1 高校における統計教育の現状と 問題点 山梨県立甲府第一高等学校 依田 源 ([email protected]) 2003/09/03 2 新学習指導要領での「統計」 地歴科ー地理A[扱]、 地歴科全科目[指] 公民科ー現代社会[扱]、 公民科全科目[指] 数学科ー数学基礎[内]、数学B[内]、 数学C[内] 内容で示さ 情報科ー情報C[扱] れているの は数学だけ []は、それぞれ、 [内]:内容(第2款) [扱]:内容の取り扱い(第2款) [指]:各科目 にわたる指導計画の作成と内容の取り扱い(第3款)で触れられていることを示す。 3 例えば・・・・地歴科では 第3款 各科目にわたる指導計画の作成と 内容の取扱い 2 各科目の指導に当たっては,情報を主体 的に活用する学習活動を重視するとともに, 作業的,体験的な学習を取り入れるよう配 慮するものとする。そのため,地図や年表 を読みかつ作成すること,各種の統計,年 鑑,白書,画像,新聞,読み物その他の資 料に親しみ,活用すること ・・・・ 4 例えば・・・・現代社会では 3 内容の取扱い (1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮する ものとする。 エ 的確な資料に基づいて,社会的事象に対する 客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成 するとともに,学び方の習得を図ること。その際, 統計などの資料の見方やその意味,情報の検索 や処理の仕方,簡単な社会調査の方法などにつ いて指導するよう留意すること。また,学習の過 程で考えたことや学習の成果を適切に表現させ るよう留意すること。 5 数学科では 中学校:なし 数学基礎(高1): 身近な統計 数学B(高2):統計とコン ピュータ 数学C(高3):確率分布 統計処理 従前 中2:資料の整理 中3:標本調査 数学B(高2):確率分布 数学C(高3):統計処理 6 情報科では 情報C 3 内容の取り扱い (3) 「 ・・・(略)・・・情報の分析に ついては,表計算ソフトウェアなど の簡単な統計分析機能やグラフ 作成機能などを扱うようにする。」 7 高校での統計教育の問題点 指指導要領の「内容」に明記されていなけれ ば、指導する教師に依存(地歴科・公民科)。 情報科では教師にアレルギー。 従来から、高校の数学の中の統計はほとん ど履修されていない。 中学校から移行した統計の 内容も履修されないだろう。 代表値は平均値 だけ、度数分布表も知 らないまま卒業 高校数学で 8 統計が履修されない理由 すべてが選択 必修選択 数学Ⅰ 数学基礎 科目選択 数学B 数学C 科目内の単元選択 数学Bー 数列 ベクトル 統計とコンピュータ 数値計算とコンピュータ から2単元 数学Cー 行列とその応用 式と曲線 確率分 布 統計処理 から2単元 9 H15年度 数学基礎の履修割合 2% 数学Ⅰ 数学基礎 98% 数学Ⅰ 数学基礎 1,405,309冊 29,444冊 10 旧数学B C での履修割合 11 旧数学B C での履修割合 数学C 統計処理 数学B 確率分布履修者 1% 7% 93% 非履修者 99% 履修者 非履修者 履修者 12 高校での統計教育 当面の方略 方法論としての統計をいつどこで誰が教え るのか。 統計は公教育が保障すべき教養のシビル ミニマム 統計は全員必修で 新設の情報科の活用 13 新設教科「情報」 全員必修 2単位 科目は 情報A 情報B 情報C 専門高校では、専門科目で代替可 目標は (ア) 情報活用の実践力 (イ) 情報社会に参画する態度 (ウ) 情報の科学的理解 コンピュータ・情報通信ネットワークの活用 14 「情報科」での統計教育 情報C 3 内容の取り扱い (3) 「 ・・・(略)・・・情報の分析に ついては,表計算ソフトウェアなど の簡単な統計分析機能やグラフ 作成機能などを扱うようにする。」 15 情報C 各社の教科書での扱い 扱いなし~12ページ まで 様々 扱 い グラフの作りかた 回帰分析も 目 見てもらうために 的 分析のために 扱いなし 1ページ未満 1ページ 2ページ 4ページ 10ページ 12ページ 1社 2社 2社 1社 1社 1社 1社 16 回帰分析を扱った例 17 「情報A」での取り扱い 直接に 「統計」は 現れない 学習指導要領では 第1 目標 コンピュータや情報通信ネットワークなど の活用を通して,情報を適切に収集・処 理・発信するための基礎的な知識と技能を 習得させるとともに,情報を主体的に活用 しようとする態度を育てる。 18 情報A 各社の教科書での扱い 情報Cより、情報の表 現方法の色彩が濃い 無目的にグラフ化をし ている教科書もある。 「データから読み取る」 という視点が少ない 扱い無し 1ページ未満 1ページ 2ページ未満 3ページ 5ページ 8ページ 数学Bも9社中6社が グラフ化 3社 1社 3社 3社 1社 1社 1社 19 まとめと課題 当面は情報科も有力な統計教育の機会。 内容は、不十分だが、改善の可能性は数 学より大きい。 コンピュータにより大量のデータも扱える ので、数学より統計に適している? 情報の授業で使える、好例の集積が必要 20 簡単なことでも 加入電話、携帯電話、 PHSのそれぞれの通 話時間の経年変化を 調べる。 加入電話、携帯電話、 PHSの合計を求める と状況がより一層はっ きりする。
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