資材管理(materials management) 生産活動の3要素 生産主体(men) 生産手段(machine) 生産対象(materials) 生産対象に関する管理・・・・・資材管理 在庫管理、購買管理、倉庫管理など ©ATSUTO NISHIO 資材管理の基本業務 資材の流れに従うと、 ・ 購買・外注業務 ・ 受け入れ検査(検収)業務 ・ 保管業務 ・ 運搬業務 ©ATSUTO NISHIO 購買業務 需要予測(見込み生産の場合)あるいは 受注の発生(受注生産の場合)に伴って決定 された適切な生産量に基づいて、各投入資 源の所要量に関する生産計画が立案され る。 ©ATSUTO NISHIO 購買活動の基本的な考え方 資材の調達、すなわち購買活動を合理的に遂行す るための基本的な考え方 ・ 安価な購入 ・ 必要量の確保 ・ 計画通りの購入 そのための事前活動 1) 購買市場調査 2) 自製・外注の決定 3) 購買方法の明確化 ©ATSUTO NISHIO 購買業務の流れ 1)購買要求 2)購入先の決定 3)発注 4)督促 5)受け入れ・検収 6)支払い ©ATSUTO NISHIO p.102 最適発注量 年間の総需要量を120とすると 需要量 120 60 30 0 3 6 ©ATSUTO NISHIO 9 12 ヶ月 発注方式 ・ 定期発注方式 ・ 定量発注方式(発注点方式) ・ 複棚方式(ダブルビン方式) ・ 補充点発注方式(払出後発注方式) ・ コック方式 ・ 適時発注方式(当用発注方式) ©ATSUTO NISHIO 定期発注方式 発注量=(発注間隔+調達期間)中の推定需要量-現在庫量-発注残+安全在庫量 在 庫 水 準 ( 在 庫 量 ) 安全在庫量=安全係数× 発注間隔+調達期間 ×単位期間需要量(出庫量)の標準偏差 発 注 量 調達期間 安全在庫(安全余裕) 時間 発注サイクル 発 注 発注サイクル 発 注 ©ATSUTO NISHIO 発 注 定量発注方式(発注点方式) 発注量=経済発注量(または最適発注量) 発注点=調達期間中の平均需要量(出庫量)+安全在庫量 在 庫 量 安産在庫量=安全係数× 差 調達期間 ×単位期間内需要量の標準偏 発注点 安全在庫(安全余裕) 調達期間 発 注 入 庫 発 注 時間 入 庫 発 注 ©ATSUTO NISHIO 複棚方式(ダブルビン方式) A 一 杯 分 を 発 注 A ⇒ B ©ATSUTO NISHIO ⇒ 費用 ・ 保管 ・ 発注費用に含まれるもの ©ATSUTO NISHIO 最適発注量 金 額 a+b 保管費用(a) 発注費用(b) 1回の発注量 ©ATSUTO NISHIO 最適発注量 V:総需要量 P:購入単価 Q:一回当たりの発注量 C:一回当たりの発注費 S:安全在庫 I:保管比率 とすると、 総費用(TC)は 総費用 = 発注費用 + 保管費用 TC = V/Q × C + (Q/2 + S) × P × I 2×V×C Q= P×I ©ATSUTO NISHIO 安全在庫(安全余裕) 在 庫 量 時間 発注 安全在庫 在庫切れ 発注から納品までの期間:先行期間(lead time) ©ATSUTO NISHIO 平均在庫量 在 庫 量 在庫量(レベル)は時間の経過とともに減少する 平均在庫量 時間 ©ATSUTO NISHIO Ⅱ.外注業務 外注業務も、対象が外注品であるという点を除 けば、その手続き・作業は通常の資材購入業 務とほとんど同じである。 重要なことはなぜ外注を利用するかということ である。 ©ATSUTO NISHIO 外注の利用目的 ・ 需要変動に対する緩衝 ・ 設備の能力不足の補完 ・ 特殊技術・専門知識の利用 ・ コスト的に外部企業を利用した方が有利 ・ 原材料の調達の容易性 ・ ・ ©ATSUTO NISHIO 合理的な外注業務のためには ・ 外注利用目的(外注利用基準) ・ 外注品市場の状況 ・ 外注業者との関係 ・ 外注契約内容 ・ 不良品の処理 ・ その他(技術指導。経営参加など) ©ATSUTO NISHIO 外注業者(供給業者)の主張 ・ 取引量の安定化 ・ 高い価格での取引 ・ 受け入れ検査の緩和 ・ 支払い条件の改善 ©ATSUTO NISHIO Ⅲ.受け入れ検査(検収)業務 受け入れ検査は、納期、数量、および品質に ついて行われる。 ◎ 受け入れ検査の目的 ・以降に続く製造・加工工程に対する品質保証 ・原材料の節減 ・供給業者に対して品質に関する意識の向上を促す ©ATSUTO NISHIO 検査の種類 ・ 全数検査 (100% inspection) ・ 抜取検査 (sampling inspection) ・ 無検査 (without inspection) ©ATSUTO NISHIO 検査費用の比較 N:ロットの大きさ R:不良品1個を見過ごすことにより被る損失 n:標本の大きさ T:不合格ロットを処理するための不良品1個当たりの 費用 I:標本1個当たりの検査費用 p:ロットの不良率 Lp:不良率pのロットが合格する確率(割合) ©ATSUTO NISHIO 検査費用の比較 - 検 査 検 査 費 用 不良品を見逃し 不良ロットを処理 たための損失 するための費用 全数 I・N - - 無 - R・p・N - 抜取 I・n R・p・(N-n)・Lp ©ATSUTO NISHIO T・(N-n)(1-Lp) 検査費用の比較 費 用 全 無検査 数 検 抜取検査 査 無 検 査 I・N 全数検査 0 p0 ©ATSUTO NISHIO ロットの不良率 検査項目(品質特性) 検査特性 計量値 計数値 検査対象 例 原材料 純度、密度、重量、濃度など 加工品 長さ、重量、時間、張力など 原材料 不良率など 加工品 単位当り欠点数、不良個数、不良率など ©ATSUTO NISHIO 検査方法(抜取検査) 検査に際しては、検査方式、検査場所、検査器 具、ロット、および試料の大きさなどが考慮さ れる。 ©ATSUTO NISHIO 抜取検査の型 ・ 基準型抜取検査 ・ 選別型抜取検査 ・ 連続生産型抜取検査 ©ATSUTO NISHIO 抜取検査の形式 ・ 一回抜取検査 single sampling inspection ・ 二回抜取検査 double sampling inspection ・ 多回(多段)抜取検査 multiple sampling inspection ・ 逐次抜取検査 sequential sampling inspection ©ATSUTO NISHIO 一回抜取検査 ただ1回の試料の検査結果によって、ロットの合格・不 合格を決定する。 ロットからn個の試料を抜き取って試験する 不良品の個数が C個以下ならば ロットを合格にする ©ATSUTO NISHIO C+1個以上ならば ロットを不合格にする 二回抜取検査 第1回では合格・不合格のはっきりした場合にのみ判定を下し、その 中間の結果を示した場合には、更に第2回目の試料の結果を追加し て、ロットの合格・不合格を決定する。 ロットからn個の試料を抜き取って試験する 第一試料中に不良品が C個以下ならば C+1個かC+2個ならば C+3個以上ならば ロットからさらにn個の試料を抜き取って試験する r個以下 2n個の中の不良品が ロットを合格にする r個以上 ロットを不合格にする ©ATSUTO NISHIO 多回(多段)抜取検査 二回抜き取り検査の形式を拡張したもの。毎回定められた大きさ の試料を抜き取り、各回の試料の検査結果を一定基準と比較するこ とにより、ロットの合格・不合格および不確定(検査続行)の3種に分 類しながら、ある一定回数までにロットの合格・不合格を決定する。 ©ATSUTO NISHIO 逐次抜取検査 1個ずつまたは一定個数ずつ測定試験をしながら、その集計結果 を一定基準と比較することによりロットの合格・不合格を決定する。 1個ずつの場合を各個逐次抜き取り検査、一定個数ずつの場合を 群逐次抜き取り検査という。 一定回数で検査を打ち切る場合は、多回(多段)抜き取り検査とな る。 不 良 個 数 ロット不合格 検査継続 ロット合格 ©ATSUTO NISHIO 検査個数 抜取検査の比較 ロットに対する保護をほぼ同様にした場合 抜 一 回 二 回 多 回 逐 次 検査ロット当りの平均検査個数 多 中 少 最 少 検査ロット毎の検査個数の変動 な し ややあり あ り あ り 大 中 小 最 小 実 施 および 記 録 の 繁 雑 さ 簡 単 中 複 雑 複 雑 心 悪 い 中 良 い 良 い 検 取 検 査 理 査 費 的 用 効 果 適 用 し て 有 利 な 場 合 検査費用 が低い場 合 検査費用 が高く、し かも検査 個数を少 なくしたい 場合 ©ATSUTO NISHIO 左記の条件を一 層強く要求したい 場合 検査基準 OC曲線(検査特性曲線)により抜取検査の特徴が示される Lp 不 良 率 p の ロ ッ ト が 合 格 す る 確 率 1.0 α 生産者危険 誤って良い物を悪いと判定する確率 消費者危険 誤って悪い物を良いと判定する確率 β 0 不良率 ©ATSUTO NISHIO p 不良(欠点)の種類 ・ 致命不良(致命欠点) ・ 重不良(重欠点) ・ 軽不良(軽欠点) ・ 微不良(微欠点) ©ATSUTO NISHIO 不良の数値表現 不合格ロット数 ロット不合格率 = ×100 検査ロット数 返品ロット数 返品率 = ×100 納入ロット数 手直しロット数 手直し率 = ×100 納入ロット数 ©ATSUTO NISHIO Ⅳ.保管業務 主要業務 ・ 資材の購入、保管および出庫 ・ 経済的在庫量の維持 保管業務(主に在庫)は可能な限り減らした い業務。 → JIT、カンバン方式 例外.保管業(倉庫業、レンタ・ルーム) ©ATSUTO NISHIO JIT (Just In Time) JIT生産システムとは、顧客要求(または需要)に 応え、必要な品物を必要な時期に必要な量だけ 敏速に生産し、在庫の回転率を高めることで、い わゆるトータルコスト低減をねらいとした生産シ ステム。 例 トヨタのかんばん方式(トヨタ自動車)、 セル生産方式(デルコンピュータ) ©ATSUTO NISHIO JITの基本目的 ・顧客要求/価格への適応 ・ムダの徹底排除によるコスト低減 ・棚卸資産の回転率アップ ・敏速(agile)生産による短納期対応 ・Q・C・Dの同時追求による体質の強化 ・多能工化、脱分業による多種変量生産への対応 と物作りに対する責任意識の醸成 ・最終的には、サプライチェーン(SC)のムダ排除 によるトータルコスト低減 ©ATSUTO NISHIO 在庫管理の目的 企業の長期的な収益性の向上 ・ 在庫投資の節減 ・ 運転資金の円滑化 ・ 操業水準の安定化 ・ 在庫費用の減少 ・ 生産の遅延および品切れの防止 ©ATSUTO NISHIO 有効量(物の流れにそって把握する) 有効量 = 発注量 + 有効在庫量 = 発注量 + 現有在庫量 - 引き当て量 = (発注量-入庫量)+(現有在庫量+入庫量-出庫量)-(引き当て量-出庫量) = 発注残 + 在庫残 - 引き当て残 資材の流れ 発注残 在庫残 引き当て残 有効量 資材を発注したとき 増加 不変 不変 増加 発注した資材が入庫したとき 減少 増加 不変 不変 資材が製造に引き当てられたとき 不変 不変 増加 減少 製造に引き当てられた資材が出庫したとき 不変 減少 減少 不変 ©ATSUTO NISHIO 保管方法 資材の移動などを効率的に実施するために保 管方法が検討される。 ・ 独立した倉庫に保管 ・ 製造現場内の倉庫に保管 ・ 製造現場内に積み置き ・ 野積み ©ATSUTO NISHIO 保管方法の比較 保管方法 保管施設 の維持費 資材の盗難・ 損傷・劣化な どの可能性 ① 独立した倉庫に 保管 ② 製造現場内の 倉庫に保管 ③ 製造現場内に 積み置き ④ 野積み ©ATSUTO NISHIO 製造現場 への運搬 距離 数量把握 (棚卸)の 容易性 パレート分析(ABC分析) パレート分析は、品質管理、設備管理などに 広く適用されている。 品質管理:不良の種類と不良件数 設備管理:設備の種類と台数 資材管理:品目数と金額 など 重点管理 多くある項目(品目)の中で、重要度に よって管理の方法を変える。 ©ATSUTO NISHIO 累積曲線 使 100 用 金 90 額 の 累 80 積 ( % ) A 10 B C 30 ©ATSUTO NISHIO 100 品目数(%) パレート図の作成手順 横軸に品目(項目)の度数の高い順に並べる。 累積度数の頂点を結ぶ。 区 分 累積品目数(%) 累積金額(%) A 5-10 70-80 B 10-20 10-20 C 70-80 5-10 ©ATSUTO NISHIO 重点管理(在庫管理の場合) A区分の品目 B区分の品目 C区分の品目 ©ATSUTO NISHIO パレート図 ・ 在庫管理の場合 横軸:品目 縦軸:金額 ・ 品質管理の場合 横軸:欠点(不良) 縦軸:度数 ©ATSUTO NISHIO Ⅴ.運搬業務 運搬業務には、資材の納入・保管・出庫 に伴う運搬、製造工程内での生産活 動に伴う運搬、および出庫に伴う運搬 があり、検査業務、保管業務と同様に 購買管理固有の業務ではない。 運搬も在庫と同様、極力減らしたい業務。 例外.運送業 ©ATSUTO NISHIO 運搬業務の種類 ・ 納入された資材の倉庫への運搬および倉庫 からの供給。 ・ 製造工程途上における仕掛品の運搬。 ・ 製品出荷のための運搬。 ©ATSUTO NISHIO 運搬の合理化の要点 ・ 積み換え、置き換えの回数を極力減らす。 ・ 運搬物の上下変動を減らし、 一定のレベル(基準面)を極力維持する。 → 動作研究 ©ATSUTO NISHIO 運搬業務の合理化による効果 ・ 運搬コストの節減 ・ 運搬のスピード化による仕掛品の減少およ び運搬の生産性の向上 ・ 運搬方法の研究による取り扱い資材の品質 維持および盗難、損傷、変質などの防止 ・ 作業者の安全の確保および現場環境の向上 ©ATSUTO NISHIO 運搬器具の用途別分類 用 途 運搬設備の例 水平方向への移動設備 垂直方向への移動設備 両者を兼ね備えた汎用 設備 ©ATSUTO NISHIO 運搬改善効果の評価 運搬費 運搬効率 = ×100 購入資材費 総運搬距離 運搬距離率 = ×100 運搬距離(または直線距離) 運搬重量比率 = 運搬延べ重量 ×100 資材重量 ©ATSUTO NISHIO
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