 強い競争相手 日本 弱い競争相手 輸入制限 ⇒国内企業の対抗力のおかげでフィルムを安く買うことができる 国際的寡占体制における産業育成が世界全体の経済厚生を高める ⅲ)ダンピング(不当廉売)とその理論 …同じ製品を国内よりも海外で安く売ること ←価格差別の理論、戦略的行動の理論 ○価格差別の理論 …顧客によって違う価格をつけることで企業利益が大きくなること Ex.)子ども料金と大人料金 Cf.)内外価格差、コスト割れ販売 ○戦略的行動の理論 1 …価格引き下げにより競合企業をつぶそうとすること ⇔国際経済市場の大きさと潜在的参入企業の多さ ⅳ)輸出自主規制のカルテル効果 Ex.)80 年代日本の対米自動車輸出 日本の対米自 動車輸出自主 規制 アメリカ自動 車市場にカル テル的状況を 作り出す 日米両メーカー の利益増大 アメリカ車の価格引き上げ + 日本車の価格引き上げ アメリカ消費者 の大きな損失 Ⅱ 規模の経済性のもとでの貿易 ⅰ)自動車産業 ○産業レベルの規模の経済性 …産業全体としての生産数が増えるほど単位当たりの生産コストが低下する現象 ←分業の利益(アダム・スミス) ○産業保護政策と成長 戦後の日本 自動車産業 保護政策 世界的自動車 メーカー (輸入制限) 国内需要 + 規模の経済性 ⇒日本の自動車メーカーと欧米の消費者が利益を得る ○規模の経済性のもとでの貿易 2 …①貿易パターンは政府の産業政策に大きな影響を受ける ②国内市場の大きさが威力を発揮する ③履歴効果 ⅱ)先端技術産業 〇ダイナミック・スケール・エコノミー(動学的規模の経済性) …技術に基づいた規模の経済性 Ex.)コンピュータ業界、製薬業界 〇つくられた比較優位 …土地や労働力によらない比較優位 〇タイミングの問題 新製品の出 現 新製品の開 発 独占的利益 の獲得 類似品の登 場 参入のチャンス Ⅲ 参考文献 伊藤元重(1989) 『ゼミナール国際経済入門』日本経済新聞社、 3
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