独占的競争 Copyright©2004 South-Western 17 独占的競争 • 不完全競争とは、完全競争と独占の間に納ま る市場構造のことを指す。 Copyright © 2004 South-Western 図16-1 四つのタイプの市場構造 企業数 多くの 企業 産品のタイプ 1企業 いくつかの 企業 差別化された 産品 独占的競争 同一の 産品 完全競争 独占 (15章) 寡占 (16章) (17章) (14章) • 水道水 • ケーブルTV • テニスボール • 原油 • 小説 • 映画 • 小麦 • 牛乳 Copyright © 2004 South-Western Copyright © 2004 South-Western 独占的競争 • 不完全競争市場のタイプ • 独占的競争 • 多くの企業が同質ではないがよく似ている製品を売る • 寡占 • 少数の売り手が、それぞれよく似ているもしくは同質の 製品を売る Copyright © 2004 South-Western 独占的競争 • 市場は、競争の側面と独占の側面を併せ持つ Copyright © 2004 South-Western 独占的競争 • 独占的競争の性質 • 多数の売り手 • 製品差別化 • 参入と退出の自由 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争 • 多数の売り手 • 同じ顧客の集団を相手に競争する多数の企業が ある • こうした性質をもつ製品には、書籍、CD、映画、コンピュ ータ・ゲーム、レストラン、ピアノのレッスン、家具などが ある。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争 • 製品差別化(Product Differentiation) • 個々の企業は、他の企業の製品と少なくともわず かに異なる製品を生産する。 • 各企業は価格受容者ではなく、右下がりの需要曲 線に直面する。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争 • 参入と退出の自由 • 企業は制限なく市場に参入もしくは退出できる 。 • 市場における企業数は、経済学上の利潤が ゼロになるまで調整される。 Copyright © 2004 South-Western 差別化された製品の競争 • 短期における独占的競争企業 • 短期的な経済学上の利潤により、新しい企業が市 場に参入する気になる。このことは、 • • • • 提供される製品の数を増やし、 すでに市場にいる企業が直面する需要を減らし、 既存企業の需要曲線は左方にシフトさせ、 既存企業の製品に対する需要は低下し、利潤も低下す る。 Copyright © 2004 South-Western 図17-1 短期における独占的競争企業 (a) 利潤を得る企業 価格 MC ATC 価格 平均 総費用 需要 利潤 MR 0 利潤 最大化 生産量 生産量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 差別化された製品の競争 • 短期における独占的競争企業 • 短期的な経済学上の損失は、企業が市場から退 出させるようにしむける。このことは、 • • • • 提供される製品の数を減少させ、 残存する企業が直面する需要を増加させ、 残存する企業の需要曲線を右方にシフトさせ、 残存する企業の利潤を増加させる。 Copyright © 2004 South-Western 図17-1 短期における独占的競争企業 (b) 損失を被る企業 価格 MC ATC 損失 平均 総費用 価格 MR 0 損失 最小化 生産量 需要 生産量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 長期均衡 • 企業は参入と退出のプロセスを繰り返し、市 場にいる企業の経済学上の利潤がちょうどゼ ロになるまで続く。 Copyright © 2004 South-Western 図17-2 長期における独占的競争企業 価格 MC ATC P = ATC 需要 MR 0 利潤最大化 生産量 生産量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 長期均衡 • 二つの特徴 • 独占市場と同じように、価格は限界費用を上回る • 利潤最大化のためには、限界収入と限界費用が等しく なることが必要になる。 • 右下がりの需要曲線があることによって、限界収入は価 格よりも小さくなる。 • 競争市場と同じように、価格は平均総費用と等し い。 • 参入と退出の自由から経済学上の利潤がゼロとなるた めである。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争と完全競争 • 独占的競争と完全競争の間には、過剰生産 力とマークアップという二つの注目すべき違い がある。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争と完全競争 • 過剰生産力 • 長期において、完全競争には過剰生産力は存在 しない。 • 自由参入の結果、競争企業は平均総費用が最小 化された点、すなわち企業の効率的規模において 生産を行う。 • 長期において、独占的競争には過剰生産力が存 在する。 • 独占的競争において、産出は完全競争の効率的 規模よりも小さい。 Copyright © 2004 South-Western 図17-3 独占的競争と完全競争 (a) 独占的競争企業 (b) 完全競争企業 価格 価格 MC MC ATC ATC P P = MC MR 0 生産量 効率的 規模 P = MR (需要 曲線) 需要 生産量 0 生産量 = 効率的規模 生産量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 独占的競争と完全競争 • 限界費用を超えるマークアップ • 競争企業にとって、価格は限界費用と等しい。 • 独占的競争企業にとっては、価格は限界費用を上 回る。 • 価格が限界費用を上回るので、いまの価格でもう 一単位を売ることは、独占的競争企業にとって利 潤の増加を意味する。 Copyright © 2004 South-Western 図17-3 独占的競争と完全競争 (a) 独占的競争企業 (b) 完全競争企業 価格 価格 MC MC ATC ATC マークアップ P P = MC P = MR (需要 曲線) 限界費用 MR 0 生産量 需要 生産量 0 生産量=効率的規模 生産量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 図17-3 独占的競争と完全競争 (a) 独占的競争企業 (b) 完全競争企業 価格 Price MC MC ATC ATC マークアップ P P = MC P = MR (需要 曲線) 限界費用 MR 0 生産量 効率的 規模 需要 生産量 0 生産量 = 効率的規模 生産量 過剰生産力 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 独占的競争と社会的厚生 • 独占的競争は、完全競争がもつ全ての望まし い特徴をもっていない。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争と社会的厚生 • 価格が限界費用を上回るマークアップにより 独占的競争には独占価格による死荷重が発 生する。 • しかし、差別化された製品を生産する全ての 企業の価格付けを規制すると、その管理負担 は大変なものになるだろう。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争と社会的厚生 • 独占的競争が社会的に非効率となるかもしれ ないもう一つの点は、市場における企業数が「 理想的」でないかもしれないことである。すな わち、参入が過剰または過少になるかもしれ ない。 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争と社会的厚生 • 参入は二つの外部効果を持つ • 製品多様化の外部性 • ビジネス収奪の外部性 Copyright © 2004 South-Western 独占的競争と社会的厚生 • 製品多様化の外部性: • 消費者が新製品の導入によって何らかの消費者 余剰を得るので、新たな企業の参入は消費者に 対して正の外部性をもたらす。 • ビジネス収奪の外部性: • 新たな競争企業の参入によって他の企業が顧客 と利潤を失うので、新たな企業の参入は既存企業 に対して負の外部性をもたらす。 Copyright © 2004 South-Western 広告 • 企業が差別化された製品を販売し、限界費用 を上回る価格をつけるとき、各企業は自社の 製品により多くの買い手をひきつけるために 広告を行うインセンティブをもつ。 Copyright © 2004 South-Western 広告 • 非常に差別化された消費財を売る企業は典 型的に収入の10%から20%を広告に支出す る。 • アメリカ経済全体でみると、広告支出は企業 収入の総額の約2%を占め、その額はおよそ 2000億ドルになる。 Copyright © 2004 South-Western 広告 • 広告を批判する人たちは、企業が広告を使っ て人々の嗜好を操作していると主張する。 • 広告を批判する人たちは、広告はしばしば消 費者に対して、製品が実物よりもよいものであ ることを暗示することで、競争を妨げると主張 する。 Copyright © 2004 South-Western 広告 • 広告を支持する人たちは、企業が広告を用い て顧客に情報を提供すると主張する。 • 広告を支持する人たちはまた、広告により顧 客は市場にある多様な製品とその価格を知る ことができるため、競争を促進していると主張 する。 • 広告の為の支出を行おうとする企業の意思は 、提供される製品の性質を消費者に伝えるシ グナルともなる。 Copyright © 2004 South-Western ブランド名 • ブランド名を批判する人々は、ブランド名は消 費者に本当は存在しない違いを認識させると 主張する。 Copyright © 2004 South-Western ブランド名 • 経済学者は、ブランド名は消費者に対して購 入する財が高品質であることを保証する有益 な方法とであると主張してきた。 • 品質に関する情報を提供する • 企業に高品質を維持するインセンティブを与える Copyright © 2004 South-Western 要約 • 独占的競争市場は、数多くの企業、差別化さ れた製品、参入の自由という三つの性質によ って特徴づけられる。 • 独占的競争市場の均衡は、完全競争市場の 均衡と二つの点で異なる。第一に、独占的競 争企業は過剰生産能力を持ち、第二に、独占 的競争企業は限界費用を上回る価格をつけ る。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 独占的競争は完全競争の望ましい性質をす べてもっているわけではない。 • 限界費用を上回る価格のマークアップにより 引き起こされる独占に通常みられる死荷重が ある。 • 企業の数は多すぎることも少なすぎることもあ る。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 独占的競争に内在する製品の差別化は、広 告とブランド名の使用につながる。 • 広告とブランド名を批判する人々は、企業は広告 やブランド名を通じて消費者の非合理性を利用し 、競争を弱めると主張する。 • 広告とブランド名を支持する人々は、企業はそれ らを用いて消費者に情報を伝え、価格と製品の品 質についてより活発に競争すると主張する。 Copyright © 2004 South-Western
© Copyright 2024 ExpyDoc