講義:エコビジネス論 第5回(10月30日) 豊澄智己 http://environ.shudo-u.ac.jp/~toyozumi/ 社会的責任とは 「環境」からの要請の認知 • 環境学、社会的責任論は認知科学の問題 • 企業と「環境」は相互依存関係 • 「環境」からの要請 消費者(能動的):安価、良質な商品 自然環境(受動的):汚染・破壊しないで! ⇒健康を害する自然環境悪化 森林破壊に起因する自然災害 社会的責任の理論背景 外部不経済説 外部不経済(公害)を企業の社会的費用 シビルミニマムの原則 すべての市民は最低限の生活確保 オープンシステム企業論 環境の変化から影響を受ける 環境変化に適応することで生存 環境問題と企業の社会的責任 • 1990年代の市場のグローバル化とともに世 界的な環境問題(地球環境問題)に注目が集 まる • 環境問題はスケールが大きく、企業だけの責 任ではない • しかし、企業行動の如何に関わっている部分 が多い • 企業の社会的責任 • 非常に古くて新しい問題 • 1960年代の公害問題を中心とした企業の社 会的責任から今日の企業の社会貢献や企業 市民としての活動へのとの内容を高度化して いる 参考)クボタの事例(日経テレコンで検索してく ださい) 研究開始・発展の背景 • • • • 60年代に発生した産業公害 特に4大公害問題に代表されるような企業による 水質汚染、土壌汚染、大気汚染、騒音、悪臭、振動、 地盤沈下(典型7公害)が全国各地で発生 企業による欠陥商品問題、土地や商品に対する 投機行為、石油危機時の便乗値上げ、企業不祥事 またはそれへの対応の悪さ 企業の社会的責任は社会が企業に期待する価値 観との企業行動の差異から発生 また、その差異を経営者が正しく認識しないことへ の憤り 社会的責任論の肯定論および否定論 (森本三男) • 否定論:Friedman、Hayek • 企業の責任は経済的責任に限定すべきであり、企 業利益を極大化せずビジネスとは直接的に関係し ない目的のために行動するべきではない • 肯定論:企業はそのもてる資源を利潤追求の目的 を超えて、株主市外の社会的領域(政治、慈善、教 育、文化、福祉など)にも奉仕すべきである 範疇と内容 • 電通総研 ①経済的責任 経済的責任:規則や法律を遵守したうえで商品やサービス の生産・供給を行う責任 ②受託責任・・・・・・・・・自己規整責任、積極関与責任 自己規整責任:法定基準よりも厳しい条件を持って企業本 来の活動を行う責任 積極関与責任:法的基準以上にステイクホルダーの便益に 向けて企業活動を行う責任 ③企業フィランソロピー 企業の本業とは直接的に関係しない分野でも公共の目的の ために経営資源を活用する責任 • 森本三男(carroll修正) ①法的責任 ②経済的責任 ③制度的責任 社会制度としての企業が法的責任や経済的責任を 超えて自発的に果たす責任 ④社会貢献 企業の自発的意思と裁量に委ねられた社会的役割 の先取りであり、単に社会の圧力に反応して行動す るのではなく、企業の長期的役割を考えて行動する ことであり、社会に対する投資であり、貢献責任 地球環境問題と企業の社会的責任 • 1990年代の市場のグローバル化とともに世 界的な環境問題(地球環境問題)に注目が集 まる • 環境問題はスケールが大きく、企業だけの責 任ではない • しかし、企業行動の如何に関わっている部分 が多い 教科書 図表Ⅲ-1 社会的責任の構図 • グローバルな市場で大きな影響力を持つよう になった企業 • 社会的責任(social responsibility) • 企業市民(corporate citizenship) • 企業の社会的責任は「企業は市場において 自由な経済活動を行うことができる見返りとし て社会的な義務を負っている。 • そうでなければ市場経済のもとで社会全体の 秩序を保ち一層の発展を図ることが困難に なってしまう」に基づいて誕生 • この概念を地球環境問題にも当てはめてい る 企業の環境問題 • 「企業が働きかける対象である経営環境の 変動が、企業の経済的成果ないしは利潤の 実現・獲得を脅かす事態を招くに至った一連 の問題群」 • 企業が自然環境問題へ関心を示す動機
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