護国ゼミナール 11月 「これからの日本を考える」 2011 Nov20 Takaaki Mitsuhashi Small and Medium Enterprise Management Consultant [email protected] 1 高橋是清の言葉 緊縮という問題を論ずるに当たっては、先づ国の経済と個 人経済との区別を明らかにせねばならぬ。 例えばここに一年五万円の生活をする余力のある人が、 倹約して三万円を以て生活し、あと二万円はこれを貯蓄する 事とすれば、その人の個人経済は、毎年それだけ蓄財が増 えて行って誠に結構な事であるが、これを国の経済の上から 見る時は、その倹約に依って、これまでその人が消費して おった二万円だけは、どこかに物資の需要が減る訳であっ て、国家の生産力はそれだけ低下する事となる。ゆえに国 の経済より見れば、五万円の生活をする余裕のある人には、 それだけの生活をして貰った方がよいのである。(高橋是清:著 「随想録」(中公クラシックス) 2 GDPこそが全ての源泉 借入(銀行融資など) 政府 所得移転 (社会保障等) 借入(国債発行) 貯蓄 支出 (消費・投資) 徴税 国民 (企業・家計) 可処分所得 (政府の所得) GDP(所得) 支出 (消費・投資) 貯蓄 3 ※政府の「徴税」は、国民の社会保険料支払いを含む 日本の政府、企業、家計の負債総額推移 日本の非金融法人企業(一般企業)、一般政府、家計の負債総額(株式・出資金を除く)の推移 単位:億円 25,000,000 20,000,000 15,000,000 10,000,000 5,000,000 非金融法人企業(負債) 出典:日本銀行 一般政府(負債) 家計(負債) 4 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 1982 1981 1980 0 出典:日本銀行、外務省 東証上場国債(10年) 長期国債(10年)新発債 東証国債先物利回(10年) 5 Apr-11 Jul-10 Oct-09 Jan-09 Apr-08 Jul-07 Oct-06 Jan-06 Apr-05 Jul-04 Oct-03 Jan-03 Apr-02 Jul-01 Oct-00 Jan-00 Apr-99 Jul-98 Oct-97 Jan-97 Apr-96 Jul-95 Oct-94 Jan-94 Apr-93 Jul-92 Oct-91 Jan-91 Apr-90 Jul-89 Oct-88 Jan-88 Apr-87 Jul-86 Oct-85 日本の長期金利(長期) 新規発行十年物国債金利(長期金利)、他 単位:% 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 出典:内閣府 民間住宅 民間企業設備 公的固定資本形成 6 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 1982 1981 1980 増えない投資 160,000.00 140,000.00 120,000.00 100,000.00 80,000.00 60,000.00 40,000.00 20,000.00 0.00 日本経済の真の問題 本 来 の 供 給 能 力 ( 潜 在 G D P ) デフレギャップ ※本来の供給能力を需要が下回り、 GDPが押さえつけられる現象を デフレギャップと呼ぶ。 2010年の日本の名目GDP(単位:兆円) 現 実 の 需 要 ( G D P ) 65,764.10 -1,717.90 280,804.90 96,020.90 20,134.50 12,750.80 -100,000 0 100,000 民間最終消費支出 民間住宅 5,465.80 200,000 300,000 民間企業設備 400,000 500,000 在庫変動 政府最終消費支出 公的固定資本形成 純輸出 7 出典:内閣府 -1 出典:外務省 日本 アメリカ ドイツ フランス イギリス ユーロ圏 -2 中国 8 Aug-11 Jul-11 Jun-11 May-11 Apr-11 Mar-11 Feb-11 Jan-11 Dec-10 Nov-10 Oct-10 Sep-10 Aug-10 Jul-10 Jun-10 May-10 Apr-10 Mar-10 Feb-10 Jan-10 2009年 2008年 2007年 2006年 主要国消費者物価指数 7 6 5 4 3 2 1 0 出典:内閣府 民間最終消費支出 民間住宅 民間企業設備 在庫変動 政府最終消費支出 公的固定資本形成 9 -100,000 純輸出 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 1982 1981 1980 日本の名目GDPの推移 (単位:十億円) 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 名目GDPと政府の税収 (単位:十億円) 名目GDP(左軸) 出典:内閣府、財務省 2010 2009 2008 2007 2006 2005 0 2004 400,000 2003 10,000 2002 420,000 2001 20,000 2000 440,000 1999 30,000 1998 460,000 1997 40,000 1996 480,000 1995 50,000 1994 500,000 1993 60,000 1992 520,000 1991 70,000 1990 540,000 政府の租税収入(右軸) 10 バブル崩壊の意味と意義 時間の進む方向 企業の投資効率がよく、 設備投資や個人の消費 が活発になる。 企業の投資効率が悪く、設備 投資を減らし借金返済に走る。 消費者も同様の行動を採る。 政府が企業や個人の代わりに 借金して財政出動しなければ ならない。 企業や個人が銀行から借金する インフレ 主役=市場の役割 経済成長する時期 【通常経済】 デフレ 主役=国家の役割 次の経済成長のための 社会共通インフラを構築する時期 【恐慌経済】 11 日本の公共投資の推移(単位:十億円) 45,000 10.00% 40,000 9.00% 35,000 8.00% 7.00% 30,000 6.00% 25,000 5.00% 20,000 4.00% 15,000 3.00% 2.00% 5,000 1.00% 0 0.00% 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 10,000 公的固定資本形成 出典:内閣府 公的固定資本形成対GDP比率 12 日本の国債種別発行残高 (単位:億円) 7,000,000 6,000,000 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 建設国債 出典:財務省 特例国債 減税特例国債 13 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 0 政府の支出(有効需要)を分解する(単位:十億円) 140,000 25% 120,000 20% 100,000 15% 80,000 60,000 10% 40,000 5% 20,000 0% 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 0 公的固定資本形成 政府最終消費支出 政府最終消費支出対GDP 公的固定資本形成対GDP 14 出典:内閣府 政府最終消費支出を分解する(単位:十億円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2005 2006 2007 2008 2009 1.一般公共サービス 2.防 4.経済業務 5.環境保護 6.住宅・地域アメニティ 7.保 8.娯楽・文化・宗教 9.教 健 衛 2004 3.公共の秩序・安全 育 10.社会保護 15 出典:内閣府 ご清聴ありがとうございました 三橋貴明 16
© Copyright 2024 ExpyDoc