港湾施設 港湾構造物(外郭施設,係留施設,水域施設,陸上施設) 防波堤(傾斜堤,直立堤,混成堤) 外郭施設: 湾内の静穏性の確保,水深の維持,漂砂による埋没, 水際線の施設を波浪・高潮・津波から守る施設 防波堤,防潮堤,導流堤,突堤,水門,護岸,堤防 など 波 突堤 海 防波堤 防砂堤 護岸 導流提 堤防 河川 防潮堤 胸壁 水門 入り江 水門 河川 胸壁 海 導流堤: 河口部の流れを安定させ,河川の流下土砂を沖合に排出させ一定水 深を確保する 画像提供 西隆一郎先生(鹿児島大学) 護岸(seawall, bulkhead, coastal revetment): 高潮や津波,波浪から港湾施設および背後地を防護するために,背後の 地盤を被覆したもの 消波ブロック 画像提供 西隆一郎先生(鹿児島大学) 背後地と護岸が同じ高さ(天端) 堤防(coastal dike, sea dike, embankment, coastal levee) : 護岸と同様の目的で,現地盤上に築堤または擁壁でかさ上げしたもの 背後地と堤防の高さが異なる(堤防が高い) 防砂堤: 航路,泊地等の水域施設を漂砂による埋没から防護する. 突堤(groin) : 海岸から細長く突き出して設ける施設.沿岸方向の漂砂移動を阻止. 沖方向の漂砂には機能しない. 建設後の汀線 波の方向 岸 海 建設前の汀線 画像提供 西隆一郎先生(鹿児島大学) 防波堤(breakwater): 湾内の静穏を維持し,荷役の円滑化,船舶の航行・停泊の安全および湾 内の諸施設の保全を図る.砂浜海岸では砂防堤としても機能する. 防潮堤・胸壁: 高潮の進入を防ぐために堤防,護岸の背後に設けるもの. 水門:高潮や津波から後背地を防護するために河川,放水路等を横断して 設ける施設. 防波堤(青森県・関根浜港) 海洋地球観測船「みらい」の母港 高潮水門(須崎港) 1)港内静穏性の確保:防波堤 2)埋没防止:防波堤,防砂堤,導流堤 3)海岸決壊防止:護岸,堤防,突堤 4)背後地の防護:防潮堤,護岸,堤防,胸壁,水門 2)~4)は海岸法に基づく海岸保全事業の対象である.またこの事業 で整備される構造物を海岸保全施設(coastal protection facilities)と いう. 係留施設 船舶が離着岸し,貨物の積卸しや旅客の乗降を円滑に行うための施設. 岸壁:船が荷物の積み卸ろしをする時に停泊するための施設。ケーソンを 沈めた重力式や橋のような桟橋式がある。 桟橋:陸から突き出した船をつなぐためのもの。 浮桟橋:大きな浮き箱を並べ、桟橋としたもので、潮の満ち引きの差の大 きいところに設けられる。ポンツーン(pontoon)という。 ドルフィン(係船杭):大型タンカーなど流体・粉体の貨物を輸送する船を 係留するための施設. 係船浮標(ブイ):海の標識、いわゆるブイ。暗礁(あんしょう)の所在や航 路、錨地などを知らせる航路標識用と、船をつなぎとめる係船用が有る。 シーバース:大型タンカー用の沖合係留荷役施設 重力式岸壁 セル式岸壁 横桟橋 (陸岸に平行に設置) 桟橋 棚式岸壁 浮桟橋 矢板式岸壁 係船浮標 デタッチドピア ドルフィン 水域施設 船舶が航行,操船,停泊,荷役のために利用する水域. 航路,泊地,船だまり等 航路:船舶航行のために設定された所定の水深と幅員を有する水路 泊地:船が安全に停泊、円滑な操船及び荷役が出来る水域を表す。泊 地は十分な水深と、広くて静かな水面が必要とされる。 離岸堤(detached breakwater, offshore breakwater) 海岸線に平行に汀線よりも離れた水深2~5m程度の海域に設置される. 波を消してその結果として背後の汀線を前進させることを目的とする. 消波機能・沿岸流制御機能・漂砂捕捉機能・トンボロ発生機能 離岸堤の天端が静水面より下にある場合を潜堤(submerged breakwater)という. また潜堤の天端を広くとる場合を人工リーフ(artificial reef)という. 画像提供 西隆一郎先生(鹿児島大学) 傾斜護岸・階段式海岸堤防 海岸護岸・堤防を容易に上り下りができ手軽に汀線まで近づくことが できるような構造にしたもの.親水性や景観に配慮した護岸・堤防 画像提供 西隆一郎先生(鹿児島大学) 人工海浜: 海岸浸食によって砂浜が消失した海 岸の前浜に大量の砂を投入して回復 させた人工的な海浜. 養浜: 人工海浜を作るために砂を供給する こと. 福岡シーサイド百地の人工海浜 人工海浜に作られた商業施設 陸上施設 荷さばき施設 船舶の荷役を円滑に行うために設けられる施設で,荷さばき地,上屋, 荷役機械等がある. 臨海交通施設 臨海区域内および背後地との間の円滑な物流が行われるように,臨海 道路,臨海鉄道などの臨海交通施設が必要である. 傾斜堤 直立堤 混成堤 特殊防波堤 傾斜堤 捨石傾斜堤 捨ブロック傾斜堤 直立堤 ケーソン式直立堤 ブロック式直立堤 セルラーブロック式直立堤 コンクリート単塊式直立堤 混成堤 特殊堤 ケーソン式直立堤 ブロック式直立堤 セルラーブロック式直立堤 コンクリート単塊式直立堤 傾斜堤 傾斜堤は,石やコンクリートブロックを台形上に捨て込んだもので,主に 傾斜面で波のエネルギーを散逸させるものである。防波堤の原型。 諸外国では大きな石が大量に得られるので大水深防波堤にも用いられ るが,日本では水深の浅い比較的小規模な防波堤に用いられる。 長所 ・地盤形状に応じた施工ができ,比較的軟弱な地盤にも適用可能 ・反射波が少ないため付近の海面を乱さない ・ブロック堤の場合,ある程度海水が透過するので水質維持に有利 ・維持補修が容易 短所 ・水深が深くなると材料や労力が過大になる←経済性に問題が生じる ・堤体を越える波(越波)によって堤体内側の肩や斜面部が破壊されやすい ・透過する波によって港内部が乱されやすい ・堤体斜面すその広がりが大きいので,航路や泊地が狭くなる 直立堤 直立堤は前面が鉛直な壁体を海底に据えたもので,主として波のエネル ギーを沖側に反射させて港内の静穏性を保つものである。堅固な基礎地 盤を必要とする上,壁体部が大型になるため比較的小規模な防波堤に 用いられる。 長所 ・構造が単純で使用材料も比較的少なくてすむ ・堤体を透過する波や砂がない ・越波に対して強い ・有効な湾口幅の確保が容易 短所 ・反射波が大きく付近の海面を乱す ・海底地面や基礎構造物が堅固でなければならない ・一旦破壊されると大きな被害を受ける ・堤体を施工するとき海上の静穏さが必要 混成堤 混成堤は捨石基礎(マウンド)の上に直立壁体を据えたもので,いわば傾 斜堤と直立堤の複合機能を有するものである。捨石部と直立部との適当 な組み合わせにより比較的多様な堤体構造を計画することができる。日 本の防波堤は混成提が多く,なかでもケーソンを用いるものが多く採用さ れている。 長所 ・捨石部で地盤反力を軽減できるので,比較的地盤のよくない所にも適する ・捨石部と直立部を組み合わせることで,水深の大きな所に採用できる ・大型のケーソンを用いることで,波の荒い外海でも比較的に急速施工が可能 である 短所 ・捨石マウンドが高くなると,異常に高い波圧が直立部に作用する恐れがある ・他の形式と比較して構造が複雑なので施工方法や施工設備も複雑になる. ・局部的な波力の集中や局所的な流れによって港外側捨石部マウンドが被災 することがある.
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