図1 び漫性管内増殖性糸球体腎炎(PAS像) A. 開存している係蹄腔 F. ボウマン嚢周囲 の間質には小円 形細胞が浸潤 D. 活性化したボウマン 嚢上皮の核と同部位 での係蹄との癒着 B. A.の係蹄と比較 して、管内細胞 増殖のため係蹄 腔が良く見えない E. 腫大増殖した 内皮細胞のた め係蹄腔が狭 小化している D. 浸潤してき た好中球 活動期のび漫性管内増殖性糸球体腎炎 図2 び漫性管内増殖性糸球体腎炎(HE像) 活動期の像で多数の好中球の浸潤を認め係蹄腔はほとんど開存していない 図3 び漫性管内増殖性糸球体腎炎(PAS像) メサンギウム の核のくびれ が消失し、 クロマチンが 粗で活性化 していること がわかる ボウマン嚢 上皮の活性化 と半月体形成 を認める 係蹄壁が 二重化していて mesangial Interposition 認め、好中球の 浸潤も認める 活動期の像で半月体形成や係蹄壁の二重化など活動性の病変を認める 図4 び漫性管内増殖性糸球体腎炎(MT像) 上皮下のフクシン で赤く染色される 沈着物(hump)を 認める。この係蹄 に沿った赤い塊状 物はすべてhump と思われる。 マッソントリクロム染色の超強拡像での光顕上のHump 図5 び漫性管内増殖性糸球体腎炎(PAS像) ひとつの メサンギウム 領域にメサン ギウムの核が が4個以上認 められる 回復期の像で部分的なメサンギウムの増殖を認め、分葉傾向を示している 図6 蛍光像 C3 IgG 左がC3で右がIgGの沈着を示す、特にC3の沈着が多く認められ膜性腎症 で認められるfine granularな像でなく、coarsely granularな沈着像である 図7 電顕像 上皮下の巨大な 沈着物hump 係蹄腔内の 好中球 解説 • 図1~図4は急性期のび漫性管内増殖性糸球体腎炎の像である。 • 管内増殖とは内皮細胞の腫大増殖とメサンギウム細胞の増殖で、後者の 核は正常のくびれが消失することがあり、核のクロマチンが粗となり活性 化した像を示す。また好中球の係蹄腔内の浸潤が多く認められるのも特 徴的な所見である。浸潤してきた好中球も含め管内増殖と表現される。 • 一般に間質の細胞浸潤は軽度で、浸潤している場合は小円形細胞(おそ らくリンパ球)が主体である。図2のような半月体形成はまれで、認められ る時は臨床的にはネフローゼ症候群を示すことが多い。 • 図3の様なmesangial interpositionは部分的に認められてもよいが広 範囲で全周性に認められる時はMPGNとの鑑別が重要である。 • 蛍光抗体では図6のように特にC3のcoarsely granularな沈着を認める。 • 電顕でのhumpの存在は、溶連菌感染後のび漫性管内増殖性糸球体腎 炎において価値の高い所見である。 感染(後)糸球体腎炎postinfectious GN(日腎総会2005CME改変版) 1.溶連菌感染後急性糸球体腎炎poststreptococcal acute GN=PSAGN) 臨床像:急性腎炎症候群、一過性低補体。急性腎不全まれ。 ASLOとASK値の上昇。β型溶血レンサ球菌感染後1~2週後発症。 形態像:びまん性管内増殖性糸球体腎炎、Hump 形成が特徴的 2.パルボウイルスB19(HPVB19)感染後腎炎 臨床像:急性腎炎症候群、一過性低補体、抗核抗体陽性。四肢・体幹に紅斑 を認める。血中のHPVB19抗体の上昇(IgG型、IgM型)。自然寛解例が多い。 形態像:びまん性管内増殖性糸球体腎炎、好中球の浸潤が少なくマクロファージの浸潤が多い。 Hump 形成はほとんど認められない。 3.シャント腎炎(shunt nephritis) 臨床像: 水頭症による脳室・心房シャント。表皮ブドウ球菌、低補体血症、循環免疫複合体陽性、 クリオグロブリン陽性、リウマチ因子陽性のことが多い。しばしばネフローゼ。RPGNまれ 形態像:MPGN-like又はメサンギウム増殖性腎炎(免疫複合体型)、IgG, IgM, C3陽性 4.心内膜炎に伴う腎炎 臨床像: 心内膜炎の既往。黄色ブドウ球菌、低補体血症、循環免疫複合体陽性、クリオグロブリ ン陽性、リウマチ因子陽性。蛋白尿、ネフローゼまれ。RPGNあり。 形態像:半月体形成性を伴なったびまん性管内増殖性糸球体腎炎(IC腎炎)、IgG, M、C3 5.MRSA腎炎 臨床像:手術後感染、MRSA(コアグラーゼII型)、低補体なし。血清IgA上昇、TCVβ陽性細胞ク リオグロブリンとリウマチ因陰性。蛋白尿ネフローゼまれ。RPGNあり。 形態像:免疫複合体型半月体形成性腎炎(IC腎炎)、IgA, G、C3
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