計量経済学 第二回 Econometrics

統計学
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鈴木智也
1
今日の講義の位置づけ
• この講義全体の構成
①記述統計 ← データの規則性を記述
一変数の規則性の数値化
度数分布の利用
二変数の規則性の数値化 ← 今はここ
②確率論 ← 推測統計への橋渡し
③推測統計 ← データから全体像を推測
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なぜ二変数の関係が重要か?
• 経営者の立場:自社製品の「価格」を上げ
れば、「収入」は増えるのか?
• 経済政策決定の立場:「公共投資」をすれ
ば、どのくらい「GDP」は増えるのか?
• 投資家の立場:どの株とどの株を組み合
わせれば、リスクを減らせるのか?
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二変数分析の第一歩(散布図)
二つの変数(XとY)のデータを取る。
⇒Xの値とYの値の組合せをグラフ化する。
⇒これを「散布図」という。
例:(株)トヨタ自動車と(株)デンソーについ
て、株価の動きを月次データで調べてみる。
4
2005/1
2005/2
2005/3
2005/4
2005/5
2005/6
2005/7
2005/8
2005/9
トヨタ自動車
4030
4070
3990
3840
3860
3970
4250
4500
4500
デンソー
2690
2675
2670
2495
2470
2525
2715
2795
2860
5
散布図の例
株価の連動(2005年1月~9月)
2900
デンソー
2800
2700
2600
2500
2400
3800
3900
4000
4100 4200 4300
トヨタ自動車
4400
4500
4600
6
散布図から次のステップ
• トヨタ自動車の株価が上れば、デンソーの
株価も上る傾向にある。
⇒こういった二変数の連動傾向が散布図か
ら、一目瞭然である。
⇒次は、その連動傾向を数値化する。
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重要語句:復習をかねて
• 平均:データの代表値
• 分散&標準偏差:データの散らばり具合
☆今日の重要語句:共分散&相関係数
⇒二変数の結びつきの強さを測る指標
注)共分散を出してから、相関係数を出す。
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復習
☆分散(変数Xのデータについて)
2
2
(
X

X
)



(
X

X
)
1
2
1
m
sX 

m
m
1
where X 
m
m

( X i  X )2 ,
i 1
m
X .
i
i 1
各々の観測値が平均値からどのくらい離
れているかの平均(散らばり具合の指標)
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復習(2)
☆標準偏差(変数Xのデータについて)
s X  s X2
これも散らばり具合を表す指標。
注:分散は二乗を取って計算しているので、
元の単位(例:兆円)とは異なる。
⇒分散の平方根を取って、標準化し、元の単
位に戻す。
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共分散
二変数間の関係の強さを表す指標
2
s XY
1

m
m
(X
i
 X )(Yi  Y ),
i 1
1
where X 
m
m

i 1
1
X i and Y 
m
m
Y .
i
i 1
↑これを用いて、相関係数をはじき出す。
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重要:相関係数
• 共分散を標準偏差で割って算出。
rXY
2
s XY

, where  1  rXY  1.
s X sY
• 相関係数の重要な性質
Xと Yが同方向に動く  rXY  1.
Xと Yが逆方向に動く  rXY  1.
Xと Yがばらばらに動く  rXY  0.
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応用例:投資リスクと相関係数
• 株などへの投資にはリスクがつきもの。
• 株価は上ることも下がることもある。
• 複数銘柄に投資し、ある銘柄の株価が下
がっても、別の銘柄の株価が上れば、損
失は防げる。
⇒相関係数が-1に近い株同士を組み合わ
せれば、投資のリスクを回避できる。
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注意点:相関係数
☆相関係数は因果関係(原因と結果)につい
て何も語らない。
• 二変数XとYに相関関係が見られたとして
も、どちらが原因でどちらが結果なのかに
ついては、相関係数だけでは判別不能。
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例1:相関係数と因果関係
身長の高い人ほど体重が重い傾向にある
⇒身長と体重は正の相関関係
では、体重を増やせば、身長は伸びるか?
⇒No!
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例2:相関係数と因果関係
暑い日ほどアイスクリームがよく売れる。
⇒日中最高気温とアイスクリーム売上は正
の相関関係
では、アイスクリーム売上を減らせば、日
中最高気温を低くできるのか?
⇒No!
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例3:相関係数と因果関係
• 天気予報が雨ならば、実際に雨の降る日
が多い。
⇒天気予報の降水確率と実際の降雨量に
正の相関
では、天気予報士に「雨が降る」と言わせ
れば、雨で水不足を解消できるか?
⇒No!
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例4:相関係数と因果関係
• 女性の社会進出と出生率に正の相関。
⇒男女共同参画団体の主張「女性の社会進
出推進(=兼業主婦優遇)で、少子化は解
消できる」。
⇒彼らの主張は正しい?
・「女性の社会進出→出生率」なら、正しい。
・「出生率→女性の社会進出」なら、逆に、専
業主婦優遇が望ましい場合もある。
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