「」の整備に必要な事項の調査の結果得られた全文書の一部開示決定

諮問庁:防衛庁長官
諮問日:平成17年10月20日(平成17年(行情)諮問第522号)
答申日:平成17年12月12日(平成17年度(行情)答申第479号)
事件名:「空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用で
きる輸送機能を有する航空機」の整備に必要な事項の調査の結果得ら
れた全文書の一部開示決定に関する件
答
第1
申
書
審査会の結論
下記①から⑥までの文書(以下「本件対象文書」という。)につき,そ
の一部を不開示とした決定は,妥当である。
①「KC−10
②「AIR
&
KC−135」
FORCE
SOURCE
SELECTION
PRO
CESS」
③「AMC
TANKER
④「AIR
REFUELING:THE
⑤「Air
Mobility
tions
STUDIES」
WAY
Command
AHEAD」
Air
Opera
Squadron」
⑥「「空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用
できる輸送機能を有する航空機」の整備に必要な事項の調査成果」
第2
1
異議申立人の主張の要旨
異議申立ての趣旨
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3
条の規定に基づく本件対象文書の開示請求に対し,平成17年2月3日付
け防官文第682号により防衛庁長官が行った一部開示決定について,そ
の取消しを求める。
2
異議申立ての理由
記録された内容を精査し,支障が生じない部分については開示すべきで
ある。
第3
諮問庁の説明の要旨
本件対象文書は,「「空中における航空機に対する給油機能及び国際協
力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機」の整備に必要な事項の調
査の結果得られた全文書」の開示請求に対して特定されたものである。本
件対象文書のうち,法5条1号及び3号に該当する部分を不開示とする一
部開示決定を行ったものである。
なお,本件対象文書についての一部開示決定は3度目であり,その都度
1
審査会に諮問し,既に答申を得ているところであり(平成15年12月2
日付け平成15年度(行情)答申第420号及び平成16年9月7日付け
平成16年度(行情)答申第220号。以下,直近の答申を「先例答申」
という。),諮問庁が不開示とすべきとした部分は不開示とすることが妥
当であるとされている。
1
本件対象文書中①から⑤までの文書について
(1)法5条1号該当性
航空幕僚監部の自衛官が,空中における航空機に対する給油機能及び
国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機(以下「空中給
油・輸送機」という。)の整備に関し,平成13年5月に米国において
資料収集調査(以下「当該調査」という。)を行った際の説明者として
記述されている6名の米軍人の氏名及びメールアドレス等については,
特定の個人を識別することができるものであり,法5条1号に該当する
ため不開示とした。
(2)法5条3号該当性
米空軍の組織,編制及び運用に係る情報並びに米軍人の氏名,メール
アドレス及び階級等(法5条1号により不開示とした部分を含む。)は,
公にすることにより,かかる情報を提供した米空軍と航空自衛隊との信
頼関係,ひいては我が国と米国との信頼関係が損なわれるおそれがある
と防衛庁長官が認めるに足りる相当の理由があることから,法5条3号
に該当し,不開示とした。
2
本件対象文書中⑥の文書について
(1)法5条1号該当性
当該調査に参加した自衛官及び在日米国大使館勤務者の氏名について
は,特定の個人を識別することができるものであり法5条1号に該当し,
かつ同号ただし書に掲げる情報ではないため不開示とした。
(2)法5条3号該当性
⑥の文書の記述内容は,米空軍からの説明,閲覧に供された資料及び
収集した資料を基に作成されている。これらは,航空自衛隊と米空軍と
の間の相互の信頼関係の下,提供されたものであり,非公開を条件に米
空軍側より口述による説明を受けた内容を多く含んでいる。
取り分け米空軍の運用,整備能力,空中給油能力,米空軍機の性能及
び聞き取りによる非公式な見解に関する記述は,公にすることにより,
かかる情報を提供した米空軍と航空自衛隊との信頼関係,ひいては我が
国と米国との信頼関係が損なわれるおそれがあると防衛庁長官が認める
に足りる相当の理由があることから,法5条3号に該当し,不開示とし
た。ただし,米空軍によりインターネットで公表されている記述及び米
2
空軍から収集した資料で公表の了承を得た部分から引用した記述につい
ては,例外的に開示とした。
さらに,在日米国大使館勤務者の姓及び階級(法5条1号により不開
示とした部分を含む。)については,上記1(2)と同種の情報である
ため,法5条3号に該当し,不開示とした。
また,⑥の文書は,空中給油・輸送機の要求性能を策定するに当たり
参考としたものである。このうち自衛隊の将来の装備品等の機能及び性
能に係る記述は,開示することにより自衛隊の装備品等の能力が推察さ
れ,自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあり,公
にすることにより,国の安全が害されるおそれがあると防衛庁長官が認
めることにつき相当の理由があることから,法5条3号に該当し不開示
とした。
第4
調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
第5
1
①
平成17年10月20日
②
同日
③
同年11月25日
④
同年12月2日
⑤
同月8日
諮問の受理
諮問庁から理由説明書を収受
諮問庁から補充理由説明書を収受
本件対象文書の見分及び審議
審議
審査会の判断の理由
本件対象文書について
本件対象文書は,当審査会において見分したところ,先例答申における
対象文書と同一であり,不開示部分も,先例答申の諮問と同一である。
2
不開示情報該当性について
本件諮問に伴い,当審査会において改めて審議したところ,先例答申に
おける不開示情報該当性の判断を変更すべき事情の変化も認められず,こ
れと同一の判断に至った。その判断の理由は別紙のとおりであり,その内
容は先例答申と同旨である。
3
本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号及び3
号に該当するとして不開示とした決定については,不開示とした部分は
同条1号及び3号に該当すると認められるので,妥当であると判断した。
(第2部会)
委員
寳金敏明,委員
秋田瑞枝,委員
3
戸松秀典
(別紙)
1
本件対象文書について
本件対象文書中,①から⑤までの各文書は,航空幕僚監部の関係者9名が,
空中給油・輸送機の整備に関し,平成13年5月に米国において資料収集調
査を行った際に収集した米空軍作成の資料であり,⑥の文書は,当該調査の
成果をまとめた文書であり,その概要は,それぞれ以下のとおりである。
①の文書は,空中給油・輸送機(KC−10,KC−135)に関する総
括的説明資料であり,空中給油・輸送機の役割,米空軍における空中給油の
実例,空中給油の方法・手順及び代表的な軌道パターン等を紹介している。
②の文書は,米空軍における一般的な機種選定要領に関する資料であり,
米空軍の機種選定手続の概要,提案理由書(RFP)に基づく評価基準及び
評価方法,機種選定を実施するための組織等が説明されている。
③の文書は,空中給油・輸送機に関する研究・検討資料であり,空中給
油・輸送機や搭乗員に今後求められる要素を検討し,また,費用等の面から
KC−135の経済的な運用期間の検討を行った上で,KC−135の老朽
化への対処法が述べられている。
④の文書は,KC−135を展開した近年の活動を始め,その歴史を紹介
するとともに,KC−135の老朽化への対応の検討を行っている。具体的
には,KC−135の近代化及びKC−Xの新規開発があり,前者について
は,要求性能及び経済面からの検討結果等が,後者については,その要求性
能等が述べられている。
⑤の文書は,KC−10の搭乗員教育システム(ATS)のモニターと評
価のために設立された機動空軍航空作戦隊(AMCAOS)の任務及び人員
構成を述べた上で,ATSの概略,ATS関連各基地・施設の配置,トレー
ニングの現状,ATSの目標等が述べられている。
⑥の文書は,当該調査の成果をまとめたものとして,航空幕僚監部防衛部
が平成13年6月に作成したものである。
防衛庁長官は,本件対象文書中,①から⑤までの文書に説明者として記述
されている6名の米軍人の氏名及びメールアドレス等や⑥の文書に記述され
ている当該調査に参加した自衛官の氏名並びに在日米国大使館勤務者の姓及
び階級については,法5条1号に該当するとして不開示とし,また,本件対
象文書中,①から⑤までの文書に記述されている米空軍の組織,編制及び運
用に係る情報並びに米軍人の氏名,メールアドレス及び階級等(法5条1号
に該当するものを含む。)並びに⑥の文書における自衛隊の将来の装備品等
の機能及び性能に係る記述については,法5条3号に該当するとして不開示
とし,その余の部分については,開示するとの一部開示決定を行った。この
4
うち不開示部分について,不開示情報該当性を検討する。
2
不開示情報該当性について
(1)法5条1号該当性について
本件対象文書中,①の文書の1ページ目及び2ページ目,②の文書の1
ページ目,③の文書の2ページ目,④の文書の2ページ目,⑤の文書の1
ページ目,⑥の文書の3ページ目には,6名の米軍人及び在日米国大使館
員の氏名,階級,所属,メールアドレス等が記述されており,当該記述部
分は,個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情
報であると認められる。諮問庁は,いずれも,法5条1号ただし書に該当
せず,同号に該当するため不開示としたと説明する。
本件対象文書を見分したところ,上記の各不開示部分には,いずれも米
軍人及び在日米国大使館員の氏名,階級,所属,メールアドレス等が記述
されていることが認められるが,米軍人や在日米国大使館員については,
その氏名等が法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にするこ
とが予定されている情報に該当しないため,法5条1号ただし書イに該当
せず,また,同号ただし書ハの「公務員等」にも当たらないことから,同
号に該当すると認められる。
また,本件対象文書中,⑥の文書の2ページ目及び4ページ目には当該
調査に参加した自衛官の氏名が記述されており,当該記述部分は,個人に
関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であると認
められる。諮問庁は,いずれも,法5条1号ただし書に該当せず,同号に
該当するため不開示としたと説明する。
本件対象文書を見分したところ,上記の各不開示部分には,いずれも当
該調査に参加した航空幕僚監部に所属する自衛官の氏名が記述されている
ことが認められるが,諮問庁においては,自衛官たる職員については,従
来から「補職の職」に補職されている者(幕僚監部の課長等)は,慣行と
して公にしているが,「補職の職」に該当しない者については不開示とし
ていると認められる。⑥の文書中,氏名が不開示とされた自衛官について
は,当審査会が事務局職員をして確認させたところによると,「補職の
職」に補職されているとは認められない者であるため,当該氏名は,法5
条1号ただし書イの法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公に
することが予定されている情報に該当するとは認められず,同号の不開示
情報に該当し,不開示としたことは妥当である。
(2)法5条3号該当性について
諮問庁は,本件対象文書中,④の文書の10ページ目には米空軍の運用
に係る情報,⑤の文書の3ページ目及び7ページ目には米空軍の編制に係
る情報,⑥の文書の6ページ目から11ページ目まで,13ページ目から
5
15ページ目まで,18ページ目及び21ページ目には米空軍の運用,整
備能力,空中給油能力,米空軍機の性能等に係る情報や米空軍から非公開
を条件に口頭で説明を受けた非公式の聞き取り情報が含まれ,さらに,⑥
の文書は,空中給油・輸送機の要求性能を策定するに当たり参考としたも
のであるとして,法5条3号を理由に一部を不開示としている。
本件対象文書を見分したところ,上記の各不開示部分には,米空軍の運
用に係る情報,編制に係る情報,整備能力,空中給油能力,米空軍機の性
能等に係る情報,非公開を条件に口頭で説明を受けた非公式の聞き取り情
報や空中給油・輸送機の機能及び性能に係る情報が記述されていることが
認められ,公にすることにより,かかる情報を提供した米空軍と航空自衛
隊との信頼関係,ひいては我が国と米国との信頼関係が損なわれるおそれ
があり,あるいは,自衛隊の装備品等の能力が推察され,自衛隊の任務の
効果的な遂行に支障を生じさせ,ひいては我が国の安全を害するおそれが
あると防衛庁長官が認めるに足りる相当の理由があると認められる。
なお,諮問庁は,①の文書の1ページ目及び2ページ目,②の文書の1
ページ目,③の文書の2ページ目,④の文書の2ページ目,⑤の文書の1
ページ目,⑥の文書の3ページ目に記述された6名の米軍人及び在日米国
大使館員の氏名,階級,所属,メールアドレス等については,法5条3号
にも該当すると説明するが,上記(1)のとおり,いずれも同条1号に該
当すると認められるので,同条3号については判断するまでもない。
6