日本数学教育学会第44回数学教育論文発表会(論文発表の部) 2011年11月11日[Sat.](於:上越教育大学) 状態変化の記録に関する授業試行 ―小学校6年生によるカエル跳びゲームの数学化― 正 田 良 (国士舘大学文学部) 要 約 • 小学校6年生に対して,カエル跳びゲームの状態 変化を記録させる授業試行を行った。 • (1)カエルの匹数が少ないときに棋譜のような状 態変化の記録を付ける。 (2)棋譜の特徴について考え,当初の問題解決に 至る という2時間にわけるべきことがわかった。 • 難しいけど楽しく受けられたこと 記録を着実に付けさせる授業をすることによって 「役に立つ」という感想を持つことがわかった。 ノートを書くことのよさ • (1)問題の解決方法を考えたり、他者と比較 して,考えを深めたりする。 <記録・構想 • (2)学習した公式や定理,アイデアなどを整 理し、忘れないようにしておく。 <まとめ • (3)計算の習熟を図ったり,学習したことの適 用問題を解いたりする。 <練習。 河村泰宏(2010) 問題解決型の授業とノート (1) 学習者固有の事項の記録(ふきだし) >情意的事項。 >方略の記録。 (2) 情報の変換としての表現 元のゲームと同型な別の表現を行なうことで, より簡便で効率の良い操作(数学的表現) 文部科学省(2008) ・ディーンズ (1970) 遊びから数学へ • • • • • • 自由遊び ルールに縛られた遊び 同型ゲーム 図式化 記号化 論証 (Dienes(1970)) カエル跳びゲーム 1. 「スライド」と「ジャンプ」の2種類の動きの みで1つの空白をはさんで向かい合ってい る2色のカエルの縦列の場所を入れ替える パズル。 手数を最少にする 2. 「スライド」 隣が空白のときはその位置へ 動くことができる。 3. 「ジャンプ」 1匹先に空白があるとき,それ を飛び越して空白の位置を占める。 カエル跳びゲームの実演 • MS-Excel に仕組んだマクロによって実演し ます。FrogDemo.xls • これの元になった電子ファイルは,正田の ホームページ、 http://kks-el01.sakura.ne.jp/ の「日曜作譜」-「エクセル」と辿ってご覧いた だけます。 ※ハノイの塔と違って,再帰的関係が複雑 今回の場合のワークシートの意味 (1)時間を経て,駒のカエルを動かしていくと, 以前の状態が消えてしまう。/時系列の記録 (2)【1・1】の動きが,【2・2】のときの動きに 入っているという,再帰的な性質をパターン化 することで発見しやすくする。 (3)同様な失敗を繰り返すような試行錯誤での 非効率さを防ぐ。 2つのクラスの違い B組は自力解決に時間を掛け, C組では棋譜的記録の指導を (棋譜的記録の例) 質問紙調査 感想の記述から • (B組) メモが大きな意味を持っているなんて しらなかった。 • (B組)こんなにおもしろい勉強だったので,す ごくよく考えて,自分が一生懸命にやっていた。 けっこうむずかしかったけど,おもしろかった。 • (C組)ときながらメモをするとわかりやすい。 • (C組)ちょっと難しかった。だけど話を聞いて いるうちにちょっとできるようになった。 まとめと今後の課題 • (1) 【3・3】の自力解決に与える時間は,7分程度。 • (2) 【1・1】と【2・2】との記録から再帰的性質の発 見がC組の子どもから見られた。(記録を手元に) • (3) 記録の方法の教示以降に自力解決の時間をと ることは,子どもが発見をすることに有用。 • (4) 「この時間の授業は,役立ちそうだ」と思う度合 いがC組の方が強かった。 • <今後の課題> 1時間に1つの核という授業設計。 • ワークシートでの書き込みで発見の支援。 ご清聴ありがとうございました • ご指導,ご意見 よろしくお願いします。 • [email protected]
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