第3回山口大学国際シンポジウム 「国際開発機関と大学の連携について」 青年層の国際意識の変容と グローバル化に対応する人材育成への期待 平成21年12月3日 文部科学省大臣官房国際課国際協力政策室 岩井 淳武 1 国際教育交流政策懇談会 <設置の趣旨> ・ グローバリゼーションの進展は教育のありようにも影響を 与えており、具体的にどのような影響や課題が生じているの か検討を行い、国際教育交流・協力を推進する上で必要な 方針や具体的な施策について、教育振興基本計画も踏まえ、 提言を行う。 ・限られた人材・財政資源の下で効果的・効率的な国際教育 交流・協力を進めるに当たっては、一定の中期的指針の下 に、能動的な交流事業を展開していく必要があり、 このた め、これまでの施策・事業をレビューするとともに、中長期的 な国際教育交流・協力の指針となる考え方について併せて 提言を得る 。 ・平成21年1月に設置 2 国際教育交流政策懇談会 <今後の方策(懇談会中間報告より抜粋)> • 大学等組織として国際協力活動に組織的に取り組めるよう、 活動に取り組む教職員の能力開発を行うことが必要である。 • 学校現場において、グローバルな人材育成や国際社会の共 通課題・国際協力活動への理解深化が組織的に取組まれる よう、あらゆる年齢層の教員等の資質向上が必要である。 • 大学で育てた国際協力関係人材を活用する方策を考えること も必要である。 *多数の委員から、「近年の若者の内向き傾向」につき問題提起 3 若者のグローバル意識の変容 【年代別出国率の推移】 法務省編「出入国管理統計年報」各年版、総理府統計局編「人口推計資料」より作成 4 若者のグローバル意識の変容 【新入社員のグローバル意識調査】 2004年 2007年 海外赴任に喜 んで従う 海外赴任をでき るだけ拒否する 海外では働き たくない 0 10 20 30 40 対象:全国の2007年度入社の新入社員668人(男性427人、女性241人) (出所)学校法人産業能率大学「第3回新入社員のグローバル意識調査」より 5 若者のグローバル意識の変容 【青年海外協力隊応募者数の推移】 6 若者のグローバル意識の変容 【AE等派遣候補者選考試験 応募者/合格者数】 外務省ホームページより 7 若者のグローバル意識の変容 【ユニセフ学校募金 募金額の推移】 年度 募金額 前年比 2003 395,349,418 93.7% 2004 398,873,787 100.8% 2005 458,873,787 115.0% 2006 423,710,517 92.3% 2007 350,293,522 89.7% 8 問題認識 • 地球規模の課題が山積する今日の国際社会において、日本 は国際社会の責任ある一員として、国際協力の分野でその 地位にふさわしい役割を果たしていく必要がある。 • しかしながら、国連等の国際機関における邦人職員の数は、 望ましい水準をはるかに下回っており、国際社会への人的 貢献という意味で日本は十分な役割を果たしているとは言い 難い。 • にもかかわらず、外務省のJPO制度やJICAの青年海外協 力隊事業への応募者数は、近年、著しい減少傾向にある。 • 教育再生懇談会の第四次報告でも、最近の「若者が「内向き 志向」になり、外の世界に積極的に飛び出して行かなくなっ ているのではないか」との懸念が示されるなど、若い世代に おける海外への関心の低下が指摘。 9 国際協力人材育成の一方策として ー大学教育を通じた国際協力人材の育成ー 学生にとっては、いきなり青年海外協力隊やJPO(ジュニア・プロ フェッショナル・オフィサー)、国際機関、国際NGO等をいきなり目指 すことは、ハードルが高い面がある。 大学の教育プログラムにおいて、意欲ある学生が自然に参加でき るような高質の場を設定。 大学教育・研究活動の中で、国際協力の体験 (国際ボランティアや国際機関・国際援助機関等 へのインターン)と教育プログラムを融合する取 組みの推進。 10 事例:関西学院大学 国連学生ボランティアプログラム 国連機関(UNV)との協定に基づくボランティア派遣 制度を活用し、国際協力人材を育成する取組み 関西学院大学が、国連ボランティア計画(UNV)との協定に基づき、2004年以 来開発途上国への学生ボランティアを派遣。 これまで50名の学生が、UNVボランティアとして、主にアジアでICTを活用する 途上国活動に参加。派遣期間は5ヶ月、学部では、「国連学生ボランティア実習 (12単位)」、と「国連学生ボランティア課題研究(4単位)」が、また大学院では 「国連学生ボランティア特別実習(6単位)」、国連学生ボランティア特別課題研 究(2単位)」が認定される。 派遣学生に対して、大学から30万円の奨学金が支給される。 11 事例:広島大学ザンビア特別教育プログラム 援助実施機関と大学が長期派遣制度を活用し、国際 協力人材を育成する取組み JICAと広島大学の連携事業。 青年海外協力隊の枠組みで広島大学大学院国際協 力研究科(IDEC)の学生をザンビアの教育協力現場 に派遣(2年間)し、ボランティア活動の現場で実践的 修士論文研究を行う正規カリキュラム。 平成14年から18名参加。 12 事例:帯広畜産大学フィリピン国酪農強化プロジェクト 援助実施機関と大学が短期派遣制度を活用し、国際 協力人材を育成する取組み JICAと帯広畜産大学の連携事業。 平成16年度-20年度にかけて、フィリピンの協力隊チーム派遣 「フィリピン酪農開発強化プロジェクト」に合計32名の短期隊員 (学部生、院生)を派遣。 派遣期間約5週間。隊員は、「インターンシップ(2単位)」の取得 が可能。 また、大学において支援委員会を組織し、大学予算による教員 派遣や現地からの要請にもとづく技術的支援など、教官と学生が 一体となった組織的なプロジェクト支援を実施。 13 事例:摂南大学外国語学部 浅野英一ゼミの取組み 将来的に国際機関の職員や専門家として活躍する人材の育 成を目的として ゼミ生の中から多数の青年海外協力隊参加者を排出 5年前から取組を開始。 3年前から、ゼミ生の多数の3年生が青年海外協力隊に応募、 応募者は全員合格(3年間で計24名)。 2年間の協力隊活動の後、4年生に復学、ゼミの後輩を指導。 14 事例:名古屋大学大学院 ユネスコへのインターン派遣 国連機関(UNESCO)との協定に基づくインターン派 遣を通じた国際協力/高度職業専門人材の育成 過去の組織的な協調関係を基盤として、2009年8月、名古屋大学大学院国際 開発研究科(GSID)とユネスコ・バンコク事務所とが、学生インターン派遣に関 する協定を締結。 GSIDに所属する学生(博士前期課程ならびに後期課程)のユネスコ・バンコク 事務所へのインターン派遣で、主に教育開発分野を専門とする学生が中心とな る。派遣期間は、最低3ヶ月、最高6ヶ月。 インターンシップをGSIDのカリキュラムの中に明確に位置づけ、大学院での教 育・研究と、インターンシップによる実務経験との間のシナジーをより効果的なも のとしていく方向。 15 事例:大学による国際協力人材育成の取組み • 神戸大学大学院国際協力研究科国 際公務員養成プログラム • 立命館大学大学院国際研究関係科: 平和構築と開発に焦点をあてた、国 際協力の即戦力となる人材育成 • 長崎大学大学院国際健康開発研究 科公衆衛生学修士コース • 日本赤十字九州看護大学:国際ボラ ンティア活動と教育プログラムの融合 による国際協力人材の育成 等 16 調査研究:グローバル人材育成のための大学教育プ ログラムに関する実証的研究 ・ 大学教育のなかに海外ボランティ アや国連機関、国際援助機関等 へのインターンとしての派遣を融 合するなど、グローバル化に対応 する人材や国際協力分野で活躍 できる人材(特に、高度職業専門 人)の育成を図るために効果的か つ実施可能なプログラムについて、 既存の大学の取り組みを調査分 析し、その意義と課題を明らかに することで、提言を得ることを目的 に実施中。 17 ご清聴ありがとうございました。 国際協力イニシアティブ URL:http://www.scp.mext.go.jp/ 18
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