VLSI設計支援工学 5 • 論理式の多段化 – 積和形論理式と多段論理式 – 論理式の多段化 • 論理関数を考慮する割り算 • 代数的に行う割り算 • キューブ数、リテラル数を2に制限した処理 積和形論理式と多段論理式 • 積和形論理式 = AND-ORの2段 • 多段論理式 = 3段以上の任意の形 • 一般的には、多段論理式の方がコンパクトな表 現になる – ace + ade + bce + bde + cf + df = (c + d)(e(a + b) + f) • 回路面積の目安 = リテラル数 – 16 → 6 • 回路遅延の目安 = 2入力基本ゲートで表現し た時の段数 – 5段 → 4段 論理式の割り算 • f = gh + r – fをgで割った商がhで、あまりがr – 一般的には、hとrはユニークには決まらない • hとrに制限をつけない=論理的割り算 – 無限通りの割り方がある – 1回の割り算に積和形論理式の簡単化と同じ手間が かかる • ghを代数的積に制限する=代数的割り算 – 結果がユニークにできる – O(n log n)の手間で計算できる – そんなに悪くないことが多い 論理式の代数的処理 • 代数的論理式とは、論理関数の積和形論理式 表現で、他の1つのキューブに含まれるキューブ (single cube containmentと呼ぶ)のないもの – ab + abc + cdは代数的論理式ではない – ab + cdは代数的論理式 • 代数式fとgの代数的積fgとは、fgを展開し、 single cube containmentについて冗長性を取った もの – fとgに共通な変数がないとfgは必ず代数的積 – (a + b)(c + d) = ac + ad + bc + bdは代数的積 – (a + b)(a + c) = aa + ac + ab + bc = a + bcは代数的積 ではない 論理式の割り算の例 f= ad + ae + bcd + j g1 = a + bc g2 = a + b • fをg1で代数的に割ると、商はd、あまりは ae + j • fをg2で代数的に割ると、商は(a + b)d、あ まりはae + j (代数的には割れない) Weak division • 代数的割り算であまりのキューブ数最小のもの • 定理: weak divisionの結果はユニーク • 割り算の手間はO(n log n) nは積項数 Weak divisionのアルゴリズム Weak_div(F,G): U = {uj}/* Fの全てのキューブだが、Gに現れるリテ ラルだけに制限したもの*/ V = {vj}/* Fの全てのキューブだが、Gに現れるリテ ラル以外のリテラルに制限したもの */ /* uj vjがFのj番目のキューブとなっている */ Vi = {vj ∈ V| uj = Gi} H = ∩ Vi R = F – GH return (H, R) • 上のアルゴリズムはO(n log n)です。どこがそうでしょう か? Weak divisionのアルゴリズム:例題 F = ace + ade + bc + bd + be + a’b + ab G = ae + b U = ae + ae + b + b + b + b + ab V = c + d + c + d + 1 + a’ + 1 Vae = c + d Vb = c + d + 1 + a’ H=c+d R = be + a’b + ab F = (ae + b)(c + d) +be +a’b + ab Gをどうやって選ぶか? カーネル、コカーネル • 効果的に割れるGを探す必要 – Gは無限にある • 問題: 論理式の集合{Fi}が与えられた時、出切れだけ多 く共通に割れる代数的項を探す • 探索対象=カーネルに制限 • 定義 – 積和形論理式がキューブフリーとは、すべての積項に共通なリテ ラルがないことを言う – 積和形論理式のカーネルとは、その論理式に含まれる複数の積 項からリテラルをとってキューブフリーにしたもの – 積和形論理式のコカーネルとは、カーネルを作るときにとったリテ ラルの積 カーネル、コカーネルの例 x = adf + aef + bdf + bef + cdf + cef + g = (a + b + c)(d + e)f + g カーネル a+b+c d+e (a + b + c)(d + e)f + g コカーネル df, ef af, bf, cf 1 カーネルに関する基本定理 • 論理式F、Gについて、Fの任意のカーネル kFとGの任意のカーネルkGが共通に持つ 積項がたかだか1の場合、FとGは積項数 2以上の積和形論理式で代数的には割れ ない • つまり、論理式をカーネルで割ったしまえ ば、複数の論理式を共通に割れるのは、 キューブに限定される カーネルの計算アルゴリズム R ← Kernel(j, G) R←0 If (Gがキューブフリー)R ← {G} For i = j+1, …, n { If (liが1つの積項のみで現れる) then continue c ← G/liを割り切る最大キューブ If (あるk<i に対し、lk ∈ c) then continue else R ← R ∪ Kernel(I, G/(li・c)) } Return R • Kernel(0, F)がすべのカーネルを計算 • lk ∈ cが高速化のポイント(同じカーネルを求めな い) abcd+abce+adfg+aefg+adbe+acdef+beg b a b c d e c d e d+e c+d b+ef b+df e d f c d e (a) (a) ac+d+g c (a) e f f gd+e b+cfce+gcd+g c+e co-kernel 1 a ab abc abd abe ac acd 注意: kernel f g)( d + e) + de( b + cf ))) + beg + ( bc+ f g)( d + e) +de( b + cf ) c( d + e) + de d +e c +e c +d b( d + e) + def b + ef f =bc= ad +ae = a( d + e). a(( bc 多段化の例 f1 = ab(c(d + e) + f + g) + h f2 = ai(c(d+e) + f + j) + k カーネルd + eで割ると l=d+e f1 = ab(cl + f + g) + h f2 = ai(cl + f + j) + k さらにカーネルcl + fで割ると m = cl + f f1 = ab(m + g) + h f2 = ai(m + j) + k 共通に割れるカーネルはないので、キューブで割る n = am f1 = b(n + ag) + h f2 = I(n + aj) + k より効率的に: キューブ数、リテラ ル数を2に制限した処理 • • • • • 割るごとにカーネルを再計算するのはたいへん 論理式によってはカーネルが多数ある キューブ2のカーネルに制限 リテラス数2のキューブに制限 F = abd + a’b’d + a’cd に対しては – ab + a’b’, b’ + c, ab + a’cはキューブ2のカーネル – a’d はリテラル数2のキューブ • O(m2)個のキューブ数2カーネル(mはキューブ数) • 同時に複数の除算が可能 • 否定も同時に考慮可能 キューブ数2カーネルによる割り算 1. すべてのキューブ数2カーネルを生成し、互いに 否定の関係になっているものを把握する 2. キューブ数2のカーネルとリテラル数2のキューブ で割り算を実行する 3. 割り算後、キューブ数2カーネルをアップデートす る 4. リテラル数が減少しなくなるまで、上を繰り返す • • 高速(20倍程度) 通常のカーネルを使うものと同等の品質
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