スライド 1

サービス管理責任者研修テキスト
分野別講義
「アセスメントと
支援提供の基本姿勢」
<児童発達支援管理責任者>
平成24年10月4日
(目 次)
1.児童発達支援管理責任者に係る
事業概要
(1)障害児通所支援及び障害児入所支援の
概要
(2)障害児福祉の動向
2.総論
3.支援提供の基本的姿勢
4.支援提供のポイント
5.アセスメントのポイント
6.支援の評価
7.児童発達支援管理責任者と児童相
談支援専門員の関係と役割
8.支援提供プロセスの実際
(1)相談支援時の状況把握
(2)アセスメント
(3)個別支援計画の作成
(4)個別支援計画の実施
(5)中間評価と修正
(6)他機関との連携
(7)就学支援
(8)終了時評価
第2日目午前
講義の進行
9:00
9:30
児童発達
支援管理
(1)
責任者に
係る事業
概論
11:00
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
総 論
支援提供の基本的姿勢
支援提供のポイント
アセスメントのポイント
支援の評価
3時間
11:10
休
憩
(
10
分
)
12:10
(7) 児童発達支援管理責任者
と障害児相談支援専門員
の関係と役割
(8)
(1)児童発達支援管理責任者に係る事業概論 (30分)
・ 研修目標の確認(ガイダンス)
・ 障害児通所支援及び障害児入所支援の概要
・ 最近の動向
・ 児童発達支援管理責任者の役割
(2)総論
(3)支援提供の基本的姿勢
(4)支援提供のポイント
(5)アセスメントのポイント
(6)支援の評価
(7)児童発達支援管理責任者と障害児相談支援専門員の関係と役割
(8)支援提供プロセスの実際
(150分)
支援提供プロセ
スの実際
1.児童発達支援管理管責任者に
係る事業概要
障害児通所支援及び障害児入所支援の概要と
障害児福祉の動向
厚生労働省 社会援護局
障害保健福祉部 障害福祉課
地域移行・障害児支援室
児童発達支援管理責任者研修のポイント
【改正児童福祉法施行に関する知識】
○ 平成24年4月以降の児童分野の制度改革について認識を深め、障害種別の一元化への対応の他、保育
所等訪問支援などの地域生活支援、障害児相談支援事業との連携について認識を深める。
【アセスメント、支援等に関する知識】
○ 適切な発達支援を行うために必要な発達評価(成育歴を含む)について認識を深める必要がある。また、
増加する発達障害児の療育ニーズに対応できるよう発達障害のアセスメント、支援等について、事例を通
じながら認識を深める必要がある。 → 発達の評価方法、活用等について理解を深める。
【発達支援・家族支援・地域支援】
○ 療育は、子どもの発達支援だけでなく家族支援、地域(生活)支援も重要である。障害受容等保護者の心
情に寄り添ったサポート、子どもや家庭のある地域資源へ支援について認識を深める必要がある。 →
障害受容など家族の心理機制について学習するとともに、家族のエンパワメント支援について理解を深める。
また、地域支援の支援も押さえる。の3視点を押さえる。
【関係機関との連携】
○ 児童期は、短期間でライフステージが交代し、関係機関も多岐にわたる。切れ目のない継続的な支援を行
うためには、相談支援専門員をはじめ医療・保健・教育などの多くの関係機関との連携が必要である。 →
切れ目のない継続した支援の必要について、理解を深める。また、連携のカギとなる個別支援会議(移行会
議等)の開催・運営について認識を深める。また、地域の発達支援システム構築について検討する地域自立
支援協議会への参画の重要性について認識を深める。
○ 必要に応じて、児童相談所との連携が必要である。 → 被虐待児童の支援に当たって共通認識を持って
児童の権利擁護を図ることの重要性について理解を深める。
(1)研修目標の確認
児童発達支援管理責任者の役割を理解する。
・アセスメント(ニーズの把握)と課題の整理
・個別支援計画の作成とプロセス管理(モニタリング、
計画修正)
・終了後を意識した取り組み(関係機関との連携)等に
ついて演習を行いながら理解するとともに、
「模擬支援会議」等を通じて、会議運営や児童の支援に
従事する職員に対する指導・助言等についても理解する。
(2) 障害児通所支援及び障害児入所支援の概要
児童発達支援
○ 対象者
■ 療育の観点から集団療育及び個別療育を行う必要があると認められる未就学の障害児。
○ サービス内容
○ 主な人員配置
■ 児童発達支援センター
・児童指導員及び保育士 4:1以上
・児童指導員 1人以上
・保育士 1人以上
・児童発達支援管理責任者 1人以上
■ 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団
生活への適応訓練、その他必要な支援を行う。
■ 児童発達支援センター以外
・指導員又は保育士 10:2以上
・児童発達支援管理責任者 1人以上
○ 報酬単価
■ 基本報酬
■ 児童発達支援センター(利用定員に応じた単位を設定)
・難聴児・重症心身障害児以外
・難聴児 889~1,206単位
729~965単位
重症心身障害児
789~1,138単位
■ 児童発達支援センター以外(利用定員に応じた単位を設定)
・重症心身障害児以外
363~616単位
重症心身障害児
689~1,587単位
■ 主な加算
児童発達支援管理責任者専任加算(22~410単位)
→ 児童発達支援管理責任者を専任で配置している
場合に加算。
延長支援加算(61~123単位)
→ 営業時間が8時間以上であり、営業時
間の前後の時間において支援を行った場
合に加算。
福祉専門職員配置等加算(6又は10単位)
→ ①常勤の児童指導員等のうち、社会福
祉士又は介護福祉士の資格保有者が25%
以上、②児童指導員又は保育士等のうち、
常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の
8
常勤職員が30%以上。
医療型児童発達支援
○ 対象者
■ 肢体不自由があり、理学療法等の機能訓練又は医学的管理下での支援が必要と認められた障害児。
○ サービス内容
○ 主な人員配置
■ 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団
生活への適応訓練、その他必要な支援及び治療を行う。
■ 児童指導員 1人以上
■ 保育士 1人以上
■ 児童発達支援管理責任者
1人以上
○ 報酬単価
■ 基本報酬
■ 医療型児童発達支援センター
・肢体不自由児 329単位
・重症心身障害児 440単位
■ 指定医療機関
・肢体不自由児 329単位
・重症心身障害児 440単位
■ 主な加算
児童発達支援管理責任者専任加算(51単位)
→ 医療型児童発達支援センターにおいて児童発達
支援管理責任者を専任で配置している場合に加算。
延長支援加算(61~123単位)
→ 営業時間が8時間以上であり、営業時
間の前後の時間において支援を行った場
合に加算。
福祉専門職員配置等加算(6又は10単位)
→ ①常勤の児童指導員等のうち、社会福
祉士又は介護福祉士の資格保有者が25%
以上、②児童指導員又は保育士等のうち、
常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の
常勤職員が30%以上。
9
放課後等デイサービス
○ 対象者
■ 学校教育法第1条に規定している学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学しており、授業の終了後又は休業日に支援が必要と認められた障害
児。
○ サービス内容
○ 主な人員配置
■ 授業の終了後又は学校の休業日に、児童発達支援センター等の
施設に通わせ、生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流
の促進その他必要な支援を行う。
■ 指導員又は保育士 10:2以上
■ 児童発達支援管理責任者 1人以上
■ 管理者
○ 報酬単価
■ 基本報酬
■ 授業終了後(利用定員に応じた単位を設定)
・重症心身障害児以外 278~478単位
・重症心身障害児 568~1,309単位
■ 休業日(利用定員に応じた単位を設定)
・重症心身障害児以外 363~616単位
・重症心身障害児 689~1,587単位
■ 主な加算
児童発達支援管理責任者専任加算(68~410単位)
→ 児童発達支援管理責任者を専任で配置している
場合に加算。
延長支援加算(61~123単位)
→ 営業時間が8時間以上であり、営業時
間の前後の時間において支援を行った場
合に加算。
福祉専門職員配置等加算(6又は10単位)
→ ①常勤の児童指導員等のうち、社会福
祉士又は介護福祉士の資格保有者が25%
以上、②児童指導員又は保育士等のうち、
常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の
常勤職員が30%以上。
10
保育所等訪問支援
○ 対象者
■ 保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校、認定こども園その他児童が集団生活を営む施設に通う障害児であって、当該施設を訪問し、専門的
な支援が必要と認められた障害児。
○ サービス内容
■ 保育所等を訪問し、障害児に対して、障害児以外の児童との集
団生活への適応のための専門的な支援その他必要な支援を行う。
○ 人員配置
■ 訪問支援員
■ 児童発達支援管理責任者 1人以上
■ 管理者
○ 報酬単価
■ 基本報酬
906単位
■ 主な加算
児童発達支援管理責任者専任加算(68単位)
利用者負担上限額管理加算(150単位)
→ 児童発達支援管理責任者を専任で配置している場合に加算。
→ 事業所が利用者負担額合計額の管理を行った場合に加算。
11
福祉型障害児入所施設
○ サービス内容
○ 主な人員配置
■ 児童指導員及び保育士
・主として知的障害児又は自閉症児を入所させる施設 4.3:1以上
・主として盲児又はろうあ児を入所させる施設
乳児又は幼児 4:1以上
少年 5:1以上
・主として肢体不自由児を入所させる施設 3.5:1以上
・児童指導員 1人以上
・保育士 1人以上
■ 障害児入所施設に入所する障害児に対して、保護、日常生活の
指導及び知識技能の付与を行う。
■ 児童発達支援管理責任者 1人以上
○ 報酬単価
■ 基本報酬
■ 主として知的障害児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定)
■ 主として自閉症児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定)
■ 主として盲児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定)
437~730単位
562~725単位
413~1,422単位
■ 主としてろうあ児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定)
412~1,412単位
■ 主として肢体不自由児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定)
671~705単位
■ 主な加算
児童発達支援管理責任者専任加算(7~148単位)
→ 児童発達支援管理責任者を専任で配置している
場合に加算。
小規模グループケア加算(240単位)
→ 障害児に対して、小規模なグループに
よるケアを行った場合に加算。
福祉専門職員配置等加算(4又は7単位)
→ ①常勤の児童指導員等のうち、社会福
祉士又は介護福祉士の資格保有者が25%
以上、②児童指導員又は保育士等のうち、
常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の
常勤職員が30%以上
12
医療型障害児入所施設
○ サービス内容
○ 主な人員配置
■ 児童指導員及び保育士
■ 障害児入所施設又は指定医療機関に入所等をする障害児に対
して、保護、日常生活指導及び知識技能の付与並びに治療を行う。
・主として自閉症児を入所させる施設 6.7:1以上
・主として肢体不自由児を入所させる施設
乳児又は幼児 10:1以上
少年 20:1以上
・児童指導員 1人以上
・保育士 1人以上
■ 児童発達支援管理責任者 1人以上
○ 報酬単価
■ 基本報酬
■ 主として自閉症児を入所させる施設
318単位
■ 主として肢体不自由児を入所させる施設
■ 主として重症心身児を入所させる施設
146単位
867単位
■ 主な加算
児童発達支援管理責任者専任加算(24単位)
→ 医療型障害児入所施設において児童発達支援管
理責任者を専任で配置している場合に加算。
小規模グループケア加算(240単位)
→ 障害児に対して、小規模なグループに
よるケアを行った場合に加算。
福祉専門職員配置等加算(4又は7単位)
→ ①常勤の児童指導員等のうち、社会福
祉士又は介護福祉士の資格保有者が25%
以上、②児童指導員又は保育士等のうち、
常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の
常勤職員が30%以上
13
(3)最近の動向
障害児支援施策の見直しの考え方
改革の背景
改革の
方向性
基本的
な視点
少子化社会の進展
障害者自立支援法の施行
特別支援教育の実施
(子育て不安の増加)
(障害者の自立と共生社会の実現)
(一般校での受入れ促進)
発達障害者支援法の施行
(「新たな」障害への対応)
「自立と共生」の子育て
①障害のある子どもの将来の自立を目指し、発達支援や家族支援を通じて「子育て」を支援
②障害のある子どもが、他の子どもと共に「遊び・学び・活動する」共生社会を実現
本人の自立を支援する
ための発達支援
子どものライフステージ
に応じた一貫した支援
できるだけ身近な地域・
一般施策における支援
~サービス提供主体及び行政~
障害児の家族を含めた
トータルな支援
~ライフステージに応じた一貫した支援
~
検討事項
早期発見・早期対応
就学前の支援
学齢期・青年期の支援
家族支援
可能な限り健常児と共に育つ環境へ
行政の実施主体
障害児支援の見直しに関する検討会報告書の概要
(平成20年7月22日)
<見直しの4つの基本的視点>
(1)子どもの将来の自立に向けた発達支援
(2)子どものライフステージに応じた一貫した支援
(3)家族を含めたトータルな支援
(4)できるだけ子ども・家族にとって身近な地域における支援
1.障害の早期発見・早期対応策
○ 医療機関(産科、小児科等)、母子保健、障害児の専門機関等の連携を強化。
○ 「気になる段階」から、保健センター等の身近なところで専門的に支援。
2.就学前の支援策
○ 障害児の専門機関による、保育所等への巡回支援等により、保育所等での受入れをできるだけ促進。
○ 通所施設について、障害種別による区分をなくし、多様な障害の子どもを受入れられるよう検討。
3.学齢期・青年期の支援策
○ 放課後において、子どもの発達に必要な訓練などを実施するものは、放課後型のデイサービスとして
事業実施を検討。
○ 卒業後の地域生活や就労を見据え、夏休み等において体験的に就労事業等を利用。
4.ライフステージを通じた相談支援の方策
○ 市町村を中心として、都道府県や障害児の専門機関が、市町村を支える体制。
○ 地域自立支援協議会(子ども部会の設置)等により関係者の連携を強化。教育と連携した「個別の支
援計画」づくり。
5.家族支援の方策
○ 心理的なカウンセリング、養育方法の支援等を検討。
○ ショートステイの充実等により、家族の負担感を軽減。
6.入所施設の在り方
○ 障害の重複化等を踏まえれば、基本的な方向としては、一元化を図っていくことが適当。その際、それ
ぞれの施設の専門性を維持していくことが可能となるよう配慮。
○ 子どもから大人にわたる支援の継続性を確保しつつ、満18歳以上の入所者は、障害者施策として対
応することを検討。その際、支援の継続のための措置や、現に入所している者が退所させられることが
ないようにするなど配慮が必要。
○ 特に、重症心身障害児施設については、更に、児者一貫した支援の継続性が保たれるよう、小児神経
科医等が継続して関われるようにするなど、十分な配慮が必要。
7.行政の実施主体
○ 通所については、在宅の支援施策等との関係から、市町村とする方向で検討。
○ 入所については、当面は都道府県。(この場合、市町村の関与を現状より強めることが適当。また、将
来的には、市町村とすることを検討。)
※ 検討会報告では3案が併記されたが、障害者部会報告において、上記の案となった。
○ 障害児施設の利用(措置・契約)については、現行制度を基本にさらに検討。措置と契約について全国
的に適切な判断が行われるよう、ガイドラインを作成。
8.法律上の位置付けなど
○ 保育所等の一般施策との連携の観点から「児童福祉法」に位置付けることを基本とすべき。
障害児のライフステージに応じた支援
※「保育指導要録」を小学校に送付
新保育所保育指針(21.3.28)
保健センター
(早期発見・
早期対応)
小学校
保育所
幼稚園
中学校
高校
放課後児童
クラブ
連携による支援
保育所等訪問支援
放課後等デイサービス
児童発達支援
障害児入所支援
在宅サービス(ホームヘルプ、ショートステイなど)
個別支援計画の作成・支援会議の開催による一貫した支援
・ 個別の支援計画を作成し、関係者の連携により支援を行う。
・ 特に、障害の発見時、入学、進学、卒業時等の節目において支援。
就
労
・
地
域
に
お
け
る
自
立
障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの
間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律の概要
① 趣旨
公布日施行
- 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間における障害者等の
地域生活支援のための法改正であることを明記
② 利用者負担の見直し
平成24年4月1日までの政令で定める日(平成24年4月1日(予定))から施行
- 利用者負担について、応能負担を原則に
- 障害福祉サービスと補装具の利用者負担を合算し負担を軽減
③ 障害者の範囲の見直し
公布日施行
- 発達障害が障害者自立支援法の対象となることを明確化
④ 相談支援の充実
- 相談支援体制の強化
原則として平成24年4月1日施行(予定)
市町村に基幹相談支援センターを設置、「自立支援協議会」を法律上位置付け、
地域移行支援・地域定着支援の個別給付化
- 支給決定プロセスの見直し(サービス等利用計画案を勘案)、サービス等利用計画作成の対象者の大幅な拡大
⑤ 障害児支援の強化
平成24年4月1日施行
- 児童福祉法を基本として身近な地域での支援を充実
(障害種別等で分かれている施設の一元化、通所サービスの実施主体を都道府県から市町村へ移行)
- 放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の創設
- 在園期間の延長措置の見直し 18歳以上の入所者については、障害者自立支援法で対応するよう見直し。
その際、現に入所している者が退所させられることのないようにする。
平成24年4月1日までの政令で定める日
(平成23年10月1日(予定))から施行
⑥ 地域における自立した生活のための支援の充実
- グループホーム・ケアホーム利用の際の助成を創設
- 重度の視覚障害者の移動を支援するサービスの創設(同行援護。個別給付化)
(その他)(1)「その有する能力及び適性に応じ」の削除、(2)成年後見制度利用支援事業の必須事業への格上げ、
(3)児童デイサービスに係る利用年齢の特例、(4)事業者の業務管理体制の整備、
(5)精神科救急医療体制の整備等、(6)難病の者等に対する支援・障害者等に対する移動支援についての検討
(1)(3)(6):公布日施行
(2)(4)(5):平成24年4月1日ま
での政令で定める日(平成
24年4月1日(予定))から施
行
18
障害児支援の強化~平成24年4月1日~
○ 障害のある児童が身近な地域で適切な支援が受けられるようにするとともに、併せて、
年齢や障害特性に応じた専門的な支援が提供されるよう質の確保を図る。
■障害児施設の一元化
障害種別で分かれている現行の障害児施設を、通所による支援を「障害児通所支援(児童発達支援
等)」、入所による支援を「障害児入所支援(障害児入所施設)」にそれぞれ一元化
■障害児通所支援の実施主体を市町村へ移行
通所サービスの実施主体は身近な市町村に変更。これにより障害者自立支援法の居宅サービスと通所
サービスの一体的な提供が可能。
■放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の創設
学齢児を対象としたサービスを創設し、放課後支援を充実。また、障害があっても保育所等の利用がで
きるよう訪問サービスを創設。
■在園期間の延長措置の見直し
18歳以上の障害児施設入所者に対し自立支援法に基づく障害福祉サービスを提供し、年齢に応じた
適切な支援を提供。
*現に入所していた者が退所させられないようにする。
19
障害児施設・事業の一元化 イメージ
○ 障害児支援の強化を図るため、現行の障害種別ごとに分かれた施設体系について、通所・入所の利用
形態の別により一元化。
<< 障害者自立支援法 >>
【市町村】
<< 児童福祉法 >>
【市町村】
児童デイサービス
<< 児童福祉法 >>
障害児通所支援
【都道府県】
知的障害児通園施設
難聴幼児通園施設
肢体不自由児通園施設(医)
通
所
サ
ー
ビ
ス
・児童発達支援
・医療型児童発達支援
・放課後等デイサービス
・保育所等訪問支援
重症心身障害児(者)通園事業(補助事業)
知的障害児施設
第一種自閉症児施設(医)
第二種自閉症児施設
盲児施設
ろうあ児施設
肢体不自由児施設(医)
肢体不自由児療護施設
重症心身障害児施設(医)
【都道府県】
入
所
サ
ー
ビ
ス
障害児入所支援
・福祉型障害児入所施設
・医療型障害児入所施設
(医)とあるのは医療の提供を
行っているもの
20
児童発達支援の概要
○ 従来の各障害別に分かれていた障害児通園施設・事業については、「児童発達支援」に一元化し、様々
な障害があっても身近な地域で適切な支援が受けられるようにする。
○ 児童発達支援には、従来の事業形態等を踏まえて、①児童福祉施設として位置づけられる児童発達支
援センター、②その他の児童発達支援事業の2類型。
1.各障害別から3障害対応
・身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童 (発達障害児を含む)
*手帳の有無は問わず、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象
・障害特性へのきめ細かい配慮を行いつつ、様々な障害を受け入れ通所支援を提供
*3障害対応を原則とするが、障害の特性に応じた支援の提供も可能
2.地域支援体制の強化
(1)児童発達支援センター
(2)児童発達支援事業
◆ 通所支援のほか、身近な地域の障害児支援の拠点とし
て、
①地域にいる障害児や家族への支援、
②地域の障害児を預かる施設に対する支援を実施
するなどの地域支援を実施
◇ 専ら通所利用の障害児に対する支援を行う身近な療
育の場として位置づけ
◆ 関係機関等と連携を図りながら重層的な支援を提供す
るとともに、児童発達支援事業との支援ネットワークを形
成するなど、地域支援体制を強化
◇ 児童発達支援センターとの支援ネットワークにより地
域をカバー(児童発達支援センターからの支援等によ
り質も向上)
◇ 児童発達支援センターよりも緩やかな実施基準とし、
児童発達支援事業の設置を促進
3.小規模ニーズへの対応
利用定員を10人以上
(*重症心身障害児(者)通園事業からの移行の児童発達支援事業の場合は5人以上)
21
児童発達支援センターを中核とした地域支援体制の強化(例)
児童発達支援センターが障害児支援のノウハウを広く提供することにより、身近な地域で障害児を預かる施設の質の担保と量
的な拡大に繋がることを期待。
都
道
府
県
障
害
保
健
福
祉
圏
域
・高度な専門的支援・
バックアップ
児童相談所
医療機関
障害児入所施設
※医療的ケアを含む
・関係機関等と連携
協力によ る支援
機能の強化
連携・協力
障害保健福
祉圏域~市
町村に
1~2カ所
・障害児への通所
支援を提供
連携・協力
保健所
児童発達支援
センター
保育所等
訪問支援
保育所等
〔地域との関係〕
相談支援
学校、特別支援
学校
放課後等デイ
放課後
サービス
等デイサービス
専門的支援のノウハウ提供(支
援方法の共有・
支援ネットワーク)
児童発達
支援事業
相談支援事業所
<障害児支援利用計画の作成>
・地域支援の提供
(児童発達支援事業
や保育所等に対す
る専門的支援)
障害児等療育支援事業
(*医療型含む)
集団生活への適応支援
《個別給付》
市
町
村
域
連携・協力
発達障害者
支援センター
児童発達
支援事業
個々の状況に合ったサービス
利用を可能とする
児童発達
支援事業
障害児
保育所等
22
重症心身障害児(者)通園事業の法定化
○ 今般の児童福祉法の改正により、従来、国庫補助事業で実施してきた「重症心身障害児(者)通園事業」に
ついては、「児童発達支援」として法定化。
○ また、重心通園事業は、18歳以上の障害者も利用していることから、引き続き支援を提供するためには、
併せて障害福祉サービス(生活介護)の指定をとることが必要。
○ そのため、法定化に当たっては、円滑な移行を考慮し、
①小規模な実施形態に配慮、②児者一体的な支援を継続できるよう特例措置
*利用者には、支給決定に当たって、本人の申出により障害程度区分の判定等の手続きを省略して支給決定を行う経過措置がある。
■ 児童発達支援と生活介護を一体的に実施することが
可能
【現行】
児童発達支援
重症心身障害児(者)通
園事業
①重症心身障害児施設等併設・
専用スペース型(A型)
定員15人
②既存施設内実施型(B型)
定員5人を標準
*重症心身障害児・者が利用
生活介護
法
定
化
①従来の多機能型事業所による実施、又は小規模な実態を考慮
し、②児童発達支援と生活介護の指定を同時に受ける特例措置
(*)により実施。
*①定員は児・者の合計、②職員・設備について兼務・共
用を可
※障害福祉サービスの指定基準を満たさなくても指定を
取ることが可能
*児童発達支援の最低定員を5人以上と設定。生活介護も
5人以上で実施可能。
児
者
一
体
的
な
支
援
を
継
続
23
放課後等デイサービスの概要
○ 事業の概要
・ 学校通学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力向上の
ための訓練等を継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害児の自立を促進すると
と もに、放課後等の居場所づくりを推進。
○ 対象児童
○ 利用定員
学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障害児
(*引き続き、放課後等デイサービスを受けなければその福祉を損なうおそれが
あると認めるときは満20歳に達するまで利用することが可能)
D特別支援学校
A特別支援学校
※児童デイサービスからの移行を考
慮
○ 提供するサービス
◆ 学校授業終了後又は休業日において、生活
能力の向上のために必要な訓練、社会との交
流の促進等
放課後等デイサービス
事業所
①自立した日常生活を営むために必要な訓練
②創作的活動、作業活動
③地域交流の機会の提供
④余暇の提供
◎放課後利用
◎夏休み等の長期休暇利用
・ 午前・午後クラスなど、プロ
グラムの工夫
◆ 学校との連携・協働による支援(学校と放課後
等デイサービスのサービスの一貫性)
◎学校と事業所間の送迎
B小学校
10人以上
C中学校
24
保育所等訪問支援の概要
○ 事業の概要
・ 保育所等を現在利用中の障害児、又は今後利用する予定の障害児が、保育所等における集
団生活の適応のための専門的な支援を必要とする場合に、訪問支援を実施することにより、保
育所等の安定した利用を促進。
○ 対象児童
保育所や、児童が集団生活を営む施設に通う障害児
*「集団生活への適応度」から支援の必要性を判断
*発達障害児、その他の気になる児童を対象
個別給付の
ため障害受
容が必要
相談支援事業や、スタッフ支援を行う障
害児等療育支援事業等の役割が重要
○ 訪問先の範囲
集団生活への
適応支援
A保育所
集団生活への
適応支援
A幼稚園
・ 小学校、特別支援学校
児童発達支援センター
事業
集団生活への
適応支援
保育所等訪問支援
B幼稚園
・ 保育所、幼稚園、認定こども園
集団生活への
適応支援
・ その他児童が集団生活を営む施
設として、地方自治体が認めたも
の
B保育所
○ 提供するサービス
◆ 障害児が集団生活を営む施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な
支援等
①障害児本人に対する支援(集団生活適応のための訓練等)
②訪問先施設のスタッフに対する支援(支援方法等の指導等)
◆ 支援は2週に1回程度を目安。障害児の状況、時期によって頻度は変化。
◆ 訪問支援員は、障害児施設で障害児に対する指導経験のある児童指導員・保育士(障害の特性に応じ専門的な支援が
必要な場合は、専門職)を想定。
25
障害児入所支援の概要
○ 従来の各障害別に分かれていた障害児入所施設については、「障害児入所施設」として一元化し、重複
障害等への対応の強化を図るとともに、自立に向けた計画的な支援を提供。
○ 障害児入所施設には、従来の事業形態等を踏まえて、①福祉型障害児入所施設、②医療を併せて提供
する医療型障害児入所施設の2類型。
1.各障害別から3障害対応
・ 身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
*手帳の有無は問わず、児童相談所、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象
*3障害対応を原則とするが、障害の特性に応じた支援の提供も可能(ただし、医療型の対象は、知的障害児、肢体不自由児、重症心身障害児)
2.様々な障害や重複障害等への対応
福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設
◆ 従来の障害種別の施設と同等の支援を確保するとともに、主たる対象とする障害以外の障害を受け入れた場合に、そ
の障害に応じた適切な支援を提供(医療型は、このほか医療を提供)
◆ 18歳以上の障害児施設入所者は、障害者施策(障害者自立支援法の障害福祉サービス)で対応することとなることを
踏まえ、自立(地域生活への移行等)を目指した支援を提供。
*重症心身障害児施設は、重症心身障害の特性を踏まえ児者一貫した支援の継続が可能
3.18歳以上の障害児施設入所者への対応
・ 障害者自立支援法の障害福祉サービスにより年齢に応じた適切な支援を提供。
* 障害福祉サービスの指定を受ける。現に入所していた者が退所させられないようにするため、指定に当たっての特例措置を講ずる。
*ただし、引き続き、入所支援を受けなければその福祉を損なうおそれがあると認めるときは、満20歳に達するまで利用することが可
能。
26
○ 福祉型障害児入所施設について
福祉型障害児入所施設は、重度・重複化への対応や障害者施策に繋ぐための自立支援の機能を強化するな
ど、支援目標を明確化し、個別支援計画を踏まえた支援の提供を目指す。
【見直し前】
《法律上》保護、日常生活の指導、知識技能の付与
【24年4月】
障害の程度
軽
障害児入所
施設
盲ろうあ児
施設
肢体不自由児 児
童
療護施設
※昼夜分離せず
施設内完結型
サービス
※年齢の区分が
曖昧なサービス
重
個別支援計画の作成
知的障害児
施設
※保護を目的とし
たサービス
-支援目標を明確化-
・福祉型
児
童
福
祉
法
福
祉
法
法
18歳(20
歳※)以上
の入所者
障
害
者
自
立
支
援
法
専門機能の強化
自立(地域生活
移行)のための支援
障
害
者
施
策
に
繋
ぐ
支
援
年
齢
・知的障害、盲ろうあ、
肢体不自由など、障
害の特性に応じて提
供
・重度・重複障害児、被虐
待児等への対応
居住環境の整備
○障害者施策による対応
地域生活移行
グループホーム・
ケアホームの利
用
(※)支援がなければ福祉を損なうおそれがあると認められるとき
〔例〕
昼夜分離したサービス
施設入所支援
生活介護等
27
○ 医療型障害児入所施設について
医療型障害児入所施設においては、専門医療と福祉が併せて提供されている現行の形態を踏まえ、専門性
を維持するか、又は複数の機能を併せ持つことも可。また、支援内容について、障害者施策に繋げる観点から
見直 し、個別支援計画を踏まえた支援の提供を目指す。
《法律上》保護、日常生活の指導、知識技能の付与及び治療
重症心身障害児
自閉症児支援
肢体不自由児支援
支援
【24年4月】
【見直し前】
第1種自閉症児
施設
障害児入所
施設
肢体不自由児
施設
重症心身障害 児
童
児施設
※保護を目的とし
たサービス
・医療型
※年齢の区分が
曖昧なサービス
・精神科医療
・強度行動障害へ
の対応
・リハビリ科医療
○障害者施策に繋ぐための支援
個別支援計画の作成
18歳(20
歳※)以上
の入所者
障
害
者
自
立
支
援
法
(※)支援がなければ福祉を損なう
おそれがあると認められるとき
○障害者施策による対応
昼夜分離したサービス
施設入所支援
〔例〕
生活介護等
・継続的な長期療育
・短期訓練
・母子入園(通園)
福
祉
法
法
※昼夜分離せず
施設内完結型
サービス
児
童
福
祉
法
○専門機能の強化
・自閉症、肢体不自由、重症心身障害など、障害の特性に応じて提供、
重度・重複障害児等への対応
・専門医療の提供
連
携
医
療
機
関
療養
介護
児
者
一
貫
し
た
支
援
個
別
支
援
計
画
の
作
成
・できる限り日中活動
サービス提供
※専門性を維持、又は複数の機能を有することも可
28
(参考)重症心身障害児施設の対応
○ 重症心身障害児施設の18歳以上の入所者についても、同様に障害福祉サービス(療養介護)により対応
することとなるが、重症心身障害児者に対しては、成長した後でも本人をよく知る職員が継続して関わるなど、
児者一貫した支援が望ましいことから、重症心身障害児施設からの移行については、次のような特例的な
取扱いも可能。
■ 医療型障害児入所施設と療養介護を一体的に実施することが可能
「医療型障害児入所施設」と「療養介護」の両方の指定を同時に受ける。
<一体的な事業運営>
医療型障害児入所施設
療養介護
(児童福祉法)
(障害者自立支援法)
①定員は児・者の合計、②職員・設備について兼務・共用を可
※障害福祉サービスの指定基準を満たさなくても指定を取ることが
可能
児
者
一
貫
し
た
支
援
の
確
保
(※)重症心身障害者に対して、年齢・状態に応じて適切な日中活動をできる限り提供するよう努力。
また、重症心身障害児者に対する在宅生活支援(短期入所など)にも積極的に対応することが望まれる。
29
18歳以上の障害児施設入所者への対応
○ 18歳以上の入所者がいる障害児施設は、「障害児施設として維持」、「障害者施設への転換」、「障害児
施
設と障害者施設の併設」の3タイプから施設の方向性を選択。
○ 入所者が退所させられることがないよう、障害福祉サービスの指定を受ける必要があるが、指定に当たっ
ての特例措置を講ずる。
*利用者には、支給決定に当たって、本人の申出により障害程度区分の判定等の手続きを省略して支給決定を行う経過措置がある。
【方向性】
都道府県
【事業者指定の特例措置(案)】
○ 障害児のみを対象
障
害
児
入
所
施
設
市町村
都
道
府
県
・
市
町
村
と
協
議
し
て
決
定
施
設
の
在
り
方
・
支
援
方
法
等
障害児施設
として維持
○ 18歳以上の入所者は、地域生活への
移行のための計画的な支援を受ける。
① グループホーム、ケアホームなどを利用
② 地域の障害者施設へ移行
○ 障害者のみを対象
障害者施設
への転換
障害児施設
と
障害者施設
の併設
(*障害児の入所枠は廃止)
○ 障害者は障害福祉サービスの提供を
受ける。
○ 施設の併設(*障害児及び障害者を対象)
■ 施行後直ちに障害福祉サービス
の指定基準を満たすことが困難な
場合があることから、障害福祉サー
ビスの指定基準を満たさな くても、
従来の障害児施設の基準を満たす
ならば障害福祉サービスの指定を
受けることが可能。
■ この特例措置は、事業者指定の
有効期間(6年間)までとし、各施設
は6年間の間に、方向性を踏まえた
必要な取組を行う。
○ 障害者は障害福祉サービスの提供を
受ける。
30
発達障害者支援体制整備事業
乳幼児期から成人期における各ライフステージに対応する一貫した支援を行うための支援関係機関のネットワークを構築す
るとともに、市町村における個別の支援計画の実施状況調査及び評価や、適切な助言等を行うことにより、支援体制の整備を
行う。
さらに、ペアレントメンターの養成とその活動をコーディネートする者の配置や、発達障害特有のアセスメントツールの導入を
促進する研修会の実施等により、発達障害児(者)及びその家族に対する支援体制の一層の強化を図る。
厚生労働省
文部科学省
協働で実施
(特別支援教育総合推進事業)
【都道府県・指定都市】
【調査・評価】
市町村の支援体制の
状況調査・評価
【市町村支援体制の強化】
市町村サポートコーチの配置
検討委員会
●県内の状況
●支援ニーズ
●体制整備の状況等の把握
【家族支援体制整備 】
●ペアレントメンターコーディネーターの配置
●ペアレントメンターの養成
【早期発見・連携・アセスメントの強化】
●アセスメントツール の導入促進
●早期発見・連携強化の研修の実施
連携
【市町村】
保健
医療
福祉
関係機関等のネットワークの構築
教育
労働
専門機関
としての
支援
その他
◆早期発見・早期発達支援体制の構築
◆個別の支援計画の作成と支援
◆ペアレントメンターの活用等による家族支援
等
発達障害者支援センター
精神保健福祉センター
児童相談所
医療機関 等
発達障害者支援センター運営事業
各都道府県・指定都市に設置する発達障害者支援センターにおいて、発達障害児(者)またはその家族など
に対して、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などを行う。
※66/67(都道府県・政令指定都市)で設置〔相模原市は平成24年10月開設〕
厚生労働省
補助
●相談支援
(来所、訪問、電話等による相談)
都道府県・指定都市
直接実施
又は委託(社会福祉法人等)
※平成22年3月31日より医療法人,地方
独立行政法人も可
実施
●発達支援
支援
(個別支援計画の作成・実施、
夜間等の緊急時の一時保護等)
●就労支援
関係施設・関係機関
(就労に向けての相談等)
※対象:発達障害児(者)のみ
連携
発達障害者支援センター
●普及啓発
(パンフレット等による理解の促進)
○障害者自立支援法第78条に規定
される専門性の高い相談支援事業
○自閉症児施設等へ附置(原則)
※相談支援等に関する知見の活用、
夜間緊急時での対応等のため
発達障害児(者)
・家族
●研修
(関係機関、民間団体等への研修)
(関係施設)
障害児入所施設 障害者支援施設 等
(関係機関)
保健所、医療機関、福祉事務所、
児童相談所、知的障害者更生相談所
保育所、学校、公共職業安定所
地域障害者職業センター、企業 等
巡回支援専門員整備事業
発達障害等に関する知識を有する専門員(※)が、保育所等の子どもやその親
が集まる施設・場を巡回し、施設のスタッフや親に対し、障害の早期発見・早期対応のた
めの助言等の支援を行う。
※ 「発達障害等に関する知識を有する専門員」
・医師、児童指導員、保育士、臨床心理技術者、作業療法士、言語聴覚士等で発達障害に関する知識を有する者
・障害児施設等において発達障害児の支援に現に携わっている者
・学校教育法に基づく大学において、児童福祉、社会福祉、児童学、心理学、教育学、社会学を専修する学科又は
これに相当する課程を修めて卒業した者であって、発達障害に関する知識・経験を有する者
○専門員は、秩父学園で実施している発達障害に関する研修や地域の発達障害者支援センター等が実施する研
修等を受講し、適切な専門性の確保を図る。
【予算カ所数:平成23年度:66か所→平成24年度:113か所】
【市町村】
つどいの広場
福 祉
児童館
保 健
1歳6ヶ月
3歳児健診
医 療
巡回相談
保育所
教 育
幼稚園
児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携の一層の推進について(概要)
(平成24年4月18日付厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課連名通知)
◆ 趣旨
学校と障害児通所支援を提供する事業所や障害児入所施設、居宅サービスを提供する事業所(以下「障害児
通所支援事業所等」という。)が緊密な連携を図るとともに、学校等で作成する個別の教育支援計画及び個別の
指導計画(以下「個別の教育支援計画等」という。)と障害児相談支援事業所で作成する障害児支援利用計画
及び障害児通所支援事業所等で作成する個別支援計画(以下「障害児支援利用計画等」という。)が、個人情報
に留意しつつ連携していくことが望ましい。
◆ 留意事項
1 相談支援
障害児支援利用計画等の作成を担当する相談支援事業所と個別の教育支援計画等の作成を担当する学校
等が密接に連絡調整を行い、就学前の福祉サービス利用から就学への移行、学齢期に利用する福祉サービ
スとの連携、さらには学校卒業に当たって地域生活に向けた福祉サービス利用への移行が円滑に進むよう、
保護者の了解を得つつ、特段の配慮をお願いする。
2 障害児支援の強化
(1) 保育所等訪問支援の創設
このサービスが効果的に行われるためには、保育所等訪問支援の訪問先施設の理解と協力が不可欠で
あり、該当する障害児の状況の把握や支援方法等について、訪問先施設と保育所等訪問支援事業所、保護
者との間で情報共有するとともに、十分調整した上で、必要な対応がなされるよう配慮をお願いする。
(2) 個別支援計画の作成
障害児通所支援事業所等の児童発達支援管理責任者と教員等が連携し、障害児通所支援等における
個別支援計画と学校における個別の教育支援計画等との連携を保護者の了解を得つつ確保し、相乗的な
効果が得られるよう、必要な配慮をお願いする。
34
重症心身障害児者の地域生活モデル事業〔新規〕
【平成24年度予算額 24百万円】
重症心身障害児者及びその家族が安心、安全に地域でいきいきと暮らせるよう、効果的なサービスの利用や医療、保健、福祉、
教育等の関係施設・機関の連携の在り方等について、先進的な取り組みを行う団体等に対して助成を行い、あわせて地域住民に
対する理解促進や障害福祉サービス事業所等に対する支援を行うことにより、重症心身障害児者に対する地域支援の向上を図る
。
有
識
者
等
の
検
討
会
に
よ
る
指
導
・
助
言
等
医療
保健
福祉
関係機関等とのネットワークの構築
教育
その他
実施主体(団体等)
〔公募により選定〕
重症心身障害児者及びその家族が地域でいき
いきと暮らせるような体制整備の実施
本人・家族への支援
● 総合的な調整をする
コーディネーターの配置
● 総合的モデル事業の実
施
障害福祉サービス
事業所等に対する支援
● 重症心身障害に関する
支援方法の指導、助言、
専門研修等の実施
地域住民に対する
理解促進
● 重症心身障害に関す
る講演会等の実施
平成24年度重症心身障害児者の地域生活モデル事業
実施団体名簿
法人名
施設名
所在地
社会福祉法人
北海道療育園
医療型障害児入所施設
北海道療育園
北海道旭川市春光台
4条10丁目
江口 武
独立行政法人
国立病院機構
下志津病院
千葉県四街道市鹿渡
934-5
末石 眞
社会福祉法人
全国重症心身障害児
(者)を守る会
あけぼの学園(児童発達
支援事業・生活介護事
東京都世田谷区三宿
業)及び重症心身障害児 2-30-9
療育相談センター
北浦 雅子
社会福祉法人
甲山福祉センター
西宮すなご医療福祉セ
ンター
兵庫県西宮市武庫川
町2-9
村田 良輔
福岡県久留米市日吉
町115
柄澤 秀一
特定非営利活動法人久
留米市介護福祉サービス
事業者協議会
代表者名
「療養通所介護」と「主に重症心身障害児者を通わせる児童発達支援等」の指定基準の概要
「療養通所介護」と「主に重症心身障害児・者を通わせる児童発達支援等」の指定基準の概要
主に重症心身障害児・者を通わせる児童発達支援等
項
目
療養通所介護
主に重症心身障害児を通わせる児童発達支 主に重症心身障害者を通わせる生活介護事
援・放課後等デイサービス
定
員
管 理 者
嘱 託 医
人
員
配
従 業 者
置
9名以下(H24.4~)
5名以上
(最大利用可能人数であり、職員配
置を求める定員ではない)
(左記定員のうち上記定員を設定可能)
1名(看護師:兼務可)
1名(左記との兼務可)
-
業
(上記定員に満たない場合は、左記定員を上限として要介護者の受入が可能)
1名(特に要件なし)
看護師又は介護職員
・児童指導員又は保育士1以上
・生活支援員
(利用人数に応じて1.5:1の職員
を配置)
(定員内で利用者外の者を受け入れ
る場合、利用者合計数に応じて
1.5:1を満たす配置が必要)
・看護師1以上
・看護職員
・機能訓練担当職員1以上
・理学療法士又は作業療法士(実施する場合)
提供時間帯を通じて配置
上記職員の総数は、障害程度区分毎に規定
(例:平均区分5以上の場合、3:1)
(左記と一体的に配置することが可能)
支援管理責任者
設
備
-
・専用部屋(6.4 ㎡/人)
・必要な設備(兼用可)
児童発達支援管理責任者1名
サービス管理責任者1名
(管理職との兼務可能。専任加算あり)
(管理者及び左記との兼務可能)
指導訓練室の他、必要な設備(左記と兼用可)
※
※
主に重症心身障害児・者を通わせる場合、児童発達支援及び放課後等デイサービス、生活介護を一体的に運営することが可能。
主に重症心身障害児・者を通わせる場合、療養通所介護事業の人員基準に規定のない「児童指導員又は保育士」と「児童発達支援管理責任者」又
は「サービス管理責任者」の配置が必要。
「児童発達支援管理者」又は「サービス管理責任者」は、管理者との兼務が可能。
※「機能訓練担当職員」は理学療法士又は作業療法士でなくても可能。
「生活支援員」は特に資格要件なし。
児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移
○ 全国の児童相談所における児童虐待に関する相談件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、平成21年度
においては3.8倍に増加。
50,000
45,000
40,639
37,323
40,000
26,569
23,274 23,738
30,000
25,000
17,725
20,000
11,631
15,000
5,000
44,211
33,408 34,472
35,000
10,000
42,664
4,102 5,352
2,722
1,101 1,171 1,372 1,611 1,961
6,932
0
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
○ 児童虐待によって子どもが死亡した件数(心中以外)は、高い水準で推移。
第1次報告
第2次報告
第3次報告
第4次報告
(H15.7.1~H15.12.31) (H16.1.1~H16.12.31) (H17.1.1~H17.12.31) (H18.1.1~H18.12.31)
例
数
人
数
第5次報告
(H19.1.1~H20.3.31)
第6次報告
(H20.4.1~H21.3.31)
心中
以外
心中
計
心中
以外
心中
計
心中
以外
心中
計
心中
以外
心中
計
心中
以外
心中
計
心中
以外
心中
計
24
-
24
48
5
53
51
19
70
52
48
100
73
42
115
64
43
107
25
-
25
50
8
58
56
30
86
61
65
126
78
64
142
67
61
128
※ 第1次報告から第6次報告までの子ども虐待による死亡事例等の検証結果報告より
39
児童相談所における虐待相談の内容別件数の推移
○ 平成21年度においては、身体的虐待が39.3%で最も多く、次いでネグレクトが34.3%となっている。
平成11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
身体的虐待
5,973( 51.3%)
8,877( 50.1%)
10,828( 46.5%)
10,932( 46.1%)
12,022( 45.2%)
14,881( 44.6%)
14,712( 42.7%)
15,364( 41.2%)
16,296( 40.1%)
16,343( 38.3%)
17,371( 39.3%)
ネグレクト
3,441( 29.6%)
6,318( 35.6%)
8,804( 37.8%)
8,940( 37.7%)
10,140( 38.2%)
12,263( 36.7%)
12,911( 37.5%)
14,365( 38.5%)
15,429( 38.0%)
15,905( 37.3%)
15,185( 34.3%)
性的虐待
590( 5.1%)
754( 4.3%)
778( 3.3%)
820( 3.5%)
876( 3.3%)
1,048( 3.1%)
1,052( 3.1%)
1,180( 3.2%)
1,293( 3.2%)
1,324( 3.1%)
1,350( 3.1%)
心理的虐待
1,627( 14.0%)
1,776( 10.0%)
2,864( 12.3%)
3,046( 12.8%)
3,531( 13.3%)
5,216( 15.6%)
5,797( 16.8%)
6,414( 17.2%)
7,621( 18.8%)
9,092( 21.3%)
10,305( 23.3%)
総 数
11,631(100.0%)
17,725(100.0%)
23,274(100.0%)
23,738(100.0%)
26,569(100.0%)
33,408(100.0%)
34,472(100.0%)
37,323(100.0%)
40,639(100.0%)
42,664(100.0%)
44,211(100.0%)
身体的虐待
ネグレクト
性的虐待
心理的虐待
総 数
45,000
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
平成11年度平成12年度平成13年度平成14年度平成15年度平成16年度平成17年度平成18年度平成19年度平成20年度平成21年度
40
児童養護施設入所児童等の状況
児童養護施設入所児童等調査結果(平成20年2月1日現在)
児童の心身の状況については、里親委託児、養護施設児、情緒障害児、自立施設児、乳児院児及び母子施設児において
「障害等あり」の割合が、それぞれ18.0%(前回12.6%)、23.4%(前回20.2%)、70.7%(前回59.5%)、35.4%(前回27.3%)、
32.3%(前回30.4%)、16.3%(前回12.5%)となっており、いずれも増えている。
総 数
障害等
あ り
身 体
虚 弱
肢 体
不自由
視聴覚
障 害
言 語
障 害
障害等あり内訳(重複回答)
知 的
て ん
ADHD
障 害
か ん
LD
広汎性発達
障害
その他の
障害等
里親委託児
3,611
100.0%
649
18.0%
95
2.6%
25
0.7%
34
0.9%
27
0.7%
239
6.6%
26
0.7%
55
1.5%
18
0.5%
74
2.0%
150
4.2%
養護施設児
31,593
100.0%
7,384
23.4%
753
2.4%
131
0.4%
246
0.8%
411
1.3%
2,968
9.4%
391
1.2%
791
2.5%
343
1.1%
815
2.6%
2,314
7.3%
情緒障害児
1,104
100.0%
781
70.7%
7
0.6%
5
0.5%
3
0.3%
4
0.4%
118
10.7%
23
2.1%
131
11.9%
35
3.2%
186
16.8%
496
44.9%
自立施設児
1,995
100.0%
707
35.4%
19
1.0%
6
0.3%
11
0.6%
11
0.6%
186
9.3%
31
1.6%
179
9.0%
63
3.2%
146
7.3%
263
13.2%
乳児院児
3,299
100.0%
1,067
32.3%
674
20.4%
106
3.2%
94
2.8%
101
3.1%
183
5.5%
61
1.8%
7
0.2%
-
30
0.9%
284
8.6%
母子施設児
6,552
100.0%
1,067
16.3%
223
3.4%
27
0.4%
29
0.4%
64
1.0%
246
3.8%
54
0.8%
86
1.3%
67
1.0%
123
1.9%
397
6.1%
41
児童福祉法第28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)及び
第33条の7(家裁に対して児童相談所長が行う親権喪失請求)の件数
○ 平成21年度における28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求件数は230件、承認件数は
214件である。
28条による施設入所措置の
承認申立
事項
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
176
147
185
163
235
182
230
173
230
214
33条の7による親権喪失宣告
の請求
2
2
3
2
4
1
3
2
3
2
(84%)
(88%)
(77%)
(75%)
(93%)
250
235
230
28条による施設入所措置の承認申立請 求件数 及び承認件 数
186
200
請求件数
承認件数
150
100
50
127
88
140
134
117
87
99
147
176
185
163
182
230
214
173
147
105
87
48
0
11年度
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
19年度
20年度
21年度
42
児童虐待防止法及び児童福祉法の一部改正法の概要
○ 平成16年改正法附則に基づき、超党派で改正案が取りまとめられ、平成19年4月国会に提出。同年5
月、可決・成立(平成19年6月公布、平成20年4月施行)。
1 児童の安全確認等のための立入調査等の強化
○ 児童相談所等の安全確認措置の義務化
○ 解錠等を伴う立入調査を可能とする新制度の創設
○ 立入調査を拒否した者に対する罰金額の引上げ(30万円→50万円以下)
2 保護者に対する面会・通信等の制限の強化
○ 児童相談所長等による保護者に対する面会・通信制限の対象の拡大
※ 裁判所の承認を得た上での強制的な施設入所措置以外に、一時保護及び保護者の同意による施設入所
の間も制限可能に
○ 都道府県知事による保護者に対する接近禁止命令制度の創設(命令違反には罰則)
※ 裁判所の承認を得て強制的な施設入所措置を行った場合で特に必要があるとき、都道府県知事は、保護
者に対し、児童へのつきまといや児童の居場所付近でのはいかいの禁止命令をできる制度を創設。
3 保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化
※ 保護者が指導に従わない場合、一時保護、 施設入所措置等の措置を講ずることを明確化
4 その他
○ 国及び地方公共団体による重大な児童虐待事例の分析責務の規定
○ 地方公共団体による子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)設置の努力義務化
など
43
一時保護
改正前
改正後
な し
面会・通信制限
・虐待等により、児童を保護者から一
時的に分離する必要がある場合に行
われる児童の緊急保護
同意入所等
※接近禁止命令が必要な場合、
強制入所へ移行
な し
・保護者の同意の下に行われる児童養
護施設等への入所措置や里親委託措
置
強制入所等
・保護者の同意のないまま、家庭裁判
所の承認を得て行われる児童養護施
設等への入所措置や里親委託措置
面会・通信制限
※接近禁止命令が必要な場合、
強制入所へ移行
面会・通信制限
面会・通信制限
+
接近禁止命令(罰
則あり)
44
(4)児童発達支援管理責任者の役割
• 発達状況、心理状態を踏まえた上で、的確にニーズを把握する。
• アセスメント全体を把握した上で、最終ゴールを想定することが重要。
• 情報が少ない場合こそ、あらゆる可能性を視野に入れることが重要。
• 障害のある子どもや家族が、まだ具体化できていないニーズを推測する。(真の
ニーズを把握することが重要。)
• 利用者の真のニーズを含めた個別支援計画を策定し、支援プロセスの全体を
管理する。
• 個別支援計画の策定に当たっては、訓練担当職員、保育士等のチームで取り
組むよう、支援会議を開催し意見調整の上、方針の統一を図る。
• 地域の社会資源を理解し関係機関と連携調整を行う。
• 以上の支援全般に渡って、児童の支援に従事する職員に対し、適宜、指導・助
言を行う。
2. 総 論
~子ども・支援を必要としている子ども・支援~
オリブ園
後藤 進
A. 子ども
● 出生 金子光晴「若葉のうた」
資料1
● 「望まれて生まれてきたと」伝えたい
「障害をもつ子を産むということ」 資料2
吉野弘 「I was born.」
浜田寿美男
「いま子どもたちの生きるかたち」
● 子どもは未来そのもの.
資料3
B. 支援を必要とする子ども
●「障害」のある子ども
●気になる子ども
津守真 乳幼児精神発達診断法 資料4
乳幼児精神発達診断法1995年版序 資料5
「障害」ということば 資料6
C. 支援
●支援とは何か
●支援する人 支援される人
「発達支援学」
「発達支援学」書評 サポート
資料6
D. おわりに
●思い
●子ども
●家族
●信頼関係
3.支援提供の基本姿勢
こども発達さぽーとセンター るぽろ
(施設長)
嘉ノ海 令子
3.支援提供の基本姿勢
こども発達さぽーとセンター るぽろ
(施設長)
嘉ノ海 令子
支援提供の基本的姿勢
中核的機能は子どもへの発達支援(子育ち支援)
親・家族の重要性(家族を含めたトータルな支援
への視点)
集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わ
せによる支援
地域での育ちが続く支援
児童期のニーズについての理解
児童期支援の中核的機能は
将来の自立に向けた発達支援
障害児通所支援、入所支援の中核的機能は、子ど
もへの発達支援とし、個々の状態や年齢に応じて必
要な支援を提供する。
発達課題のある児童に対して、できるだけ早期の段
階から将来を見通した継続的な発達支援を行うこと
を中核的機能とする。
より身近な地域で必要な時期に必要な(専門的な)
支援が提供できるよう質を確保する。
親・家族支援の重要性
家族を含めたトータルな支援への視点
子どもの適切な発達環境を整えるために、親・家族支援
を大きな柱とする。
子どもの発達課題や障害特性への理解を深め、具体的
な手立てと見通しをもった取組みを通して、「障害受容」
を支える。
子育て支援、子育ち支援、親子関係への支援、地域資
源などとの連携・情報支援をトータルに行う。
集団活動と個別プログラムの
効果的な組み合わせ
集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わせに
より支援を提供する。
子ども、親・家族との信頼関係をつくりながら、的確なアセスメ
ントを行うことによって、集団活動と個別プログラムの効果的な
組み合わせによる計画を作成する。
アセスメントは、チームアセスメント、エンパワメント、権利擁護
の視点を加えることで、効率的、効果的な計画作成につながる
ことが期待できる。
地域での育ちが続く支援
地域での育ちが続くように支援を紡ぐ。
発達課題に応じた支援が継続されるようにライフス
テージのつながりを重視する。家族支援を含めた一
人一人の療育や発達の支援が地域の支援システム
づくりにつながることを意図してサービスを実施する。
児童期のニーズについての理解
児童期のニーズの背景を充分理解し、ニーズの把握を行う。
児童期は自ら言葉での意思表示が困難な乳幼児から18歳までと、
その対象の年齢幅が大きい。
子ども自身が抱えるニーズ、親・家族のニーズ、生活環境や子育て
環境から生ずるニーズなどが混在し、子ども自身のニーズが見えなく
なったり、他のニーズと相反する状況も発生するため児童期のニー
ズの特殊な背景を理解した上で、情報の収集を行うようにする。
4.支援提供のポイント
こども発達さぽーとセンター るぽろ
(施設長)
嘉ノ海 令子
支援提供のポイント
(1)児童期支援の特殊性
(2)親・家族支援~障害受容を支える視点~
(3)「気になる段階」からの支援場所として
(4)アセスメントの重要性と
児童期特有のニーズについて
(5)地域の支援システムづくり
(6)入所支援特有の機能と求められる役割
(1)児童期支援の特殊性
1
支援対象が0歳から18歳までと広い年齢幅への対応
年齢によって関わる機関(スタッフ)の変動と多様性
2
「気になる」段階と呼ばれる時期への対応
3
「ゼロ」からのスタートを支援
4
子どもの「自立」に向けて、縦へのネットワーク
を意識
1
支援対象が0歳から18歳までと広い年齢幅への対応
年齢によって関わる機関(スタッフ)の変動と多様性
乳幼児期
学齢期
(学齢後期)
保健所(保健センター)、医療機関
福祉事務所(家庭児童相談室)
児童相談所
保育所、幼稚園、児童館等
児童発達支援事業、児童発達支援センター
障害児入所施設、相談支援事業所 等
小学校、中学校、高等学校、特別支援学校
福祉事務所、児童相談所
医療機関、療育機関、教育相談所、教育委員会
放課後等デイサービス、放課後児童クラブ
障害児入所施設 等
企業や障害福祉サービス等での実習、体験
地域障害者職業センター、ハローワーク
障害者就業・生活支援センター 等
2
「気になる」段階と呼ばれる時期への対応
「気になる」段階の子どもとは
① 軽度の発達遅滞はあっても知的障害のレベルではない
境界域知能(ボーダーライン)児
② その時点で障害の診断が明確にできない児(ハイリスク
児や発達障害児を含む)
③ まだ診断・告知を受けていない児
④ 客観的には障害が認められても、保護者がそのことを受
容できず申請に至らない児
将来的に支援が必要かどうか確定できない時期
障害の受容が充分にできない時期
育児不安を支える視点
子育て支援の立場での
専門的な支援の必要性
3
「ゼロ」からのスタートを支援
親の考え方や姿勢によって、子どもの
環境は大きく変わる
・子どもの発達に必要な療育機関など
への通所やサービスの利用をしない
・子どもの障害を理解せずに、不適切
な関わりをする
・前向きな子育てができないなど、親
自身が精神的に不安定な状態になる
育児不安
育児放棄
虐待
関わりの難しい子育てを
一生懸命している親・家族
将来への見通しが
もてず不安な気持ちを
抱えている親・家族
子どもの発達や障害に関する知識・理解
福祉サービスに関する情報
育児面、医療面、療育面、心理面など
幅広い相談支援、情報理解のための支援
4
子どもの自立に向けて
縦へのネットワークを意識
子どもの成長・発達とともに
個々がもつ発達課題、支援ニーズ変化
親・家族が抱える生活ニーズ変化
×
一機関だけでは支えきれない
•移行期支援の視点
•横断的な連携
•ケアマネジメントの必要性
•生活の継続性と関わりの
連続性への視点
縦のネットワーク構築
(2)親・家族支援~障害受容を支える視点~
「障害告知」における支援
障害告知
「思い描いていた健康な赤ちゃんを失う」
親の心的危機
対象喪失経験
「なぜ自分の子どもが・・・」「何かの間違いだ」「子どもを育てる
自信がない」など
事実の否認、混乱、怒り、絶望感、哀しみ、拒否
不安などの心理的反応
障害受容とは
「わが子の障害の受容」と「障害のあるわが子の受容」
子どもの発達、成長とともに緩やかに子どもの姿を
受け止めていく
子どもへの発達支援の確実性、信頼性が受容過程を
側面的に支える
親の不安を受け止める、理解する
親の受容能力に合わせた具体的な助言
「障害受容」を支えるということ
告知時期
障害告知
関わるスタッフ
の対応
告知の仕方
親・家族の心理的反応
子どもの障害理解
への支援
親への心理的
サポート
子どもへの発達支援
育児への
具体的支援
(3)「気になる」段階からの支援場所として
親にとって身近で敷居の低い場所である。
障害の確定診断前からフォローできる場所
である。
発達支援のサービスを体験的に利用できる
場所である。
常にアクセスできるように、地域に事業内容など
情報発信している。
新生児・周産期医学、障害児医療の進歩
母子保健行政の充実
療育方法・療育技術の進歩
発達支援機関の多様化
家族の在り方の多様化
児童虐待
ノーマライゼーション理念の拡がり
発達障害者支援法制定など
早期から親子への
サポート体制をつくる
早期発見・早期対応
市町の地域自立支援
協議会の活用
出産前後や
乳児期にわかる
巡回支援
1歳半、3歳児
健診などでわかる
医療・保健
連携
巡回支援
医療、保健
保育所、障害児通所
入所支援など確実
で強固な連携体制
をつくる
保育所等の
日常生活の場
でわかる
福祉
母子保健
(4)アセスメントの重要性と
児童期特有のニーズについて
【アセスメントの過程】
子ども・親との面接
情報収集
適切な情報選択
情報量・質の検討
正確性・事実性
信頼性・偏向性
偏見・先入観
情報源・・相談者自身、関係者、相談者の
環境、相談者に関する記録や資料
情報収集手段・・・面接、観察、記録・資料
情報の種類・・相談者の生活史(生育歴)
環境に関する情報
検討
情報の量・質が適切か
情報の正確性、事実性、信頼性を確認
情報が偏っていないか
偏見や先入観によって歪められていないか
収集した情報の吟味
情報の分析統合
情報の判断
ニーズの確定
利用者の状況理解
ニーズ把握
問題(要因)の確認
課題の整理
計画策定
目標、支援期間、
支援内容の設定
具体的な支援方法
の確認
利用者の意思や権利が尊重されているか
児童期特有のニーズについて
自ら言葉で意思表示できない乳幼児期は親・家
族から発信されるニーズが前面に押し出されや
すい。⇒第三者のニーズ
親・家族のニーズは子ども自身のニーズと相反
することもある。
子どもの生活・子育て環境を整えるために、子
育てに不安を抱える親支援からスタートするが、
年齢が上がるにつれ子ども本人を中心にニー
ズを明確化していく。
親・家族から発信されるニーズ
親の関心事
子どもの発達の遅れを解消する
障害を治す、良くする
治療・訓練ニーズの顕在化
潜在的ニーズ
障害受容、育児に向う姿勢
夫婦、家族関係の葛藤、対立
緊張、母親の心理的葛藤など
子どものニーズ
親・家族のニーズ
子どものニーズ
子どものニーズ
療育、訓練、教育⇒発達支援
障害受容、障害認知、育児不安
⇒ 育児支援、親支援
児童期支援のニーズの背景
•
•
•
•
子ども自身の特性から生ずるニーズ
親・家族の特性から生ずるニーズ
子どもの生活環境から生ずるニーズ
子育て環境から生ずるニーズ
【『新・社会福祉学習双書編』】
(5)地域の支援システムづくり
①移行期支援の視点
②横断的な連携
③自立支援協議会の中で支援システムの
構築を検討
④継続性、一貫性のある支援体制を
つくるための努力
(6)入所支援特有の機能及び求められる役割
虐待・虞犯累犯
貧困・養育者不在
養育者の疾病 など
個別支援
集団的支援
思春期支援
就労・自立活
動支援
セーフティネット
社会的養護
家族支援
発達支援
家族関係の再構築
療育相談
短期入所(ミドルステイ)
レスパイト など
在宅支援
つなぐ支援
家庭復帰・障害者福祉サービス・就労
三田谷学園 施設長 高野 康彦
5.アセスメントのポイント
発達支援と保育支援
専門機関・専門職種による療育
被虐対児
支援児
リスク児
保育支援
発達支援
気になる児
外国人児童
いろいろな
背景の子
83
(1)相談支援時の状況把握
☆主訴の聴き取りと受け止め
・・・・・・保護者の葛藤の大きさ
 理解しにくい子ども
 関わりにくい子ども
 保護者の傷つき体験
 子どもについての理解・気づきの少なさ
 医療機関利用情報
84
発達障害のある子の
保護者の負担とリスク
•
•
•
•
•
育てにくさ
関わりにくさ
理解のしにくさ
行動の問題への心配
将来への心配
子育ての辛さ・負担感
達成感・喜びの少なさ
親としての自信の喪失
適切に関わる回数の減少
85
(2)アセスメント ①初期状態の把握
☆発達特性(障害特性、個人内差)の把握
 「検査の数値」に表れない状態の観察
(行動、親子関係等を含めた包括的な観察)
 粗大・微細運動、バランス等の動作、協応動作、
注意力・集中力、自己制御、知覚感覚、話し方等
 子ども自身の混乱や不安の把握(自尊心・自信等)
 複数の検査・評価の組み合せ(テストバッテリー)
田中ビネー、WISC-Ⅲ、K-ABC、DN-CAS
CHAT、ASQ、PRS など
(通常は、療育開始後に加えて実施)
⇒ 特に「気になる子」「発達障害」の正しい理解は重要
86
「発達の障害」分類と重複図
広汎性発達障害
学習障害
自閉症
ADHD
知的障害
感覚およびその統合と最終産物
(イメージ図:感覚統合Q&Aより)
感覚
入力の統合
第1段階
第2段階
眼球運動
固有覚
触覚
第3段階
第4段階
話し言葉
聴覚
前庭覚
最終産物
言葉
姿勢
集中力
組織力
バランス
身体知覚
自尊心
筋トーン
身体の両側統合
自己制御
重力に対する安心
感
運動企画
目と手の協応
自信
活動レベル
視知覚
学習能力
注意力
目的的活動
抽象的思考や論理的
能力
吸う
情緒的安定
身体と脳の特殊化
食べる
視覚
母と子のきずな
触覚的心地よさ
88
(2)アセスメント ①初期状態の把握
☆生活全般にわたる状況の把握
 日常生活動作、IADL、健康、生活基盤、コミュニ
ケーションスキル、社会生活技能、社会参加、
教育・保育などの生活全般にわたるアセスメント
(生活場面の正確な把握)
 家庭環境、保育環境、教育環境、地域環境等の
把握
89
(2)アセスメント ②基本的ニーズの把握
☆ 「生活」に即したニーズ把握
 家庭内での困っていること
 外出時に困っていること
 「園」で困っていること
 将来困ると思われること
90
(2)アセスメント ③社会資源の把握
☆ 地域社会資源の把握
 地域の活用できる資源(制度上のサービスだ
けでなく、インフォーマルなものも含めて)
 地域の資源を本人や家族が活用できるため
には。
 地域に理解してもらうには
91
(2)アセスメント ④課題の整理
認知特性の整理
社会性・行動・情緒の発達課題の整理
環境要因の把握と整理
⇒ 二次障害の発生機序(予測も含めて)
遅れと特異性の見極め
誤学習と未学習の視点からの理解
得意さ・強み、苦手さ・弱さの把握
92
発達障害と二次障害
本人の素因
環境
(大人)
感情の社会化の未形成
反応性愛着障害
自尊心の喪失
自己認識の未形成
傷つき体験の悪循環
二次障害
の併発
外在化表現・内在化表現
93
6.支援の評価
支援の評価基準
視点
発
達
や
療
育
の
支
援
評価の項目
質の高い
支援の提供
評価の方法
①利用児童の発達度や家族の支援内容への満足度
②要望・苦情解決の件数
③支援の質の第三者評価の導入
①資格取得の促進 (キャリアアップ)による有資格者数
職員の質の向上
②OJT、OFF JTの実施件数
③部内外研修、自主研修の実施件数(時間)
家
族
支
援
①利用児童数の増減
事業の推進
②事業所、利用者と社会資源との関係図の作成
③他の関係機関、事業と連携した件数(支援会議)
発達や療育支援の視点による評価
• 例えば、各種の発達検査による分析などを行い、
児童の発達の伸びを評価する
• 児童の生活ぶりに対する家族の評価を把握する
• 家族が行う事業者評価表(例えば、満足度評価、
苦情処理件数など)に発達支援の視点を加えたも
のを事業所で作成し、そのチェック度を評価する
• 関係機関の事業所に対する発達支援技量の評価
を確認する
家族支援の視点による評価
• 家族にとって生活のしやすさという実感が生まれ
見通しがもてているか把握する
• 家族、特に母親のストレスの予防マネジメントに
ついて、どのような対応が出来たか評価する
• 家族と社会資源の結びつきがエコマップ上どのよ
うに拡がっているか確認する
児童発達支援管理責任者の役割
• 支援提供の視点が実施されているか把握し、必
要に応じ助言指導する
• 個別支援計画の進捗状況を把握し、必要に応じ
助言指導する
• 支援の質の向上のための研修やスーパーバイズ
体制等について検討する
• 事業全体のマネジメント
-職員のマネジメント
-リスクマネジメント
スーパービジョン
スーパービジョン(super vision)とは、スーパーバイザー(指導する者)とスーパ
ーバイジー(指導を受ける者)との関係間における対人援助法で、対人援助職者(医
療福祉教育現場、特に相談援助職)が常に専門家としての資質の向上を目指すため
の教育方法です。大別すると、個人スーパービジョンとグループ・スーパービジョンが
あり、個人は1対1で、グループは数人でスーパーバイザー(指導者)につくことをいい
ます。具体的には、実際の面接場面や模擬面接(ロールプレイ)を通して、下記の3点
の機能をふるに発揮し、スーパーバイジーに対して自己の盲点について自らが気づく
ことを促します。
1.管理的機能:スーパーバイジーの能カを把握し、それに見合う業務を担当させるな
かで成長をはかれるように管理する。
2.教育的機能:すでに獲得している知識、技術の活用を促す方法を示唆したり、不足
している知識を指摘し課題を示す。
3.支持的機能:スーパーバイジーが業務上で出来ていることを認めるとともに、出来
ていないことに気づき、取り組もうとする意思を励ます。
出典:医療用語・福祉用語辞典
7.児童発達支援管理責任者と
障害児相談支援専門員の
関係と役割
柏学園 金丸 博一
まずは、「サービス管理責任者」(大人の事業所)と、
「児童発達支援管理責任者」の仕事と役割について
サービス管理責任者と関連機関との連携に関すること
こ
の
こ
と
は
ほ
ぼ
児
童
発
達
支
援
管
理
責
任
者
も
同
じ
• ご本人の希望や要望を叶えていくためには、連携が必
要
• そのためには、地域の関連機関の人たちが、常に結び
ついておくことが必要
• そのためには、地域の中で、ケア会議が頻繁に開かれ
ていることが必要
• そのためには、地域自立支援協議会が機能しておくこ
とが必要(但し、子ども支援の部会は多くの地域で人材不足)
サービス管理責任者は、自事業所のケースに関するケア会議
に必ず参加することになります。また、地域自立支援協議会の
何かのメンバーになることもあるでしょう。
101
つまり・・・
こ
の
こ
と
も
大
体
は
、
児
童
発
達
支
援
管
理
責
任
者
も
同
じ
• サービス管理責任者は、事業所の窓口です。
• 利用者の方が、より生き生きと暮らせるように、事業
所の役割を全うするだけでなく、もう一歩踏み出して
いくための、「スイッチ」です。
• スイッチですから、そのボタンを押さないと、明かり
を燈せませんよ!
事業所長でもない、担任でもない、サービス管理責任者として
の役割を常に考えていきましょう。答えは、事業所によって違
ってくることでしょう。目の前にたくさんの問題が山積みの事
業所のあることでしょう。でも、外に向かって発信しない限り
は、サービス管理責任者の役割は果たしていないことになり
ます。
102
まずは、外から見える工夫を!
• 事業所を利用する人の幸せを願って、まずは事業所を利用し
ているときの充実を図っていくことが大切です。事業所内の
人的なスタッフでの支援に限界を感じたときは、サービス管
理責任者(児童発達支援管理責任者)の出番です!
• さらに、事業所を利用しているとき以外の時間のことも考え
ていかなければなりません。
• 利用者の、一日の生活のつながり、一週間のリズム、未来へ
の時間的なつながり等を、紡いでいくのは担任なのかもしれ
ませんが、そのほころびや仕上げの部分で活躍するのがサー
ビス管理責任者(児童発達支援管理責任者)です。
• そのためには、地域の方々、関連機関の方々に「私が○○事
業所のサービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)です
。」とアピールしていきましょう!
本人主体の支援
児童の場合、主訴のとらえ方に
多くのケースで「違い」が生じる
(以下は、成人の方の相談支援について、語られていることです。)
• まずは、主訴をざっくりととらえていきましょう。
• ニーズをしっかりと受け止め、利用者の方の本当の気持ち
に寄り添ってみましょう。
• 支援者の主観なのか、そうでないか・・・。ご本人の思いな
のか、ご家族の方の願いなのか・・・については、何度も振
り返ってみましょう。
• ご本人の方が、元気になっていく、勇気が出てくるプランこ
そが、ご本人の方のための計画です。しかしながら、ご本
人が、「そんなことは、やりたくない!」と感じてしまう内容の
支援目標は少なくありません。あくまで、本人が納得できる
方法と、進め方で実施していきましょう。
ケースB 10代男性
子どもの支援におけるニーズの捉え方例 その1
主訴からニーズや背景にあるその人の思いを捉える
主訴(訴え、要望)
夏休みに過ご
す場所がない
(by母親)
家にいると
奇声を夜でも
あげてしまう
(by母親)
家に客が来る
とつばをはき
かける
利用者の状況、
気になる情報
推測できること
父親は単身赴任中
で帰省は月一
どうもよく叱ら
れてしまうこと
ばかりしている
姉は中学二年、
学校を休みがち
母親にはよく
甘えてよく抱
きついている
母親は、イライ
ラすることが、
本児の他にもい
くつかある
姉が日中いると
子ども部屋に入
れなくなる
母親のことは、
おそらく大好きな
のではないか
(by母親)
利用者に確認しながら
二次アセスメント
子ども部屋
で、ビデオ
を観ること
が好き。
以前は、よ
く家族で外
出していた。
父親が帰省
の時は、わ
りと落ち着
いている。
姉は、よく
泣いて過ご
ことがある。
ニーズ、思いの整理
ニーズ(~したい、
~で困っている)
本人のことよ
り、姉のこと
が心配
笑顔のママで
いてほしい
(ボクの気持ち)
もっとゆっくり
家で過ごしたい
(ボクの気持ち)
ママと一緒に
遊びに行きたい
(ボクの気持ち)
子どもの支援におけるニーズの捉え方例 その2
課題の整理表
青字は母親のニーズ、赤字は本児の気持ちを想像して言葉で表現したもの
№
1
2
3
4
5
初期状態の評価
(利用者の状況・環境の状況)
支援者の気になること・推測できること
(事例の強み・可能性)
手づかみで食べる
のをやめてほしい
食事を用意して、挨拶をさせ
スプーンを持たせると、ご飯
については数口はスプーンを
使うが、あとは手づかみにな
りがちである。
スプーンを持って食べることはできている。食
べるものは限られている。スプーンを使うといっ
た気持ちが持続していない。嫌いなものを除け
ていくために、手づかみの方が目的に適う様子
でもある。
まだ手づかみも必要な発達の段階であること
は保護者に伝えていきたい。一方では、遊び
を通して、道具の操作、手先使った遊びを十
分に準備していくようにしたい。
服を着たりなど、
自分からやってほ
しい
ズボン・パンツは、ゴムの部
分を両手で持って足を入れよ
うとし、上手く入ることも出て
きた。靴は、靴穴に足先を入
れるところまでは一人ででき
る。
本人としては、いろいろなことを自分からやろう
としている。一方母親としては、言われなくても
もっと自分でやれることが増えてほしい→一つ
一つ手をかけなければいけないことに疲労感
を感じている…といったことも考えられる。
自分からできることは、着実に増えている。
本児の成長のペースと特質を、母親にてい
ねいに話をしていくことが大切。一方で、お疲
れ気味の母親に対し、まずはその気持ちを
共感していく時間を取っていくようにしたい。
トランポリンでの
ジャンプと、ブラン
コなどの揺れる遊
具で遊べるように
なってほしい
園での同様の遊具では、興
味を持ち、姿勢の保持も上手
になりつつある。荒々しいくら
いの刺激を好んでおり、十分
に左記の遊具は楽しめている。
歩行時のふらつきや転倒しやすいところを気に
して、筋力やバランス感覚がつけばと思い、母
親は左記のような願いを表記したのではない
か?一方で、家庭ではダイナミックな動きの遊
びをしてあげる人がいないため、家でできない
ことをやってほしいという思いからの願いだとも
考えられる。
まず、体を使った遊びを中心とした個別指導
を実施し、本人が楽しんでいる姿を見せてい
きたい。一方では、視線の使い方、目による
手足の動きの制御等の状態について説明し、
家庭でもすぐにできる有効な遊びを紹介した
い。
気持ちが落ち着く
場所や楽しいあそ
びをもっとやって
ほしい
スウィングに乗せて激しいくら
いの揺れや回転を好むことと、
強く抱きしめられ、強めにくす
ぐられることで快の表情を示
している。
感覚的に求めている刺激があり、椅子や部屋
の隅など、工夫をしていくことで、落ち着く場面
が増えたり、一方では集中できる場面が増えて
いくのではないか。
本児の感覚嗜好をさらに詳しく調べていくとと
もに、教室での環境、家庭内での環境につい
て、具体的にどのようなコーナーや物を準備
した方が良いか検討していきたい。
楽しかったこと、好
きなことを、もっと
ゆっくりと見てみた
い
興味のある物が見つかるまで
は、職員の背におぶわれた
状態を求める。集いでは、着
席して好きなペープサートを
よく見ている。
関心のあることについては、よく注目できており、 本児にとって、どういったものが、視覚的に関
視覚的な情報はしっかりと入力できていると考
心のある風景や日常的な場面や興味のある
えられる。
物となるのかについて、比較検討し、見本の
示し方(視覚的な情報が入りやすい角度や
位置等)と、環境の設定について考えていき
たい。
106
意向等ニーズの把握
解決すべき課題
エンパワメント
児童の場合、まずはご家族、特に母
親に元気になっていただくための工夫と
職員の専門的知識が必要です。
• 「障がいがあるって、大変なこと!だって、障がいのことばかり
に注目されて、私のことは少しも見てくれないんだもの!」
もっと私のことを見て!という声が聞こえてきます。
• ほんのささやかな望みさえ、実現できずにいる方がたくさんい
ます。成功体験が少なすぎて、積極的になれないばかりか、
あきらめることの連続。ついには希望を持つことを避けてしま
うような生活を強いられてきた方がたくさんいます。
• ちょっとした工夫と、ちょっとした体験から、少しずつ本当の気
持ちに気付いていただき、元気になっていただきましょう!自
分に選択肢があることに気付いてもらい、自分で決める勇気
を持っていただきましょう。そのためには、5年、10年のお付
き合いが必要となる場合もあると思います。たっぷりと、時間
をかけていきましょうね!!
障害のある人が普通に暮らせる地域づくり
(目指す方向)
重度の障害者でも地域での暮らしを選択できる基盤づくり
・安心して暮らせる住まいの場の確保
・日常生活を支える相談支援体制の整備
・関係者の連携によるネットワークの構築
連携
地域社会での普通の暮らし
福祉
施策
労働
施策
住宅
施策
関係者の連携によるネットワーク
(自立支援協議会)
まちづくり
施策
バス
安心して暮らせる住まいの場
行政
映画館
グループホーム
障害者就業・
生活支援センター
企業
自宅
電車
入所施設 地域移行
アパート
希望・
ニーズ
障害福祉サービス事業所
レストラン
病院
デパー
ト
商店街
郵便局
宅建業者
医療機関
学校
相談支援事業者
日常生活を支える相談支援
公園
銀行
108
サービス提供プロセスの連携イメージ
-本人を中心において-
相談支援専門員による「つながる」支援
相談支援
専門員
トータル
プランの
作成
相
談
受
付
ア
セ
課ス
題メ
ン
分ト
析
障害程度
区分認定
Aさん
サービス管理
責任者
サ
むー
、ビ
個
別ス
支等
援利
総用
合計
計画
画案
案の
作
の成
検
討を
含
支
給
決
定
相
談
支
援
時
の
状
況
把
握
(
本
人
を
中
心
と
し
た
、
サ
ー
ビ
ス
担
当
者
と
の
会
議
)
個
別
支
援
統
括
会
議
の画
作を 支
成含 給
む決
、定
個時
別の
支サ
ー
援ビ
総ス
合等
計利
用
画計
ア
セ
ス
メ
ン
ト
個
別
支
援
会
議
個
別
支
援
計
画
の
作
成
サ
ー
ビ
ス
利
モ
ニ
タ
リ
ン
グ
・
評
価
終
結
用
個
別
支
援
計
画
の
実
施
中
間
評
価
と
修
正
終
了
時
評
価
①地域でサポートするための
チームを作り、ネットワークを組
織する。
②本人や環境、生活全体に関す
る様々な情報や知識、技術の共
有、ニーズ、支援方針を確認して
統括する
本人、支援者が混乱し
ないように障害特性の
理解、適切な支援方法
を共有する
①サービス利用計画をもとに、
事業所内で個別支援会議を開き、
個別支援計画を作成する。
②それぞれのサービスの提供状
況、目標の達成状況、本人の状
況について評価を共有する
サービス管理責任者による「深める」支援
参考までに・・・、
よ事
っ業
て所
、の
輪
のあ
大る
き地
さ域
は、
変事
わ業
る所
こと
とし
でて
しの
立
ょち
う
。位
置
等
に
相談支援の仕事とは?
地域づくり
参考までに・・・、
相談支援の仕事とは?その2
ケアマネジメントのイメージ
時間
ストーリーA
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
1
ストーリーB
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
1
継
続
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
1
継
続
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
新ン
たト
な2
ニ再
ー開
ズ
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
2
継
続
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
2
継
続
ケ
ア
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
3
確
認
も
含
め
て
ここからが本題です!
乳幼児、児童のケースで確認しておきたいこと
• 本人のニーズって何?=声なき声をきく感性。同じ人間ですか
ら、当然ながら思いはあります。
• 保護者の意見は、大切に受け止めていきますが、保護者のニ
ーズをそのまま支援目標とするのでは、いけません。誰のため
の支援?
• 発達・成長における評価、専門的な視点も必要です。
• 家族の方を支える視点は重要です。
• 自事業所での「サービスの囲い込み」にならないように!2,3
年後までを見通し、こどもがどういう状態になるのを目指して
いるのか?事業所としてのポリシーは?
☆つまり、以上のような様々なことをバランスよく、整理しつつ、
支援目標を立てることが必要です。
障害児相談支援の特徴について
(大人の相談と比べて)
① 乳幼児期における行政機関の高い関与性
② ニーズ主体の複数性(子どもの発達ニーズと保護者ニーズ)
③ 保護者ニーズの優位性(保護者ニーズは子どもの福祉のため)
④ 相談支援の多様性(子育て相談、発達・療育相談・・・)
⑤ 相談機関の二重性(入所・虐待は児相、障害児支援は市町村。市町
村内の所管部署も)
⑥ 関係機関の多数性と変動性(関係機関が複数で、短期間で変動)
⑦ 主訴の曖昧性(サービス利用から相談が始まることは稀である)
⑧ 発達の可塑性(診断前、療育後にキャッチアップすることもある)
⑨ 計画と利用提供事業者関与の順序性(療育機関に先に関わることも
多い)
(光真坊 前障害児支援専門官の報告より)
乳幼児期における障害児相談支援専門員は
• 地域の子育て支援ネットワークの一員としての役割を担う
• 地域及び圏域の療育機関に関する情報を細かく知る
• ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち
、地域のあらゆる子育てに関する資源にも目を向ける
• アセスメントに関する情報を、可能な限り複数の所から得る
• 養育者の養育に関する価値観とその環境を細かく観察した上
で、子どもの発達の支援として、ベターな選択肢をいくつか準
備し、療育的な支援を中心とした利用に関する計画をたてる
• サービス利用に関する計画を立てる際、何度も各児童発達管
理責任者等との連携を持ち、各事業所が納得できるようなプ
レゼンテーションができる力量を持つ
学齢期における障害児相談支援専門員は
• 地域の療育支援・特別支援教育ネットワークの一員としての
役割を担う
• 地域及び圏域の学齢期における療育機関に関する情報を細
かく知る
• ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち
、地域のあらゆる社会資源にも目を向ける
• アセスメントに関する情報を、可能な限り複数の所から得る
• 養育者の養育に関する価値観とその環境を細かく観察した上
で、子どもの発達の支援として、ベターな選択肢をいくつか準
備し、サービスの利用に関する計画を立てる
• サービス利用に関する計画を立てる際、何度も特別支援教育
コーディネーター等との連携を持ち、各関連機関が納得でき
るようなプレゼンテーションができる力量を持つ
乳幼児期における児童発達支援管理責任者は
• 地域の療育支援ネットワークの一員として重要な役割を担う。
また、保健師との連携を常に持ち、できれば健診のフォロー体
制の構築に寄与する
• 地域及び圏域の療育機関の中で、自事業所の地域での役割
と立ち位置を常に意識する
• ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち
、退園の可能性とその時期をイメージする
• アセスメントに関し、自事業所のスキルを高める
• 担当の作成した支援計画について、家族への支援と子どもへ
の発達支援がバランスよく考えられているか等をチェックし、
モニタリングの時期が適切かを判断する
• 事業所の窓口であり、送り出した後のアフターケアの責任者と
しての自覚を持ち、障害児相談支援専門員に必要な情報を提
供していき、自らも支援会議等に出席する
学齢期における児童発達支援管理責任者は
• 地域の特別支援教育ネットワークの一員として重要な役割を担う。
また、特別支援教育コーディネーターとの連携を重視し、特に進級
、進学の際に関係者との連携に努める
• 地域及び圏域の療育機関と放課後支援機関等の中で、自事業所
の地域での役割と立ち位置を常に意識する
• ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち、将
来の社会生活のために必要なスキルを意識する
• アセスメントに関し、自事業所のスキルを高める
• 担当の作成した支援計画について、保護者のニーズだけに対応し
た支援計画にならないことと、子どもへの発達支援の視点も組み
込まれているかを等をチェックし、モニタリングの時期が適切かを
判断する
• 事業所の窓口であり、送り出した後のアフターケアの責任者として
の自覚を持ち、障害児相談支援専門員に必要な情報を提供してい
き、自らも支援会議等に出席する
児童期において全般に留意すべきこと
•
•
•
•
児童期における人権、権利擁護について見識を持つ。
児童期は虐待の実態が見えにくい面が多い。
児童虐待の実態と、その対応については細かな配慮を要す。
ケースの状況によっては、児童相談所との連携を中心として、支援
を進めていくことが必要。=保護者のニーズを切り離して、支援を
考えていくべきケースがある。=「措置」に向けた選択肢を用意す
ることと、そのための支援の進め方に関する知識は必要。
• 児童入所・児童養護施設の実態について、事業所ある地域及び相
談支援の担当の地域だけでなく、障害福祉圏域はもちろんのこと、
圏域外、都道府県内の情報を知っておく必要がある。
• 障害者手帳の対象外となる児童への支援ニーズの割合は高くなっ
ていく一方だが、その中でも発達障害に関することは、最新の知識
と情報を得ていく意識が必要。
障害のある子どもが育つ地域づくり
(目指す方向)
重度の障害児でも地域で元気に育つ地域づくり
・保護者が安心して育てられる医療・福祉・教育サービスの充実
・子どもとその家族の日常生活を支える相談支援体制の整備
・関係者の連携によるネットワークの構築
連携
地域社会で元気に育つ暮らし
福祉
施策
子育て
施策
教育
施策
関係者の連携によるネットワーク
(自立支援協議会 子ども部会)
まちづくり
施策
遠くの公園
安心して暮らせる住まい
家族でドライブ
保健センター
行政
自宅
学校
子育てサークル
児童入所施設
いっぱい遊
びたい!
近くの公園
児童館
児童発達支援事業所
病院
教育委員会
習い事
近所
医療系療育
機関
幼稚園
児童相談所
相談支援事業者
日常生活を支える相談支援
保育所
民間のことばの教室
• 障害児相談支援専門員の作成した障害児支援利用
計画は、子どもがこれから必要とする日々の生活を
週間スケジュールとして表現したものです。なぜ、そ
のような生活を必要としているのかの理由を明確に
記述したものでもあります。特に必要とする公的な福
祉サービスについては、その支給量の根拠について
わかり易く、端的に示す必要があります。
• 児童の発達支援に関して、幅広い専門知識を持ち、
各関連機関に信頼を得た障害児相談支援専門員は
、子どもの発達について、具体的な支援目標を提示
していくことが可能だと思います。しかしながら、細か
な配慮とバランス感覚を持った障害児相談専門員は
数少ないことと思います。
児童発達支援管理責任者は・・・
• 障害児相談支援専門員の示した障害児支援利用計
画もとに、自事業所が展開するサービスを必要なだ
け、子どもとその家族に提供することになります。
• 事業所が提供するサービスについての具体的な個
別の支援計画を担当に作成させ(あるいは自身が作
成し)、家族の承諾を得て、適切にサービスが自事
業所で提供されているかをチェックし、モニタリング時
などに障害児相談支援専門員にサービス提供の状
況を報告していく、といった流れが、主な児童発達支
援管理責任者と、障害児相談支援専門員の関係と
理解しておきましょう。
児童発達支援管理責任者は・・・
• 発達支援と家族支援として「深める」支援を展開
していくための事業所の責任者です。
障害児相談支援専門員は・・・
• 家庭と児童期における関連機関(保健師・幼稚園・学
校等)とを「つなげる」支援を展開していくための地域
の責任者です。
8.支援提供プロセスの実際
江東区こども発達センター
(園
長)
田村 満子
支援提供のプロセス
(
1
)
相
談
支
援
時
の
状
況
把
握
(
2
)
ア
セ
ス
メ
ン
ト
①
初
期
状
態
の
把
握
②
基
本
的
ニ
ー
ズ
の
把
握
③
課
題
の
整
理
(
3
)
個
別
支
援
計
画
の
作
成
①
到
達
目
標
の
設
定
支
②
個
別
支
援
計
画
の
作
成
援
(
4
)
個
別
支
援
計
画
の
実
施
(
5
)
中
間
評
価
と
修
正
会
定期的に
繰り返し
①
支
援
計
画
の
中
間
評
価
②
支
援
計
画
の
修
正
*
*
他
機
関
と
の
連
携
就
学
支
援
(
6
)
終
了
時
評
価
議
124
ケースの概要と経過-1






知的発達遅滞、不安・過敏傾向を伴う広汎性発達障害男児
3歳児健診で保健相談所に繋がり、当園を紹介された。
3歳3ヶ月時に相談面接を実施
主訴;ことばの理解はあるが、はっきりしたことばが出ない。
かんしゃくが激しい。新しい場面を嫌い人見知りが強い。
行動観察;建物に入るのを泣いて嫌がる。母親にしがみ付
いて離れない。泣き寝入りをする。
初回アセスメント時(生活年齢;3歳5カ月)
遠城寺式;移動運動・手の運動 ,基本的習慣・対人関係 , 発語 ・言語理解
発達検査 (2:6~2:9 2:3~2:6) (1:6~1:9 1:2~1:4) (1:2~1:4 1:9~2:0)
田中ビネーV;生活年齢3歳5カ月,精神年齢1歳11カ月,知能指数56
125
ケースの概要と経過-2






3歳6ヶ月から、週3回通園、1日(給食含)療育、親子分離
の療育支援を開始。3・4歳児クラス(1日定員8名)。
言語・認知個別指導(週1、45分)、生活指導(食事・着脱・
排泄等)、集団指導(運動・集まり・音楽・造形等)を実施。
作業療法士の評価、心理検査を半年~1年で実施。
2週に1回の保護者個別面談で発達支援、身辺自立、就園・
就学相談、育児や家庭生活について話し合った。
4歳児から区立幼稚園に入園。介助者が2年間付く。入園後
も週3回の並行通園を継続。職員の見学の受入れ、家庭連
携支援サービスによる訪問を実施。
特別支援学級へ就学。報告書の作成及び移行支援会議を
開催し引継を行った。
126
(1)相談支援時の状況把握
実施方法
•
•
•
必要なツール
保護者の主訴(心配なこと、相談・療育
機関利用の意向など)を把握する。
•
相談受付表
•
施設案内、施設の手続き説明書
•
重要事項説明書(契約時)
主訴と質問に応じた情報の提供をする。
これまでの経過について把握する(発達
経過、利用機関、医療情報等)。
•
子どもの状態像について把握する。
•
保護者の状況(心理状況、家族状況な
ど)について可能な範囲で把握する。
•
個人情報の管理については慎重に行う
事例より (3歳3ヶ月)
•
•
•
•
•
主訴はかんしゃくが強い、ことばの遅れ。
保健相談所より勧められ成長が心配。
不妊治療を実施。41週出産。第1子。
0歳児よく泣く。母乳の飲みが悪い。
人見知りが激しく父親にも懐かない。
5
(1)大切にしたい視点
• 気軽で身近なアクセス先になるように、施設の案内を地域に発信でき
ているか。
• 相談者が初めてアクセスしたときに、分かりやいシステムと親しみや
すい雰囲気をもっているか。
• 相談者の基本情報、主訴、これまでの経緯を過不足なく収集できてい
るか。
• 相談者の質問や要望に適切に答えられているか。
• 必要な場合には他機関紹介ができるように、地域の情報を整理して
いるか。
• 個人情報保護は職員に徹底できているか。
• 紹介元への必要な連絡(結果等)はできているか。
128
(2)アセスメント ①初期状態の把握
必要なツール
実施方法
•
•
•
•
発達検査、あるいは障害に応じた適
切な評価を実施し、身体状況や心
理・発達状況など状態像の客観的な
把握に努める。
聴取により生育歴、発達歴などこれ
までの状況を把握する。
必要な場合には、保護者の許可を
得て、他機関からの情報を入手する。
•
心理検査
発達検査、知能検査など
(フォーマル検査)
発達評価表
(研究機関等によるもの、
施設固有のもの)
事例より
• 知能検査で1歳半の遅れ。
言語課題に比べ視覚課題が良い。
• 日常的なことばの理解が弱い。
• 特定の遊び(車・回るもの)が多い。
• 人への関わりが少ない。
• 触覚への過敏さが見られる。
129
(2)ー① 児童発達支援管理責任者の
視点
• 適切な評価ツールを使用して実施しているか。
• 他機関の評価、保護者からの情報を含め、評価に必要な情報収
集ができているか。
• 評価の結果を、保護者に分かりやすく説明しているか。
• 評価の結果が、療育に活かせるようになっているか。
130
(2)アセスメント ②基本的ニーズの把握
必要なツール
実施方法
•
相談時の面談、初回アセスメントの情
報等を整理して、子ども、母親、父親、
それぞれのニーズを把握する。
•
それらのニーズにずれはないか、その
有無を把握する。
•
面談時の情報、発達評価結果
事例より
•
子どものニーズ
生活面、対人面含め発達支援が必要。
• 母親の主訴
思うように行かないとすぐかんしゃくを起
こす。話が分かるようになって欲しい。
• 父親の主訴
わがままなのだと思う。母親の育て方が
悪い。もっと厳しくした方が良い。
131
(2)ー② 大切にしたい視点
• 子どもの発達ニーズが適切に把握できているか。
• 父親、母親、家族の思いを丁寧に聞き取り、理解し、主訴と
して把握できているか。
• これらを合わせて、家族支援のニーズを把握できているか。
132
(2)アセスメント ③課題の整理
実施方法
• 基本的ニーズの把握に基づき、課
題を整理する。
必要なツール
• 支援項目ごとの課題の整
理表
事例より
• 支援項目ごとの内容と方法は、保
護者の同意を得ながら進める。
• 併用する他の機関がある場合は、
必要に応じて、他機関と役割分担
と協働による支援を実施する。
<子どもの状況>
・全体的発達支援:運動・認知・社会・言語
・就園に向けた身辺自立の獲得
・不安軽減への対人関係の育成
・感覚統合評価を含めた過敏さの軽減
<家族の状況>
・子への発達状況理解と関わり方の支援
・父親‐母親の育児への協力関係づくり
・母親の育児負担感を軽減
(2)-③ 大切にしたい視点
• 列挙された課題に優先順位を付けて整理ができているか。
*緊急度、効果、般化度
• 家族支援についても同様に整理できているか。
• 発達支援の課題と家族支援の課題の関係性を整理しているか。
• 実施可能性を想定して課題整理しているか。
• 他機関との連携・役割分担が確認されているか。
134
(3)個別支援計画の作成
必要なツール
実施方法
•
支援項目の課題に基づき到達すべき長
期目標と短期目標を定める。
•
時間(支援期間)と領域(支援内容)とい
う2つの観点から個別支援計画を作成
する。
•
到達目標は、時間軸を通して段階を踏
んで達成される。
•
保護者の意見や希望を確認しながら作
成し、保護者の同意を得る。
•
個別支援計画表
事例より
・長期目標(1年)
生活や集団に加わる力が育ち、身近な
人との関りが持てるようになる。
・短期目標(3~6カ月)
園生活に合わせ生活リズムを作る
部分的に生活動作を自分で行う
特定の大人と安定した関係を築く
簡単な日常指示の理解を育てる
135
(3) 大切にしたい視点
• 長期目標と短期目標が適切な期間で設定されているか。
(短期:3か月前後~期間が長すぎる目標は具体性がないことが多い)
• 目標と課題内容は分かりやすく、具体的で、実施可能か。
• 発達支援3、家族支援1、地域連携1は必ず考えよう。
• 多重性、相互性を活かした支援の組み立て。
• 育ちの特長・芽生えを活かしているか(ストレングス)。
• 分かりやすく文章化し、保護者に渡しているか。
保護者・子どもの立場に立った表現
ポジティブ表現
• 保護者の同意を得ているか。保護者の同意は選択可能な状況・条件の中
で行われているか。
136
(4)個別支援計画の実施
実施方法
•
支援スタッフはお互いに情報交換しな
がら支援を実施する。
•
支援のペースやスケジュールについて
は、保護者の同意を得て実施する。
•
設定された目標を、効率よく達成するこ
とに努める。
必要なツール
ケースファイル、各記録用紙、評価記
録用紙、支援実施一覧表など
事例より
<療育実践>
• 担当制による生活及び集団活動への支援
• OT・心理の個別評価の実施と結果につい
て報告とクラスへのアドバイス
• 週1回の言語・認知個別学習の実施
• 療育修了後に日々の振り返りを実施
<保護者関係>
• 定期的な個別面談で療育状況を伝える
• 療育見学・参加や日曜父親参加を実施
• クラス懇談会・保護者会の実施
137
(4) 大切にしたい視点
• 支援内容は計画通りに実施されているか。
• 支援の記録が残されているか。
• 支援内容と方法は、目標達成に効果がありそうか。
• 支援スタッフの相互連携がとれているか。
• 保護者が意見や希望を伝えることができているか。
• 安定した出席率となっているか。
138
(5)中間評価と修正 ①個別支援計画の評価
必要なツール
実施方法
•
時期(段階)ごとに、到達目標達成
度を評価し、分析する。
•
保護者からのサービス評価を取り
入れる。
•
•
•
•
中間評価記録表
療育アンケート
必要に応じて発達評価など
事例より(半年中間評価実施)
保護者の要望や状況の変化につ
いては、常時情報を得るようにする。
<子どもの様子>
• かんしゃくが減り、大人に甘えるようになる
• 着脱や食事を自分でやろうとする
• 集団活動に興味を示し大人と参加する
• 簡単な指示のことばやサインに気付く
<両親の様子>
• 笑顔が増え気持ちが伝わりうれしい。関わ
り方が分かってきた。発語が育って欲しい。
139
(5)-① 大切にしたい視点
• 設定した期間(短期目標)ごとに中間評価を実施している
か。
• 設定した期間以外でも、常に発達ニーズや保護者ニーズ
の変化に気を付け、必要に応じて中間評価と修正を加える
ことができているか。
• 保護者の満足度、要望、苦情を知る方法を設定しているか。
140
(5)中間評価と修正 ②個別支援計画の修正
実施方法
•
到達目標に達成できていない場合は、
その原因を分析的に考え、新たな目標
設定をしていく。
必要なツール
•
個別支援計画の修正、変更記録表
事例より
•
修正にあたっては、 担当者間で連携を
取る。必要に応じて、他の視点からの
助言を得る。
<園内関係者会議の実施>
・・・新たな目標に向けた役割分担の確認
•
保護者に修正や変更の同意を得る。
生活担当;生活の見通しが育ってくる。
生活場面で達成する部分を決める。
集団担当;対人関係が育ち、かんしゃくが減
る。参加し易い活動場面を設ける。
言語担当;言語や動作サインの理解が育つ。
発声遊び、出易い音の模倣遊び促進。
OT担当;触覚や前庭覚の過敏は軽減してい
る。触・前庭感覚過敏の改善を継続。
面談担当;生活支援、就園への支援。
141
(5)ー② 大切にしたい視点
• 中間評価に基づき、適切な修正ができているか。
• 適切なスタッフで検討会議を開催しているか。
• 必要に応じて、修正内容の検討のための評価を実施している
か。
• 保護者の意見を聞き、同意を得ているか。
• 修正結果を文章化できているか。
142
(6)他機関との連携
必要なツール
実施方法
•
併用機関について、内容、日程、担当
者等を正しく把握する。
•
電話、報告書、訪問等、必要に応じた方
法で連携を取る。
•
連携の希望の有無、その方法と内容、
時期については、保護者と十分に話し
合いながら実施する。
•
個人情報保護の視点と発達支援、家族
支援の視点から、伝えるべき内容と伝
えるべきでない内容について吟味する。
•
•
•
連携希望書
他機関連携記録
報告書
事例より
<幼稚園との機関連携>
• 文書報告や電話連絡での開始時連携
• 家庭連携支援を活用した幼稚園訪問、
担当保育士の来園による連携
• 支援内容、状態や配慮点、集団活動参
加、友達関係作りなどを話し合う。
• 互いの機関理解、役割分担、協力関係
作り
143
(6) 大切にしたい視点
• 必要な時に、主体的に、連携が実施されているか。
*連携の目的・・・そのための課題の整理
*連携する機関・人
*連携の方法
*頻度
*役割分担とキーパーソン
• 保護者の希望、相手機関の希望を把握してるか。
• 地域ネットワークの視点で連携しているか
*ヴィジョン・アクション・フィードバック・連携ツール
• 個人情報保護の視点を持って行っているか。
(本人主体・倫理の共有)
144
(7)就学支援
実施方法
•
保護者への情報提供
•
保護者が悩みや考えを話し合える場
の提供。
•
•
担当者が意見や考えを伝えるのでは
なく、家族で話し合い、情報を収集し、
子どもにとって適切な場を選択してい
くプロセスを支える。
このプロセスを通して、子どもを、地
域をより理解できるように支援する。
必要なツール
•
各区市、都の特別支援教育体制に関
する情報
(就学相談、巡回相談、学習支援体
制など)
•
学校情報
(学校公開日程、教育内容など)
•
就学支援シート
事例より
就学時;保護者相談を頻回に実施。就学相
談を受けて、特別支援学級に就学した。
145
(7) 大切にしたい視点
• 就学に関する相談支援が、実施されているか。
(就学を迎える児全員に対して)
• それは、保護者の主体的な行動・選択を支えているか。
• 地域の学校情報、最新の特別支援教育の体制やサービスについ
て把握し、整理しているか。
• 就学に向けての企画が、タイムリーに実施できているか。
146
就学支援のプロセス(課題解決プロセス)
•
気持ち・考えの整理・・なぜ○○学校に行かせたいか
•
情報の収集・・資料の集め方、見学、体験等
•
情報の整理・・子どもにとっての長所と短所
•
子ども理解の再整理と親の希望(価値観)の整理
・・ここが一番苦しい
•
選択・・選ばなかったことの補償の方法
•
希望が満たされるための交渉、関係作り
•
振り返り
•
このプロセスを支え課題解決の姿勢と方法を伝えていくことが、就学支援
•
このプロセスに両親/家族の参加を促すことが、家族支援につながる。
•
この姿勢とスキルは、その後の選択場面に活かされていく。
•
この姿勢とスキルは、やがて子ども自身の生き方に活かされていく。
147
就学支援に含まれる意味
•
•
•
•
障害理解と受容
エンパワメント
カウンセリング
家族機能の育成・回復
なぜ「就学支援」が効果的か
•
•
•
•
•
•
全員が通過する課題
テーマと目標(学校決め)が明確
選択肢(学校)が絞られている
日程と期間が定められている
家族全体のことを考えられる
継続的に振り返りができる(結果検証)
148
(8)終了時評価
必要なツール
実施方法
•
到達目標達成度を含めた個別支援計画
全体を客観的に評価。
•
終了時評価表
事例より(5歳児終了時)
•
•
•
支援提供はスムーズに行われたか、ま
た、行われなかった場合の原因は何かを
評価。
・かんしゃくはなくなり人との関係もある程
度上手に取れるようになってきた。
・集団生活の基本的ルールを理解して場
に合わせ行動できるようになってきた。
利用者の状態の変化・満足度などの観
点から評価。
・ことばが育ち、要求や要望、様子等を他
者に対して表現するようになった。
・予定外の場面に不安を示すが、視覚的な
同様のケースの個別支援計画作成に評
手がかりも使い伝えると、軽減する。
価を活かす。
・触覚・前庭覚過敏はあるが軽減している。
*父は3年間日曜参観に出席。父母で育児を
協力して行い、就学へも共通理解が出来
た。学校・地域活動に家族で参加している。
149
(8) 大切にしたい視点
• 到達目標の達成度はどうか。
• 適切な支援提供ができたか。
• 利用者の満足度はどうか。
• 事例としてまとめ、今後の参考としているか。
150