相互依存と交易(貿易) からの利益 Copyright © 2004 South-Western/Thomson Learning 3 あるアメリカ(日本)人学生の一日 • ある典型的な一日: • 韓国製の目覚まし時計で起きる。 • フロリダ産のオレンジ・ジュースとブラジル産の豆 を使ったコーヒーを飲む。 • ジョージア産の木綿をタイの工場で縫製してつくっ たシャツを着る。(ジョージア産→インド産) • ニューヨークで制作されているニュースを日本製 のテレビで見る。(ニューヨーク→東京) • 世界中のたくさんの国でつくられた部品でできてい る車に乗って学校まで来る。 Copyright © 2004 South-Western • . . . でも、まだ一日の半分も終わってない! • いろんな地域と国の名前がでてきた! Copyright © 2004 South-Western 相互依存と交易(貿易)からの利益 • 思い出してください。経済学というのは、社会 がその構成員の望みと必要を満たすためにど のように財・サービスを生産して分配するかを 研究する学問だということです。 Copyright © 2004 South-Western 相互依存と交易(貿易)からの利益 • 世界経済(global economy)の中で、どうやって 私たちは自分の望み(欲望)と必要を満たして いるのでしょうか? • ひょっとしたら自給自足も可能かもしれない。 • でも、我々は特化(specialize)して、 他の国と交易(貿易)を行い、 その結果、経済的な相互関係 をとり結んでいる。 Copyright © 2004 South-Western 相互依存と交易(貿易)からの利益 • 個人と国家は、希少性から生じる諸問題を解 決するために、生産を特化して、交換を行って いる。 • しかし、上に述べた言葉は、二つの疑問を生じ させるはずだ。 • なぜ、相互依存が実際に成立しているのか? • なにが生産と交易(貿易)のパターンを決定するの か? Copyright © 2004 South-Western 相互依存と交易(貿易)からの利益 • なぜ、相互依存が実際に成立しているのか? • 相互依存が実際に起きるのは、人々が生産に特 化して他の人々と交易(貿易)するときに人々の暮 らしがよくなるからだ。 • なにが生産と交易(貿易)を決定するのか? • 生産と交易(貿易)のパターンは、機会費用の違 いによって決定される。 Copyright © 2004 South-Western 現代経済の寓話 • 単純な経済を考えてみましょう: • たった二つの財: ジャガイモと牛肉 • たった二人の人: 牛飼いと(ジャガイモをつくる) 農夫(農民) • それぞれの人は何を作ったらよいだろうか? • なぜ彼らは交易すべきだろうか? Copyright © 2004 South-Western 表3-1 農夫と牛飼の生産機会(70頁) 1オンスの生産に必 要な時間(分) 8時間で生産できる 量(オンス) 1オンス=28グラム 牛肉 ジャガイ モ 牛肉 ジャガイ モ 農夫 60 15 8 32 牛飼 20 10 24 48 Copyright © 2004 South-Western 生産可能性 • 自給自足 をするとしたら、、、 • 他の人のことは無視して、 • 農夫と牛飼のそれぞれは、それが生産したものだ けを消費する。 • ということは、生産可能性フロンティアは、同時に 消費可能性フロンティアになるということ。 • 交易(貿易)なしでは、経済的な利益は減少する。 Copyright © 2004 South-Western 図3-1 生産可能性フロンティア (a) 農夫 の生産可能性 ’ 牛肉(オンス) もし貿易がなければ、 農家が選ぶのは、 この生産の組み合わせと この消費の組み合わせ。 8 4 0 A 16 32 ジャガイモ(オンス) Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 図3-1 生産可能性フロンティア (b) 牛飼 の生産可能性フロンティア 牛肉(オンス) 24 もし貿易がなければ、 牛飼が選ぶのは この生産の組み合わせと この消費の組み合わせ。 12 B 0 24 48 ジャガイモ(オンス) Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 特化と交易(貿易)(72頁) • 農夫と牛飼は生産特化して交易(貿易)を行う • もしそれぞれが生産に特化して、自分が得意な財 を生産して、それからお互いに交易(貿易、交換) を行えば、双方が得をする(つまり、暮らし向きが 良くなる)。 農夫はジャガイモを生産すべきである。 牛飼は牛肉を生産すべきである。 Copyright © 2004 South-Western 表3-2 取引(交易)による利益 牛肉 ジャガイモ 取引なし:生産と消費 4 16 牛肉 ジャガイモ 12 取引があるケース 生産 取引 消費 取引からの利益 Copyright © 2004 South-Western 24 図3-2 交易(取引)による消費機会の拡張 (a) 農夫 の生産と消費 ’ 牛肉(オンス) 取引の場合の 農夫の 消費 取引の ない場合の 8 農夫の A* 5 4 0 生産と消費 A 16 取引の場合の 農夫の 生産 32 ジャガイモ(オンス) 17 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 図3-2 交易(取引)による消費機会の拡張 (b) 牛飼の 生産と消費 ’ 牛肉(オンス) 取引をした場合の 牛飼の 生産 24 取引をした場合の 牛飼の 消費 18 13 B* B 12 0 12 24 27 取引のない場合の 牛飼の 生産と 消費 48 ジャガイモ(オンス) Copyright © 2004 South-Western 表3-2 取引(交易)による利益 牛肉 ジャガイモ 取引なし:生産と消費 牛肉 ジャガイモ 4 16 12 24 生産 0 32 18 12 取引 +5 -15 -5 +15 消費 5 17 13 27 +1 +1 +1 +3 取引があるケース 取引からの利益 Copyright Copyright © © 2004 2004 South-Western South-Western 比較優位の原理 • 生産費用の違いが次のことを決定する: • 誰が何を生産すべきか? • それぞれの財(産品)についてどれだけ交易(貿易 、取引)すべきか? 誰がジャガイモをより低い費用で生産で きるのか?--農夫か牛飼か? Copyright © 2004 South-Western 比較優位の原理 • 生産費用の違い • 生産費用を計測するには二つのやりかたがあ る: • 財1単位生産するのに必要な時間(例えば、1オン スのジャガイモを生産するのに必要な時間) • 一つの財を別の財のために犠牲にする機会費用 Copyright © 2004 South-Western 絶対優位 • 一つの財に関して、その生産性によって生産 者を比較すること: 絶対優位(absolute advantage ) • 絶対優位は、一人の人、一つの企業、一つの国の 生産性を別の人、企業、国と比較して記述する • 一つの財を生産するために必要な投入物がより 小さい生産者は、その財に関して絶対優位を持っ ていると言う。 Copyright © 2004 South-Western 絶対優位 • 牛飼は10分間で1オンスのジャガイモを生産す ることができる。しかし、農夫は同じことをする のに15分間かかる(表3-1)。 • 牛飼はたった20分間で1オンスの牛肉を生産 できる。しかし、農夫は同じことをするのに60 分間もかかる。 牛飼は、ジャガイモと牛肉の両方の生産につ いて、絶対優位を持っている。 Copyright © 2004 South-Western 機会費用と比較優位 • もう一つの計測方法は、その機会費用( opportunity cost )によって、ある財の生産者を比 較することだった。 • 機会費用=あるものを獲得するために失わなけ ればならないすべてのもの • ある財を生産する機会費用を比べて、より小さ い生産者は、その財の生産について比較優位 ( comparative advantage )を持っていると言う。 Copyright © 2004 South-Western 比較優位と交易 • 誰が絶対優位を持っているか? • 農夫か牛飼か? • 誰が比較優位を持っているか? • 農夫か牛飼か? Copyright © 2004 South-Western 表3-3 牛肉とジャガイモの機会費用 1オンス当りの機会費用 農夫 牛飼 (あきらめたジャ (あきらめた牛肉 ガイモで測った) で測った)ジャガ 牛肉 イモ ジャガイモ 牛肉 4オンス ¼オンス ジャガイモ 2オンス 牛肉 ½オンス Copyright © 2004 South-Western 比較優位と交易 • 農夫の1オンスの牛肉の機会費用は、ジャガイ モで測って4オンスである。これに対して、牛飼 の1オンスの牛肉の機会費用は、ジャガイモで 測って2オンスである。 • 農夫の1オンスのジャガイモの機会費用は、牛 肉で測って1/4 オンスである。これに対して、牛 飼の1オンスのジャガイモの機会費用は、牛肉 で測って1/2ポンドである。ということは、、、 Copyright © 2004 South-Western 比較優位と交易 ということは、牛飼は牛肉の生産に 比較優位を持っているが、農家は ジャガイモの生産に比較優位を持 っている。 Copyright © 2004 South-Western 比較優位と交易 • 比較優位と機会費用における違いが生産の 特化と交易(貿易)の基礎である。 • 取引をするかもしれない相手と自分が機会費 用で違いがある限り、二人は交易(貿易、取引 )をして、交易から利益を得ることができる。 Copyright © 2004 South-Western 比較優位と交易 • 交易からの利益 • 交易は社会の全ての構成員に利益をもたらすこと ができる。なぜなら、交易があることによって人々 は自分が比較優位を持っている生産活動に特化 することができるからである。 Copyright © 2004 South-Western 参考: アダム・スミスとリカードの遺産 • アダム・スミス(Adam Smith) • 1776年に出版された『諸国民の富』において、ア ダム・スミスは交易と経済的相互依存について詳 しい分析を行った。その分析を、現代の経済学者 は今も信奉している。 • デイビッド・リカード(David Ricardo) • 1816年に出版された『経済学および課税の原理 』 において、デイビッド・リカードは、現在われわれが 知っている比較優位の原理を明らかにした。 • 二人ともイギリス人。 Copyright © 2004 South-Western 比較優位の応用例 • タイガー・ウッズ(もしくは丸山茂樹)は、自分の家の 庭の芝刈りを自分ですべきだろうか? ? ? ? Copyright © 2004 South-Western 比較優位の応用例 • アメリカ(日本、中国)は他の国々と貿易すべきだろう か? • ただし、それぞれの国にはいろいろな利益・関心を持 った人がいる。国際貿易は国全体で見れば豊かにす るものだが、一部分の人々をより貧しくすることもある 。そのことが、自由貿易に対して反対が起きる大きな 原因になっている。 • 輸入(Imports)—海外で生産されて国内で販売される財 • 輸出(Exports)—国内で生産されて海外で販売される財 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 個人は、国内に限らず世界中の多くの人々に よって生産された財・サービスを消費している 。 • 相互依存と交易(貿易)は、より多くのより多様 な財・サービスをすべての人々が享受すること を可能にするので望ましいことである。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 一つの財を生産する能力を、二人の間で比較 するときには、二つの方法がある。 • より少ない投入量で生産することのできる人は、 絶対優位をもっているという。 • より低い機会費用で生産することのできる人は、 比較優位をもっているという。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 交換(貿易)の利益は、絶対優位ではなく比較 優位に基づいている。 • 交換(貿易)が人々を豊かにするのは、自分が 比較優位をもっている活動に特化することを 可能にするからである。 • 比較優位の原理は、国の場合にも人の場合 にもあてはまる。経済学者は比較優位の原理 に基づいて、自由貿易を提唱する。 Copyright © 2004 South-Western
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