生徒の成長・教師の成長

生徒の成長・教師の成長
千葉県立成田国際高校
教諭 組田 幸一郎
自己紹介
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1969年 千葉県生まれ
趣味は自転車と将棋
部活動は、現在は陸上部とサッカー部の掛け
持ち
中学校のときは英語が苦手
心理学を学ぶために、「山王教育研究所」に1
年間通い、生涯発達心理学を学ぶ。
自分が英語が苦手でつらい思いをしたので、
生徒に共感・援助をしたいと教師を志望。
自己紹介②
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初任校:千葉県立布佐高校
重量挙げの顧問
 英語教師というよりは、毎日、部活
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前任校:千葉県立佐倉南高校
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英語の苦手な生徒に、どうすれば英語を理解さ
せられるかを考える
現任校:千葉県立成田国際高校
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元SELHi。普通科と国際科とに分かれており、普
通科を担当
学習の苦手な生徒
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自尊感情が成長していない
「どうせ私は。。。」「どうせうちの学校は」
 自分を大切にしきれていない
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勉強面で達成感を持ったことがない
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学校生活では、授業がいちばん長い
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本当は、できるようになりたい、という気持ちを
持っているが、傷ついている
進路意識の希薄化、授業への消極的参加
学習できない理由と経験
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分からない理由は、「勉強しないから」ではな
く、「勉強できないから」
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認知の段階(画像的→音声的→意味的)
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読めないから音読できない、意味が分からない
から書き写すのに時間がかかる。
自分にはできないと思わせる「経験」
「英語の授業では『空気』を読む勉強をした」
 「英語の授業では『念力』を獲得した」
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英語の授業で生徒が変わる
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分からなかったことが分かれば、「自分にもで
きる」という気持ちを持てれば、生徒は達成感
をもつのではないか。
達成感を持てれば、自尊感情を持てるのでは
ないか。
自尊感情を持てれば、行動が変わるのでは
ないか
苦手教科のひとつである英語が最適な科目
ではないか
授業方針
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単語を1語1語読むこと
単語はセンテンスで覚える
名詞句が出てきたら□で囲って視覚化
説明はできるだけ省力化
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SがVする、A is B.はA=B
理屈はあとからついてくる
さまざまな音読や筆写
週1度の補習(「県大会出場」目標だから)
英検3級(28.8→35.2)
30
25
20
1学年4月
1学年2月
15
10
5
0
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
進学実績
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明治学院大学 3名
神田外語大学 3名
日本大学 2名
駒澤大学 3名
国士舘大学 3名
その他の大学への進学も高い。
本当に、これで英語の授業として
よかったのかという疑問
2人の生徒の大学退学
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女子生徒
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女子生徒
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某有名大学を4年次に退学
某有名大学を2年次に除籍
もしかしたら、「県大会に出場した」というもの
と同じ「醜い自尊心」ではないだろうか。
「民間では」と自分に言い聞かせ、目に見える
実績を追い求めていなかったか。
民間経営者と教室経営者との違い
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民間経営者
従業員とその家族の生活がかかっている
 リアリズムの世界
 会社を守る → 従業員を守る
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教室経営者
生徒の生活がかかっているわけではない
 理念・思いの世界
 教室を守る → 理念を守る
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理念や思い
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理念での動きの許容
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学園ドラマ(金八先生、GTOなど)
熱血先生に対する好感
栄誉・実績vs理念・思い
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「実績」を上げようと思ったとき、理念とバッティングするこ
とが少なくない(偏差値70の生徒が映像の専門学校に行
きたいといったらどうしますか)
栄誉が欲しいために政治的な動きはないか。
どうして英語教師は、底辺校に行きたがらないか
栄誉や実績がほしくて教師になったか?
教師のもともとの仕事
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生徒が自分たちの人生を大切にし、
自分たちで選択し、
自分たちの人生に責任を持って生きられるよ
う、
援助をすることが教師のもともとの仕事では
ないだろうか。
それは、教師が仕掛けられるものではなく、
ふとした瞬間に訪れるから、教師の人間性が
出てしまう。
根本的な資質
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人は管理する能力、議長や面接の能力を学
ぶことはできる。管理体制、昇進制度、報奨
制度を通じて人材開発に有効な方策を講ず
ることもできる。だがそれだけでは十分ではな
い。根本的な資質が必要である。真摯さであ
る。(『マネジメント - 基本と原則』P.F.ドラッ
カー)
真摯さと対極的なもの
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大学進学自体を目的とすること
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生徒は数字ではない
英語教師的自尊心
実力ある先生を「大将」に据えて、「おこぼれ」を
あずかる。
 こんなに生徒の学力が伸びたぞ、と自慢する。
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(実績を作れない)底辺校への転勤を嫌がる。
自分の「正論」を押し付ける。理念のぶつかり
合いは何も生み出さないのでは?
上司は3年、部下3日
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でも、教師も人間です。
栄誉もほしいし、実績もほしい。
お金もほしいし、○○○も××。
でもね。
生徒の前では、自分の理念や思いを大切に
しないと見限られてしまうんじゃないかな、と
思います。
生徒の成長・教師の成長
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教師を希望したとき、実績や栄誉を希望した
わけではない。

そのときの気持ちを大切にしつつ、年齢を重
ねてきたときの『欲』を自覚した上で、教育活
動をしていくことがいいのではないだろうか?
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それが結果的に、「結果」のみならず、生徒の
人間的な成長の支えとなるのではないだろう
か。
教育と英語教育
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教育は理念
英語教育は相手が存在するテクニック(?)
理念の上にテクニックがあることが、学校での英語
教育ではないだろうか。
「最強の手ではなく、6~7割の力で、相手に手を渡
す」(羽生善治名人)
余裕を持って1手を指し、相手が気持ちよく手を渡さ
れるためには、教育活動がベースとなった信頼関係
が必要なのではないだろうか。もし、生徒がテクニカ
ル以上を学校に求めているのならば。
本日はありがとうございました
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[email protected]
英語教育にもの申すhttp://rintaro.waynifty.com/