地球メガトレンドと持続可能性

持続可能な未来とは
東京大学五月祭
国際連合大学
安井 至
United Nations University
http://www.yasuienv.net/
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1
答
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化石燃料無しで暮らす
地球人口を30億人以下に
右肩上がりから右肩下がりへ
以上の3条件を「幸福だ」と思えるメンタリ
ティー
2
地球環境:5つのメガトレンド
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気候変動/地球温暖化
降水の変化による食糧供給限界
化石燃料の限界とエネルギー戦略
国連ミレニアム開発計画と人口制御
持続可能な生産と消費(WSSD2002)
3
気候変動/温暖化問題
概要:
もしも産業革命以降の温度上昇を2℃に抑えることが必要だとしたら、
温暖化対策は、これまで考えてきたよりも、遥かに厳しい対応が
迫られる。シミュレーションの精度に関して、さらなる検討が必要。
鍵は、2020年ごろからの対策技術なので、準備を開始しておく必要
があるだろう。
排出量取引は、温暖化防止とは無関係なので、実施すべきはなく、
目標未達分は、借金として背負うべきである。
4
国立環境研によるシナリオ
5
Total CO2 Emission(Global)
475ppm
Now
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
6
日本はどのように対応すべきか?個人的案
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2012年までの削減不足を30%増借金として背負う
世界最高の省エネルギー・省資源技術を開発し、201
3年以降に借金返済
同時に、世界へCDMで貢献。同時に途上国の参加要
請。
排出量取引に期待すべきでない。無駄金。


600億円/年ぐらいか?
環境税(原油価格の高騰による効果の方が大か)
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
全エネルギーを原油輸入量に換算し、1Lあたり1円課税す
ると、6000億円/年
Cf.ガソリン税: 600億L × 53.8円 = 3兆円
Cf.軽油引取税: 470億L × 32.1円 = 1兆円 7
水資源と食糧供給
概要:
水資源、特に、降水の変動が、世界食糧供給に影響を与える
可能性があることを念頭においた政策が必要。
食糧自給をどこまで目指すか。WTOの枠組みの中で、何を
具体的な目標とするのか。
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日本の水資源 in Japan
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生活用水:130m3/年・人 Daily Life
工業用水:110m3/年・人 Industry
農業用水:460m3/年・人 Agriculture
間接水の輸入量:600m3/年・人
=Indirect Import of Water, Virtual Water
牛肉、トウモロコシ、大豆、小麦が4大間接水
輸入である。=Beef, Maize, Soy, Wheat
合計すると、水使用量は多目
=More than Average
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化石燃料限界
概要:
石油のピークアウトは、2030年ごろまでには起きるか??
いずれにしても、エネルギー供給戦略と同時に、極限までの
省エネルギー技術を獲得しておくことが、競争力確保のために
必須である。
再生可能エネルギーとして、何を重点的に考えるか、これも重要。
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Oil Production and Resources Found
1980
Found
Production
産出量
発見量
11
エネルギー使用量の長期推移
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人口問題とミレニアム開発目標
概要:
国連の人口中位予測である、2050年に90億人は、多すぎる。
2045年78億人でピーク、その後、減少というシナリオを実現
すべきである。
国連のミレニアム開発計画が達成できば、実現可能である。
そのような国際援助を実施すべきである。日本にとっても、その
メリットは大きい。
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国連の人口予測
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
14
140000
120000
100000
Korea
Japan
Italy
Ukraine
Uganda
80000
60000
40000
20000
0
1950
1970
1990
2010
2030
2050
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8種のゴール in MDG
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1.貧困と飢餓の克服
2.初等教育の世界的実現
3.性の平等、女性の活力増大 出生率低下
と相関が高い
4.幼児乳児死亡率の改善
5.妊婦の健康
6.HIV/エイズ、マラリアの克服
7.環境面での持続可能性の確保
8.開発のためのパートナーシップ
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「右肩上がり」と持続可能性
概要:
20世紀は、右肩上がりが良い社会の前提であった。しかし、
環境汚染などでは、右肩下がりが「経済と環境の好循環」を
意味する。
21世紀は、人口、エネルギー、資源、すべてピークを超えて、
減少傾向になる。
右肩下がりに対応した新しい考え方に変える必要がある。
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GDP 一人あたり vs. SOx 濃度
環境クズネッツ曲線
after Prof. SIMON KUZNETS
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地球共生型シナリオ
人
間
活
動
の
総
量
・
地
球
へ
の
イ
ン
パ
ク
ト
化
石
燃
料
・
原
化石燃料依存から核融合依存へ
子
力
分岐点にある
地球の持続能力
300年必要
100年間で人口の半減は厳しい
1800
2000
2300
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持続可能な生産と消費
概要:
とりあえず2020年程度までの先進国の目標は、持続可能な生産
と消費の実現である。これは、ヨハネスブルグサミット(WSSD2002)
で指摘された事項である。
現在の人間活動は、「化石燃料のお陰で」地球の限界を超える
ことができている。化石燃料の供給には限界がある。
それには、目指すべき4つの方向性がある。
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4つの方向性と実現手法
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究極の高エネルギー効率
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
究極の高資源利用効率
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超長寿命、超小型化、超機能、3R
究極の高付加価値商品
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ヒートポンプ、エネルギー再生(ハイブリッド)
リアルタイムでの消費量情報の提供
高価格(購入時)、愛用できる商品、自慢できる環境性能
適切な環境負荷の低減

これまでの環境政策の継続
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社会の着地点、特に、価値観
概要:
2020年以降の環境問題は、地球の限界と人間活動との整合性
をどのように取るのかだけの問題になる。
20世紀型の考え方は、やはり産業革命の考え方の延長線上。
これとは違った、21世紀型の「第三の革命」が必要になるのだろう。
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日本の生活・世界の生活
低解像度版
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クウェート
8人家族
リビング、寝室4、居間、バスルーム4、食堂、キッチン、
使用人部屋、地下室(事務所)、バー、室内プール
床面積 437㎡
主な所有品
ラジオ
4台
テレビ
2台
電話
5台
車
4台
PC
1台
ビデオ
2台
1週間の労働時間
父
50時間
長女 60時間
次女 45時間
一人当たりの年間所得
17535 USドル
(約175万円)
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ブータン
13人家族
3階建て
床面積 65㎡
主な所有品
ラジオ 1台
1週間の労働時間
大人 49時間
(7時間×7日)
一人当たりの年間所得
186 USドル
(約2万円)
(C)Material World / ユニフォトプレス
25
アメリカ
4人家族
床面積 144㎡
主な所有品
ラジオ(3) テレビ(2)
電話(5) 自転車(1)
バイク(3) 車(3)
PC(1)
ステレオ(3)
冷蔵庫(1) ミシン(1)
洗濯機(1) レンジ(1)
ドライヤー(1)
フードプロセッサー(1)
コーヒーメーカー(1)
ポット(1) アイロン(1)
電子レンジ(1)
1週間の労働時間
父
40時間
母
20時間
(家事含まず)
(C)Material World / ユニフォトプレス
一人当たりの年間所得
29240 USドル
(約292万円)
26
日本
4人家族
リビング、食堂、キッチン、バス
床面積 128㎡
主な所有品
ラジオ(3) テレビ(1)
電話(1) 車(1)
自転車(1) PC(1)
ビデオ・ゲーム機(1)
電子ピアノ(1)
冷蔵庫(1)
電子レンジ(1)
トースター(1)
洗濯乾燥機(1)
炊飯器(1)
こたつ(1)
1週間の労働時間
父
40時間
母
60時間
(C)Material World / ユニフォトプレス
一人当たりの年間所得
32350 USドル
(約324万円)
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中世小氷期
人類はエネルギー転換と産業革命を行った。
第二の革命
産業革命
第一の革命
定住農耕革命
ヤンガードリアス寒冷期
人類は農耕文明による革命を行い生存した。
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第三の革命の意識
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20世紀は、右肩上がり。21世紀はピークを超え
て右肩下がり。
物量は少ないほど良い(アメリカンドリームから
の離脱)。
所有による満足から、共有による満足へ。
自己満足から、共生的満足へ。

妨害要素:米国的拡大思想、宗教戦争、支配欲

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