なぜ、学校評価なのか?

独立行政法人教員研究センター主催;平成19年度教職員中央研修(第1回校長・教頭等)
平成19年7月9日(月)
学校組織マネジメントへの
アプローチ-学校に元気
と勇気を解発するために
木岡一明
(名城大学大学院 大学・学校づくり研究科)
学校と教職員の現状
 学校は今、
・ 「組織」になりきれていない
・内部閉塞している
 教職員は今、
・「孤立化」「相互不干渉」に陥っている
・自己肯定感に欠ける
 しかし元来、
・力を備えている
・専門性がある
 だから問題は、
・持てる力(潜在力)を引き出すこと(解発)にある
「必要性」論の認知図式
希望的展望
協働性・同僚性
専門職組織
ミドル・アップダウン
など
活気のある学校
元気な子どもたち
ミドルリーダーの活躍
など
実態論
規範論
ニュー・パブリック・マ
ネジメント
アカウンタビリティ
(結果責任)
学校選択の自由
など
多忙感
「いちゃもん」
指導力不足
など
危機感・切迫感
学校と組織
組織=生き物(有機的組織体)

ア.社会的な存在

イ.目的を持ち、目標によって駆動する

ウ.人のコミュニケーションを通じた協働

エ.意図的に構成され調整される活動シス
テム

オ.外部の環境と結合(オープンシステム)
果たして学校は、「組織」だろうか?
組織マネジメントの展開
環境適応(ビジョンの実現)
教育力
危機感
問題/問題状況
対策
の共有
<組織開発>
組織マネジメント
同僚性
同僚関係の見取り図(1)
課
題
達
成
指
向
(
P
)
強
指導関係
批判的友人関係
相互理解関係
無関心
馴れ合い関係
集団維持指向(M)強
同僚関係の見取り図(2)
認
識
の
相
違
性
大
指導関係
無関心
批判的友人関係
相互理解関係
馴れ合い関係
場の共有性大
組織マネジメントとは?

①
②
③
④

目的は環境適応
求める目的に向かって効率的・効果的に組織全体
が動くために
組織内外の刻々と変化する環境からの規制作用
や影響に対して、的確な情報解析をもとに、それら
をうまく受け入れたり回避したりしながら、
内外の資源(人的、物的、財的、情報、ネットワー
ク)や能力を統合、開発し、
人々の活動を調整すること(活動や機能)
一人で担うことも、それ以上の人々が協働して取り
組むこともある。
学校における組織マネジメント
 環境との相互作用(プラス要因を活かす思考)
 スキルとストラテジー
 ミッション(存在意義・使命)
これまでのことを一旦、ご破算にして、
①児童・生徒や保護者の発想で考えてみる(顧客発想)
②自己の活動領域を決定する(広く設定する・狭く設定する)
③ミッションが組織をつくる(ミッションのない組織ない)
●貢献対象
●貢献方法
●貢献内容
(~に対して)
(~することで) (~する)
組織マネジメントの有効性を支える
3つの着手領域
的確な環境状況の
解釈とビジョンづ
くり
効果的なマネジメ
運用の努力とうまさ
ントのしくみの設
計と活動の計画化
教頭・事務長
校長
管理職に期待される4つの役割
●基本姿勢
使命感と責任感
「教育者としての使命感」をベースに持ち、学校に期
待される目的・目標を達成する「学校経営の責任者」
としての役割。
学校ビジョン構築
学校教育目標の実現に向けて、学校の中期・短期(年度)双
方の視点から、取り組むべき重点事項を明確にし、実現のシ
ナリオを描く役割。
環境づくり
学校教育目標の実現に向けて、学校内外の「人的資源」
「物的資源」「資金的資源」「情報的資源」「ネットワーク
資源」を最も効果的に活かすため、学校の組織づくりや環境
整備をする役割。
人材育成
学校の各種活動を通じて、自らと教職員の能力を向上させ、
人としての成長を促進させる役割。
外部折衝
学校の各種活動を効果的・効率的に進めるため、学校外部に
理解を求め、外部との協働ネットワークを築く役割。
組織を考える視点
 効率性重視の組織
☆垂直型組織(官僚制機構)
・業務の専門化、直属関係、トップダウン
 創造性重視の組織
☆水平型組織(フラットな機構)
・業務の共有化、権限委譲、参画重視
 学校=創造性重視の組織(なべぶた型)
学校にうごめく諸力
 多元性(それぞれの教職員の立場)
 多方向性(それぞれの教職員の教育観)
↓
 プラスに働くと(組織的知識創造の展開)
・迅速な意思決定
・多様なニーズに対応
・柔軟な組織構造
・ミドルリーダーの職能発達
学校が抱えるジレンマ
 多元性
 多方向性
孤立化、多忙感
まとまらない(組織、論議)
↓
・過度の協調性、相互不干渉
・学習された無力感
・単年度主義
・葛藤の深刻化 → 組織崩壊
基盤的な問題
 <疑う>ことは難しい
 コミュニケーションの断絶
 飼い慣らされた主体性
 学習された無力感
→ 受容的な基盤づくり
・気づいた人が
・試行錯誤しながら
・コミットメント(関わり・浸透)を深めつつ
・できるところから、できるときに
組織マネジメントにおけるリーダーシップ
 ビジョンによる(不確実な時代)
・明確なビジョン、目標、そこに至る道筋
 環境整備による(変化急、大規模な組織)
・働きやすい仕事のしくみ、組織構造、ルール
 コミュニケーションによる(小規模な組織)
・率先垂範、集団的なまとまり、やる気の喚起
ミドル・アップダウン・マネジメント
管理職(トップ)
抽象的な戦略・方針の提示
現場情報やアクションの結果
獲得したアイデアの提供
中堅教職員(ミドル)
内外情報の意味解釈と
具体的シナリオの提示
現場情報の集積と知恵の蓄積
一般の教職員(第一線)
目指す学校のすがたと動き
(雨傘マネジメント)
ミッションに基づく幅広いビジョン
教職員の
試行錯誤・
実験によ
る学習
新たな動き
適度な葛藤
言いたいことが言い合える信頼関係
=同僚性
●
トルネードマネジメント
もっと詳しくは、以下の拙著をご参照ください
<雑誌論考>
 ・「暗黙知と学校組織開発」『教育委員会月報』、2001年8月号
 ・「学校組織開発のための学校評価を創る」全国公立学校教頭会『学校運営』、
2004年1月号
 ・「ミドル・リーダーのための組織マネジメント」『兵庫教育』2005年2月号
 ・「今、求められる学校間連携」『初等教育資料』2005年2月号
 ・「学校評価システム構築の視点と戦略」『教育委員会月報』2006年7月号
<編著>
 ・『これからの学校と組織マネジメント』、教育開発研究所、2003年
 ・『学校の組織設計と協働態勢づくり』、同、2003年
 ・『学校を取り巻く環境の把握と地域協働』、同、2003年
 ・『教職員の職能発達と組織開発』、同、2003年
 ・『学校の危機管理とセーフティネット』、同、2003年
 ・『学年・学級の指導点検とカリキュラム開発』、同、2004年
 ・『「学校組織マネジメント」研修』、同、2004年
 ・『新学校評価 考え方と実践の手引き』、小学館、2004年
 ・『ステップ・アップ 学校組織マネジメント』第一法規、2007年
<単著>
 ・『新しい学校評価と組織マネジメント』、第一法規、2003年
 ・『学校評価の「問題」を読み解く-学校の潜在力の解発』、教育出版、2004年
ご清聴、ありがとうございました。
ご質問などがありましたら、
下記までお問い合わせください。
E-mail
[email protected]
名城大学大学院 大学・学校づくり研究科
〒468-8502 名古屋市天白区塩釜口1-501