外国人看護師・介護士の 受け入れ問題

外国人看護師の受け入れ問題
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北出朱美
候補生受け入れの経緯
 2006年フィリピンとEPAに関する基本合意
⇒候補生の受け入れが決定
インドネシアと正式決定、タイ・ベトナムと継続協議
 2008年インドネシア人候補生第一陣来日
 2009年フィリピンから来日
“看護・介護分野初の労働開国”
資格取得までの流れ
インドネシアの看護師+2年の実務経験
滞在期間
国際厚生事業団のあっせんによる雇用契約の締結
は3年
不合格の
場合帰国
日本語研修(訪問前3か月、訪問後6か月)、看護導入研修
病院で就労・研修
看護師国家試験受験(三年間に3回)
合格・資格取得
正規就労が可能に
日本で就労する外国人のカテゴリー
就労目的で在留が認め
られているもの
特別活動等
外国人候補生
(資格取得後も)
身分に基づき在留する
もの
資格外活動
在留資格
(1)在留資格に定められた範囲で就労が認められる
在留資格
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経
営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文
知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特別活動
(ワーホリ、技能実習生、EPA)
(2)原則として就労が認められない在留資格
文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在
(3)就労活動に制限がない在留資格
永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者
政府の見解
 相手国からの強い要望に基づき交渉
 国家資格取得のための「教育」と「研修」目的
 看護・介護分野の労働力不足への対応として日本
から要望したものではない
 年間の受け入れ最大数を設定(国内労働市場へ考
慮)
日本の医療の変化
 無保険者の増大、受診抑制
 医療供給体制の再編
65%が民間主体(厚労省、2009)
 医療費の増大
 医療スタッフの不足
医療スタッフの不足
 3割の勤務医が過労死ライン超え
ライン=月80時間以上の超過時間労働
 第七次看護職員需給見通しに関する検討会(厚労
省,2010):2011年5万6000人不足、2050年には
100万人不足…?
 離職率の高さ、潜在的看護師
 看護師が不足→多忙→退職→…の悪循環
各団体の反応
 日本看護協会“慎重に対処すべき”
 日本医師会“実行されても人不足の解決にならな
い”
 医労連“安易な受け入れはさけるべき”
 全日本病院協会“不足の対処は潜在的看護師の掘
り起し、外国人看護師の採用が直近の解決策”
 経団連“外国人材も含めた人材の確保が考慮され
てもよい状況が生じている”
問題点
 日本語の壁
 合格率の低さ:2009年度1.2%
2010年度4%
(全体では約90%)
 心の壁:サービス労働、習慣や文化の違い
 国内労働市場の保護:外国人労働者→労働環
境さらに悪化?
 受け入れ機関の負担
問題点に対する意見
 インドネシア、フィリピン人のほうがむしろ高齢
者などの扱いがうまい(大家族が多い)
 ケア労働のグローバル化の流れ
 労働環境悪化と外国人労働者の関係性はない
諸外国の例
アメリカ
 国内の看護師220万人中、8万8000人が外国人
 CV審査→入国前に看護予備試験→合格者のみ入
国、看護試験
 労働市場テスト(まずは国内で募集)
 ウェブサイトや出版物による牽制
 実技試験がない(スクリーニング不十分)
 試験の数が少ない
論点
 日本は外国からの労働者の受け入れは必要か
 人手不足の解消のために外国人看護師を受け入れ
ることについてどう考えるか
 受け入れる場合、どのような制度(もしくは現行
制度の改善)が必要か
 受け入れない場合、増え続ける高齢者の介護はだ
れがするのか、解決策として他に考えられるもの
は
参考
 厚生労働省
ホームページ
 外務省 ホームページ
 『移民政策へのアプローチ ライフサイクルと多
文化共生』川村千鶴子ほか
 『越境するケア労働』佐藤誠編