久保社会保険労務士法人 K. LEADERS 企業経営レポート 2013年度版 指定感染症で就業制限を受けた場合、有休?欠勤? 久保社会保険労務士法人 指定感染症と就業禁止 インフルエンザにかかってしまった社員に就業禁止(自宅待機命令)がで きるのでしょうか?インフルエンザにかかってしまった社員が出勤すると、 周りで働いている人にもうつる可能性があります。感染防止の為に、自宅 待機を命ずることはできるのでしょうか? 【法律で就業禁止している病気】 ① 感染症法その他の法令により就業制限措置が講じられた場合 (感染症予防法) 「第1類~第3類に分類される感染症にかかった者」については業務の 種類ごとに就業禁止が定められています。 労働安全衛生法に基づく就業禁止として自宅待機を行う場合は 「病毒伝ぱのおそれのある疾病にかかった者」が対象です。 法律で強制的に就業が禁止されている病気については給与を支払わなく てもかまいません。欠勤扱い可能です。 今回の指定感染症となれば、就業制限をしても給与の支払いは必要あり ません。 自発的に休む場合も、有休願いがなければ、支払の必要ありません 指定感染症に対する出勤停止・自宅待機 Q Q Q Q 指定感染症に感染した従業員に対し、出勤停止・自宅待機の措置をとることができるのでしょうか? また、この場合、従業員に休業手当を支払う必要があるでしょうか? もし、同居している家族が新型インフルエンザに感染した場合も同じ扱いとなるのでしょうか? 自宅待機とした従業員からの年次有給休暇の取得の申し出に応じなければいけないのでしょうか? A A A A 結論からいうと、出勤停止・自宅待機命令は、使用者の業務命令権の一環として出すことができます。 この休業に労基法26条は適用されず、休業手当を支給する必要はありません。 同居の家族が感染した場合の取扱いも同様になります。 自宅待機とした者からの年次有給休暇取得請求に応じる必要はありませんが、振り替えは可能です。 ◆出勤停止・自宅待機の法的位置づけ 出勤停止・自宅待機の措置は、使用者の判断により従業員を出勤停止とし自宅待機命令を出すことに何ら問題はありません。 指定感染症となった場合、会社は従業員の健康管理に責任を負っており、職場での感染を防止するために職場への立ち入りを制限する ことに十分な合理性があります。 ◆この休業は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」とはいえず、指定感染症への罹患は、基本的に労働者側の要因です。 ですから、休業手当を支給する必要はありません。 ◆家族の感染と自宅待機・休業手当 家族に指定感染症の感染が確認された場合、この従業員は「濃厚接触者」となり、感染症予防法44条の3第2項では、家族が感染症にか かっている者などについて保健所等で調査を行い、「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」と判断された場合、 都道府県知事が外出自粛等の要請を行うこととしています。従業員自身が感染したか判明するまでの間、休業手当を支払うことなく、出 勤を拒むことは妥当だとされます。 ◆自宅待機決定後の有給休暇取得請求 従業員から年休取得の申し出があっても、有休の申し出に応じる必要はありません。なぜなら、年次有給休暇は就労義務がある日に取 得できるものであり、自宅待機となった日は、すでに労働契約上の就労義務は消滅しています。ただし、実務上、有給休暇への振り替え を認めることは何ら差し支えありません。
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