§8. 基本的人権の原理 2007年10月2日 社会科学部 憲法 §8.基本的人権の原理 1.基本的人権と多数決原理 2.「人間が人間であることによって生まれ ながらにして持つ権利」 3.個人の尊厳 §8.基本的人権の原理 1.基本的人権と多数決原理 基本的人権 ・政治的意味 -「権利」の名で表現される政治的目標 ・法的意味 -裁判所の判決を通じて実効化可能な法的利益 …侵害→救済 ☆この講義における「基本的人権」→法的意味 §8.基本的人権の原理 1.基本的人権と多数決原理 基本的人権の機能 =主観的公権としての基本的人権 -国家に対する個人の権利 …法的権利=直接提訴可能な請求権 ・自由権→国家の不作意(=不介入)を要求 ・参政権→国政への参加を要求 ・社会権→国家による給付を要求 §8.基本的人権の原理 1.基本的人権と多数決原理 基本的人権→民主制的正統性連関に対する対抗原理 多数決の限界として、多数決によっても侵害でき ない、個人の生存にとり核心的意義を持つ権利 -功利主義=「最大多数の最大幸福」を指向 but: 少数者に対して要求できる犠牲の限界 (e.g. 移植のくじ) §8.基本的人権の原理 2.「人間が人間であることによって 生まれながらにして持つ権利」 ・基本的人権⇒「人間が人間であることによって 生まれながらにして持つ権利」 特定の「身分」に基づく権利=特権の否定 思想的背景=近代自然法論 §8.基本的人権の原理 2.「人間が人間であることによって 生まれながらにして持つ権利」 ・近代における基本的人権 =抽象的存在としての「個人」 →自由権を中心に構成された「基本的人権」 …国家に対する防禦権としての意味 ・20世紀 =個人が生存する社会的条件にも着目 →社会権の登場&「私人間効力」 §8.基本的人権の原理 3.個人の尊厳 国家(&社会)の基本原理としての「個人主義」 →人間社会における価値の根本が個々の人間に あるとし、何よりも先に個人を尊重しようとする原理 ・一方で: 利己主義に反対 ・他方で: 全体主義に反対 §8.基本的人権の原理 3.個人の尊厳 ・憲法でいう「個人」→「自律」という観念と結合 ・自律した個人を無条件の価値とする個人主義の帰結 -自由権→個人の自律に対する尊重 個人の自律の領域に対する国家の不介入 -社会権→個人の自律のために不可欠な前提条件の 作成に向かうもの (個人の自律に委ねられた問題に介入して 特定の「幸福」を押し付けるものではない)
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