膝痛と姿勢

骨は老化するの?
市立田沢湖病院
放射線科 齊藤 龍晴
骨の働き
概ね、5つの作用になる
1 支持作用 例:背骨
2 保護作用 例:頭蓋骨
3 運動作用 例:肩
4 造血作用 例:骨髄移植
5 貯蔵作用 例:骨密度測定に関与している
骨の構造
鉄筋コンクリートの建物の例えると
骨基質(コラーゲン)=鉄 骨
骨 塩(カルシウム・リン・マグネシウム)=コンクリート
骨のサイクル
骨は生きている
新しい骨
新しい骨を造る
(骨を造る細胞が骨を造る)
骨が壊される
(骨を壊す細胞が古い
骨を壊す)
(壊された骨が人体で使
われる)
骨サイクルの変化
正常な人の骨
骨粗鬆症の人の骨
骨を造る細胞と
骨を壊す細胞の
働き具合が同じ
骨を壊す細胞の働きに
骨を造る細胞の働きが
追いつかなくなる
骨の量が変わらない
(骨ががっちりしている)
骨の量が少なくなる
(骨がスカスカ)
骨密度の変化
同級生・同窓生の平均の骨密度
0.7
骨密度
BMD
0.5
(g/c㎡)
男性
0.3
女性
0歳
20
40
60
80
100
年齢
骨粗鬆症での4大骨折
骨折しやすい部位
1 手首の骨折(転倒して手をつく)
2 腕の付け根の骨折(転倒して肩の周辺を骨折する)
3 太ももの付け根の骨折(尻もちや横転などによる骨折)
4 背骨の骨折(重い物を運んだり、尻もちなどでおこる)
要介護と骨折
1
我が国の要介護の原因
1 脳卒中
28%
2 衰弱
16%
3 転倒骨折 12%
転倒による骨折は非常に多い!
大腿部頚部骨折:年間12万件
(ももの付け根の骨折)
要介護と骨折
2
骨 折
日常生活能力の低下
あるいは 生活動作の障害がおこる
介護の必要性が高まる
なんと、認知症に?
骨粗鬆症
骨
折
入院や介護
寝たきり
認知症
骨粗鬆症の検査
DXA法(橈骨遠位測定)
測定は“非利き手”!
(手首に以前骨折があった
人は、利き手で行います)
測定時間は、約1分間。
時計は、外してもらいます
1
骨粗鬆症の検査
2
その他の検査法
MD法:手指をエックス線撮影し、計ります
DXA法:腰椎・大腿骨で測定します(DEXA法)
QCT法:CT装置で計ります
QUS法:踵を超音波で測定します
エックス線検査:エックス線写真から評価します
血液検査:骨粗鬆症以外に骨塩低下の疾患も検査できます
骨粗鬆症の治療
食事療法
+
運動療法
(散歩・体操・スポーツ)
薬物療法
食事療法
1
カルシウムの多い食品
(カルシウムは骨の材料となります。
また、骨を壊すホルモンの分泌も抑えます。)
牛乳・乳性品
豆・豆製品
野菜・海藻類
魚介類
など
食事療法
2
骨を育てるのにビタミンが必要です
ビタミンK
ビタミンD
(骨を造るのを助け強くします)
(腸でのカルシウムの吸収を助けます)
ビタミンKの多い食品
チーズ
レタス
大根の葉
納豆
ビタミンDの多い食品
イワシ
カツオ
レバー
干しシイタケ
など
など
食事療法
3
下の食品のとりすぎには気をつけてください
食品中の“リン”が、カルシウムの吸収を妨げ、
排出を促進するようです
気をつけたいもの
コーヒー
インスタント食品
ウィスキー・ビール・日本酒等酒類
骨折予防
1
散歩と体操・スポーツのすすめ
毎日30分~1時間くらい歩きましょう
長続きしやすいゲートボールなどしましょう
運動を習慣化しましょう
自分に合った運動をしましょう
無理はしないようにしましょう
動きやすい服装・滑りにくい靴で行いましょう
自分にあったメニューを医師と相談するのも良いでしょう
骨折予防
2
転倒のしにくい環境を整えましょう
日常生活の工夫
浴室に手すりをつけましょう
玄関・ローカなど段差をなくしましょう
階段に滑り止め・手すりをつけましょう
トイレには手すりをつけ、夜も明るくしましょう
足下は明るくしましょう
家の中は片付けましょう
骨粗鬆症の薬
骨を壊すのを抑える薬
ビスフォスフォネート製剤
カルシトニン製剤
イプリフラボン製剤
エストロゲン製剤
活性型ビタミンD3製剤
ビタミンK2製剤
カルシウム製剤
副甲状腺ホルモン製剤
フッ素製剤
骨を造るのを促す薬
骨に関する質問と答え
1 骨は人の成長と共に、大きく・太くなり丈夫になります?
2 人の成長が止まると、
その後、骨は生涯、同じ形・同じ成分が保たれます?
3 健康な人の骨は内部まで、骨の硬さの元となる
カルシウムがびっしりとすき間無く詰まっています?
4 骨は、とても硬いため、非常に“もろい”ものです?
5 骨には、血管や神経はありません?
まとめ
人の骨格は、言うまでもなく“屋台骨”です。
健康で長生きするために
丈夫な骨を造り、それを維持してほしいものです。