電子回路Ⅰ 第10回(2008/1/7) 電力増幅 今日の内容 電力増幅の用途 トランジスタの大振幅動作 A級電力増幅回路 B級電力増幅回路 B級プッシュプル電力増幅回路 C級電力増幅回路 これまでの増幅回路の用途 •小信号を増幅 アンテナで検出した信号の増幅 微弱な測定信号の増幅 差動増幅 •広い帯域幅での増幅 低域しゃ断周波数、広域しゃ断周波数 •発振回路 •演算増幅 電力増幅の用途 •電気信号を他の物理量に変換する スピーカー、モーター、ディスプレイ ボイスコイル(数~数十Ω)に電流を流す •電波としてアンテナで送信 ラジオ、テレビ、無線 特定の周波数(搬送波)に信号を載せて送信 トランジスタの大振幅動作 小信号と違う点 電圧、電流ともに大きな振幅となるので、 動作点からかなりはずれたIc,VCEもとる トランジスタ/FETは非線形素子なので、 hfeなどの動作量が振幅に依存する これまで行ってきた動作量が振幅に依存 しないという仮定の線形計算は適用でき ない Q 大振幅動作における注意 最大許容 最大許容コレクタ電流 ICmax コレクタ損失 PCmax=IV 最大許容 コレクタ電圧 VCmax パワートランジスタの特性 (2SA1129) その1 パワートランジスタの特性 (2SA1129) その2 A級電力増幅回路 動作点が A と B の中央 A級電力増幅回路の出力 負荷 RLに流れる交流電流の振 幅は 出力電力 PLは 2 I CM 1 I CM RL R PL L 8 2 2 VCC より、 実効値 またI CM RL 2 2 2 V I PL CM RL CC 8RL 8 I CM なので 2 A級電力増幅回路の効率 回路に供給する直流電 力PDC は PDC I CVCC ただしI CはI Cの平均値を表す I CM より 2 2 I CM VCC I CVCC VCC 2 2 RL I C I CQ PDC 効率 は 2 VCC PL 8 RL 2 25% 2 PDC VCC 8 2 RL A級電力増幅回路の損失 効率は25%、残りはどこで消える? 50% 常に直流電流が流れる 2 直流損失PRL I C 2 V I RL CM RL CC RL 4 2 2 トランジスタにも電圧 、電流が流れるコレク タ損失 2 1 I CM 1 VCC VCC コレクタ損失 PC RL 8 2 2 2 2 25% 負荷に直流電流を流さない A級電力増幅回路(その1) スピーカーに直流電流が流れる と、コイルが焼き切れる IC1の直流電流分ICQと等しい 電流IC2をQ2に流すと、負荷RL には交流電流しか流れない でも効率は25% カレントミラー回路 負荷に直流電流を流さない A級電力増幅回路(その2) 変成器(トランス)で交流だけを 伝える インピーダンス変換も兼ねる n2 i1 i2 n1 n1 v1 v2 より n2 n1 v2 2 2 v n v n n Rl 1 2 1 2 1 RL n2 i1 i2 n2 i2 n2 n1 i1 i2 v1 v2 B級電力増幅回路(動作点) Q VCE,ICの値は無視してください •動作点をVCC(カットオフ点)に設定 •共振回路による波形整形が必要 B級電力増幅回路(波形と効率) コレクタ電流の平均値 I CM IC sin td t 0 2 I Cに含まれる基本波(角周波数 )の振幅 2 I C1 2 0 sin tI CM sin td t 電力効率は B級プッシュプル電力増幅回路 (回路) npn 入力信号の正と負を それぞれのトランジス タで増幅して合成 pnp 負荷に直流電流が 流れない B級プッシュプル電力増幅回路 (動作点) 2つのトランジスタのVCE-IC特性を加えた形 VCC=VEEにしないと 上下で出力の振幅 が揃わない B級プッシュプル電力増幅回路 (効率) 出力電力 2 I R I PL CM RL CM L 2 2 電源電力 2 PDC VCC I C1 VEE I C 2 2 I CM 2 I CM VCC 2 I CM RL 2 I CM RL 電力効率は 2 I CM RL P 2 L 78.5% PDC 2 I CM 2 RL 4 B級プッシュプル電力増幅回路 (問題点) VBEにある程度の電圧を印加しない とコレクタ電流が流れない バイアスをかけてA級に近づける (AB級) Single Ended Push-Pull(SEPP) C級電力増幅回路 B級よりも深くバイアスをかけると 電流が流れない ic I CM cost cos : t 2 2 2 I CM 2 1 2 IC i d t cos t cos d t c 2 0 2 0 2 I CM sin cos 2 2 2 基本波の振幅 2 2 I C1 ic costd t 2 0 2 I CM 2 I CM sin cos t cos cos td t 0 2 2 C級電力増幅回路(効率) 直流電流 I CM sin cos 2 2 2 基本波電流 IC I CM sin 2 直流入力 I C1 VCC I CM sin cos 2 2 2 基本波出力 PDC VCC I C VCC I C1 VCC I CM sin 4 2 2 効率は PL PL 1 sin PDC 4 sin cos 2 2 2 が小さいほど効率は良くなるが、 出力が減少する C級電力増幅回路(用途) 波形が著しく歪むので、多くの高 調波を含む 共振回路が必要(周波数は固定) 無線送信用 PWM(Pulse Width Modulation) 周波数にこだわらず、電力増幅をしたいとき(ヒーター、モーター) 入力 元の信号 基準信号 一定の位相(振幅)範囲のみで出力(増幅) パルス幅を変調して平均出力を制御 出力
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