電子回路Ⅰ 第1回(2006/10/16)

電子回路Ⅰ 第10回(2008/1/7)
電力増幅
今日の内容
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電力増幅の用途
トランジスタの大振幅動作
A級電力増幅回路
B級電力増幅回路
B級プッシュプル電力増幅回路
C級電力増幅回路
これまでの増幅回路の用途
•小信号を増幅
アンテナで検出した信号の増幅
微弱な測定信号の増幅
差動増幅
•広い帯域幅での増幅
低域しゃ断周波数、広域しゃ断周波数
•発振回路
•演算増幅
電力増幅の用途
•電気信号を他の物理量に変換する
スピーカー、モーター、ディスプレイ
ボイスコイル(数~数十Ω)に電流を流す
•電波としてアンテナで送信
ラジオ、テレビ、無線
特定の周波数(搬送波)に信号を載せて送信
トランジスタの大振幅動作
小信号と違う点
電圧、電流ともに大きな振幅となるので、
動作点からかなりはずれたIc,VCEもとる
トランジスタ/FETは非線形素子なので、
hfeなどの動作量が振幅に依存する
これまで行ってきた動作量が振幅に依存
しないという仮定の線形計算は適用でき
ない
Q
大振幅動作における注意 最大許容
最大許容コレクタ電流
ICmax
コレクタ損失
PCmax=IV
最大許容
コレクタ電圧
VCmax
パワートランジスタの特性
(2SA1129) その1
パワートランジスタの特性
(2SA1129) その2
A級電力増幅回路
動作点が A と B
の中央
A級電力増幅回路の出力
負荷 RLに流れる交流電流の振 幅は
出力電力 PLは
2
I CM
 1 I CM 
RL

R
PL  
 L
8
 2 2 
VCC
より、 実効値
またI CM 
RL
2
2
2
V
I
PL  CM RL  CC
8RL
8
I CM
なので
2
A級電力増幅回路の効率
回路に供給する直流電 力PDC は
PDC  I CVCC
ただしI CはI Cの平均値を表す
I CM
より
2
2
I CM
VCC
 I CVCC 
VCC 
2
2 RL
I C  I CQ 
PDC
効率 は
2
VCC
PL
8 RL 2


  25%
2
PDC VCC
8
2 RL
A級電力増幅回路の損失
効率は25%、残りはどこで消える?
50%
常に直流電流が流れる
2
直流損失PRL  I C
2
V
I 
RL   CM  RL  CC RL
4
 2 
2
トランジスタにも電圧
、電流が流れるコレク
タ損失
2
1 I CM 1 VCC VCC
コレクタ損失
PC 

RL
8
2 2 2 2
25%
負荷に直流電流を流さない
A級電力増幅回路(その1)
スピーカーに直流電流が流れる
と、コイルが焼き切れる
IC1の直流電流分ICQと等しい
電流IC2をQ2に流すと、負荷RL
には交流電流しか流れない
でも効率は25%
カレントミラー回路
負荷に直流電流を流さない
A級電力増幅回路(その2)
変成器(トランス)で交流だけを
伝える
インピーダンス変換も兼ねる
n2
i1  i2
n1
n1
v1  v2 より
n2
n1
v2
2
2




v
n
v
n
n
Rl  1  2   1  2   1  RL
n2
i1
i2  n2  i2  n2 
n1
i1
i2
v1
v2
B級電力増幅回路(動作点)
Q
VCE,ICの値は無視してください
•動作点をVCC(カットオフ点)に設定
•共振回路による波形整形が必要
B級電力増幅回路(波形と効率)
コレクタ電流の平均値
I CM 
IC 
sin td t 

0
2
I Cに含まれる基本波(角周波数 )の振幅
2
I C1 
2


0
sin tI CM sin td t 
電力効率は

B級プッシュプル電力増幅回路
(回路)
npn
入力信号の正と負を
それぞれのトランジス
タで増幅して合成
pnp
負荷に直流電流が
流れない
B級プッシュプル電力増幅回路
(動作点)
2つのトランジスタのVCE-IC特性を加えた形
VCC=VEEにしないと
上下で出力の振幅
が揃わない
B級プッシュプル電力増幅回路
(効率)
出力電力
2
I R
I 
PL   CM  RL  CM L
2
 2
電源電力
2
PDC  VCC I C1  VEE I C 2 

2 I CM

2 I CM

VCC
2
I CM RL 
2 I CM RL

電力効率は
2
I CM RL
P

2
 L 

 78.5%
PDC 2 I CM 2 RL 4

B級プッシュプル電力増幅回路
(問題点)
VBEにある程度の電圧を印加しない
とコレクタ電流が流れない
バイアスをかけてA級に近づける
(AB級)
Single Ended Push-Pull(SEPP)
C級電力増幅回路
B級よりも深くバイアスをかけると
電流が流れない




ic  I CM  cost  cos  :   t 
2
2
2

I CM 2 
1 2



IC 
i
d

t

cos

t

cos

d t 
c
2 0
2 0 
2
I CM   

 sin  cos 
  2 2
2
基本波の振幅
2 2
I C1 
ic costd t 
2 0
2 I CM 2 
I CM



  sin  

cos

t

cos
cos

td

t



 0 
2
2

C級電力増幅回路(効率)
直流電流
I CM   

 sin  cos 
  2 2
2
基本波電流
IC 
I CM
  sin  
2
直流入力
I C1 
VCC I CM   

 sin  cos 
  2 2
2
基本波出力
PDC  VCC I C 
VCC I C1 VCC I CM
  sin  

4

2 2
効率は
PL 

PL
1
  sin 

PDC 4 sin    cos 
2 2
2
が小さいほど効率は良くなるが、
出力が減少する
C級電力増幅回路(用途)
波形が著しく歪むので、多くの高
調波を含む
共振回路が必要(周波数は固定)
無線送信用
PWM(Pulse Width Modulation)
周波数にこだわらず、電力増幅をしたいとき(ヒーター、モーター)
入力
元の信号
基準信号
一定の位相(振幅)範囲のみで出力(増幅)
パルス幅を変調して平均出力を制御
出力