競争市場における企業 Copyright©2004 South-Western 14 競争市場とは何か • 完全な「競争市場」( competitive market )とは 次の特徴をもつ。 • 市場に多数の買い手と多数の売り手が存在する。 • さまざまな売り手によって供給される財がほぼ同 じである。 • 企業の市場への自由な参入と市場からの自由な 退出が可能である。 Copyright © 2004 South-Western 競争市場とは何か • 前述の特徴の結果として、完全競争市場は次 のような結果を生む。 • 市場における単一の(一人の)買い手や売り手の 行動が市場価格に及ぼす影響を無視することが できる。 • それぞれの買い手と売り手は市場価格を所与と みなすのである。 Copyright © 2004 South-Western 競争市場とは何か • 競争市場には、同じ産品を取り扱う多くの買い 手と売り手がいるために、それぞれの買い手 と売り手は価格受容者である。 • 買い手と売り手は市場によって決定された価格を 受け入れる必要がある。 Copyright © 2004 South-Western 競争市場の収入 • 企業の総収入は、販売価格( selling price )に 販売量(quantity sold)を乗じたものに等しい。 TR = (P Q) Copyright © 2004 South-Western 競争企業の収入 • 総収入は生産量に比例する。 Copyright © 2004 South-Western 競争企業の収入 • 平均収入(Average revenue) が教えてくれるの は、典型的な一単位の販売物から企業がどれ だけの収入を得るかである。 • 平均収入は、総収入を販売量で割ったもので ある。 Copyright © 2004 South-Western 競争企業の収入 • 完全競争において、平均収入はその財の価格 に等しい。 Total revenue Average Revenue = Quantity Price Quantity Quantity Price Copyright © 2004 South-Western 競争企業の収入 • 限界収入(Marginal revenue) とは、追加的な1 単位の販売による総収入の変化を表している 。 MR =TR/ Q Copyright © 2004 South-Western 競争企業の収入 • 競争企業にとって、限界収入は財の価格に等 しい。 Copyright © 2004 South-Western 表14-1 競争企業の総収入、平均収入、限界収入 Copyright©2004 South-Western 2 利潤最大化と競争企業の供給曲線 • 競争企業の目標は利潤を最大化することであ る。 • 上記が意味していることは、企業が、総収入と 総費用の差( difference between total revenue and total cost )を最大化するような量を生産し たいということである。 Copyright © 2004 South-Western 表14-2 利潤最大化: 数値例 Copyright©2004 South-Western 図14-1 競争企業の利潤最大化 費用 及び 収入 企業は限界費用と 限界収入が等しくなる 量を生産する ことで利潤を最大化する MC MC2 ATC P = MR1 = MR2 P = AR = MR AVC MC1 0 Q1 QMAX Q2 量 Copyright © 2004 South-Western 利潤最大化と競争企業の供給曲線 • 利潤最大化は、限界収入が限界費用と等しく なる( marginal revenue equals marginal cost ) 量において実現する。 Copyright © 2004 South-Western 利潤最大化と競争企業の供給曲線 • MR > MCのとき、企業は生産量を増やす • MR < MCのとき、企業は生産量を減らす • MR = MCのとき、利潤は最大化される Copyright © 2004 South-Western 図14-2 競争企業の供給曲線としての限界費用曲線 価格 企業の限界費用曲線 のこの部分は、企業の 供給曲線でもある。 MC P2 ATC P1 AVC 0 Q1 Q2 量 Copyright © 2004 South-Western 短期における企業の操業停止の決定 • 操業停止( shutdown )とは、現在の市場条件 が悪い為に一定の期間だけ何も生産しないと いう短期の決定を意味する。 • 退出( Exit ) とは、市場から撤退するという長 期の決定を意味する。 Copyright © 2004 South-Western 短期における企業の操業停止の決定 • 企業は退出を決定する場合には、サンクコスト (埋没費用、 sunk costs)を考慮するが、操業 停止を決定する場合にはサンクコストを無視 する。 • サンクコスト(埋没費用、Sunk costs) とは、す でに投下されて回収できない費用のことであ る。 Copyright © 2004 South-Western 短期における企業の操業停止の決定 • 企業は、生産物の販売によって得られる収入 が、生産の可変費用よりも小さいときに操業を 停止する。 • TR < VCであれば操業停止 • TR/Q < VC/Qであれば操業停止 • P < AVCであれば操業停止 Copyright © 2004 South-Western 図14-3 競争企業の短期の供給曲線 費用 P > ATCであれば、 企業は生産を続け、 利潤を得る。 企業の ’ 短期の供給曲線 MC ATC P > AVCであれば、 企業は短期的には 生産を続ける。 AVC 企業は P<AVC であれば、 操業停止する 0 量 Copyright © 2004 South-Western 短期における企業の操業停止の決定 • 競争企業の短期の供給曲線( short-run supply curve )は、限界費用曲線のうち平均可 変費用よりも上の部分である。 Copyright © 2004 South-Western 長期における企業の産業からの退出および産 業への参入の決定 • 長期的には、企業は生産による収入が総費用 よりも小さければ退出する。 • TR < TCであれば退出 • TR/Q < TC/Qであれば退出 • P < ATCであれば退出 Copyright © 2004 South-Western 長期における企業の産業からの退出および産 業への参入の決定 • 企業は、参入活動が利潤を生むものであれば 、産業に参入する。 • TR > TCであれば参入 • TR/Q > TC/Qであれば参入 • P > ATCであれば参入 Copyright © 2004 South-Western 図14-4 競争企業の長期の供給曲線 費用 企業の長期 ’ 供給曲線 MC = long-run S P>ATC であれば 参入 ATC P<ATC であれば 退出 0 量 Copyright © 2004 South-Western 競争市場における供給曲線 • 競争企業の長期の供給曲線( long-run supply curve )は、限界費用曲線のうち、平均総費用 曲線よりも上の部分である。 Copyright © 2004 South-Western 図14-4 競争企業の長期の供給曲線 費用 MC 企業の長期 ’ 供給曲線 ATC 0 量 Copyright © 2004 South-Western 競争市場における供給曲線 • 短期の供給曲線(Short-Run Supply Curve) • 限界費用曲線のうち、平均可変費用曲線のよりも 上の部分 • 長期の供給曲線(Long-Run Supply Curve) • 限界費用曲線のうち、平均費用曲線のよりも上の 部分 Copyright © 2004 South-Western 図14-5 価格と平均総費用の間の領域としての利潤 (a) 利潤のある企業 価格 MC ATC 利潤 P ATC 0 P = AR = MR Q 利潤最大化量 量 Copyright © 2004 South-Western 図14-5 価格と平均総費用の間の領域としての利潤 (b) 損失のある企業 価格 MC ATC ATC P P = AR = MR 損失 0 Q 損失最小化量 量 Copyright © 2004 South-Western 3 競争市場における供給曲線 • 市場供給は、市場における個別企業によって 供給される生産量の総和に等しい。 Copyright © 2004 South-Western 短期: 企業の数が一定のときの市場供給 • ある一定の価格のもとで、それぞれの企業は 限界費用が価格と等しくなる生産量を供給す る。 • それゆえ、市場供給曲線は、個別企業の限界 費用曲線を反映している。 Copyright © 2004 South-Western 図14-6 企業数が固定されたときの市場供給 (a) 個々の企業の供給 (b) 市場供給 価格 価格 MC Supply $2.00 $2.00 1.00 1.00 0 100 200 量(企業) 0 100,000 200,000 量(市場) Copyright © 2004 South-Western 長期: 参入と退出があるときの市場供給 • 企業は、利潤がゼロになるまで参入と退出を 行なう。 • 長期的には、価格は平均総費用の最小値に 等しくなる。 • 長期市場供給曲線は、この価格において水平 になる。 Copyright © 2004 South-Western 図14-7 参入・退出があるときの市場供給 (a) 企業の利潤がゼロの状態 ’ (b) 市場供給 価格 価格 MC ATC P = minimum ATC 0 供給 量(企業) 0 量(市場) Copyright © 2004 South-Western 長期: 参入と退出があるときの市場供給 • 参入と退出のプロセスの後で、残っている企 業はゼロの経済学上の利潤を得ているはずで ある。 • 参入と退出のプロセスは、価格と平均総費用 が等しくなったときに終了する。 • 長期的な均衡において、企業が効率的規模で 操業している。 Copyright © 2004 South-Western なぜ競争企業は利潤がゼロでも事業を続けるの か • 利潤は、総収入から総費用を引いたものであ る。 • 総費用は、企業の全ての機会費用を含む。 • ゼロ利潤の均衡においては、企業の収入は企 業のオーナーがビジネスを続けていくための 時間と金を補償していなければならない。 Copyright © 2004 South-Western 短期と長期における需要のシフト • 需要の増大は、短期的には価格と量を増加さ せる。 • 価格が平均総費用を上回るので、企業は利潤 をあげる。 Copyright © 2004 South-Western 図14-8 短期と長期における需要の増加 (a) 当初の状態 市場 企業 価格 価格 MC ATC 短期供給, A P1 長期供給 P1 需要 0 量(企業) 0 Q1 量(市場) 図14-8 短期と長期における需要の増加 (b) 短期の反応 市場 企業 価格 Price Profit MC ATC P2 B P2 S1 A P1 長期供給 P1 D2 D1 0 量(企業) 0 Q1 Q2 量(市場) Copyright © 2004 South-Western 図14-8 短期と長期における需要の増加 (c) 長期の反応 市場 企業 価格 価格 MC ATC B P2 S1 S2 C A P1 長期供給 P1 D2 D1 0 量(企業) 0 Q1 Q2 Q3 量(市場) Copyright © 2004 South-Western なぜ長期の供給曲線が右上がりのなりうるのか • 生産に用いられる、ある資源の量に限りがあ る。 • 企業の費用が異なるかもしれない。 Copyright © 2004 South-Western なぜ長期の供給曲線が右上がりのなりうるのか • 限界的な企業 • 限界的な企業( marginal firm )とは、価格がそれ 以下になると市場から退出してしまう企業のことで ある。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 競争企業は価格受容者であるので、その収入 は生産量に比例する。 • 財の価格は企業の平均総費用と限界収入に 等しい。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 利潤を最大化するために、企業は限界収入と 限界費用が等しくなるような生産量を選ぶ。 • すなわち、価格が限界費用と等しくなるような 生産量である。 • それゆえに、企業の限界費用曲線は供給曲 線である。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 企業が固定費用を回収できない短期的におい て、もし財の価格が平均可変費用よりも小さい 場合には、企業は一時的に操業を停止する。 • 企業が固定費用と可変費用の双方を回収で きる長期においては、価格が平均総費用より も小さい場合には退出を行なう。 Copyright © 2004 South-Western 要約 • 自由な参入と退出が可能な市場においては、 利潤は長期的にはゼロになり、全ての企業は 効率的規模でせいさんを行なう。 • 需要の変化は、時間の長さによって異なる影 響をもたらす。 • 長期的には、企業の数は利潤がゼロとなるよ うな市場均衡に戻るように調整される。 Copyright © 2004 South-Western
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