経営組織論 広島大学大学院工学研究院 特任教授 伊藤孝夫 前回の復習 • バーナード • PDCA • GEグリッド • 効率と生産性 • 人類発展への二つの出来事 工場の歴史 • 産業革命前 • 1371年 アミアンに120名の織 工を持つ工場(フランス) • 1450年 ニュルンベルグに 120名位の印刷工を持つ工場 (ドイツ) 産業革命 蒸気機関 ジェームズ・ワット マシュー・ボールトン 産業革命後:1850年代のイギリス • 世界工業品の50%を生産 • 世界の貿易量は約25% 産業革命後のドイツ:工業高等専 門学校の専門技術教育の整備 産業革命後のアメリカ:綿繰り機: 1792年、収穫機:1834年、コルト銃 等の互換性部品制度の発達 イーライ・ホイットニー シルス・マコーミック 管理の歴史 • James Watt(1736~1819)の蒸気機関の 発明を契機とした産業革命に伴う生産管 理の必要性が生じた。 Fredric W. Taylor(1856~ 1915)『工場管理』と 『科学的管理法の原理』: 科学的管理法を発表 テイラーの科学的管理法 産業革命前:手工生産(注文生産) 当時のアメリカ産業界:単純出来 高払制度による賃金制度 • 課業:作業を構成する要素の時 間をストップウォッチにより正確 に測定し、一日の公平な作業量 を決定する。⇒課業Task テイラーの科学的管理法 課業管理:課業の設定、諸条件と 用具の標準化、成功報酬、不成功 減収、最高難易度の課業 作業の標準化 作業管理のための最適な組織形 態 テイラーの意味 計画部の設置:管理と作 業の分化 職能的職長制度:管理の 専門化 大量生産 産業革命後:機械生産(見込み生 産;大量生産) • フォードモーター社で標準化と移動 組立ライン(自動車組立にベルトコ ンベヤ,belt conveyor)をベースとす る生産システム:後にフォードシステ ム(Ford system)と呼ばれた。 ヘンリー・フォード モデルT・ツーリング ( 1910年式) 1911年以前 販売期間 乗車定員 ボディタイプ 1915年型 1927年型 1908年–1927年 2/4人 2ドアカブリオレ/セダン 4ドアカブリオレ/セダン エンジン 水冷直列4気筒3ベアリング式、サイドバルブ(Lヘッド) 変速機 駆動方式 先代 後継 マニュアル2速/3速 FR フォード・モデルN/S/R フォード・モデルA フォードシステム 鉱石ー鉄鋼ープレスー鋳造ーエンジン加工ー組立 同期化 価格 販売数量 2500000 1917353 2000000 1351333 1500000 933720 1000000 500000 1771338 355276 0 1915年 1921年 1922年 1923年 1925年 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 440 355 298 1915年 1921年 1922年 275 290 1923年 1925年 アメリカの自動車普及率とGM GMの価格 普及率(1家族当たり) 90% 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 80% 80% 70% 60% 50% 39% 40% 24% 30% 20% 2500000 10% 0% 2000000 1915年 1920年 875 645 1925年 1925年 1917353 1927年 595 1928年 1771338 1500000 1351333 1120000 GMの販売数量 933720 1000000 750000 500000 フォードの販売数量 480000 355276 270000 0 0 0 0 1915年 1921年 1922年 1923年 0 0 1925年 1927年 1928年 GMの成長原因 シボレー車のボディーとシャーシを共 通部品とするポンティヤック車開発 部品の共通化 割賦販売 スタイリング重視 若年から年長者、男性、女性あらゆ るユーザーを対象とするフルポリシー テイラーのその後 •H. Fayol(1841-1925) Comambaultコマンボー ル社入社、その後、 その経験をまとめて、 1917年『産業および 一般管理』出版 企業の諸活動(ファヨール) • • • • • • • 技術活動:生産・製造・加工 商業活動:購買・販売・交換 財務活動:資本の調達と運用 保全活動:財産と人員の保護 会計活動:財産目録・貸借対照表・ 原価・統計など 管理活動: • 経営とは、事業活動に必要なこ れらの六つの機能を総合して事 業の目的を効率的に達成してい くことをさしている。 管理活動:計画・組織・命令・調 整と統制 管理活動 • 計画:活動計画の作成 組織:物と社会的2重機構の形成 命令:人々を機能させる 調整:行為、努力の結集、調和 統制:与えられた秩序、規則にした がって、物事が進められるように監督 する 管理の機能 組織 任務完成の ための仕事を 割り当てる 経営資源 *人的資源 *金融 *原材料 *技術 *情報 指導 従業員に刺激を 与える影響力を 行使する 計画 目標とその達成 方法の選定 統制 活動の監視と 活動の修正 企業業績 *達成目標 *製品 *サービス *効率 *効果 効率と有効性 • 効率とは、一般的に産出と投入(費 用)の割り算の結果である。 Efficiency:望まれる結果を効果的に 達成できる意味合いである、効率ま たは能率 Effectiveness:結果に至る過程を能 率的にこなすという意味合いを持 つ、効果または有効性 効率と効果の関係 低効率/高効果: 高効率/高効果: 管理者は正しい目標を選定したが、 管理者は正しい目標を選定し、経 経営資源の利用が悪い。 営資源の利用も良い。 結果: 製品は消費者の要求と合致 結果: 製品は消費者が求めるもの するが、その値段が高すぎるため、 と一致するし、その値段も消費者 消費者が買えない。 が支払えるものである。 低効率/低効果: 高効率/低効果: 管理者は間違った目標を選定し、 管理者は適正な目標を選定して 経営資源の利用も悪い。 いないが、経営資源の利用は良い。 結果: 品質の悪い製品が生産され、 結果: 品質の良い製品が生産され しかも消費者はそれを求めていな るが、消費者はそれを求めて い。 いない。 効率の問題点 効率とは測定可能な産出と測定可 能な費用の割り算の結果にすぎな い。 企業経営では測定できない費用と 産出が存在する。 今日の復習 • 科学的管理法: Taylor F. W. 時間の研究と動作の研究 • フォードシステム: 標準化+移動組み立てライン 今日の復習 • テイラーの組織論への貢献: 生産と管理の分離、管理の専門化 • 効率と効果: 効率+効果 今日の復習 • ファヨールの出身: H.Fayol フランス • 経営の六つの活動: 技術・商業・財務・保全・会計・管理 次回のための予習 ありがとうございました!
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