その3 HPLCにおける分離と特徴 ~逆相・順相について~ (主に逆相です) 逆相・順相とは? 分離の場 移動相→固定相→移動相 カラム 固定相(カラム)の極性が移動相の極性より高い分離系を順相 クロマトグラフィーという。順相クロマトグラフィーに対して、移動 相の極性が固定相の極性より高い分離系を逆相クロマトグラ フィーという。 極性とは? 極性(きょくせい)とは、分子内に存在する電気的 な偏りのことで、極性を持った物質の例として水 が挙げられる。水分子において、酸素の原子核 は水素の電子を引き付けるために酸素は負の電 気的な偏りを持ち、逆に水素は正の電気的な偏 りを持つことになる。 δ+ δ- H O H δ+ 電子を引き付ける力 一般に周期表の左下に位置する元素ほど小さく、右上ほど 大きくなる。 電気陰性度 (大) 電気陰性度 極性分子と無極性分子 H2 δ- H2 O N2 δ+ δ+ CO2 NH3 HCl δ- δ+ δ+ δ+ δ+ δ- 電気陰性度の 偏りが大きい CH4 極性の近いもの同士は溶け易い 極性は溶解や反応を考える際に重要で、例えば高 極性物質は高極性溶媒に溶解しやすいが、低極性 溶媒には溶解しにくいという性質がある。 高い 水 極性 アルコール 例えば身近なところでは・・・ 水に油を混ぜても分離したまま 水にアルコールを混ぜると水割りができる 油汚れはアルコールで拭き取れる 低い (無) 油 極性、非極性と疎水性、親水性 疎水性とは、水に対する親和性が低い、すなわち水に溶けにくい、 あるいは水と混じりにくい物質または分子(の一部分)の性質をいう。 疎水性物質は一般に、電気的に中性の非極性物質である。分子内 に炭化水素基をもつ物質が代表的である。油や有機溶媒に親和性 を示す親油性も同義に用いられることが多い。これらの物質は水と 分離して互いに集まる性質をもつので、水から他の疎水性(親油 性)物質を除去・回収するのにも用いられる。対義語は親水性であ る。これは一般に極性または電荷を有することにより、水に溶けや すいまたは混じりやすいという性質を示す。 親水性=極性 疎水性=非極性 順相・逆相クロマトグラフィー 順相:固定相・・・・・シリカゲルなど 移動相・・・・・ヘキサンなど 極性:固定相>移動相 逆相:固定相・・・・・ODS(C18)など 移動相・・・・・水、メタノール、アセトニトリル 極性:固定相<移動相 固定相(逆相カラム) ODS化 シリル化剤:Cl-Si(X)2-C18H37 OH OH Si Si OH Si Si OH Si シリカゲル Si Si Si エンドキャッピング化 トリメチルシリル化剤:Cl-Si(CH3)3 OH Si Si Si シリカゲル Si Si Si Si Si Si シリカゲル Si Si Si 例えば・・・ 逆相クロマトで考えてみると・・・ 親水性 疎水性 C A A B 混合溶液 B C 混合溶液を逆相クロマトグラフィーへかける と・・・ 移動相はカラムよりも極性高い(親水 性) カラム(疎水 性) A B C 移動相の極性を以下のように変化させる と・・・ 親水性 疎水性 濃 度 アセトニトリル 水 時間 初めは溶媒中の水の割合が多く、移動相の極性が高いので、 カラムがA、B、Cの物質を保持する力は強く、物質はカラムに 結合したままですが、アセトニトリルの割合が上がり、極性が低 下していくと・・・・。 カラム CBA B A A 移動相の極性を変化させていくと、A、B、Cの各溶質の極性と つり合ったときに保持されているカラムから溶媒中へ溶離して いきます。最も親水性のあるAが、まずカラムから移動相に溶 離し、アセトニトリルの割合が増加するにつれ、B、Cが順に溶 離していきます。 C A B
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