スポーツと栄養 - WATS~WASEDA Athletic Training

スポーツと栄養
片山貴志
目次
• 五大栄養素
• 試合前後の食事
• プロテインについて
五大栄養素
炭水化物
エネルギーの供給
脂質
筋の肥大と骨格の強化
タンパク質
ビタミン
身体機能の調整
ミネラル
水
試合前の食事
スタミナの決め手は肝臓・筋グリコーゲンの貯蔵量!
グリコーゲンローディング法(カーボ・ローディング法)
肝臓グリコーゲンと筋グリコーゲンの貯蔵量を増加させる
やり方
• 試合一週間ほど前に筋肉と肝臓のグリコーゲンを使いはたす
• その後3日間炭水化物がほとんど含まれない高脂肪・高タンパク質食を食べ続ける
• その後3日間高炭水化物を食べ続ける
貯蔵量1.5~2倍に!
なぜ一度グリコーゲンの貯蔵量を空にする必要があるのか
↪グリコーゲン合成酵素を活性化させるため
実際には前述したような方法では強度が高すぎて
体へ負担になってしまう。
3日程前から高炭水化物の食事にするだけでも効果あり
通常、スポーツ選手が1日に摂取するエネルギー
タンパク質 15%
脂質
25~30%
糖質
55~60%
グリコーゲン
ローディングでは
タンパク質 10~12%
脂質
15~20%
糖質
70%
ルール
1) 1食につき、糖質を多く含む食品を
2~3種類摂る
◎糖質を多く含む食品
ごはん、パン、うどん、パスタ、
いも、バナナ、オレンジなど。
2) 脂っこいものは控える
3) 主菜よりも主食を中心に食べる
4) 糖質がエネルギーになるために必要な
ビタミンB1などのビタミンを一緒に
クエン酸も一緒に取ると効果アップ!
メニュー例
朝食
ごはん(どんぶり1杯)、目
玉焼き、じゃがいもの煮も
の、いんげんのおかか和
え、納豆、味噌汁、バナナ、
牛乳
昼食
力うどん、焼きおにぎり(2
個)、春雨中華サラダ、
100%オレンジ果汁、ヨー
グルト
夜食
ごはん(どんぶり1杯)、
豚肉の生姜焼き(80g)、
コールスロー、スパゲッ
ティソテー、かぼちゃの
煮もの、里芋の味噌汁、
グレープフルーツ、牛乳
試合当日の朝食は?
• 食事をとるタイミング
3~4時間前
• グリコーゲンの原料となる炭水化物
インシュリンがグリコーゲンの合成を促す
(ブドウ糖=砂糖=デキストリン>でんぷん)
• 消化の良いものを
肉や揚げ物は避ける
• 食べなれた暖かいものを
体と脳を早めにウォームアップ
他には
紅茶やコーヒー、お茶などで自律神経を刺激する
水溶性の複合ビタミン剤でビタミンを細胞に飽和
試合の間でエネルギーをチャージしたい
ポイントは
グリコーゲンの原料となる
クエン酸
糖分
を
と一緒にとること
•グリコーゲン回復の促進
•グリコーゲン分解酵素の阻害
Ex.)
オレンジジュース
グレープフルーツジュース
試合中のエネルギーチャージ
グリコーゲンの合成のためには
ブドウ糖などの炭水化物をとり、
インシュリンを分泌させグリコーゲン合成を促す
しかし
高炭水化物食は血中脂肪酸濃度を低下させ
脂肪のエネルギー代謝を抑えてしまう
果糖・アルギニン
そこで試合中は、、、、
果糖とアルギニン、クエン酸を組み合わせたもの
を摂取するとよい
試合後の食事
試合では運動強度が練習と同じでも精神的疲労が加わり疲れる
高糖質食・消化のよい内臓に負担をかけないもの
グリセミック・インデックス(GI)
血糖グルコースが上昇してくる大小を示すもの
GIが高いと
吸収が早く、グリコーゲンの回復に有利
GIが低いと
長時間グルコースの濃度を保つことができる
プロテイン
種類
•
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•
•
ホエイプロテイン(乳清タンパク質)
カゼインプロテイン
大豆(ソイ)プロテイン
卵(エッグ)プロテイン
必要量
体重1kgに対して2gが上限
摂取のタイミング
• トレーニング開始1~2時間前
• トレーニング終了後30分以内
• 就寝2時間前
注意点
プロテインだけでは効かない
ビタミンB6 炭水化物など
大量に摂取すれば良いわけではない
• 過剰分は脂肪として蓄積される
• 尿中に排泄するときに腎臓に負担がかかる
• カルシウムを尿中に多く排泄してしまう
まとめ
• 試合期には筋肉のエネルギー原であるグリ
コーゲンを
いかにして貯蔵しておくか
いかに素早く回復させられるか
がポイント!
• プロテインは使用量を守って適切なタイミング
で!
参考文献
伊藤マモル(2009)「基礎から学ぶスポーツトレーニング理論」日本文芸社
鈴木正成(1997)「スポーツの栄養・食事学」第1版 第26刷 同文書院
征矢英昭・本山貢・石井好二郎(2009)「これでなっとく使えるスポーツサイエンス」
新版 第3刷 講談社
財団法人 日本体育協会(2007)「公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト9
スポーツと栄養」 広研印刷株式会社
早稲田大学スポーツ科学部学術院編(2011)「教養としてのスポーツ科学
アクティヴ・ライフの創出をめざして」
大修館書店
http://www.sports-n.com/ntrtn/htm/063-j.htm (7月2日閲覧)