web.sfc.keio.ac.jp/~thiesmey/shakainote.htm 1 『オリンタリズム』より「東洋人を知る」 背景:英国のバルフォアやグラッドストーン首相 1890年代、グラッドストーン政権の下で、「ユダヤ人のため」に、 イギリスなどの西ヨーロッパ諸国が支配しようしていた近東の諸国 から、パレスチナという一つの地域を切り離した。その政策を造った 人はバルフォアであった。 その新たな国の構成や西ヨーロッパからのユダヤ人の送還政策は 「バルフォア宣言」と呼ばれている。 その新たな国は「イスラエル」と呼ばれ始めた。そこに住んでいる パレスチナ人はバルフォア宣言によって「無国籍」になった。 2 『オリンタリズム』より「東洋人を知る」 1。「オリエント」(「東洋」)とは、西洋諸国が作り 上げた観念に基づいているために、 • その存在は西洋に「地理的に、道徳的に、 文化的に」定義付けられた。 • 西洋の定義では、「オリエンタル」のものは「オリ エンタルな」性格、「オリエンタルな」雰囲気、「オ リエンタルな」伝説、「オリエンタルな」封建制度 などに成立されている・構成されている。 3 『オリンタリズム』より「東洋人を知る」 2. そのように定義されたオリエントは、17世紀からの 植民地制度(当時のインドなどからの原料があった 地域に定住していたヨーロッパ人=植民)によって 西洋が収益を得るようになった。 19世紀末から20世紀にかけ、不平等貿易(これに ついての条約・協定も含む)による収益だけではなく、 政治的な利益もどのように受けるかということは ヨーロッパ諸国に熱い討論になった。 4 イギリスの帝国・フランスの植民地・スペインの植民地 5 『オリンタリズム』より「東洋人を知る」 2.植民地制度の影響 つづき • その当時より、ヨーロッパ諸国が植民地を ベースにした「帝国」造りの競争にも従事し始 めた。 • このように拡がる植民地・帝国の行政が確定 する一つの制度は、「オリエント」にある巨大 な土地や天然資源物は西洋諸国にも所有す る・帰属することであった。 6 『オリンタリズム』より「東洋人を知る」 3。バルフォアによると、エジプトが英国の行政 支配が必要とする。その理由は、 • イギリス人の立場でエジプト人にとっての「利 益」にもなるが、別な意味でヨーロッパ全体に 大いなる利益にもなる。 7 『オリンタリズム』より「東洋人を知る」 4。オリエントに関する発想の代表者のバルフォアが、 既存の「オリエント」に関する伝統的な定義や特定 を参照していた。 特に「権威」がある大学研究に加えて、古典文学、歴 史学、評論、そして伝説から、カール・マルクスま での執筆の中で、オリエントの人達は自分自身を代 表(=表象)することが「できない」ために、西洋 人によっての表象が必要となり、その西洋による代 表・表象を要求までもしている。 これゆえに、オリエントが「自分のために自分を代表 できないから我々に代表として語ってもらわない と」のように知られてきたし、統治されてきた。つ まり、西洋人がオリエントの現実をオリエント人よ りも「知る」、語れるということを確定する言説で 8 あった。 「東洋人を知る」~過去から現在まで 「自分を代表できないから、我々に代表として語って もらう」というような知識的な枠組みの伝達 この言説をつくった制度は大学や学者による「研究」=現地に一切も 行っていない、既存の文学や伝説に基づいていた「研究」)であった。 が、その当時、この言説を利用しながら実施した制度は、植民地の行 政府であった。現在に、先進国の政策実務者はこれを実現している ブルデューが言う「言説は現実を生起させる」ことと同様に、その言説 が植民地や現在の発展開発制度(南北関係)を生み出して、さらに 一度生み 出された制度を強化、正当化、維持する言説でもある。 (フーコーも参照) 9 サイード: 西洋以外の諸国に関する研究・知識体制 である「オリエンタリズム」とその機能(フーコーを参照) 1.先入観を強化する(先入観を覆すことを殆ど しない) 2.学問分野だけではなく、マスメディアなどを 通してオリエントに関する「学習」を提供するから、 聴衆はオリエンタリズムの「生徒」、そして「消費 者」になる。 10 サイード 西洋以外の諸国に関する研究・知識体制の中 の「オリエンタリズム」とその機能(フーコーを参照) 3.オリエント自体からの知識源泉ではなく、 オリエントに関する先進国が生産した 知識源泉を提供する 4. 現実のオリエントをこの知識体制による「修正」し、 先進国にとっての「真理のオリエント」を 提供する。 11 サイード 西洋以外の諸国に関する研究・知識体制 の中の「オリエンタリズム」とその機能 5.真理とは、現地からの、正確な事実による ものではなく、オリエントに関する判定として の「真理」になる 6.オリエントまたは「東洋人」に、現実、真理と 思われた単純な表現を適用する 「東洋人」= ○○ 12
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