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2015.
マンネリ化する社内プロジェクトにメスを入れる!(前編)
4 <新連載>
社内プロジェクトに潜む課題
/中尾 泰彰
営業目標達成のための基盤づくり(前編)
<新連載>
指針
3
6 営業現場での現状と改善の方向性
人を動かす即断力と人間力
/奥村 格
/林崎 文彦
ひ けつ
9
強みの絞り込みによる戦略発想の秘訣(2)
強みの「分野」を絞り込む
/巻野 隆宏
22
相対的視点を見失うな
/百井 岳男
脱コモディティー化へのブランディング戦略
~価格ではなく「価値」で選ばれるために~(6)
12 トータルブランディング戦略の構築
/平井 克幸
14
中堅・中小企業のマーケティング着眼(11)
Convert ― 成果転換
/山村 隆
経営基盤を強化する新規事業の創造(4)
16
戦略的アライアンスが
事業立ち上げの成否を決める!
/土井 大輔
「見える化」活動を通した企業体質改善
~自律神経を持った企業への進化~(4)
18 管理の見える化
~ビジュアル・マネジメント~
/小崎 純
海外出店の事例からビジネスチャンスを狙う(2)
20
インドネシアにおける
外食大手 B 社の新規出店事例
/岡川 大記
◆本誌に落丁・乱丁がございましたら、お取り替え致します。
◆本文記事を許可なく複写複製、および配布することを禁じます。
第一線のコンサルタントが書く、
マネジャー・エグゼクティブクラス向けスキルアップ情報誌
2015年8月15日号(平成27年8月15日発行)
発行人 若松孝彦 編集人 福田季三志
発行所 株式会社タナベ経営 戦略総合研究所
〒532-0003 大阪市淀川区宮原3-3-41
TEL.
06-7177-4008
FAX.
06-7177-4028
http://www.tanabekeiei.co.jp/
印刷・製本 株式会社廣済堂
Consultant Series 販 売
海外出店の事例から
ビジネスチャンスを狙う
第2回
(株)タナベ経営 東京本部
経営コンサルティング部
インドネシアにおける
外食大手B社の新規出店事例
首都ジャカルタの特性
岡川 大記
■お問い合わせ先■
(株)タナベ経営 東京本部
TEL:03-5423-4111
FAX:03-5423-4111
[email protected]
会社設立までの道のり
直営で多くの店を出店し、会社の
資産価値が高まったタイミングで
B社はインドネシアに現地法人
FC に転換し、売却益を得るとい
海外出店を検討する企業が増えつ
を設立し、直営店の出店に向け動
う転換型の戦略で出店を行った
つある。今回は、外食大手のB社
いたものの、交渉を進めていた時
ケースもある。
がインドネシアで FC(フランチャ
期に同国で法改正があり、外資企
イズチェーン)の新規出店を果た
業が単独で会社を設立することが
した事例を紹介する。
できなくなってしまった。国内企
小売業やサービス業を中心に、
インドネシアは 人 口 約2億 5000
業を守るための政策であったが、
商品開発について
現地で苦労する業務の一つに、
万人と、世界で4番目に人口の多
外資企業は、現地企業と手を組む
商品のローカライズが挙げられ
い国として知られている。首都
必要が生じ、インドネシア進出の
る。B社も、日本の味をできるだ
ジャカルタには、所狭しと住宅や
壁が高くなったのだ。B社は、幸
け忠実に再現することと、現地の
ショッピングモール、モスク、小
いにも現地の優良企業C社と知り
人々に受け入れられるローカライ
売店などさまざまな施設が乱立し
合うことができた。海外進出を目
ズされた和食の考案に苦労した。
ており、世界で最も渋滞のひどい
指している企業は、このような現
現地の幹部社員らに、商品開発と
都市としても有名である。
地での法改正にも注意を払わねば
オペレーション、レシピの習得な
貧富の差は激しく、富裕層がヘ
ならない。優秀な企業と取引がで
どを兼ねて、本場日本での研修を
リコプターで移動することも珍し
きるよう、人付き合いを重視した
3週間ほどにわたって実施した。
くない一方、10 名定員のバスに
立ち回りも求められる。
また、日本の料理を数多く食べ
屋根の上を合わせて 40 名ほどが
出店の方法は、大きく分けて「直
てもらい、現地に受け入れられる
乗っている光景も見られる。住宅
営子会社の設立」「現地企業と合
商品を考案してもらった。ミドル
バブルも膨らんでおり、ミドル
弁・ 合 資 で の 会 社 の 設 立 」「FC
アッパー層をターゲットにしたた
アッパー層が増えてきている昨今
による出店」の三つがある。B社
め、客単価は日本を上回る設定に
は、和食ブームも相まって、日本
は、FC による新規出店を行うこ
した。インドネシアの家庭の食卓
の外食企業の出店が増えている。
とで合意した。ある日本企業は、 には、とても辛いものと甘いもの
20
2015. 8. 15
和食の位置付けと
期待される役割
が多く並ぶ。そのため辛さを調整
調達もその予算で確保していた。
できるように、トウガラシに似た
しかし、ふたを開けてみると、広
香辛料をセルフでトッピングでき
告を全く打たなかったにもかかわ
和食は、健康的で清潔感・高級
るようにした工夫が奏功し、満足
らず、初月度の売上げペースが
感があるというイメージを持たれ
度を高める一因になった。
2000 万 円 に 届 く 勢 い で あ っ た。 ている。そのため、健康に対する
商品開発の段階では、毎日激辛
開店後1週間で食材が調達できな
意識が高く、ヘルシー志向である
の料理を食べ続けるため、商品開
いことが発覚し、急きょ食材調達
ことが多いミドルアッパー層以上
発担当者は体調を崩すことが多い
ミーティングが行われるほどで
の人々が好んで食べている。故に、
ようである。皆さまも覚悟の上で
あった。
このイメージに沿わないと和食は
挑んでいただきたい。
また、ハラル認証を受けるかど
なかなか成功しないという実情が
人材戦略について
あった。しかし、最近は大手外食
うかについても議論を交わした。
チェーンが低所得層も手の届く客
最終的には開店後3年以内にハラ
C社はもともと多店舗展開を視
単価で和食産業への進出を始めて
ル認証を取るという方向性でまと
野に入れ、新業態の立ち上げを目
いる。和食を広めることに一役
まった。ハラル認証の内容には、 指し、幹部社員6名を研修のため
買っているが、安いというイメー
「電気ショックを使用して殺した
日本に派遣した。幹部社員は、日
ジが広がってしまうと、高級路線
牛は認定できない」「一度豚肉を
本でオペレーションや接客、レシ
で売っている他の日本企業に影響
積んだトラックは、トラックの消
ピ、商品知識などを3週間の研修
が出るという側面もある。
毒洗浄と祈祷師によるおはらいの
期間で学び、帰国後は商品開発と
「まじめでうそをつかず、真 摯
ようなものをしないと認定できな
マニュアルづくり、什器や備品の
に働く」のが日本企業に対する印
い」など、日本では一般的ではな
収集に奮闘した。
象である。その印象が和食のイ
いことも多く含まれていた。イス
しん し
この社員以外の FC の社員は、 メージにもなっている。日本企業
ラム地域への出店やハラル認証を
高校を卒業したばかり(19 歳)の
の役割は、適正な利益を得て、発
取ろうと考えている企業は、専門
40 名。経験のない若者だが、幹
展し続けられる筋肉質な企業をつ
家に相談することを勧める。
部社員の適切な教育もあり、活気
くり、常に日本での基準を満たす
ある営業ができていた。C社は新
ことである。
開店前の販促活動について
卒を採用し、長いスパンで会社の
しかし、海外で和食レストラン
安定を築こうとしていた。C社で
を経営するのは、日本人よりも外
現地C社のすごいところは、開
は短くても社歴7年と、長く働い
国人が多い。海外の和食企業がつ
店前に年齢別、職種別などでテー
ている人が多い印象であった。そ
くる日本風の料理ではなく、日本
マと目的を明確にした上で人を集
して社員たちは、C社で働いてい
人が考えたレシピで、本当の和食
め、試食会を重ねたことである。 ることに誇りを感じていた。
を提供することに意義があると筆
また、この試食会に来た人全員に
者は考える。
C社は、徹底的にクレンリネス
SNS サ イ ト に 投 稿 し て も ら い、 にこだわるという良い理念を持っ
海外マーケットに進出しようと
反響を得ることに成功していた。 た会社でもあった。インドネシア
検討中の皆さまは、こだわりを
このような試食会を多く重ね、万
は、さぼりやすい国民性があるが、 持った上で、適度にローカライズ
全を期して、開店当日を迎えた。
C社はやるべきことは必ず実施す
できる柔軟さを持ち合わせ、世界
初月度の売上予算は 800 万円程
るという社風をうまく植え付ける
にチャレンジしてほしい。皆さま
ことができていた。
の活躍を期待している。
度とC社は見込んでおり、食材の
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