第12章 市場機構の限界 パレート最適が達成するための条件: 市場の普遍性:すべての財に対して市場が存在し,交換が行われる。 完全競争の条件:すべての市場で完全競争が支配し,すべての生産要 素が企業間・産業間で自由に移動できる。 凸環境の条件:効用関数・生産関数は他の経済主体の消費量・産出量 から独立であり,されに限界代替率逓減の法則,限界 費用逓減の法則が成り立つ。 安定性の条件:競争均衡が安定的で,均衡はずれても素早く均衡が回 復される。 これらの条件のうちいくつかが満たされずに市場機構(市場 メカニズム)を通じて資源の最適配分(パレート効率性)が達成 できない状況を市場の失敗market failureと呼ぶ。 ミクロ経済学 1 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect ある経済主体の経済活動が, 他の経済主体の経済活動に与え る効果を,外部効果external economiesあるいは外部性と呼ぶ。 その影響が外部効果の受け手にとって好ましいもの(効用を高め た り 生 産 量 を 増 や し た り す る も の ) で あ れ ば 外 部 経 済 external economiesあるいは正の外部効果と呼ぶ。逆に好ましくないものであ れば外部不経済external diseconomiesあるいは負の外部効果と呼ぶ。 例えば,地球環境と自動車,リンゴ園と養蜂園 パソコンの生産量とプログラマーの賃金単に市場を通じて,市場 の相互関連の結果として,他の市場の均衡価格に変化をもたらす効 果は市場の失敗に結び付かず,金銭的外部効果pecuniary external economiesと呼ぶ。これに対して,市場を経由しない外部効果を技術 的外部効果technological external economiesとも呼ばれる。 ミクロ経済学 2 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect 社会的限界費用(外部不効果の例) 川の上流の企業Aが廃水を川に放出し,その量が多いほど,下流の染 物工場(企業B)が浄水能力を増大せざるを得なくなるというのは,企業A が企業Bに外部不経済を与えている。 企業Aの生産関数: yA=fA(xA) (生産量yAが投入量xAのみに依存する) 企業Bの生産関数: yB=fB(xB , yA) (生産量yBが投入量xBのみならず, 企業Aの生産量yAにも依存する) 価 格 p 産業Aの企業の行動: S 価格p=私的限界費用MCA (供給曲線S) A商品の消費者の行動: E 価格p=限界評価MU (需要曲線D) D O ミクロ経済学 yA 産業Aの 生産量 A市場の完全競争解: E点 3 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect 社会的限界費用(外部不効果の例) 産業Aの企業の行動: 価格p=私的限界費用MCA (供給曲線S) 産業Aが産業Bへの外部不経済: 産業Aの生産量を1単位増加するごと に産業Bが一定の浄水費用を被る。 産業Aの社会的限界費用: 浄水費用はA製品の生産によって生じた費用 であるが,産業Aにとってこれが外部費用として社会が負担している。 社会的限界費用SMCA=限界外部費用MC*+私的限界費用MCA 価 格 p SMCA =MC*+MCA E* S E MC* 社会的限界費用SMCA が消費者の限界評価 MUに等しいときの生産 時の 量はy *である。 A 産出量=yA* 社会的総余剰 D O ミクロ経済学 y A* y A 産業Aの 生産量 4 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect 社会的限界費用(外部不効果の例) 産業Aの企業の行動: 価格p=私的限界費用MCA (供給曲線S) 産業Aが産業Bへの外部不経済: 産業Aの生産量を1単位増加するごと に産業Bが一定の浄水費用を被る。 産業Aの社会的限界費用: 浄水費用はA製品の生産によって生じた費用 であるが,産業Aにとってこれが外部費用として社会が負担している。 産出量=yA 時の A=限界外部費用MC*+私的限界費用MCA 社会的総余剰=消費者余剰+生産者余剰-外部費用 社会的限界費用SMC 価 格 p SMCA =MC*+MCA E* S E MC* 過剰供給 O ミクロ経済学 y A* y A D 産業Aの 生産量 社会的限界費用SMCA 消費者の限界評価 産出量= yAが時の MUに等しいときの生産 消費者余剰+生産者余剰 量はyA*である。 産出量= yyAA 時の 時の 産出量= * 社会的余剰の損失 外部費用C 5 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect 外部不効果の場合 市場に任せると,外部不経済の費用が産業Aの行動決定 に反映されず,結果として,生産量は社会的に望ましい水準よ 社会的限界費用 > 私的限界費用 (両者の乖離) りも大きくなるのである。 供給は過剰になり,資源配分の歪みdistortionが生じる。 産出量=yA の場合 価 格 p 産出量=yA* の場合 社会的総余剰 社会的余剰の損失 社会的限界費用 私的限界 S 費用 社会的総余剰 価 格 p 社会的限界費用 私的限界 S 費用 MC* MC* D D O ミクロ経済学 y A* y A 生産量 O y A* yA 生産量 6 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect 外部効果が存在する場合に,私的費用と社会的費用あるい は私的便益と社会的便益と乖離し,それによって,資源が当 事者の一方には過剰に,他方には過少に配分されるという 「ゆがみdistortion」が生じることになる。 そのような事態の下で,市場機構のみに頼ってパレート最 適配分を実現することは不可能となる。 この欠落性を補正するには,外部効果の発生源と影響の方 向が明確しているかどうかによって,対策が変わる。 外部効果の発生源と影響の方向が明確している場合,ピグー課税や内 部化などの補正手段がある。 外部効果の発生源と影響の方向が明確していない場合,公共ないしは 政府の立場からする市場介入が必要とされざるを得なくなる。 ミクロ経済学 7 第12章 市場機構の限界 12.1 外部効果external effect 外部効果が存在する場合に,私的費用と社会的費用あるい は私的便益と社会的便益と乖離し,それによって,資源が当 事者の一方には過剰に,他方には過少に配分されるという 「ゆがみdistortion」が生じることになる。 外部効果の発生源と影響の方向が明確している場合,ピグー課税や内 部化などの補正手段がある。 外部効果の発生源と影響の方向が明確していない場合,公共ないしは 政府の立場からする市場介入が必要とされざるを得なくなる。 ■外部経済の内部化 正の外部経済の場合: (例ば,家電メーカーと音楽ソフト産業の企業) 正の外部経済をもたらす2つの企業間では合併や統合(垂直統合)など を通じて,統一的な意思決定をすることによって,外部経済を内部化する。 負の外部経済の場合: 垂直統合は現実的に容易ではない。 ミクロ経済学 8 第12章 市場機構の限界 12.2 ピグー課税 ピグー課税①: 政府は外部不経済を生む企業に,生産量を1単位当たり に(SMCA-MCA)に等しい税を課する。産業Aに属する企業 にとって限界費用は次のようになる。 限界費用MCA*=私的限界費用MCA+課税率 問題は政府税収 =MCA+(SMCA-MCA) の使い道が不明であ =SMCA (社会的限界費用) る。 民間部門に返還す 社会的総余剰 るとしも,どの民間部 価 A =MC *+MC A =MC A* A SMCSMC 門に返還するかは不 格 明である。 p S 但し,資源配分の 効率性は実現される。 課税率 政府税収 =外部費用 O ミクロ経済学 D y A* y A 産業Aの 生産量 9 第12章 市場機構の限界 12.2 ピグー課税 ピグー課税②: 政府は外部不経済を生む企業に,yA*以上の生産量に 対して,生産量を1単位当たりに(SMCA-MCA)に等しい税を 課する。産業Aに属する企業にとって限界費用は次のように なる。 yA*以上生産する時に,限界費用MCA*=私的限界費用MCA+税金 =MCA+(SMCA-MCA) =SMCA (社会的限界費用) この場合,政府税 社会的総余剰 収はゼロとあり,税 A =MC *+MC A =MC A* A SMCSMC 収の分配問題は発 価 格 生しない。 p S 但し,資源配分の 効率性は実現される。 課税率 D 外部費用 O ミクロ経済学 y A* y A 産業Aの 生産量 10 第12章 市場機構の限界 12.2 ピグー課税 補 助 金: 政府は外部不経済を生む企業に生産量を1単位減らすことに (SMCA-MCA)に等しい補助金を支払う。産業Aに属する企業 にとって,生産量を1単位増加させるごとに私的限界費用を費 やす上に,補助金を受け取れる機会をも失う。したがって, 限界費用MCA*=私的限界費用MCA+補助金 この場合,政府補 = MCA+(SMCA-MCA) =SMCA (社会的限界費用) 助金は,税収として 民間部門から徴収す 社会的総余剰 るが,どのように徴 価 A =MC *+MC A =MC A* A SMCSMC 収するかは不明であ 格 p る。 S 但し,資源配分の 効率性は実現される。 政府補助金 補助金 D 外部費用 O ミクロ経済学 y A* y A 産業Aの 生産量 11 第12章 市場機構の限界 12.3 コースの定理 外部効果の発生源と影響の方向が明確している場合,当事者間の交渉に よって,外部不経済を減少することが可能である。 交渉の結果 外部不経済の発生者が受け手に 対して, (SMCA-MCA)に等しい金 額の補償金を支払う。こうなれば, 政府が課税をする場合と同じく,生 産量はyA*に落ち着くことになる。 生産量を減らすとき,1単位に付 き(SMCA-MCA)に等しい金額を外 部不経済の受け手が発生者に支払 う。この場合は補助金制度と同じく, 生産量はyA*に落ち着くことになる。 コースの定理: どちらが貨幣を支払うかによって所得分配は 変わるが,発生者が受け手に支払う,受け手が発生者に支払 う,そのどちらの方法でも,最適な生産量を実現できる。 ロナルド・H・コース (Ronald H. Coase, 1910-) はシカゴ学派の一員で ある。企業などの経済組織や制度、および「コースの定理」について経済 理論への貢献は大きい。1990年にノーベル経済賞を受賞した。 ミクロ経済学 12 第12章 市場機構の限界 12.3 コースの定理 外部効果の発生源と影響の方向が明確している場合,当事者間の交渉に よって,外部不経済を減少することが可能である。 交渉の結果 外部不経済の発生者が受け手に 対して, (SMCA-MCA)に等しい金 額の補償金を支払う。こうなれば, 政府が課税をする場合と同じく,生 産量はyA*に落ち着くことになる。 生産量を減らすとき,1単位に付 き(SMCA-MCA)に等しい金額を外 部不経済の受け手が発生者に支払 う。この場合は補助金制度と同じく, 生産量はyA*に落ち着くことになる。 コースの定理: どちらが貨幣を支払うかによって所得分配は 変わるが,発生者が受け手に支払う,受け手が発生者に支払 う,そのどちらの方法でも,最適な生産量を実現できる。 つまり,当事者間で交渉に費用がなければ,どちらに法的 な権利を配分しても,当事者間での自発的な交渉は同じ資 ミクロ経済学源配分の状況をもたらし,しかもそれは効率的になる。 13 第12章 市場機構の限界 ■外部経済の内部化のまとめ 方 法 意 味 問題点 合併 垂直統合 当事者同士で1つの主 利害の対立する主体間 体として行動する での合併は困難 ピグー課税 適切な課税の大きさを 政府が外部効果を相殺 政府が認識できるかど するように税金で調整 うか 市場を通して外部経済 市場取引になじまない 市場の創設 が取引されるようにする ものが多い 当事者同士で交渉すれ 権利の確定が困難 コースの定理 ば,効率的な生産水準 に落ちつく 交渉にコストがかかる ミクロ経済学 14 第12章 市場機構の限界 パレート最適が達成するための条件: 市場の普遍性:すべての財に対して市場が存在し,交換が行われる。 完全競争の条件:すべての市場で完全競争が支配し,すべての生産要 素が企業間・産業間で自由に移動できる。 凸環境の条件:効用関数・生産関数は他の経済主体の消費量・産出量 から独立であり,されに限界代替率逓減の法則,限界 費用逓増の法則が成り立つ。 安定性の条件:競争均衡が安定的で,均衡はずれても素早く均衡が回 復される。 これらの条件のうちいくつかが満たされずに市場メカニズム が資源の最適配分を達成できないことを市場の失敗market failureと呼ぶ。 ミクロ経済学 15 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■公共財とは 非競合性と非排除性の両方の性質を持つ財は公共財と呼ばれる。例えば, NHK放送,灯台など。 非競合性non-rivalness: ある消費者が消費することによって他の消費者の消費 量が減少することがなく,追加的な費用なしで全員が同時にその財の供給量 を消費することができる。 非排除性non-excludability: 対価を支払わない消費行動を排除することができ ない。(排除不可能性,消費の非排除性、消費の排除不可能性ともいう。) なお,教育,学校給食,老 人医療など,私的財として供 給することが容易であったに も関わらず,政府が社会的に 重要であると見なし,公共財 として供給するサービスもあ る。これをメリット財(価値財) ミクロ経済学 と呼ばれる。 准公共 財 競合性 非排除性 テレビ・ラジオ放送 国防,消防,警察 伝染病予防 私的財 医療サービス 食料,住居,衣服 年金,保険 排除性 ケーブルテレビ 有料道路 劇場,映画館 純粋公共 財 准公共 財 混雑が起こり安い 道路などの公共施設 非競合性 16 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■公共財とは 非競合性と非排除性の両方の性質を持つ財は公共財と呼ばれる。例えば, NHK放送,灯台など。 非競合性non-rivalness: ある消費者が消費することによって他の消費者の消費 量が減少することがなく,追加的な費用なしで全員が同時にその財の供給量 を消費することができる。 非排除性non-excludability: 対価を支払わない消費行動を排除することができ ない。(排除不可能性,消費の非排除性、消費の排除不可能性ともいう。) ■公共財の最適供給:サムエルソンの公式 私的財の消費について: 社会全体の供給量=各消費者の消費量の合計 X=∑xi 公共財の消費について: 社会全体の供給量=各消費者の消費量 Y=yi ミクロ経済学 17 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■公共財の最適供給:サムエルソンの公式 私的財の消費について: X=∑xi 公共財の消費について: Y=yi 私的財 生産量X 私的財と公共財の生産可能曲線: 資源制約の下で,私的財と公共財の 最大可能な生産量組合せを表す。 消費者i の効用:Ui=Ui(xi,Y) O 無差別曲線として表せる。 私的財 パレート最適:(2人からなる社会の場合) 生産量X ある個人の効用を所与として,別の個人 の効用を最大にする。 U1=一定の下で, U2が最大となるような 消費者2の無差別曲線 O ミクロ経済学 消費者1の無差別曲線 U1=一定 生産可能曲線 公共財 生産量Y 消費者2の 消費機会曲線 公共財 生産量Y 18 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■公共財の最適供給:サムエルソンの公式 私的財の消費について: X=∑xi 公共財の消費について: Y=yi 私的財 生産量X 私的財と公共財の生産可能曲線: 資源制約の下で,私的財と公共財の 最大可能な生産量組合せを表す。 消費者i の効用:Ui=Ui(xi,Y) O 無差別曲線として表せる。 私的財 パレート最適:(2人からなる社会の場合) 生産量X ある個人の効用を所与として,別の個人 の効用を最大にする。 U1=一定の下で, 公共財最適供給の条件: U2が最大となるような MRS2=MRT-MRS1 消費者2の無差別曲線 MRS1+MRS2=MRT サムエルソンの公式: ∑MRSi=MRT ミクロ経済学 O 消費者1の無差別曲線 U1=一定 生産可能曲線 MRT MRS1 公共財 生産量Y 消費者2の 消費機会曲線 MRS2 Y* 公共財 生産量Y 19 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■公共財の最適供給:サムエルソンの公式 公共財最適供給の条件: サムエルソンの公式: ∑MRSi=MRT 公共財と私的財との各個 人の限界代替率の総和 ↑ 公共財を1単位追 加的に供給してもら えるなら,どれぐら いまで私的財を手 放す用意があるか を示す。 公共財の限界評 価との関係がある。 私的財 生産量X 生産可能曲線 MRT 公共財と私的財との生 産における限界変形率 ↑ O 公共財を1単位追 加 的 に 生 産 す る た 私的財 めに,どれぐらいの 生産量X 私 的財の 生産 量を 減少にしなければな らないかを示す。 公共財の限界費 用との関係がある。 O ミクロ経済学 消費者1の無差別曲線 U1=一定 MRS1 公共財 生産量Y 消費者2の 消費機会曲線 MRS2 Y* 公共財 生産量Y 20 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■公共財の最適供給:サムエルソンの公式 サムエルソンの公式の別の解釈 公共財最適供給の条件: サムエルソンの公式: ∑MRSi=MRT 公共財と私的財との各個 人の限界代替率の総和 ↑ 公共財を1単位追 加的に供給してもら えるなら,どれぐら いまで私的財を手 放す用意があるか を示す。 公共財の限界評 価との関係がある。 ミクロ経済学 公共財に対する各個 = 公共財生産 の限界費用 人の限界評価の合計 公共財と私的財との生 産における限界変形率 ↑ 公共財を1単位追 加的に生産するた めに,どれぐらいの 私 的財の 生産 量を 減少にしなければな らないかを示す。 公共財の限界費 用との関係がある。 公共財の限界評価: 公共財を1単位追加的に 供給してもらえるなら,どれ ぐらいまでお金を支払う用 意があるかを示している。 公共財の限界費用: 公共財を1単位を追加的 に生産するために,どれぐ らいの費用を追加しなけれ ばならないかを示している。 21 第12章 市場機構の限界 ■公共財の最適供給: 公共財最適供給の条件: サムエルソンの公式: ∑MRSi=MRT 公共財に対する各個 = 公共財生産 の限界費用 人の限界評価の合計 各個人の公共財に対する限界評価 の合計が社会的限界評価と呼ばれる ので,上の式は下記ように書き換える。 サムエルソンの公式の別の解釈 公共財に対する = 公共財生産 の限界費用 社会的限界評価 ミクロ経済学 dA 0 公共財の量 限 界 評の 価p B B サムエルソンの公式の別の解釈 限 界 評の 価 pA A 12.5 公共財 dB 0 公共財の量 限社 界会 評的 価 pA+pB 限界費用MC E dA+dB 0 y* 公共財の量 第12章 市場機構の限界 ■公共財の最適供給: 公共財最適供給の条件: 公共財に対する = 公共財生産 の限界費用 社会的限界評価 限 界 評の 価 pA A 12.5 公共財 dA 0 公共財の量 B 限 界 ■公共財の負担とただ乗り 評の 各個人が各自の限界評価に応じて, 価 pB それぞれの費用を負担すれば,公共 財を最適供給することが可能である。 0 しかし,①政府は各個人の公共財 限社 に対する評価の情報を持っておらず, 界会 評 ②公共財の非排除性の性質を持つか 価的 ら,公共財利用者が自分の評価を過 pA+pB 小に表すようなただ乗り(フリーライ ダーfree rider)行為を誘発する。 このただ乗り行為は,公共財最適 0 供給を妨げている。 dB 公共財の量 限界費用MC E dA+dB y* 公共財の量 第12章 市場機構の限界 12.5 公共財 ■ただ乗り問題の対策 ① 負担の均等割り ■公共財の最適供給: 便益が共通であるような純粋公共 公共財最適供給の条件: 財の場合,社会の基本的な制度の 公共財に対する = 公共財生産 設定とその維持運営のための公共 の限界費用 社会的限界評価 支出は,負担の均等割りによって, ただ乗り行為を抑制することができる。 ■公共財の負担とただ乗り ■まとめ 但し,うまくいかない場合がある。 各個人が各自の限界評価に応じて, 公共財 私的財 ② 受益者負担の原則 それぞれの費用を負担すれば,公共 公共財が過大評価するような大き 財を最適供給することが可能である。 非排除性 排除性 特 徴 な政府の問題を抑制するには,受益 非競合性 競合性 しかし,①政府は各個人の公共財 者負担の原則の採用である程度に に対する評価の情報を持っておらず, 抑制することができる。但し,その結 最適供給 社会的限界評 個人の限界評価 ②公共財の非排除性の性質を持つか 果として,本来実施すべき公共財計 の条件 価=限界費用 =限界費用 ら,公共財利用者が自分の評価を過 画が不採用になることに注意したい。 小に表すようなただ乗り(フリーライ 受益者負 ただ乗りは回 受益者が負担 ③ その他 ダーfree rider)行為を誘発する。 担の原則 避できない する 所得再分配などの政策で,公平性 の適応 このただ乗り行為は,公共財最適 に関する政府の信頼を形成する。 24 供給を妨げている。
© Copyright 2025 ExpyDoc