3.日本語とドイツ語の口語

3.日本語とドイツ語の口語
ドイツ語ドイツ文化専攻
三浦 榛奈
A.口語とは
①書き言葉に対して、話す時に用いる言葉遣い。
②現代の話し言葉およびそれに基づいた書き言葉。
対義語⇒ 文語
③文語に比べて変化が速い。
B.日本語の口語の特徴
①主語を省略する。
②ら抜き表現。
A:きのう行った?
B:ううん、行かなかった。
A:あしたは行く?
B:ううん、あしたも行かない。
ら抜き表現<ar表現>
「れる」は五段活用の動詞未然形に、「られる」は一
段活用(上一・下一)の動詞未然形に接続して、可
能・尊敬・受け身を表現する。
五段活用の「飲む」の可能表現。
◎昔 「飲ま・れる」。
◎現代「飲める」(下一)共通語になった。
これを可能表現差別化のための
<ar>脱落現象と解釈されていた。
nomareruの真ん中の<ar>が脱落して
nomeruになった。
C.ドイツ語の口語の特徴
①口語でしか使われない語彙が用いられる。
②発音の脱落。
☆
Wo kann man die Brief kriegen?
どこで手紙をもらえるの?
Kriegenは書き言葉におけるbekommenと同じで
「もらう・得る・受け取る」という意味を持つ。
しかし話し言葉でしか使われない。
口語で使われるものの例①
<動詞>
gucken ⇒ schauen、sehen 見る・眺める
quatschen、labern ⇒ sprechen、reden
話す・しゃべる
pennen ⇒ schlafen 眠る
Bock auf et4 haben ⇒ lust haben 意欲がある
口語で使われるものの例②
<名詞>
das Klo ⇒ der Toilettenraum トイレ
Moos、Kohle、Knete ⇒ dasGeld お金
die Glotze ⇒ der Fernseher テレビ受像機
Karre Kiste ⇒ das Auto 車
発音の脱落
(1)語尾の -e、 -t、-d、
(動詞・一部の形容詞の脱落)
komme → komm
jetzt → jetz
(2)語頭の ei-の脱落
ein → ’n
eine → ’ne
(3)語の中の –eの脱落
morgen → morgn
finden → findn
(4)en→m
haben → habm
(5)その他の例
mal → ma、nichts → nix、
sind → sin、geht es → geht’s
Hast du → Haste
Haben wir → Hammer
英語の省略語
 damege ⇔ dmg
 head ⇔ hd
 water ⇔ wtr
 About ⇔ abt
母音の部分が省略されて使われている。
この他にもたくさんの略語が使用されている。
まとめ
日本語もドイツ語も会話の中で語句を省略する。
ドイツ語の口語は一定の規則があり分りやすい。
口語でしか使われない語彙が用いられるため単語
の使い分けを理解しなければならない。日本語の
口語は文の語尾がさまざまに変化する。若者言葉
が目立ち、言葉の変化が速い。慣用句的な言い回
しや本来の意味とは違った用法で用いられること
も多い。
外国語として日本語を学ぶ人にとっては日本語の
口語には特に規則がないため難しい。