1 人口減少時代に求められる コンパクトなまちづくり 2014年10月26日 株式会社 日本総合研究所 調査部 主席研究員 株式会社 日本政策投資銀行 地域企画部 特任顧問 も た に 藻谷浩介 [email protected] 泉大津市で起きてきたこと 震災前10年間の国勢調査の実数(国立社人研が未回答者分を補正) 市内在住者(外国人含む):2000年→10年 +2,500人 人口はまだ順調に増えていた 実は現役世代も子供も減少しており、高齢者のみが急増していた… 0-14歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2000年 12.5千人→2010年 12.4千人 △50人 △0% 15-64歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2000年 52.2千人→2010年 49.7千人 △2,500人 △5% 65歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2000年 10.4千人→2010年 15.4千人 +5,050人 +48% ↑その中の75歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2000年 3.9千人→2010年 6.7千人 +2,800人 +73% 2 泉大津市で起きていること (人口流出入を見込んだ、国立社会保障・人口問題研究所の予測) 市内在住者(外国人含む):2010年→20年 △2,500人 人口はついにゆっくりと減り始めた 実は現役世代も子供も減少しており、高齢者のみが急増していた… 0-14歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年12.4千人→2020年 9.6千人 △2,900人 △23% 15-64歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年49.7千人→2020年46.3千人 △3,400人 △7% 65歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年15.4千人→2020年19.2千人 +3,800人 +25% ↑その中の75歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 6.7千人→2020年10.0千人 +3,200人 +48% 3 首都圏一都三県で今起きていること 4 (人口流出入を見込んだ、国立社会保障・人口問題研究所の予測) 首都圏内在住者(外国人含む):2010年→20年 +7万人 増加というよりはほぼ横ばい 150年後には現役世代がゼロ!になるという、不意打ちのような減少 0-14歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 4.4百万人→2020年 4.0百万人 △39万人 △9% 15-64歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 23.9百万人→2020年 22.3百万人 △154万人 △6% 65歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 7.3百万人→2020年 9.3百万人 +201万人 +27% ↑その中の75歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 3.2百万人→2020年 4.8百万人 +165万人 +52% 中華人民共和国で今起きていること 5 (人口流出入を見込んだ、国際連合人口部の2012年予測) 中国在住者(外国人含む):2010年→20年 +73百万人 まだ増加が続いている しかし現役世代の増加はもう止まっており、高齢者のみが激増中 0-14歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 2.5億人→2020年 2.6億人 +15百万人 +6% 15-64歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 10.0億人→2020年 10.0億人 +4百万人 +0% 65歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 1.1億人→2020年 1.7億人 +54百万人 +48% ↑その中の75歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 0.4億人→2020年 0.5億人 +10百万人 +24% 日米開戦前夜の日本在住者 15-64歳 4,295万人 在日外国人を含 む数字 6 75歳以上 89万人 戦後復興の頃の日本在住者 15-64歳 4,966万人 在日外国人を含 む数字 7 75歳以上 106万人 所得倍増計画の頃の日本在住者 15-64歳 6,000万人 在日外国人を含 む数字 75歳以上 163万人 8 大阪万博の頃の日本在住者 15-64歳 7,157万人 在日外国人を含 む数字 9 75歳以上 221万人 安定成長移行期の日本在住者 15-64歳 7,883万人 在日外国人を含 む数字 10 75歳以上 366万人 バブル最盛期の日本在住者 15-64歳 8,590万人 在日外国人を含 む数字 11 75歳以上 597万人 阪神大震災の頃の日本在住者 15-64歳 8,716万人 在日外国人を含 む数字 12 75歳以上 717万人 2000年問題の頃の日本在住者 15-64歳 8,622万人 在日外国人を含 む数字 13 75歳以上 900万人 現在の日本在住者 15-64歳 8,174万人 14 在日外国人を含 む数字 75歳以上 1,419万人 10年後の日本在住者 15-64歳 7,341万人 在日外国人を含 む数字 15 75歳以上 1,879万人 20年後の日本在住者 15-64歳 6,773万人 在日外国人を含 む数字 16 75歳以上 2,278万人 30年後の日本在住者 17 75歳以上 2,233万人 15-64歳 5,787万人 在日外国人を含 む数字 40年後の日本在住者 18 75歳以上 2,385万人 15-64歳 5,002万人 在日外国人を含 む数字 50年後の日本在住者 19 75歳以上 2,336万人 15-64歳 4,418万人 在日外国人を含 む数字 20 逆落としに減っていく現役世代 モノの消費量はど んどん縮小 モノの消費量はど んどん拡大 子持ち家族多い→ 住宅や食器や車の 消費量拡大 高齢者は貯蓄に走る 現役世代の減少と高齢者の増加 21 6 5 歳 以 上 人 口 の 増 減 率 ( 2 0 1 0 → 4 0 年 ) 80% 生産 年齢人口 の減少 と 高齢 者の増加 (今後30年間) 全国の市町村の比較 60% 国立社会保障人口問題研究所 2 013年予測 40% 20 0年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース 20% 0% -20% -50% 10 0年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース 75 年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース -45% -40% -35% -30% 15 0年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース -25% 15-64歳人口の減少率(2010→40年) -20% -15% 現役世代の減少と高齢者の増加 22 6 5 歳 以 上 人 口 の 増 減 率 ( 2 0 1 0 → 4 0 年 ) 80% 8 7% 生産 年齢人口 の減少 と 高齢 者の増加 (今後30年間) 広島市 全国の市町村の比較 60% 福岡市 仙台市 札幌市 沖縄 愛知県 豊田市 神奈川 国立社会保障人口問題研究所 2 013年予測 宮城 新潟 愛媛 鳥取 40% 北海道 20% 福島 徳島 長 崎 和歌山 青森 高知 秋田 -20% -50% 埼玉県 秩父市 山 形 75 年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース -45% -40% 埼玉 奈 山 良 梨 -35% 石川 広島 三重 宮 崎 20 0年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース 京都 群 馬 静 香岡 富 川 山 山 島 口 根 滋賀 福岡 茨城 鹿 児 島 愛知 兵 庫 栃木 岩手 0% 千葉 大阪 東京特別区 東京 岡山 秋田県 大潟村 熊 佐 大 本 賀 分 福 岐 長 井 阜 野 △ 1 0% 10 0年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース -30% 15 0年で 現役世代 がゼロ に な る ペ ース -25% 15-64歳人口の減少率(2010→40年) -20% 長野県 下條村 -15% 現役世代の減少と高齢者の増加 23 6 5 歳 以 上 人 口 の 増 減 率 ( 2 0 1 0 → 4 0 年 ) 75% 国立社会保障人口問題研究所 2 013年予測 60% 45% 30% 15% 0% -15% -50% 生産 年齢人口 の減少 と 高齢 者の増加 (今後30年間) -40% -30% -20% 15-64歳人口の増減率(2010→40年) -10% 現役世代の減少と高齢者の増加 24 6 5 歳 以 上 人 口 の 増 減 率 ( 2 0 1 0 → 4 0 年 ) 75% 枚 四島 泉 吹 箕 熊 方 条本 大 田 面 取 畷 津 60% 茨木 東京特別区 大阪狭山 45% 30% 豊中 太子 貝 高 塚 槻 寝屋川 河内 長野 15%66 % 63 % 0% 摂津 阪南 富田林 能勢 豊能 河南 交 大 野 東 岸 藤 泉 和 井 南 羽 田 寺 東 柏 大 松 門 八 守 曳 原 阪 原 真 尾 口 野 名古屋 泉佐野 田尻 4% 堺 大阪 忠岡 秋田県 大潟村 長野県 下條村 生産 年齢人口 の減少 と 高齢 者の増加 (今後30年間) 60 % 岬 -15% -50% 池田 高石 千早 赤阪 愛知県 豊田市 和泉 国立社会保障人口問題研究所 2 013年予測 -40% -30% -20% 15-64歳人口の増減率(2010→40年) -10% 高齢者が増え現役は減る泉大津 25 数字には居住外国人を含む 高齢者が増え現役は減る和泉 26 数字には居住外国人を含む 高齢者が増え現役は減る首都圏 27 数字には居住外国人を含む 高齢者が増え現役は減る中国 数字には居住外国人を含む 28 安定を実現した長野県下條村 29 数字には居住外国人を含む 同じグラフで世界を比較すると… 4.0 6 5 歳 以 上 人 口 の 増 減 率 ( 2 0 1 0 → 4 0 年 5 .7 シ ン ガ ポール 生産年齢 人口減少 3.5 生産年齢 人口増加 韓国 3.0 タイ 台湾 2.5 日本 1990 -19 20 日本 1995 -19 25 日本 2000 -20 30 1.5 1.0 イラン メキ シ コ ブ 2.0 30 イ タ リ ア 日本 2000 -20 30 泉大津 ドイ ツ 日本 20 10 -2 04 0 -40% マ レー シ ア イ ン ドネシ ア ベ トナ ム フィリピ ン T バン グ ラ デ シ ュ ラ ジ 日本 h 香港 19 75 -2 00 5 ル a 日本 中国 i 日本 ト 19 65 -1 99 5 日本 1960 -19 90 ル l 日本 19 70 -2 00 0 コ 日本 旧ソ 連中央ア ジ ア 5 ヶ 国 19 80 -2 01 0 19 85 -2 01a 5 パキ ス タン インド nD カ リブ 諸国 エジプト 全世界 ニ ュ ー イ スラ エル Fde カ ナ ダ イ スラ エル ジ ーラ ン ド +パレス ティ ナ ス ペ イ ンi n オ ー ス トラ リ ア 米国 m オ ラ ンnダ ア ルゼン チ ン オース l a ベ ルギー トリ ア r フラ ン ス Source: World Population Prospects: a スイ ス 英国 The 2012 Revision, United Nations nk ス ウェ ーデン フィン d ランド ロシア デ ン マ ーF ク ウクラ イ ナ e 下條 -20% サウ ジ ア ラ ビ ア 201 0→204 0年の人口の変化 生 産年 齢人 口増 減と老 年人 口増 減 d 0% 20% 40% e 15-64歳人口の減少率(2010→40年) r 60% 80% 後期高齢者が激増する泉大津 31 数字には居住外国人を含む 後期高齢者が激増する和泉 32 数字には居住外国人を含む 後期高齢者が激増する首都圏 33 数字には居住外国人を含む 高齢者の激増が始まる中国 34 安定を実現した長野県下條村 35 数字には居住外国人を含む 高齢者激増が突きつける課題 ○ 大都市部での高齢者の激増 → 首都圏などの自治体の財政困窮 → 地方に回す財源が枯渇 ○ 高齢者の未病を進められるか? ○ 終の棲家を確保できるか? ○ 死に場所を確保できるか? ○ 車を運転しなくなった高齢者に いかに歩いて暮らしてもらうか? 36 現役世代減少が突きつける課題 37 ○ 首都圏でも中国でも現役世代が 減少 → 「地域間格差」ではなく、日 本全体そしてアジアの地盤沈下 ○ 就業者総数の減少→所得総額の 減少→消費総額の減少の連鎖 ○ 税収減少→国の借金どう返す? ○ 医療福祉介護の担い手の不足 ○ 増え続ける空き地をどうするか? ニッポンは元気に高齢化できる 38 × 人口減少で日本の国力は低下し、三等国に転落する ○ 欧米先進国では軒並み、日本よりも高齢者が増加 ○ 中韓台などアジアを、現役減・高齢者激増が襲う ○ 日本では世界に先駆けて高齢者の増加が止まる ○ 人口減に合わせてまちをコンパクトにすれば賑わいは増す × 労働者が減って輸出産業が衰退し、日本の国際収支は赤字になる ○ 機械化で競争力は上昇、賃上げで内需も守れる ○ 人口減少で食糧とエネルギーの自給率は年々上が る × 納税者が減り、医療福祉負担が増えて、財政が破綻する ○ 1千兆円の貯金が相続でいずれ高齢者から若者に回る 39 まちは「花」 「根」 「葉」 「茎」 「花」 = = = = 家 企業の事業所 病院・学校・役所・集会所 お店 根・葉・茎なくして花咲かず!(造花しかできない) 公共(茎)と商業(花)だけの「切花」は、はかない 道路や駐車場は「用水路」のようなもの (それだけでは何の花も咲かないです) まちづくりの担い手は誰なの か? 利害関係者 動機 40 自らやるべきこと ①事業の継続 ②できれば収益拡大 ③権利売却可能性の確保 ①自分自身の事業の高度化 地権者 ①土地建物の保有継続 (相続税原資や建替資金の獲得) ②できれば収益拡大 ③権利売却可能性の確保 ①自分自身の経営高度化 → 空店舗の有効活用 → リーシングノウハウの研鑽 ②まちなか居住促進への協力 住民・外野の人 ①消費機会の充実(衣・食&遊) ②居住機会の充実(住&遊) ③職業機会の拡大(出店・就職) ①自らが中心市街地にお金を 落とすことで維持に貢献 ②まちづくりの側に自ら参加 行政 ①住民の生活の質の向上(上記) ②税収増(特に固定資産税) ③中小企業振興 ④交流人口増加→経済活性化 ①ビジョン提示・事業者支援・ インフラ整備などの既存策 事業者 (商店・サービス) ②中心商業地全体の活性化支援 ②郊外開発の規制→抑制 41 これからの再開発の鉄則3箇条 ① 総人口は減る→人を引きつける地区が残る: 「都内全体がどんどん成長」することは、現役世代人口 減少の今世紀には、二度とない。再開発に成功して 残る地区と、老朽化する衰退地区が二極分化。 ② オフィスや商業より住宅と教育と高齢者対応: 床賃料の高いオフィスや商業施設で箱を埋められる 時代は終わった。実需のある住宅・教育教養関係施設 ・高齢者対応施設を、土地代を下げて受け入れよ。 ③ 防災・省エネ・住み継ぎのための再開発: 何もしなければ将来の震災と高齢化で歯抜けの町に。 安心・安全な街区を作り、若い世代も受入れて安定へ。
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